人事評価制度の種類まとめ|役割や特徴・制度を運用する際の注意点を解説

最終更新日時:2024/03/25

人事評価システム

人事評価制度の種類

従業員の成果やスキルを評価する「人事評価制度」。人事評価制度は企業の成長にもつながるため、自社に合ったものを選ぶことが重要です。本記事では、人事評価制度の種類を紹介し、人事評価制度の役割や人事評価制度の種類ごとの特徴、運用する際の注意点などを解説します。

人事評価制度とは?

人事評価制度とは、従業員のパフォーマンスや貢献度、仕事の遂行状況を正確に把握し、評価するための仕組みです。評価の結果をもとに昇進、給与、賞与などの処遇に反映させることで、従業員一人ひとりが自身の仕事への影響力を理解し、モチベーションの向上やキャリアの発展を促すことが可能になります。

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人事評価制度の役割

人事評価制度は、企業の成長と従業員の個人的な発展をサポートする重要な役割を持っています。この制度がどのように機能するのか、詳しく見ていきましょう。

企業のビジョンや経営方針を従業員に伝える

評価基準に企業が目指すビジョンや経営方針を盛り込み反映させることで、従業員は自分の仕事が企業全体の目標にどう貢献しているのかを理解しやすくなります。つまり、人事評価制度を通じて、企業の理念や目標を従業員に明確に伝えることができるのです。

従業員がそれらを把握し企業と同じ方向を目指すようになれば、業務に取り組む意欲もより高まるでしょう。

目標を設定し生産性の向上を図る

人事評価制度には、従業員に明確な目標を設定し定義するという役割があります。具体的な目標を把握できれば、業務において何を目指すべきかを理解し、達成することに集中できるようになり、生産性の向上にもつながるでしょう。

人材配置の最適化を図る

従業員のスキルやキャリアの望みを正確に理解することで、人事評価制度は企業と従業員双方に最適な人材配置を行う基準となります。従業員をスキルや成長希望に最も合ったポジションに配置することで、自分の能力を最大限に発揮し、同時にキャリア成長の機会を得られるのです。

また、企業は適材適所の配置により、チームの効率を最大化し、組織全体のパフォーマンスを高めることができます。

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公平かつ正当な待遇の基準にする

人事評価制度の非常に重要な役割の一つが、従業員のスキルや実績を公平に評価し、その結果を処遇の根拠にすることです。従業員一人ひとりの努力と成果が正しく認識され、適正な報酬や昇進、その他の福利厚生を受けることができます。

根拠が客観性・透明性を持っていることで、従業員は公正な評価を受けていると感じ、モチベーションや満足感が高まるでしょう。また、社員間の信頼感を強めることにもつながります。人事評価は単に業績を測るだけでなく、従業員の働きがいや組織全体の公平さを支える土台にもなるのです。

経営戦略に合った人材を育成する

人事評価制度は、経営戦略の達成に不可欠な人材を育成する上で重要な役割を果たします。企業の目標達成に必要な能力やスキルを評価基準に明確に設定し、それに基づいて従業員のパフォーマンスを評価することで、求められる人材像に合致した社員の育成が可能になるのです。

従業員は自分の課題を理解した上で、必要なスキルや知識を習得しようと行動でき、企業は評価結果を基に、個々の従業員に対する教育プログラムや研修を計画し、効果的に実施できます。

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人事評価制度の変遷

長い間、日本の人事評価制度は年功序列が中心で、社員の年齢や勤続年数が昇進や給与の主な決定要因でした。しかし、終身雇用制度の崩壊、グローバル化の進展、そして働き方の多様化により、この伝統的な評価システムに変化が求められるようになりました。近年、多くの企業では成果や能力を重視する人事評価制度が導入され、新たな標準となりつつあります。

一方で、海外では評価を行わない「ノーレイティング」制度が注目されており、これは従業員の自発性やチームワークを促す新しい試みです。このように人事評価制度は時代と共に進化してきて、今後もその形は変わり続けることでしょう。

