物流業界におけるRPA活用のポイント!事例や物流業界の課題・効率化に向けたポイント

2023/09/05 2024/05/23

RPA

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物流業界でのRPA

事務作業の効率化に役立つRPA。金融業界の導入を皮切りに普及が進んでいますが、物流業界においても注目が集まり、導入企業が増加しています。本記事では、物流業界においてRPA活用がおすすめな理由とは何か、物流業界での活用方法や活用事例をあわせて紹介します。

RPAとは?

RPA(Robotic Process Automation)とは、人が行う定型的な作業を自動化できるツールです。RPAの導入によって、バックオフィス業務を自動化できるため、業務の大幅な効率化につながります。

例えば、物流業界であれば在庫管理や倉庫管理、帳票作成などの業務を自動化することが可能です。これらの業務は人が行うと時間がかかるうえに人員も必要となるため、RPAを導入することで人手不足の解消や業務量の負担軽減が期待できます。

RPAとは?意味や導入する手順・メリットをわかりやすく解説!

物流業界が抱える課題

物流業界は、近年の経済成長とデジタル変革の波に乗りながらも、多くの課題を抱えています。特に、人手不足や業務量の増大といった問題が顕著になってきており、これらの課題の解決策が求められています。

ここからは、物流業界が抱える2つの課題を詳しく解説します。

人手不足の深刻化

物流業界の問題として、慢性的な人手不足があげられます。長時間労働や肉体労働が多いため、若者の就業意欲が低下しているのが現状です。少子高齢化の影響も受けており、ドライバーの高齢化も深刻化しています。

しかし、過酷な労働環境による年配ドライバーの退職も相次ぐ一方で、若手が集まっていません。人手不足の問題は、業務の遅延やミスの増加を引き起こす可能性があり、業界全体の品質向上や効率化に影響を及ぼしています。

人材不足・人手不足の原因とは?解決策や解消した事例を紹介!

ECサイトの普及に伴う業務量の増大

近年、ECサイトの普及や消費者の購買行動の変化に伴い、物流の需要が急増しています。

この結果、物流センターや運送業者、バックオフィスの業務量が増加し、効率的な業務遂行が求められるようになってきました。特にピーク時の取り扱い量の増加は、物流業界の大きな課題となっています。

注文を促すため、送料無料を売りにしているECサイトも少なくありません。送料の低価格化はネット通販のニーズを高め、物流業にも大きな影響をもたらしているのです。また、激務に対して賃金が安いという問題にもつながっています。従業員の業務負担を減らし、多くの需要に効率的に対応できる策が必要です。

物流でRPAを導入するメリット

物流業界でRPAを導入することで、人手不足の解消や人件費の削減などさまざまなメリットが得られます。ここからは、物流でRPAを導入するメリットを5つ紹介します。

人手不足を解消できる

RPAの導入によって、倉庫管理や帳票作成などの人がパソコンで行っていた業務を自動化できます。

自動化によって業務を大幅に効率化できるため、少ない人員でも業務がこなせるようになり人手不足の問題を解消することが可能です。また、バックオフィス業務を自動化できると配達に人員を割くこともでき、生産性を高められるようになります。

人件費を削減できる

RPAの導入によって、バックオフィス業務を自動化することで、従業員の作業量を削減できます。作業量の削減で人員に余裕ができるため、稼働する従業員を減らしたり採用コストを削ったりすることができ、人件費の削減にもつながります。

物流業界は採用難による人手不足も問題になっており、採用コストや人件費を削減できる点は大きなメリットといえるでしょう。

人的ミスを削減できる

物流業界におけるバックオフィス業務では、在庫管理や注文処理などを人が行うのが一般的ですが、どれだけ業務に慣れた人でも人的ミスを起こしてしまう可能性があります。

バックオフィス業務のミスは配送ミスにつながる恐れがあり、一度ミスが発生すると対処や修正に人員や時間が割かれてしまいます。

しかし、RPAで業務を自動化することで人的ミスを削減でき、滞りなく業務を進行することが可能です。自動化で業務品質も一定になるため、人的ミスを防ぐためのチェック体制も緩和でき、負担軽減にもつながるでしょう。

ペーパーレス化を促進できる

物流業界では紙ベースの業務が多く、管理が複雑になっていることが業務量の増大にもつながっています。そこで、RPAと文字認識ツールのOCRツールを導入することで、紙の書類を電子化してペーパーレス化を促進できます。

例えば、FAXで届いた出荷依頼書を手作業でシステムに転記していた場合、出荷依頼書をスキャンしてOCRツールでテキストデータに変換し、RPAがシステムへ転記することで自動化を実現可能です。

最近のOCRツールはAIが搭載されており、手書きの文字も高精度でテキストデータ化できます。

顧客満足度の向上につながる

物流業界では、迅速で丁寧な配送が求められています。しかし、バックオフィス業務に手間取ってしまうと配送にも遅れが生じ、顧客の満足度は低下してしまうでしょう。

そこでRPAを導入して、配送情報の処理や手続きを自動化することで、迅速かつ正確にサービスを提供できるようになり、顧客満足度の向上につながります。また、配送サービスを充実できるようになるため、競合他社に対する自社の競争力も高められるでしょう。

RPAできることとは?具体例やできないこと・適した業務を解説!

