【最新】国内外のSaaS市場規模・トレンドを徹底解説!成長する要因とは?
近年急拡大しているSaaS市場。今後も国内外問わず拡大していくと予想されていますが、果たしてSaaSの市場規模とは一体どれほどのものなのでしょうか。本記事では、そんなSaaS市場について、最新トレンドや成長する要因などを詳しく解説していきます。
目次
Saasとは?
SaaSとは、「Software as a Service」の略で、「サーズ」や「サース」と呼ばれています。SaaSは、ベンダーがクラウドサーバー上で提供しているソフトウェアをユーザーがインターネットを経由して利用できるというサービスです。「クラウドサービス」と呼ばれることもあります。
従来のソフトウェアは、購入したCD-ROMからパソコンにインストールすることで、利用可能になっていました。しかし、SaaSはパソコンへのインストールが不要で、インターネット環境さえあれば利用できます。
そのため、SaaSはハードウェアでソフトウェアを購入して利用するというより、インターネット上でソフトウェアを利用できるサービスという捉え方ができるでしょう。SaaSの例としては、GoogleスプレッドシートやGoogleドキュメントなどが挙げられます。
▷【2023年最新】ビジネスに役立つおすすめSaaSサービス12選!
▷【2023年最新】SaaS管理ツールおすすめ8選!比較ポイントも解説
SaaS業界の市場規模
拡大されつつあるSaaS業界ですが、その市場規模はどのようになってているのでしょうか。国内と海外それぞれにおけるSaaS業界の市場規模についてみていきましょう。
国内の市場規模
総務省の令和3年通信利用動向調査レポートによると、SaaSを利用する企業は増加傾向にあり、約7割の企業がSaaSを利用しているとのことです。また、SaaSを利用している企業の約9割は、SaaS導入によって「効果があった」とも回答しています。
なお、国内で導入が進んでいる代表的なSaaSとしては、ビジネスチャットツール・ワークフロー管理・マーケティングオートメーションなどが挙げられます。
[出典:総務省「令和3年通信利用動向調査の結果」]
海外の市場規模
Googleをはじめ、AmazonやUberなどの世界的大企業が、次々とサブスクリプションビジネスへ転換し始めており、SaaS業界への新規参入が増えてきました。また、SaaS業界には多くのスタートアップ企業が参入していることからしても、市場規模が拡大しているのが分かります。
なお、数字で表すと、世界的なSaaSの市場規模は、現在1,400億ドルを超えており、このまま市場が成長し続けるとすると、2022年から2030年までは年間で約19%ずつ成長すると予想されています。このように、海外の市場動向を見ても分かる通り、SaaS業界は国内だけでなく世界的に市場規模を拡大しているといえるでしょう。
▷【最新】SaaS業界・ビジネスを学ぶおすすめ書籍15冊を厳選して紹介
SaaS業界の最新トレンド11選
SaaS業界における最新トレンド11選を順に紹介します。
1.サブスクリプションモデル
サブスクリプションモデルとは、利用期間や利用量に応じて料金が発生するサービスモデルのことで、目的や課題別にさまざまな種類のサービスが提供されています。例えば、サブスクリプション型のビジネスチャットツールは、月間もしくは年間で利用料金を支払うことで利用可能となっています。
したがって、サブスクリプションモデルは、購入するよりも導入費用が低コストでハードルが低いながらも、効果を感じやすいとして、幅広い企業で導入が進んでいます。
2.マイクロSaaS
マイクロSaaSとは、ソフトウェアや拡張機能など1つのサービスに特化した小規模なSaaSのことです。例えば、勤怠管理に特化したサービスは、このマイクロSaaSに分類されます。
1つの課題や目的に合わせた機能だけ搭載されていることから、多くの機能を使い分ける必要もなく、運用や管理が簡単であるのが特徴です。また、一般的なSaaSでは補えないニッチな課題に対応するサービスは、マイクロSaaSとして提供されていることが多いようです。
