一人当たりの採用コストの平均とは?内訳や計算方法・削減するポイント

最終更新日時:2024/03/26

採用管理システム

採用コスト

「就職白書2023」によると、2023年卒採用を実施した企業のうち採用目標数を達成できた企業は約4割とされています。採用活動には募集から内定までの間にあらゆるコストが発生します。採用コストの費用相場を把握し、採用コストの最適化を実施しましょう。

この記事の要約

・採用コストとは、人材を採用するための一連の活動の中で発生するコストのこと
・採用コストには、社内で発生する「内部コスト」と社外に支払う「外部コスト」の2種類がある

採用コストとは?内訳について

採用コストとは、企業が人材を採用するためにかけるコスト(=費用)の総称です。

採用計画から実際の募集・選考・入社に至るまでさまざまなコストがかかりますが、用途によって大きく「内部コスト」と「外部コスト」に分類されます。

内部コスト

内部コストとは、採用コストのうち社内で発生するコストを指し、具体的には以下のようなものが該当します。

  • 面接官や採用担当者の人件費
  • 応募者や内定者の交通費・宿泊費
  • 内定者懇親会などの交際費
  • 内定者の引越費用
  • リファラル採用における紹介者へのインセンティブ

内部コストは、「面接官として出席した現場責任者の人件費」のように、明確に数値化しづらいコストも含まれるのが特徴です。内部コストの大半は人件費ですが、削減しすぎると人員不足や採用業務の質の低下を招く恐れがあるため注意しましょう。

外部コスト

外部コストとは、採用コストのうち社外に支払うコストを指し、具体的には以下のようなものが該当します。

  • 求人広告費
  • 人材紹介サービスへの成果報酬
  • 会社説明会・懇親会などの会場費
  • 会社案内・パンフレット・採用サイトの作成費
  • 研修などの外部委託費

外部コストは、社内で行うのが難しいもの、専門的な知識や技術を要するものにかかる費用が多く、内部コストに比べて費用が高くなる傾向があります。

採用ターゲットやトレンドの変化によって費用対効果が変わるものも含まれるため、定期的に見直し最適化することが必要です。

採用単価と採用コストは意味が違う?

採用単価と採用コストは混同されがちですが、両者は異なる概念です。

採用単価は「採用一人当たりにかかったコスト」を指し、採用コストは「採用活動にかかったすべてのコスト」を指します。いずれも採用活動の費用対効果を測る指標として用いられる語ですが、両者に明確な定義の違いがあるわけではなく、企業ごとのルールで使い分けられていることが多いようです。

一人当たりの採用単価の計算方法

一人当たりの採用単価は以下の式で算出できます。

採用単価=採用コストの総額÷採用人数

例えば、200万円の採用コストをかけて5人を採用した場合、式に当てはめると以下のようになります。

200万円÷5人=40万円

この計算結果から、当該採用活動では1人を採用するのに40万円の費用を要したことがわかります。

また、採用単価のうち求人広告単価の算出に用いられるのは、以下の式です。

求人広告単価=求人広告費総額÷採用人数

外注先の広告やメディアの成否を判断する際に活用できるでしょう。

【新卒・中途別】採用コストの平均相場

採用コストの平均相場は新卒・中途で異なります。どちらを採用するかによって採用活動の期間や内容が大きく異なるためです。

新卒採用コストの平均

リクルートが運営する「就職みらい研究所」が公表した「就職白書2020」によると、新卒一人当たりの平均採用コストは以下の通りです。

  • 2019年:93.6万円
  • 2018年:71.5万円

上記期間において採用コストが増加している要因について、同社は「採用に携わる人数が増えている」ことを理由に挙げていることから、内部コストが増加していることがうかがえます。

一方で、求職者の情報収集手段とそれにともなう採用手法が多様化していることもあり、広告やPRにかける外部コストも増加していると考えられます。

[出典:就職みらい研究所「就職白書2020」]

新卒採用の目的とは?メリット・デメリットやフロー、中途採用との違いを解説

中途採用コストの平均

同じく、「就職白書2020」の調査結果によると、中途採用一人当たりの平均採用コストは以下の通りです。

  • 2019年:103.3万円
  • 2018年:83万円

新卒採用よりもコストが高くなっている理由として、即戦力を求めつつも、求める人材を見つける難易度が高いことが挙げられます。

よりレアな人材、スペックの高い人材を求めるほど採用難易度が高まり、採用活動が長期化する傾向があるのです。期間が延びれば広告費がかさみ、採用した人材の年収が高いほど人材紹介に支払う成果報酬も高くなります。