人事評価制度の種類と特徴

ここでは人事評価制度の主な種類、その特徴について紹介していきます。

コンピテンシー評価

コンピテンシー評価とは、従業員の行動特性やスキル、知識などを評価する方法です。高い成果を出すために必要な能力や態度を明確にして、それらが従業員にどの程度備わっているかを判断することを目的としています。

単に業績の結果だけでなく、その結果を達成する過程での行動やアプローチも重視されるため、、従業員は自身の強みと弱みを具体的に理解し、キャリアの発展に役立てることができます。

コンピテンシー評価のメリット・デメリット

コンピテンシー評価の最大のメリットは、明確に定義されたコンピテンシーモデルを基準にすることで、一貫性のある評価が可能になる点です。従業員は必要とされる行動やスキルを正確に理解し、それに基づいて自分の行動を調整することができ、評価者は具体的な評価基準があるため、公正で透明性のある評価が行えます。

一方で、デメリットとして挙げられるのは、コンピテンシーモデルが適切に設定されていない場合、評価にばらつきが生じやすくなる点です。もしモデルが現場の実態や職種の特性を十分に反映していなければ、実際の能力や貢献度が正しく評価されないかもしれません。このため、コンピテンシーモデルの作成と維持には、常に注意と労力が必要になります。

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MBO(目標管理制度)

MBO(目標管理制度)は、従業員が設定した具体的な業務目標を上司と共有し、その達成度を評価する制度です。

目標の設定から達成まで従業員が積極的に関与することで、自己実現と組織の目標達成を両立させます。従業員は自らの目標に対する責任感を持ち、動機づけられるとともに、組織全体としても効率的に目標に向かって進むことができるでしょう。

MBO(目標管理制度)のメリット・デメリット

MBO(目標管理制度)のメリットとしては、従業員が自身の目標に対する明確な理解と責任感を持つことが挙げられます。従業員と上司が目標を共有することでコミットメントが高まり、モチベーションの向上にもつながるのです。また、個々の目標が組織全体の目標に沿っているため、個人の努力が組織の成果に直結することが明確になります。

しかし、デメリットとしては、不明確な目標や高すぎる目標が設定された場合、従業員が過度のプレッシャーを感じたり、目標に対して否定的な感情を抱く可能性があります。また、目標が具体的なだけに、状況に応じて修正を加えるなど対応に労力や時間を割かなければならないこともデメリットの一つです。

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360度評価(多面評価)

360度評価または多面評価とは、従業員のパフォーマンスや行動を、直属の上司だけでなく、同僚、部下、時には外部のクライアントやパートナーを含む多方面から評価する方法です。

一人の従業員に対して複数の視点からフィードバックを集めることが特徴で、従業員は自身の働きぶりをより総合的に理解でき、特定の人間関係に偏らない多角的な評価を受けられます。

360度評価(多面評価)のメリット・デメリット

360度評価の最大のメリットは、複数の視点からのフィードバックにより、従業員が自己の行動やパフォーマンスに対してより包括的な理解を得られる点です。多角的な評価は、従業員の納得感を高め、自己改善へのモチベーションを促します。さまざまな関係者からの意見を聞くことで、よりバランスの取れた発展が期待できるでしょう。

一方、デメリットとしては、評価の過程に慣れていない従業員が評価に参加する場合もあるため、事前の指導やトレーニングが必要になることがあります。評価が主観的な感情に基づいたものにならないように、客観的で建設的なフィードバックの方法を学ぶ必要があり、準備と教育に時間とリソースを要するかもしれません。

バリュー評価

バリュー評価は、企業の文化や理念に基づいた価値観や行動規範を従業員がどれだけ理解し、日々の業務に反映させているかを評価する方法です。企業の価値観を従業員の行動の基準として定着させることで、個人の成長だけでなく、組織全体の一体感や品質向上にもつながります。

