物流業界におけるRPA活用のポイント!事例や物流業界の課題・効率化に向けたポイント

最終更新日時:2023/09/06

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物流業界でのRPA

事務作業の効率化に役立つRPA。金融業界の導入を皮切りに普及がすすんでいますが、物流業界においても注目が集まり、導入企業が増加しています。本記事では、物流業界においてRPA活用がおすすめな理由とは何か、物流業界での活用方法や活用事例をあわせて解説します。

物流業界が抱える課題とは?

物流業界は、近年の経済成長とデジタル変革の波に乗りながらも、多くの課題を抱えています。特に、需要の増加や人手不足といった問題が顕著になってきており、これらの課題の解決策が求められています。

需要の増加によって業務量が増えている

近年、Eコマースの普及や消費者の購買行動の変化に伴い、物流の需要が急増しています。この結果、物流センターや運送業者の業務量が増加し、効率的な業務遂行が求められるようになってきました。特にピーク時の取り扱い量の増加は、物流業界の大きな課題となっています。

注文を促すため、送料無料を売りにしているプラットフォームも少なくありません。送料の低価格化はネット通販のニーズを高め、物流業にも大きな影響をもたらしているのです。激務に対して賃金が安いという問題にもつながっています。従業員への業務負担を減らし、多くの需要に効率的に対応できる策が必要です。

慢性的に人手が不足している

物流業界の問題として、慢性的な人手不足が挙げられます。長時間労働や肉体労働が多いため、若者の就業意欲が低下しているのが現状です。少子高齢化の影響も受けており、年配ドライバーの退職が相次ぐ一方、若手が集まっていません。

この人手不足は、業務の遅延やミスの増加を引き起こす可能性があり、業界全体の品質向上や効率化に影響を及ぼしています。雇用を促進するための対策として、業務効率化による労働環境の改善が挙げられるでしょう。

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物流業界にRPAを導入することで効率化できる業務

物流業界におけるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入は、多くの業務プロセスの効率化や自動化に寄与しています。以下は、RPAで効率化できる業務の一例です。

  • 受発注業務
  • 配車業務
  • 伝票作成
  • 各種書類作成
  • 在庫状況の管理

データ入力や在庫管理、注文処理、請求書の作成などの繁雑な業務は、RPAの適用範囲として最適です。RPAの導入により、これらの業務が自動化されることで、人的ミスの削減や業務スピードの向上が期待できます。

また、人手が不足している物流業界でRPAを活用すると、有限な人材をより付加価値の高い業務に集中させることが可能となります。これにより、生産性やサービス品質の向上が実現できるでしょう。

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物流業界におけるRPAの活用事例

物流業界において、RPAの導入と活用は進行中です。多くの企業が業務効率化やコスト削減を目指して、RPA技術を取り入れています。以下に、物流業界におけるRPAの具体的な活用事例をいくつか紹介します。

日本通運株式会社

日本通運株式会社は、単純作業や定型業務にRPAを活用しています。機器の操作や制御が可能なマスタロボットを数多く配置し、業務効率化を図りました。2018年4月の導入から約1年後、年間で6万時間を超える削減効果を達成しています。

スポット発注や支払業務の自動化、メールの添付ファイルの保存・印刷の自動化なども実施済みです。経理分野で実施した納品書清算業務の自動化は、年間で約2万時間を削減する優れた成果を上げました。RPAの導入により、従業員がより高付加価値な業務に注力できると期待を寄せています。

SBS即配サポート株式会社

SBS即配サポート株式会社は、RPAを導入して配送スケジュールの最適化などを行っています。出荷状況や再配達状況の一覧作成にRPAを活用することで、素早く的確な情報確認が可能となりました。

なかでも出荷依頼メールの自動仕分けは大きな効果を発揮し、年間3,000時間の削減に成功しています。RPA導入前は1日300通ものメールを手作業で仕分けしており、24時間365日誰かが対応しなければならない状況でした。自動化で負担が大幅に軽減され、複数の分岐処理も含めてRPAに任せることが可能となっています。

株式会社ニチレイロジグループ

株式会社ニチレイロジグループも、RPAを活用している企業の一つです。既存の自動化ツールにおける業務の属人化を懸念し、ノウハウを水平展開しやすいRPAの導入に踏み切りました。