物流業界においてRPAで自動化できる業務

物流業界においてRPAで自動化できる業務は、在庫管理や倉庫管理など多岐にわたります。ここからは、RPAで自動化できる4つの業務について紹介します。

在庫管理

物流業界では、正確な在庫管理が求められます。適切に管理できなければ、余剰在庫を抱えたり経年劣化によって在庫の価値が目減りしたりする恐れがあるからです。

しかし、近年では商品の多様化や需要の急激な変動などによって、手作業で在庫管理を最適化することが難しくなっています。そこでRPAを導入することで、リアルタイムで在庫を自動管理し、在庫数の減少に応じて適宜自動発注することも可能です。自動化によって、誤発注などのミスも防止できます。

在庫管理とは?基本のやり方や管理方法・手順、効率化する方法

倉庫管理

物流業界では、業務量の増大に伴い夜間や休日を問わず24時間365日、倉庫管理を行う必要があります。滞りなく配送を行うために欠かせない業務ですが、夜間や休日に出勤しなければならない従業員もいるため、負担は大きいといえます。

RPAを倉庫管理に活用することで、人に代わって24時間365日休まず稼働でき、従業員の負担を大幅に軽減することが可能です。

例えば、夜間のデータ処理をRPAで自動化すると、深夜業務に従事する従業員がいなくても自動的に処理を終えられるようになります。

帳票作成

物流業界では、送り状や納品書、ピッキングリストや入荷伝票などさまざまな帳票や伝票を作成する必要があります。作成自体は定型的な作業が多いため簡単といえますが、作成量が多いため従業員の負担になり、時間もかかってしまいます。

RPAはデータの転記を得意としており、ミスなく帳票作成を行うことが可能です。例えば、RPAとOCRツールを連携させ、必要なデータを自動抽出して所定のフォーマットに転記できます。膨大な量も自動でこなせるため、大幅な業務効率化につながります。

問い合わせ対応

RPAは、問い合わせ対応の自動化も実現可能です。例えば、メールによる出荷連絡の送信や問い合わせに自動で対応できます。

対応の遅れや顧客に不満が残る対応は、クレームに発展する恐れがあるため注意が必要ですが、RPAは迅速かつ丁寧に対応可能で、顧客満足度の向上につながります。

また電話対応においても、通話ログをテキストデータ化して転記するといった対応が可能です。問い合わせ対応の自動化により、窓口を担当する従業員の業務負担を軽減できます。

物流業界におけるRPAの活用事例

物流業界において、RPAの導入と活用は進行中です。多くの企業が業務効率化やコスト削減を目指して、RPA技術を取り入れています。ここからは、物流業界におけるRPAの具体的な活用事例をいくつか紹介します。

日本通運株式会社

日本通運株式会社は、業界大手の総合物流事業者です。

同社では、生産性の向上と新しい働き方の実現をすべく、RPAの導入を行いました。2018年3月より導入の取り組みを開始し、2021年度末までに労働時間を年間100万時間削減を目標に推進しました。

RPA導入の結果、同社では定型業務にかかる作業時間を年間72万8721時間削減することに成功しています。

今度も取り組みを続けるとともに、ペーパレス化推進のために「AI-OCR×RPAパッケージ」の導入など新しい技術を取り入れ、事務処理のさらなる効率化と自動化を目指しています。

[出典:NIPPON EXPRESSホールディングス「日通、RPA導入の推進で労働時間を72万時間削減」]

SBS即配サポート株式会社

SBS即配サポート株式会社は、即日配達事業や産業廃棄物処理業などを手がける企業です。

同社では、業務の標準化や膨大な問い合わせへの対応などに追われていました。特に問い合わせ対応においては、BtoB配送からBtoC配送を開始したことにより、入電の数も爆発的に増えて回線がパンクする事態も発生する状況でした。

そこでRPAを導入し、毎日300通のメール処理を自動化して、年間3,000時間相当の工数削減に成功しています。RPA導入前は1日300通ものメールを手作業で仕分けしており、24時間365日誰かが対応しなければならない状況でした。自動化で負担が大幅に軽減され、複数の分岐処理も含めてRPAに任せることが可能となっています。

また、RPAで配送スケジュールの最適化なども行っています。出荷状況や再配達状況の一覧作成にRPAを活用することで、素早く的確な情報確認が可能となりました。

[出典:芙蓉アウトソーシング&コンサルティング株式会社「50種類にもおよぶ配送依頼メールをRPAによって自動仕分け、年間3,000時間の労働時間削減を実現。」]