バリュー評価のメリット・デメリット

バリュー評価の大きなメリットは、従業員が企業理念や価値観に沿った行動を取りやすくなることです。自社の目指す価値を日々の業務に反映させるよう促されることで、組織全体の文化が強化され、社員間で共有される価値観が確立します。価値観の一致は、チームワークの向上や組織の結束力を高めるのに効果的です。

一方デメリットは、その性質上、行動や態度を定量的に評価することが難しいため、評価の公平性が欠ける可能性があるという点です。価値観や行動規範は主観的な解釈が入りやすく、評価者によって評価基準が異なり評価結果にばらつきが出る場合も。その結果、不公平感を生む可能性があります。これを避けるためには、明確で具体的な評価基準の設定と、評価者の適切なトレーニングが必要です。

ミッショングレード制度

ミッショングレード制度は、従来の役職やキャリアの長さではなく、社員に任された役割やミッションの重要性に応じて等級を決める人事評価制度です。各社員が担う具体的な任務や責任の範囲が評価の基準となり、ミッションのクリアや目標の達成度合いによって評価し、それに応じて等級を設定します。

仕事の成果と直接関連する評価ができ、従業員の能力や貢献度により公平な評価を行えるのが特徴です。

ミッショングレード制度のメリット・デメリット

ミッショングレード制度の大きなメリットは、従業員が現在担っている役割の重要性と達成度に基づいて評価されるため、年齢や勤続年数に関係なく、その成果を正しく評価し報酬を与えることが可能になる点です。能力と成果を正確に反映した公平な評価制度であるため、特に若手社員のモチベーション向上につながります。

しかし、デメリットとして挙げられるのは、各従業員に割り当てられる役割やミッションの明確な定義が必要となるため、評価制度の設計と管理に多くの時間と労力が必要になる点です。また、勤続年数が長く従来の評価基準に慣れ親しんだ社員は、新しい評価基準に対して不満や抵抗感を持ちやすいという懸念もあります。これらの問題を解決するためには、透明性のあるコミュニケーションと適切な変更管理が不可欠です。

人事評価制度の導入方法

ここでは、人事評価制度を導入する際の具体的な方法について詳しく解説します。

企業の現状を把握する

人事評価制度の導入に先立って、企業の現状を正確に把握することが重要です。これには、組織の目標、業務の流れ、従業員の能力や満足度など、さまざまな面からの情報収集が欠かせません。広く収集した情報から現状を分析し、解決すべき課題を明確にしてはじめて、それを解決するための人事評価の枠組みを計画できるようになるのです。

また、現状把握の過程で得られた情報は、人事評価制度の設計において非常に価値のあるものとなります。

人事評価制度の目的を明確にする

企業が直面している課題を踏まえ、人事評価制度の目的を明確に設定することは極めて重要です。

明確な目的を持つことで、評価制度の各段階で何を達成しようとしているのか、全員が共有できるガイドラインが設定され、人事評価が単なる形式的な行事ではなく、企業と従業員双方にとって実質的な価値をもたらすものとなります。

評価基準・評価項目を決める

人事評価の目的が明確になったら、評価基準と項目を定めます。基準については、部署や職種によって異なるため、どのような役割を求められているかによって決めていきましょう。

評価項目については、企業ごとに独自の項目を定めていますが、例えば以下のような項目が共通している傾向があります。

能力評価推進力・企画力・リーダーシップ・コミュニケーションスキル
業績評価目標達成度・プロセス
情意評価積極性・協調性・責任感

評価方法を決める

人事評価を行う際には、どのような評価方法を採用するかを決定することが必要です。一般的には、5段階評価が用いられることが多いですが、企業によっては3段階、4段階、あるいはより細かい7段階評価を採用している場合もあります。

評価方法を選択する際には、その方法が従業員のパフォーマンスを正確に反映できるか、そして組織の文化や目標に適しているかをよく検討しましょう。適切な評価方法を選ぶことは、公正で透明な人事評価システムを構築する上で重要です。