RPAを取り入れたことで業務削減を叶えたほか、ナレッジの可視化も実感したといいます。社内では自動化に対し否定的な考えもあったため、浸透させるべく社内改革を推進しました。改革が順調に進んだことでRPA業務も広まり、年間1万時間の削減ができたという試算結果も出ています。

ヤマトシステム開発

労働時間の削減や効率化のためにRPAを導入したのが、ヤマトシステム開発です。ヤマト運輸傘下のICTビジネス企業で、グループのRPA化を担っています。

請求書に関するデータ転記作業や月次分析資料の作成など、手間のかかる作業を自動化しました。3時間を要していた転記作業は20分に、資料作成時間は2日から約2時間まで短縮するなど、大きな成果を上げています。

自社で成果が出たものをグループ企業にも反映することで、業務効率化をスムーズに進めていきました。自動化で得たノウハウを活かし、自社によるRPA導入支援サービスもスタートさせている企業です。

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RPAを導入・運用する際の注意点

RPAの導入・運用は、業務効率化やコスト削減などのメリットをもたらしますが、実施に当たってはいくつかの注意が必要です。物流業務でRPAを活用する際の、成功のためのポイントを以下に詳述します。

自動化する業務を決める

RPAを導入する際、自動化する業務の選定が重要です。RPAと相性の良い業務としては、繁雑なタスクやルーチンワークなどがあげられます。

また、定期的に行う定型業務、単純作業の繰り返しなどもRPA化に向いています。物流業界でいえば、納品書や送り状などの書類業務が一例です。業務次第ではRPA以外のツールが適任であるほか、人の目が必要な場合もあるので注意しましょう。

導入はスモールスタートで行う

RPAを導入する際には、限られた業務や部署などで始めるスモールスタートが効果的です。初めての導入には、さまざまな課題や不確実性が伴います。小規模からのスタートは、これらのリスクを低減させるための策として推奨されます。

物流企業における小さなプロジェクトや部門での導入を通じて、RPAの効果や適用範囲を確認しましょう。これにより、大きな失敗を避けつつ、RPAのメリットを具体的に体感することが可能です。

また、初期の段階で得られるフィードバックや経験は、後の拡大や導入計画の精緻化に役立ちます。組織内の受け入れもスムーズに進められ、RPAの文化を根付かせるための土壌作りにも役立つでしょう。

RPAに向いている業務・向いていない業務|選別方法や理由を解説!

シンプルな操作性のツールを選ぶ

RPAのツールによっては複雑な作業や使い勝手が悪いものもあるため、一定以上の知識やスキルがないと使いこなせないツールもあります。

そのため、RPAにあまり馴染みがない場合には、直感的に操作ができシンプルな設計のRPAツールを選ぶのがおすすめです。

なお、バックオフィスだけでなく、運送の現場にいる社員が使いやすいと感じるかも大切です。ミスマッチが生まれないt前にも無料トライアルで操作感を確かめるなど、本格導入の前に体験できる製品が理想的です。

【2023年最新】おすすめのRPAツール比較20選|機能や失敗しない選び方

サポート体制が整っているツールを選ぶ

RPAツールの導入・運用には、初期の設定やトラブルシューティングなど、サポートが必要となる場面が考えられます。そのため、ベンダーがしっかりとしたサポート体制を持っているツールを選ぶことで、安心してRPAの導入・運用が可能です。

サポート体制に不備があると、運送業務に支障をきたす恐れがあります。RPAの作業がストップしたり、停滞したりすることで配送の遅延を招いてしまうでしょう。サポートの内容はもちろん、支援が受けられる時間帯や曜日についても把握しておく必要があります。

RPA導入で業務効率改善!単純作業を自動化するポイントと事例の紹介

RPAを導入し物流の生産性を向上しよう

RPAは物流業界の課題を解決し、成長や発展に大きく貢献します。どのような業務にも使えるわけではないため、適用領域の見極めが肝心です。すでにRPAを導入している物流企業の事例を参考に、効果的な活用方法を検討しましょう。RPA化を適切に進め、物流の生産性を高めてください。

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