RPAを活用している大学|導入するメリットと取り入れている大学の活用事例

最終更新日時:2023/09/06

RPA

RPA

RPAを導入している大学

企業を中心に普及が進むRPA。多くの学生・教職員を有する大学においても、膨大な量の情報を処理する手段としてRPAが導入され、実際に効果を得ている大学も増加しています。本記事では、RPAを大学に導入するメリット・デメリットとは何か、大学の導入事例等とあわせて解説します。

RPAとは?

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、ソフトウェアのロボットによる業務自動化テクノロジーです。ルールエンジンやAIの機能を利用し、企業でおこなう定型業務を自動化します。また、RPAのロボットをデジタルレイバーと呼ぶこともあります。

RPAでは、日常で使用するOfiice365やWebブラウザーでの操作など、さまざまな業務を自動化できる点が大きな特徴です。たとえば、Outlookで届いた情報をGoogleスプレッドシートに毎日転記するなどのように、決まった業務であれば自動化できます。

システム開発のように大規模な設備投資をすることなく、多数の業務を自動化できるのも魅力です。

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RPAを大学に導入するメリット

RPAを大学に導入するメリットは、次のとおりです。

  • 業務効率の向上が見込める
  • 労働時間を削減できる

大学での仕事に定型業務が多かったり、労働時間を削減したりしたい場合は、RPAの導入がおすすめです。それぞれのメリットについて、詳しくみていきましょう。

業務効率の向上が見込める

RPAにより、大学職員が日常的におこなう業務の自動化が可能です。ロボットによる正確で素早い処理によって業務効率の向上が期待でき、さらには人的ミスが減り、修正にかかっていた作業も短縮できるでしょう。

また、RPAは24時間365日の稼働が可能です。夜間に大量の処理をおこなえるため、人手を割かずに業務を完了できます。定型業務にかかる時間と人的リソースを削減し、本来注力すべきコア業務にリソースを割くことができるのです。

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労働時間を削減できる

RPAで日常の定型業務を自動化すると、定型業務に取り組む時間が削減されます。大学職員の労働時間が減り、過剰労働の予防にも効果的です。

労働時間の削減は、ワークライフバランスの向上や働き方改革の推進に寄与します。とくに繫忙期は定型業務に追われやすく、残業時間が多くなる傾向がありますが、RPAを導入することにより繫忙期の業務を自動化できるため大幅な時短を実現できます。労働環境の改善につながり、より良い職場づくりに役立つでしょう。

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RPAを大学に導入するデメリット

RPAを大学に導入するデメリットは、次のとおりです。

  • RPAの導入を推進できる人材が必要
  • 導入後必ずしも効果を得られるとは限らない

デメリットを理解しておかなければ、期待した効果を得られない恐れがあります。考えられるデメリットについて、それぞれ詳しくみていきましょう。

RPAの導入を推進できる人材が必要

RPAを導入するためには、RPAに関する専門知識を保有し、導入を推進できる人材が必要です。製品によってはプログラミングの知識が要求され、なかでも精度の高い作業を任せる場合は必須となります。

RPAの経験者が職場にいない場合、知識やスキルの習得に時間を要します。どのようなツールを導入すべきかがわからないため、検討から実際の運用までに多くの手間がかかるでしょう。

RPAの専門知識を保有した人材を採用するほか、学習時間の確保やツール選びのための情報収集などが欠かせません。

導入後必ずしも効果を得られるとは限らない

業務の効率化に役立つRPAですが、導入後に必ずしも効果を得られるわけではありません。業務の内容や頻度によっては、思うような費用対効果を発揮しない恐れもあるのです。

RPAは定型業務を自動化するのに役立ちますが、業務フローが複雑な作業は自動化が困難になります。たとえば、法的な問題など人間の判断を必要とする作業の自動化は難しいでしょう。利用頻度もポイントとなり、ルーチン業務があまりにも少ない場合はRPAの有効度も低いと考えられます。

RPAは日常の定型業務を自動化し、業務効率化を図るものです。大学内のすべての業務が自動化できるわけではなく、状況によっては効果が薄いことにも注意しましょう。

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RPAを導入している大学の導入事例

RPAの導入を検討している大学は、実際の事例を見てから決めたいと感じることも多いでしょう。RPAを導入している大学の導入事例について、6つ紹介します。自身の大学でおこなう業務と比較し、RPAに置き換えられるか参考にしてみてください。

岡山大学

岡山大学では、プリントポイントを付与する業務をRPAで自動化しています。ポイントは学内に複数ある教育用プリンタでの印刷に必要で、業務はポイントの購入情報に基づき処理していました。

