RPAの画像認識とは?精度は高い?仕組みやメリット・デメリット
業務の自動化による生産性向上が期待されるRPA。導入の際には基本的な仕組みや認識方法等の理解が必要となり、頭を悩ませている人も多いのではないでしょうか。本記事では、RPAの画像認識とは何か?画像認識の仕組みやメリット・デメリットについて詳しく解説します。
目次
RPAの画像認識とは?
RPA(Robotic Process Automation)は、自動化されたプロセスを実行するための技術のことです。画像認識はその中でも重要な機能の一つであり、コンピューターが画像を解釈し、意味を理解する技術を指します。
RPAにおける画像認識の目的は、認識した画像に基づいて、自動化されたプロセスを実行することです。画像認識にはいくつかの方法があり、RPAで一般的に使用される方法は「オブジェクト認識」「座標認識」の2つになります。
「オブジェクト認識」は画像内にある特定のオブジェクト識別で、画像認識において一般的に使用される方法です。一方で「座標認識」は、画像内の特定の座標を認識し、起点からどのくらい動いたか、いつクリックされたのかを、記録または操作する方法を指します。
これらの認識方法について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
オブジェクト認識
RPAにおけるオブジェクト認識は、プログラムが画像内にある特定のオブジェクトを自動的に検出し、認識する方法です。
認識対象となるオブジェクトのテンプレート画像を用意し、その画像と画像内の類似部分を検出することで、オブジェクト認識ができます。高い精度での認識が可能なため、自動化を効率よくおこなってくれる重要な役割を担っているのです。
ただし、認識対象のオブジェクトが複数あったり、背景が複雑だったりするときには、認識の精度が低下してしまう懸念があるため、適切な認識方法の選択が必要です。
座標認識
座標認識は、画像内にあるオブジェクトの位置を認識する方法です。この認識方法では、画像の中で、オブジェクトが存在する座標を特定することができます。
オブジェクト認識よりも単純な認識方法であり、認識対象が固定された場合には、高い精度で認識が可能です。
座標認識の利用例としては、ウェブサイト上の特定のボタンやメニューの位置を認識して、クリック操作を自動化することが挙げられます。また、スクリーンに表示された数字や文字の位置を認識して、情報を取得する場合にも有効です。
ただし、座標認識は認識対象が位置や形状が変化する場合、認識が困難になる可能性があります。そのため、認識対象によっては、他の認識方法を選択しなければなりません。
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RPAの画像認識の仕組み
RPAの画像認識は、画像の特徴を記憶して同じ特徴を持つ画像を検出する技術です。画像の色や形、文字などの特徴を抽出し、RPAがそれらの情報を記憶させることで、照合したい対象物と一致しているかを判別できます。
具体的には、OCR(Optical Character Recognition)や画像認識技術を利用して、画像内に含まれる文字やオブジェクトを認識し、その情報をRPAが記憶します。その後、同じ文字やオブジェクトが含まれた画像を入力として受け取った場合、記憶された情報と照合して、一致するか判断しています。
この仕組みは、イメージマッチング技術と呼ばれており、人工知能や機械学習の発展によって、現在では高度な画像認識技術が実現可能です。このように、RPAによる画像認識は、商品のバーコードやQRコードの読み取りなど、さまざまな用途で活用されています。
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RPAの画像認識のメリット
RPAの画像認識のメリットは、5つあります。
- 操作が簡単にできる
- アプリケーションに幅広く対応している/li>
- コストを抑えて利用できる
- 精度が高い
- フリーソフトにも多数採用
各メリットについて、詳しく見ていきましょう。
操作が簡単にできる
操作が簡単な点は、RPAの画像認識のメリットの一つです。これは、ITスキルの有無に関わらず、RPAを使用した画像認識が簡単に操作できることを意味します。
従来の画像認識技術では、高度なプログラミングスキルが必要であったり、複雑な設定をおこなう必要があったりするため、専門的な知識やスキルが必要でした。しかし、RPAを使用した画像認識では、そもそもRPAの操作が簡単であるため、ITスキルを持たない人でも簡単に操作できます。
具体的には、RPAツールを使用して画像の撮影や認識対象のオブジェクトの選択をおこない、認識結果を出力するだけで画像認識が可能です。そのため、専門的な知識やスキルを持っていない人でも、手軽に画像認識を利用することができます。