株式会社ニチレイロジグループ

株式会社ニチレイロジグループは、輸配送事業や補完事業などを手がける企業です。同社では、業務革新施策の一環としてRPAの導入を検討し、事務作業の一部を自動化しました。

全国の事業所の従業員がRPAのシナリオ作成を行い、各事業所で一体となって業務改革を進めています。また、RPA推進のための研修も同社オリジナルで開発を行い、業務をより良くして働き方を変えるためにシナリオ作成者の育成を加速しています。

結果的に、同社では年間18万時間の業務をRPA化することに成功しました。物流センターに勤務する従業員の、年間総労働時間の約6%を自動化したことになります。

[出典:株式会社ニチレイロジグループ「年間18万時間の業務のRPA化を達成しました。」]

ヤマトグローバルエキスプレス株式会社

ヤマトグローバルエキスプレス株式会社は、航空輸送やトラック輸送に特化した物流企業です。

同社では、輸送品質のモニタリングを手作業で行い、人為的なミスの発生で品質が一定ではないことを課題として抱えていました。また、労働時間が増加しており、従業員の負担が大きいという問題もありました。

そこでRPAの導入を決定し、結果的に32業務をRPA化して月間113.9時間分の労働時間の削減に成功しています。自社でRPAのシナリオ作成ができるようにスキル習得を図り、RPAの内製化も実現しました。

[出典:ヤマトグローバルエキスプレス株式会社「RPAの推進によって、更なる業務の効率化を実現!」]

RPAの活用事例一覧!業界・職種別の業務効率化事例を理解しよう

RPAを導入・運用する際のポイント

RPAを導入・運用を成功させるには、いくつかのポイントがあります。ここからは、導入・運用のポイントを4つ紹介します。

自動化する業務を明確化する

RPAを導入する際は、自動化する業務を明確化することが重要です。RPAと相性の良い業務としては、繁雑なタスクやルーチンワークなどがあげられます。また、定期的に行う定型業務、単純作業の繰り返しなどもRPA化に向いています。

物流業界でいえば、納品書や送り状などの書類業務が一例です。自動化したい業務を明確にし、RPAに落とし込みやすいように手順を洗い出しておきましょう。

しかし、業務によっては自動化に向いておらず、シナリオ作成に大幅な時間がかかったり誤作動を起こしたりする可能性もあるため注意が必要です。

誰もが使いやすいツールを選ぶ

ツールによっては複雑な作業や使い勝手が悪いものもあり、一定以上の知識やスキルがないと使いこなせないツールもあります。そのため、RPAにあまり馴染みがない場合には、直感的に操作ができてシンプルな設計のRPAツールを選びましょう。

なお、バックオフィスだけではなく、運送の現場にいる従業員も使いやすいと感じるかも大切です。まずは無料トライアルを利用するなど、本格導入の前に操作感を確認しておくことが理想的です。

【2024年最新】おすすめのRPAツール比較20選|機能や失敗しない選び方

サポート体制が整っているツールを選ぶ

RPAツールの導入・運用には、初期設定の方法や運用時のトラブルなど、サポートが必要となる場面があります。サポート体制が整っているツールを選ぶことで、安心してRPAの導入・運用が可能です。

サポート体制に不備があると、運送業務に支障をきたす恐れがあります。RPAの動作がストップしたり、停滞したりすることで配送の遅延やトラブルを招いてしまうでしょう。サポートの内容はもちろん、支援が受けられる時間帯や曜日についても把握しておく必要があります。

導入はスモールスタートで行う

RPAの導入は、まずは限られた業務や部署などで始めるスモールスタートが効果的です。

初めての導入にはさまざまな課題や不確実性が伴うため、小規模からのスタートは、これらのリスクを低減させるための策として推奨されます。

物流企業における小さな業務や部門での導入を通じて、RPAの効果や適用範囲を確認しましょう。これにより、大きな失敗を避けつつ、RPAのメリットや効果的な運用方法を具体的に把握することが可能です。

また、初期の段階で得られるフィードバックや経験は、後の拡大や導入計画の精緻化に役立ちます。組織内での受け入れもスムーズに進められ、RPAの文化を根付かせるための土壌作りにも役立つでしょう。

完全無料で使えるRPAツールフリーソフト4選|無料トライアルで使えるツールも紹介

RPAを導入し物流の生産性を向上しよう

RPAは物流業界の課題を解決し、成長や発展に大きく貢献します。

しかし、どのような業務にも使えるわけではないため、適用領域の見極めが肝心です。すでにRPAを導入している物流企業の事例を参考に、効果的な活用方法を検討しましょう。本記事を参考にRPA化を適切に進めて、物流の生産性を高めてください。

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