サービス資料
ランキング

お役立ち資料
ランキング

セミナー
ランキング

PickUP
キーワード

SaaSリリースまでの4フェーズと開発・組織体制のポイントについて

2023/07/12 2023/07/13

SaaS

Saasの開発体制

国内でも盛り上がりを見せているSaaS市場。しかし、SaaSがどのようにリリースされているのかご存知の方はあまり多くはありません。本記事では、SaaSのリリース過程を4つのフェーズに分けて解説します。開発・組織体制の特徴やポイントなども併せてご覧ください。

SaaSとは?

SaaSは「Software as a Service」の略であり、インターネット上で使えるソフトウェアを指します。インターネット環境が整っていれば場所や時間を選ばず、スマートフォンやタブレットからも利用可能です。クラウド型なので共有も簡単にでき、複数人が同じデータを使って作業するのにも向いているでしょう。

自社でシステム管理を行うオンプレミス型よりも費用を抑えられ、導入の手間が少ないこともメリットです。コストパフォーマンスや利便性の高さから、多くの個人や企業が利用しています。

SaaSの保守・運用はサービス提供者が行うため、ITに詳しくなくても利用できるのが特徴です。SaaS製品は、CRMやMAツール、ビジネスチャットやプロジェクト・タスク管理、会計ソフトなど多岐にわたります。

SaaSはビジネスのオペレーションを容易にし、費用対効果を高めるために重要なテクノロジーです。今後もユーザーニーズに合わせたサービスが増え続け、SaaS市場はさらに成長するでしょう。

SaaSとは?基礎知識やPaaS・IaaSとの違いをわかりやすく解説!

SaaS企業の一般的な組織図

SaaS企業は、適切な顧客サービスのために必要な部署で組織されます。一般的な部署は、以下の4つです。

  • マーケティング
  • インサイドセールス
  • フィールドセールス
  • カスタマーサクセス

それぞれの項目について具体的に解説します。

マーケティング

SaaS企業のマーケティング部署においては、商品の販売・開発のための活動が行われています。新規顧客獲得や顧客のニーズに合った商品・サービスの企画などが業務内容です。具体的には、以下のような業務があります。

  • 販促施策の企画・実行
  • Webサイトの改善やコンテンツの制作・提供
  • SNSやメールマーケティングなどのキャンペーンの企画・実施
  • 競合分析などの市場調査
  • ブランディング戦略の策定や実行

SaaS製品の特徴や機能性に合ったマーケティングを行うために、プロダクトマーケティング担当者と連携することもあります。情報分析や販売戦略に関わる、重要な部署といえるでしょう。

SaaS企業におけるマーケティング戦略とは?よくある課題と解決策

インサイドセールス

インサイドセールスは、顧客に商品やサービスを提案する営業手法の一つです。担当者は主にオフィス内で働き、電話やメール、チャットなどを使用して見込み顧客との関係を築きます。業務内容の一部は以下のとおりです。

  • 商品やサービスの細かい説明や価格交渉
  • 商品・サービスを購入するまでのフォローアップ
  • 顧客ニーズのヒアリング
  • 新商品・サービスの情報提供

インサイドセールスの業務範囲は企業によって異なります。マーケティングやフィールドセールス業務の一部を同時に担当することもあれば、完全に切り離して担うこともあるのです。

SaaSビジネスに不可欠なインサイドセールスとは?必要性や特徴を解説

フィールドセールス

営業担当者が直接顧客の元へ出向いて、交渉や契約締結を行う業務をフィールドセールスと呼びます。以下のように、販売やリサーチなどの目的を含んだ業務です。

  • 商品やサービスの説明・提案
  • 顧客とのコミュニケーション
  • 契約の締結
  • 顧客情報・市場情報の収集

インサイドセールスと同じく、商品やサービスの特徴・利点を顧客に伝える大事な部署です。ニーズに合わせた提案を行ったり、契約につなげるため積極的にコミュニケーションを図ったりする点も似ているでしょう。大きな違いは対面で営業をするところであり、抜かりなくこなすには対応力が求められます。