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アプリケーションに幅広く対応している
RPAの画像認識のメリットの一つは「アプリケーションを選ばない」ことです。
RPAを使用した画像認識では、アプリケーションを選ばずに認識対象の画像取得が可能です。よって、RPAの画像認識を活用すれば、さまざまなアプリケーションに対して画像認識ができるため、自動化できる業務の幅が広くなります。
複数のアプリケーションをまたいで業務がおこなわれている場合でも、画像認識を用いて自動化が可能です。また、従来は手作業でされていた業務でも、業務内容によっては、RPAを使用した画像認識で自動化が実現できる可能性があるでしょう。
コストを抑えて利用できる
RPAの画像認識は、比較的安価であることがメリットの一つとして挙げられます。一般的に、画像認識をおこなうためのソフトウェアやツールは高価であり、また、それらを使用するためには高度な知識や技術が必要となることが多いです。
しかし、RPAの画像認識は、RPAツールに画像認識機能が含まれているため、高価なソフトウェアやツールを別途購入する必要がありません。また、RPAツールを利用するための専門的な知識や技術も不要です。このことから、比較的低コストで画像認識を実現できるというメリットがあります。
RPAの画像認識の低コスト化は、中小企業や個人事業主など、予算が限られているビジネスにとっては大きなメリットとなるでしょう。
これまで高価なソフトウェアやツールを導入することができなかった企業などでも、RPAツールを使用すれば、効率的な業務自動化が可能です。またRPAの画像認識は、作業の効率化や精度向上など多くのメリットがあります。そのため、導入コストを上回るリターンが期待できるでしょう。
精度が高い
RPAの画像認識におけるメリットに、精度の高さがあります。RPAの画像認識は、機械学習やディープラーニングといった技術を駆使して画像内の特徴やパターンを識別し、高精度で認識できます。
たとえば、複数の似たような製品を含む商品画像から正確に特定の商品を認識したり、OCR技術を利用して画像内の文字を正確に認識したりすることも可能です。
高精度な画像認識は、人の目で見分けることが難しい微妙な差異を正確に判断可能できるため、製品の品質検査や不良品の判別といった繊細な業務プロセスの自動化に大きなメリットがあるといえます。
このことから、業務の品質向上や人的ミスの削減、業務時間の短縮など、あらゆる効果に期待できるでしょう。
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フリーソフトにも多数採用
RPAの画像認識技術は、多くのフリーソフトウェアにも採用されているため、導入コストが抑えられ、中小企業でも手軽に導入可能です。また、フリーソフトウェアといっても高い精度の認識が可能なものが多くあり、導入に成功すれば、低コストで業務効率の向上が実現され、利益向上も期待できるしょう。
一方、フリーソフトウェアを使用する場合、導入や設定などに関する技術的なスキルが必要となる場合もあるでしょう。しかし、市場には多数のRPAソリューションが存在しており、その中にはフリーソフトウェアとして提供されているものもあります。
このようなソリューションを利用すれば、技術的なスキルが不足している企業でも導入可能です。結果的にフリーソフトウェアへの画像認識技術の採用は、RPA導入のハードルを下げることに貢献しています。
RPAの画像認識のデメリット
RPAの画像認識のデメリットは、4つあります。
- 対象物が変更・変化すると機能しない
- はっきり表示されていないと機能しない
- 再設定に手間がかかる
- プログラミングが必要な場合がある
各デメリットについて、詳しく見ていきましょう。
対象物が変更・変化すると機能しない
RPAの画像認識は、対象物を認識するために事前に学習した画像と照合しておこなわれます。そのため、対象物が変更・変化すると認識精度が低下したり、機能しなくなったりする場合があるでしょう。
たとえば、位置ずれや形が若干変わった程度であれば問題ないですが、拡大縮小率や解像度が変わると認識ができなくなる可能性があります。
このような問題を解決するためには、事前に学習した画像と照合するだけでなく、画像処理技術を駆使して対象物の変化にも対応できるようにしなければなりません。
たとえば、画像の拡大縮小や回転などの変換をおこない、事前に学習した画像との照合を可能にするといった方法があります。こういった機械学習を利用して、対象物の変化に対応することも可能です。しかし手動での対策は、認識精度の低下や処理時間の増加などの課題感が否めません。
そのため、RPAを導入する際には、対象物の変化に対応するための適切な対策を検討し、認識精度や処理時間のバランスを考慮したうえで、最適な手法を選択する必要があります。