中途採用とは?新卒採用との違いやメリット・デメリット、採用活動を円滑にするコツ

採用コストの推移について

一人当たりの採用コストは、新卒・中途いずれも増加傾向にあり、今後も引き続き増加する可能性が高いと考えられます。

歯止めのかからない少子高齢化に加えて、コロナ禍の終息にともなう有効求人倍率の増加などにより、採用競争の激化が予想されるためです。

一方で、「就職白書2022」によると、コロナ禍で採用活動のオンライン化が急速に普及したことで、「採用活動費用の削減につながった」と回答した企業が66.4%に上っています。このことからも、「採用コスト」とひとくちに言っても、細かく見ていくと増加しているコスト、削減できているコストに分かれていることがわかります。

[出典:就職みらい研究所「就職白書2022」]

採用コストが増加傾向にある背景

採用のオンライン化によって削減できるコストはありますが、求職者・企業側双方の移動費や宿泊費、会場費などの物理的なコストに限られます。

加えて、対面と比べるとコミュニケーションが取りにくく、相互理解が希薄になるという新たな課題もあり、すべてをオンライン化せずに対面と併用するなどの工夫がなされているのが現状です。

また、多様化する求職者の情報収集手段、連絡手段に対応するため、企業側もSNSをはじめとする採用ツールを拡張するのにともない、それらの運営や維持にかかるコストが増加傾向にあります。

自社の限られたリソースをより効果的に分配し、バランスよく採用活動を進めていくことが求められるでしょう。

採用コストを削減するポイント

採用コストを削減するための具体的なポイントを4つ紹介します。

外部コストを抑えられるリクルーティングの実施

外部コストにおいて大きな割合を占めるのは、紹介料や仲介料、求人媒体への掲載料などにかかる費用です。以下のような採用手法を取り入れることで、これらの外部コストを削減できる可能性があります。

ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングとは、企業が保有する求職者のデータベースの中から、自社が求める人材を抽出して直接アプローチする採用方法です。

従来の採用手法は、求人広告を掲載したり、人材紹介会社に求める人物像を伝えたりして、相手からの応募を待つやり方が主流でした。従来の採用手法を「待ちの採用」とするならば、ダイレクトリクルーティングは「攻めの採用」と考えるとわかりやすいでしょう。

特に、求める人材の経験・スキルなどが明確で、即戦力を求める中途採用と相性が良く、外部コストを削減しつつ自社のペースで効率よく採用活動を進められる点がメリットです。

ダイレクトリクルーティングサービス18選を徹底比較!料金や種類・選び方を解説

リファラル採用

リファラル採用とは、既存の従業員や取引先などから人材を紹介してもらう採用手法です。

求人広告や人材紹介とは異なり、外部に支払うコストが一切発生しません。加えて、紹介者が既存の従業員だった場合は、同じ職場で働ける安心感などから、採用した人材の定着も見込めます。

社内におけるリファラル採用では、紹介者にインセンティブを支給するのが一般的ですが、従来の採用手法に比べて大幅に外部コストを削減できるでしょう。

リファラル採用ツール5選を比較!メリットや選び方・主な機能を紹介

自社発信のリクルーティング活動を強化する

自社発信のリクルーティング活動を強化するのも有効です。ここでは、代表的な2つの手法を解説します。

自社採用サイトの充実

自社採用サイトを充実させることは、外部コストの削減につながります。企業からの情報発信手段として機能すれば、求人広告に代わる広報手段になり得るため、媒体採用や人材紹介よりも各段にコストを抑えられるのです。

自社採用サイトは求人広告と異なり、文字数・ページ数・画像枚数などの制限がありません。そのため、自社が伝えたいことを余すことなく伝えられる点や、募集職種が増えてもコストが増加しないことなどがメリットです。

一方で、自社の採用サイトを充実させるためには、リニューアルや新規作成の費用、それらを運営する維持費や担当者の人件費が必要になります。また、閲覧者が増加するまでには時間と労力がかかるため、中長期的かつ計画的に取り組むことが大切です。

ソーシャルリクルーティングへの注力

採用ターゲットにもよりますが、ソーシャルリクルーティングに注力するのも良い方法です。例えば以下のようなものが挙げられます。

  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • Facebookページ

SNSでの発信をきっかけに候補者とつながっていく手法のため、広告費や紹介料のような外部コストは一切発生しないうえ、ツールの利用も基本的に無料です。

特にターゲットが若年層である場合に有効で、運用次第である程度関係構築ができるため、確度の高い応募につなげられる可能性があります。

採用基準とは?決め方や人材を見極める上でのポイント・3つの要素を解説

カジュアル面談を導入してミスマッチを減らす

相互理解を深められるカジュアル面談を導入して、採用ミスマッチを減らす方法も有効です。

採用ミスマッチは早期退職につながりやすく、欠員補充のために再度採用活動をするという流れは、結果的に外部コストの増加を招きます。採用ミスマッチを減らし定着率を向上させることも、間接的な外部コストの削減につながるのです。