カスタマーサクセス

カスタマーサクセスは、顧客との関係性を構築・維持するための業務を行います。以下は、主なカスタマーサクセス業務です。

  • 商品・サービスの使い方や設定方法のアドバイス
  • 商品・サービスに関する要望や不満のフィードバック
  • サービスの利用頻度アップ
  • アップセルの促進
  • 顧客からの問い合わせ対応

顧客価値を最大化し、商品やサービスを利用し続けてもらうのが主な目標となります。事業の業績アップにつながる業務のため、自社の体制にあった構築が必要です。

SaaSビジネスの鍵となるカスタマーサクセスとは?重要性について解説

SaaSをリリースするまでの4つのフェーズ

SaaSをリリースするまでには、以下4つのフェーズがあります。ユーザーニーズと合致し、売れるSaaSの開発を行う上でどのフェーズも欠かせません。

  1. 各種調査・プロトタイプ
  2. 要件定義・開発
  3. Go To Market戦略
  4. リリース

それぞれのフェーズで行う内容を具体的に解説します。

1. 各種調査・プロトタイプ

まずはユーザーの需要を把握するための事前調査を行います。アンケートやユーザーインタビュー、デスクリサーチなどで入念に調査してください。調査結果を見ながら利益につながるかの検証を繰り返し、さらにニーズを深掘りしましょう。

リサーチの成果をもとに、ユーザー課題に対するプロダクトを検討していきます。課題解決のビジョンを見据えたら、プロトタイプを作成していきましょう。作成後はユーザーテストで問題点を洗い出し、修正を繰り返しながら精度の向上を図ってください。プロトタイプに対するユーザーからの評価や調査結果を総括し、開発段階に進むかどうかを決定します。

2. 要件定義・開発

開発が決定したら、プロトタイプをプロダクトに昇華する作業へ移ります。まずは調査内容をもとに、ユーザーストーリーマッピングを作成しましょう。ユーザーストーリーマッピングとは、プロダクトとユーザーの関係性を視覚的に明確化したものです。

開発対象となる製品は、ユーザーが十分に価値を感じられるものでなくてはなりません。価値の最大化には網羅性を担保した要件定義が重要なため、マッピングにより顧客の行動・目的を把握する必要があります。

事前検討を進めてきたメンバーや、デザイン・開発を行うメンバーと協議しながらユーザーストーリーマッピングを作成しましょう。作成をとおし、チームの共通認識を作り上げていくことが大切です。同時に非機能要件であるインフラの構築やQA(品質保証)の運用確立などに取り組み、リリースに向けた実装を進めます。

3. Go To Market戦略

開発と並行して、GoToMarket戦略を策定しましょう。プロダクトの価格をいくらにするか、どれだけの数量を販売するか、販売方法はどうするかを決定します。具体的なタスクは「プライシング」「事業計画」「販売戦略」の3つです。マーケティング担当者と協議しながら進めていきましょう。

GoToMarket戦略が甘いとSaaS製品がユーザーに認知されなかったり、手に取ってもらえなかったりします。顧客へスムーズにプロダクトを届けられるよう、じっくりと戦略を練る必要があるでしょう。

4. リリース

リリースに向けて、必要な作業に着手していきます。リリース判定基準の検討や、ベータ版公開目的の整理などです。リリース前の準備を入念に行わないと、今までの取り組みが無に帰する可能性も0ではありません。最後まで気を抜かずに取り組み、万全の体制で封切りを迎えてください。

なお、リリースは「ベータ版」「正式版」の2段階に分けるのが一般的です。ベータ版の必要がないと判断した場合は、最初から正式版を販売しても問題ありません。リリース後には1〜4のフェーズを振り返り、製品の改善やレベルアップに役立てていきましょう。