以下は、導入前に実施されていたプリント付与の業務フローです。

  1. 生協窓口で学生がプリントポイントを購入
  2. 情報統括センターが販売情報に基づいてポイントを付与
  3. プリントシステムから学生へメールで付与状況を通知

ポイント付与業務をRPAで自動化するために、業務フローの見直しからスタートしました。整理したフローをもとに、データベースやルーチン、エラー処理を設計します。設計完了後は実際のツール開発に取り掛かり、試行錯誤を繰り返した末に運用開始に至りました。

RPA化した業務工数は、年間で約16日分となっています。定型業務を継続することや人的リソースを考慮すると、業務改善への重要な一歩といえるでしょう。

参照元:岡山大学 情報統括センター「RPAによるプリントポイント付与業務の自動化

新潟大学

新潟大学では、ほかの大学や民間でのRPA導入事例を見聞きし、本学でも使えるのではないかという考えからRPA導入を検討しました。

運用を始めた労務福利課では、紙を使用した業務が多い現状を抱えていたのです。申請された書類を確認しながらシステムへ転記する定型業務に、多くの時間と労力を要していました。

紙ベースのものをRPA化することは困難なため、まずは書類の提出をExcelに置き換えました。提出書類の電子データ化により、RPAでの読み取りとシステムへの転記が可能になったのです。

労務福利課でのRPA化を皮切りに、ほかの部署でもRPAで自動化できる業務がないかを考えるようになっています。RPAを正しく理解するため、専任担当者の配置や啓発活動にも取り組んでいるのです。

参照元:株式会社エデュース「WinActor®導入事例紹介

琉球大学

RPAツールを使用し、「RPA等を活用した業務改善プロジェクト」で実証実験をおこなったのが、琉球大学です。

実験では、以下の3つの業務の自動化に成功しています。

  • 支払い承認書の印刷
  • 学生証の再発行回数データの更新
  • 採用申請書の内容を人事給与システムに転記

実験の結果、定量的効果として年間264時間の労働時間の削減が見込まれました。また定性的効果として、「業務の標準化」「正確性の向上」「業務内容の高度化」も期待されています。

同時に判明したのが、RPAを導入するための課題です。紙ベースをデジタルベースへ置き換えることや、現行システムとの相性を確認する必要性を課題として挙げています。

参照元:琉球大学「琉球大学におけるRPA導入に向けた取組みについて

早稲田大学

早稲田大学がおこなったのは、AIによる勘定科目類推機能の組み込みです。支払業務の自動化を推進するため、RPAを使って機能を組み込みました。

2018年4月に支払業務の自動化を実施した経緯があり、年間約64.7%の業務削減を実現しています。AIを組み込んだRPAの運用によって、さらに数千時間の効率化が見込まれているのです。

参照元:早稲田大学「RPA+AIによる作業自動化で支払業務における大幅な生産性向上を実現

明治大学

働き方改革の対応をきっかけに導入を検討したのが、明治大学です。オムニバス授業で発生する謝金の支払い業務を対象として、RPA化を始めました。

RPA化を図ったのは、Excelデータを財務会計システムに伝票起票する作業です。繰り返しおこなう単調な業務であり、時間もかかっていたことから自動化に踏み切っています。

100件の伝票処理に約500分かかっていましたが、RPA化によって約45分で処理することに成功しました。ボタンを押すだけで良く、処理中はほかの業務に集中できるなど有効的に時間を使えるようになっています。

参照元:株式会社エデュース「WinActor®実証実験事例紹介

立命館大学

立命館大学では、以下の2つの課題を抱えていました。

  • 職員を経営に有効なコア業務に集中させたい
  • 手作業せざるを得ない定型業務が大量発生する

課題の要因は、単調な定型業務でした。週1回の業務につき「画面を確認してクリック」という作業を約3,000回繰り返していたため、年間で25万件をこなしていたことになるのです。また、毎週1回・4時間かかるERP上のデータ調整作業もネックになっていました。

RPAの導入で大量の作業を自動化し、定型業務にかかる心理的な負担の軽減効果を得られたといいます。単純作業を機械に委ねることで、コア業務へ取り組む環境のさらなる改善を目指している大学です。

参照元:先端教育オンライン「立命館大学 財務経理の業務をRPAで自動化、全学的なDXの足掛かりに

RPAを導入し教育・研究に専念できる環境づくりをしよう

大学では、教育や研究などのコア業務に加えて、繰り返し作業が必要な定型業務が多数発生します。

RPAでは、日常的に発生する定型業務を自動化し、業務時間や負担の削減が可能です。教育や研究に専念するための時間を捻出でき、労働環境の整備にも役立ちます。

大学としての本懐を全うするためにも、RPAの導入を検討してください。RPAは職員の負担を軽減するだけでなく、教育・研究レベルの底上げにも寄与するでしょう。

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