カジュアル面談に限らず、求職者や内定者の不安や疑問を解消しつつ、良い関係を築ける施策を行うことで、採用コストの削減が期待できます。

採用業務を効率化し内部コストを改善する

採用業務を効率化することで、内部コストを削減できる可能性があります。内部コストの大半は、採用活動に関わる従業員の人件費だからです。

採用フローや作業内容を削減できれば、その業務を行う時間や人員も減らせるため、結果的に採用コストを削減できます。

例えば、面接回数を減らし、オンライン面接を導入することで、面接官の人数や対応時間などの人件費の削減に加えて、遠隔地への交通費や宿泊費を削減できる場合もあるでしょう。

内部コストは数値化しづらい特徴がありますが、マニュアル化や選考基準の統一化など一定の基準を設けることで、削減すべき業務や項目も見えてくるはずです。

採用マーケティングとは?進め方やメリット・フレームワーク、事例を解説

採用コスト削減が期待できるサービス

採用ツールを活用することでも採用コストの削減が見込めます。ここでは特におすすめのサービスを3つ紹介します。

採用係長

採用係長は、複数の採用サイトの作成から応募者集客までを一元管理できる採用サポートツールです。

Indeedをはじめとする6つの求人サイトに対応しており、ボタン1つで一括連携できるのが特徴です。複数の求人サイトとそれぞれの応募者を一括管理できるため、採用業務の効率化が期待できます。

月額無料のトライアル版が提供されているため、気になる場合は実際に使って使用感を確かめてみると良いでしょう。

提供元株式会社ネットオン
初期費用要問い合わせ
料金プラン
  • トライアル:0円
  • ライト:21,780円(税込)/月
  • ベーシック:28,380円(税込)/月
  • プロ:43,780円(税込)/月
  • エンタープライズ:65,780円(税込)/月

※いずれも1年契約・一括払いの場合

【オプション】

  • 求人広告運用代行サービス:50,000円〜/月
  • コンサルタント運用代行:25万円〜/月
導入実績58,000事業所以上
機能・特徴
  • 会社PR文自動作成
  • 求人票管理システム
  • 求人ページ分析機能
  • 求人検索エンジン連携
  • 応募者管理システム
  • 最低賃金チェック機能
  • 自動返信機能
  • 面接サポート機能 など
URL公式サイト

\資料請求は完全無料!/

採用係長の資料請求はこちら>>

PRaiO

PRaiOは、三菱総合研究所が運営し、人材ビジネス大手のマイナビがサポートを務める、新卒採用に特化したAI分析ツールです。同ツールを導入することで、以下のようなことが可能になります。

  • 膨大な採用関連データを整理し、採用担当者が活用できる状態にする
  • エリア・職種・経路等のさまざまな選考推移を出力し、施策有効性を可視化する
  • 学生の意思決定要素を判別する

採用活動は数値化しづらい要素が多く、施策の改善も手探りになりがちです。しかし、PRaiOは施策の効果を可視化できるため、明確な理由をもとに採用活動を最適化できるでしょう。

提供元株式会社マイナビ、株式会社三菱総合研究所
初期費用22万円(税込)/最長12カ月
料金プラン要問い合わせ
機能・特徴
  • 新卒採用に特化したAI
  • 予測分析機能
  • 最適な選考基準やフローの改善に役立つ情報の出力 など
URL公式サイト

Wantedly

Wantedlyは、従来の求人サイトとは異なる特徴を持った人材マッチングサービスで、自社の価値観や考え方を発信し、知名度や採用予算に左右されない共感型の採用を目指しています。

同社によると、ユーザー数は350万人、スカウト返信率は平均20%、1社当たりの月間応募数は約25件と謳っています。成功報酬型ではないため、運用次第で採用コストを抑えられるでしょう。

提供元ウォンテッドリー株式会社
初期費用要問い合わせ
料金プラン要問い合わせ
導入実績350万人
機能・特徴
  • 掲載し放題
  • 公開本数の制限なし
  • スカウト機能
  • 検索機能
  • 自由度の高いフォーマット
  • 成果報酬なし
URL公式サイト

費用対効果の高い採用コスト配分を実行しよう

採用コストは、企業が採用活動にかける費用の総称であり、社内で発生する内部コストと外部に支払う外部コストに分類されます。

社内のリソースや予算をより効率的に配分するためには、それぞれのコストの明確化や費用対効果を把握することが大切です。予算に合わせて採用ツールなども賢く活用しつつ、採用コストの最適化を図りましょう。

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ビズクロ編集部
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