バーティカルSaaS・ホリゾンタルSaaSとは?各特徴やサービス事例を解説

SaaSの開発・組織体制の特徴

SaaSの組織体制は、「事業型」と「ファンクション型」の2つがあります。

事業型

事業型は、製品ごとに組織が分かれている形態です。たとえば、CRMソリューションを提供するビジネスユニットと、人事労務サービスを提供するビジネスユニットが別々に組織されます。

特定の製品やサービスに特化し、提供するための機能を集約することで開発・販売・マーケティングを効率的に進められるのが特徴です。事業の責任者がSaaSの企画・検討に対する責任を負うほか、異なる機能のメンバーのピープルマネジメントも担います。

ファンクション型

ファンクション型は、機能ごとに組織が分かれている形態です。開発・プロダクトマネジメント・マーケティングといった部署があり、それぞれの部署に責任者が置かれます。機能を中心とした組織形態は、製品・サービス開発や顧客対応を迅速に行える点がメリットでしょう。

近年は、ファンクション型を採用するスタートアップ企業が多い傾向にあります。SaaSを立ち上げるには、専門性の高い機能を扱える人同士の連携が必要なためです。事業型の場合、事業責任者は各ファンクションへの知見が必須となります。

SaaSの立ち上げに必要な知見をすべて併せ持つのは難しく、責任者としての役割を果たすことは容易ではありません。ファンクション型に比べて事業型の採用率が低いのは、責任者の確保が壁になっているためでしょう。

SaaSの開発に適した開発・組織体制のポイント

2種類の組織体制があるSaaS開発ですが、いずれも開発を良好に進めるための要点があります。SaaSの開発に適した開発・組織体制をつくるには、次のポイントを意識しましょう。

  • KPIを設定した計画の実行
  • それぞれの部署ごとでの連携

上記2点について、具体的に解説します。

KPIを設定した計画の実行

SaaSの開発体制は、市場や技術の変化に応じたものが求められます。顧客ニーズの変化に合わせたサービス改善、スケジュール変更が必要な場面があるでしょう。変化が大きい環境では、KPIを設定して計画的に開発を進めることが大切です。KPIを設定すると業績評価における指針ができ、目標に沿って計画を立てられます。急な方針変更があっても、目標を見失いにくくなるでしょう。

ただし、KPIを設定するだけでは十分とはいえません。プロジェクトマネージャーやエンジニアなどのチームメンバーと目標を共有し、協力して取り組む必要があります。正確な数値や進捗状況を共有しながら、計画を進めていくのがポイントです。

SaaSビジネスにおける重要指標となる主要KPIとは?計算式も解説

それぞれの部署ごとでの連携

SaaS開発体制の適正化には、部署ごとに連携を取ることも大切です。部署同士の連携がスムーズであれば、情報共有が迅速かつ的確に行えます。同じ目標に向けて開発を行うという、共通認識の強化にもつながるでしょう。

異なる部署だからといって、コミュニケーションが希薄にならないよう注意してください。なかでも機能別に開発体制を敷いている場合、部署間のやり取りが滞りがちです。フィールドセールスで得た情報がカスタマーサクセスに伝わっていない、誤った認識で伝達しているなどが例でしょう。ファンクションを超えて部署の連携ができれば、トラブル防止や顧客満足度の向上効果も期待できます。

SaaSの指標KPI「LTV」とは?重要性や計算方法・CACとの関係を解説

SaaSの開発・組織体制の参考事例

Sansan株式会社は、SaaSの開発体制を3回変更しています。開発当時は業務領域別にチーム分けをしていました。人数が増えたことで目標達成や状況共有が滞ったため、組織編成を実施しKPIごとのチームに変えたのです。KPIによるチームは共通認識作りにおいて好相性だったものの、個人へのKPI設定が難しいという新たな課題を生むことになります。