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処遇に関するルールを決める

人事評価の結果を公平かつ効果的に処遇に結び付けるためには、等級、給与、賞与などの報酬体系と評価結果をしっかりと連動させるルールを策定することが大切です。処遇に関するルールを事前に明確にしておくことで、従業員は評価の意義を理解し、目標達成に向けて取り組む姿勢が育まれます。

人事評価制度の導入を従業員へ周知する

人事評価制度を導入する際には、その目的と内容を従業員全員が理解し納得できるように、説明会やワークショップを実施し、新しい制度の概要、目的、評価方法、処遇の基準などを詳しく説明しましょう。周知だけでなく、従業員が新しい制度に対して意見や提案を出せる機会にもなり、より受け入れられやすくなります。

人事評価制度の導入を従業員に周知し、理解を深めることで、制度の透明性と公平性が保たれ、従業員のモチベーション向上にもつながるでしょう。

人事評価制度の運用を開始する

人事評価制度の運用を開始するにあたっては、定期的な改善を心がけることが重要です。初めから完璧な制度を作ることは難しいですが、実際に運用を進める中で遭遇する問題点や改善点を一つひとつ解決することで、より効果的で公平な人事評価制度へと成長させていくことができます。

人事評価制度を運用する際の注意点

人事評価制度を運用する際に留意すべき重要な点について、ここから詳しく解説していきます。

人事評価エラーが発生しないようにする

人事評価は、評価者の感情や心理的影響によって、間違った評価が行われる可能性があります。特に、一つの印象が全体の評価に影響を及ぼす「ハロー効果」、評価者が一律に高いまたは低い評価をする傾向「寛大化・厳格化傾向」、そして他者と比較して評価を行う「対比誤差」などは、評価エラーが起こりやすい典型的な例です。

こうしたエラーは、評価の公平性や正確性を大きく損なうため、評価者はこれらの可能性を事前に認識し、客観的かつ公平な評価を心がける必要があります。

人事評価エラーとは?種類や及ぼす影響・対策方法をわかりやすく解説

評価項目を厳選する

評価項目を設定する際には、その数と質に注意しましょう。評価項目が多すぎると、運用が煩雑になり、結果的に形式的な人事評価に陥ってしまう恐れがあります。そのため、評価項目は企業の目標や個々の職務内容に直結するものに厳選し、本当に重要な要素だけを盛り込むようにすることが大切です。

評価者を教育する

評価者が適切な評価を行う能力に欠けている場合、評価エラーが起こる可能性が高まります。これを防ぐために、評価者教育は非常に重要です。

必要に応じて評価者が適切なトレーニングを受けることで、より公正に評価を行えるようになり、従業員の納得感や組織全体の成果につなげられるでしょう。

フィードバックを実施する

フィードバックを実施することにより、従業員は自身の評価結果を理解し、納得しやすくなります。また、フィードバックは、評価結果を踏まえて、具体的な改善点や今後の目標を設定するための貴重な機会です。

正直で建設的なコミュニケーションにより、単に評価結果を伝えるだけでなく、従業員のモチベーションの向上、能力開発、そしてパフォーマンスの向上に寄与することが期待できます。

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人事評価制度は定期的に見直す

企業の状況は日々変化します。市場の動向、組織の構成、ビジネスの目標などが変わるにつれて、人事評価制度もそれに応じて進化しなくてはなりません。

古い人事評価制度をそのまま適用し続けると、現在の企業の状況や従業員のニーズに合わなくなり、効果的に機能しない可能性があります。企業の変化に適応し、常に最適な人材管理を実現するためには、人事評価制度を定期的に見直し、必要に応じて更新することが重要です。

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人事評価制度は改善を繰り返しながら運用しよう

人事評価制度は、企業と従業員の成長を支える重要なツールです。その導入と運用には、課題と目的の明確化や基準・ルール作り、さらにフィードバックの提供と欠かせない要素が多数あります。しかし、何より重要なのは、定期的に見直し、必要に応じて改善を繰り返すことです。市場や組織の変化に合わせて制度をアップデートすることで、常に企業の現状に最適化された人事評価が行えるようになります。

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ビズクロ編集部
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