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はっきり表示されていないと機能しない
物体の一部が隠れていたり、背景が複雑だったり、あるいは物体が不鮮明であったりする場合には、認識がうまくいかない可能性があります。たとえば、商品の写真を認識するときに、商品が半分隠れていたり、周りにたくさんの商品があったりすると、RPAは正しく認識することができません。
また、画像の解像度が低い場合や、画像がブレている場合も同様に認識がうまくいかない可能性があるため、RPAでの画像認識をする際には対象物がはっきり表示されていることが必要です。
このように、RPAの画像認識は、画像の品質や表示方法によって認識率が大きく変化することがあるため、注意が必要です。
再設定に手間がかかる
RPAの画像認識には再設定が必要というデメリットがあります。
画像認識は、あらかじめ対象物の画像を学習し、それにマッチする画像を探索することで認識をおこないます。しかし、対象物の変更や画像が変化した場合、再度学習しなければならないため、手間がかかってしまうことがあります。
たとえば、あるシステムのアップデートによって、アイコンの色が変わった場合、以前学習した画像とのマッチングに失敗することがあります。その場合、再度画像を学習しなければならず、手間や時間がかかります。
また、学習した画像が多数ある場合、設定済みの画像をすべて設定し直す必要があります。このように再設定の作業が必要となることが想定されるなど、業務内容によっては自動化に向いていないものがあることも認識しておきましょう。
プログラミングが必要な場合がある
RPAの画像認識が持つデメリットとして、プログラミングが必要な場合があることが挙げられます。
RPAの画像認識は、画像内の色や形、文字を認識して自動化するための重要な技術です。しかし、似ている対象物が複数存在し、正確に判別できないことがあります。そのような場合は、エンジニアがプログラムに書き込まなければなりません。
たとえば、画像内に複数の類似したアイテムがある場合、正確にどのアイテムを選択するかを判断するために、プログラミングが必要です。このときエンジニアは、RPAソフトウェアが正確に対象物を認識できるように、画像内の特定の色・形・文字などを指定してプログラムを作成します。
そのため、エンジニアの不在など、社内に対応できる社員がいなければ、画像認識の設定に時間を要することもあり、状況によっては外注が必要です。このことから、場合によっては、RPA導入に際してコストがかかる可能性があることもきちんと想定しておきましょう。
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RPAの認識方法を選ぶ際のポイント
RPAを導入する際に重要なポイントは2つあります。
- 使用する人のITスキルを考慮する
- 自動化する業務の内容にあわせる
RPA導入時には、担当者のITスキルを考慮しましょう。ITスキルの高い人材が多い企業では、より高度な認識方法を導入可能ですが、RPAはITスキルがなくても使えるようにも設計されています。しかし、認識方法によってはプログラミング知識が必要になる場合も想定されるため、しっかりと検討することが大切です。
また、RPAを導入する業務の内容に合わせて、認識方法を選ぶことも重要です。RPAの認識方法は、自動化する業務の内容にあわせて選択しましょう。
たとえば、画像認識は複雑な認識処理が必要なため、対象物が単純なものであればRPAは適しているといえるでしょう。しかし、複雑な形状や色彩の変化に対応する必要がある場合は、文字認識やOCRなどの別の認識方法を選択しなければなりません。このように、自動化する業務に適した認識方法を選ぶことで、より高い効率化が期待できます。
RPAを導入するときは、2つのポイントをしっかりと押さえて認識方法を選択しましょう。
業務にあった認識方法を選択し自動化を促進させよう
RPAの画像認識は、特定の画像を検出・認識し、自動化プロセスを実行する技術です。この技術は、業務プロセスの自動化を促進する上で有効であり、さまざまな分野で利用されています。
RPAの画像認識には「比較的安価」「精度が高い」など、多くのメリットがある一方で、「再設定に手間がかかる」「プログラミングが必要な場合がある」といったデメリットも忘れてはいけません。そのため、RPAの認識方法を選ぶ際には、使用する人のITスキルや自動化する業務の内容に合わせた適切な方法を選ぶ必要があります。
検討を重ねて自社に合った方法を選択すれば、業務プロセスの自動化をスムーズに促進できるでしょう。
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