KPI編成の問題を受けて編み出されたのが、バッグログをもとにプロジェクトを立ち上げ、都度チームを編成する方式です。バックログという統一基準ができたことで、データの共有が素早くなり開発期間の短縮に成功しました。一方で、顧客調査の不備や企画軽視など、見過ごせない課題も浮き彫りになります。

3度目の開発体制の変更で「マルチプロダクト組織」を採用し、営業部門と連携を取りやすい形にしました。営業部門との連携が密になったことで、KPIの達成状況や開発状況のスムーズな共有が実現します。連携強化の末、製品開発が成功しやすくなる結果に辿りつきました。

同社の事例では、最適なSaaS開発体制を構築するために検証とフィードバックを何度も行ったことがわかります。画一的な方法ではなく、自社の状況に合わせた柔軟な対応が必要だと見て取れるでしょう。

【最新】国内外のSaaS市場規模・トレンドを徹底解説!成長する要因とは?

SaaSビジネスを立ち上げる際は適切な開発・組織体制が不可欠

SaaSビジネスの立ち上げには、適切な開発・組織体制が不可欠です。各部署での役割を明確にして取り組んでいきましょう。他部署との連携を図らないと業務がスムーズに進まなかったり、トラブルが起きたりします。機能別に部署を構える場合でも、連携がおろそかにならないよう注意してください。

社内や市場の変化によっても適切な開発・組織体制は異なります。問題が起きたらその都度、開発・組織体制の変更を検討するのも重要です。自社に合ったSaaS開発・組織体制を築くためにも、妥協せずに適切なプロセスを踏むよう努めましょう。

SaaSの記事をもっと読む

SaaSの記事一覧

ビズクロ編集部
「ビズクロ」は、経営改善を実現する総合支援メディアです。ユーザーの皆さまにとって有意義なビジネスの情報やコンテンツの発信を継続的におこなっていきます。

おすすめ関連記事

【中小企業向け】採用管理システムを比較|選び方やメリットを解説

最終更新日時:2024/10/10

採用管理システム

最終更新日時:2024/10/10

採用管理システム

【無料プラン・トライアルあり】おすすめのメール共有システム|注意点や選び方

最終更新日時:2024/10/10

メール共有システム

最終更新日時:2024/10/10

メール共有システム

優秀な人材の特徴・見分け方|採用に失敗しないポイントや定着させる秘訣

最終更新日時:2024/10/09

採用管理システム

最終更新日時:2024/10/09

採用管理システム

DMP・DSP・SSPの違いとは?仕組みや特徴・関係性を簡単に解説

最終更新日時:2024/10/09

DMP

最終更新日時:2024/10/09

DMP

士業向けの電話代行サービスを比較|選び方や導入するメリットを解説

最終更新日時:2024/10/09

電話代行・コールセンター委託

最終更新日時:2024/10/09

電話代行・コールセンター委託

インフルエンサーの意味とは?起用するメリットや注意点・SNS別の特徴

最終更新日時:2024/10/08

インフルエンサーマーケティング

最終更新日時:2024/10/08

インフルエンサーマーケティング

固定資産税は年末調整の控除対象?軽減されるケースや申請方法・書き方について

最終更新日時:2024/10/08

年末調整ソフト

最終更新日時:2024/10/08

年末調整ソフト

採用におけるアトラクトとは?実践する上でのポイントや成功させる秘訣

最終更新日時:2024/10/07

採用管理システム

最終更新日時:2024/10/07

採用管理システム

採用クロージングのやり方とは?重要性や内定承諾率を高めるポイント

最終更新日時:2024/10/07

採用管理システム

最終更新日時:2024/10/07

採用管理システム

【銀行・金融業界向け】おすすめのSFA4選比較|導入メリットや選び方を解説

最終更新日時:2024/10/07

SFA(営業支援システム)

最終更新日時:2024/10/07

SFA(営業支援システム)