▷SaaSのメリット・デメリットを徹底解説!IaaS・PaaSとの違いや比較も
3.コミュニケーション用SaaS
コミュニケーション用SaaSとは、社内外問わず、ビジネスシーンでのコミュニケーションを活発にするためのSaaSのことです。ビジネスチャットツールやWeb会議システムなどが例として挙げられます。
特に、ここ数年はコロナの影響でテレワークが急激に普及したため、テレワークに対応すべく、コミュニケーション用SaaSを導入する企業が急増しました。
また、働き方改革をきっかけにテレワークがニューノーマルな働き方として注目されています。そのため、社内外でのコミュニケーションを円滑にするべく、コミュニケーション用SaaSが欠かせない存在となっているのです。
4.AIの活用
AIを活用したSaaSは増加傾向にあり、AIによって一定の業務プロセスを自動化したり、データに基づいた精度の高い分析が可能になるなどAIの活用はSaaSの質を高めています。
例えば、タレントマネジメントシステムにAIを活用した場合、社員の経歴・保有スキル・過去の成果をAIが分析し、最適な人材配置を提案してくれます。
このように、これまで手動で検討し決定されていた業務も、AIによる提案を参考にすることで決定までの時間を短縮できるようになり、業務の自動化だけでなくコスト削減なども実現できるようになるでしょう。
▷ARRとは?SaaSビジネスにおいて重要な理由や正しい計算方法を解説
5.モバイル対応
これまではパソコンでしか利用できなかったようなサービスでも、スマホやタブレットでの利用が可能になるなど、モバイル対応が進んでいます。
一人一台スマホを持っているような現代では、ビジネスシーンにおいてもスマホの活用が進むと予測できるため、SaaSにおいてもモバイル対応に重要性が高まっているのです。
6.ホワイトラベル
ホワイトラベルとは、他の企業が開発・生産した製品を、自社ブランドとして販売することです。
例えば、セブン–イレブンが販売している「セブンプレミアム」は、他社が生産した製品をセブン&アイグループの自社ブランドとして販売しています。
このホワイトラベルはSaaS業界にも存在しており、他社で開発されたサービスをホワイトラベルとして販売するために、自社仕様へとカスタマイズしてもらい、自社製品として販売を行うという仕組みになっています。
そのため、ホワイトラベルを活用することは、自社での企画・開発やソフトウェアのメンテナンスを行う必要がなくなるため、低コストかつ効率的であるといえるでしょう。
7.API運用
APIとは、既存システムと新規ソフトウェアの連携を可能とすることです。APIを活用することで、既存システムを根本から変更せず、ソフトウェアの追加だけを行えるのが特徴です。新たなクラウドサービスが次々と登場している今、APIを活用する企業が増えているのです。
ただ、導入するSaaSが増えるほどAPIの運用・管理は複雑化します。そのため、API運用や管理を効率化するためのSaaSが増加しています。
▷SaaSのAPI連携は有効活用すべき?連携するメリットや事例を解説
8.高度なセキュリティ対策
クラウドサービスの利用や情報のデジタル化が進んでいる反面、インターネット上における情報漏洩・データの盗難や改ざんなどのリスクが高まっています。SaaSもインターネットを経由してサービスを提供しているため、常にこういったリスクにさらされているのです。
そのため、高度なセキュリティ対策が施してあるSaaSの必要性が高まっています。購入型のサービスに比べてセキュリティにおける安全性を意識して導入を検討することから、こういったリスクに強いSaaSの開発・提供が進んでいるのでしょう。
▷SaaS利用におけるセキュリティの課題と対策法とは?リスクについて解説
9.機械学習
機械学習とは、大量のデータを分析することで一定のパターンや分類が可能なAI技術の一部です。
例えば、ある顧客の購入履歴を機械学習によって分析すると、「次の購入はいつになるのか」「何曜日のどの時間帯で購入するのか」「いくらくらい購入するのか」などの情報を予測できるでしょう。そのため、より効果的なマーケティング戦略の立案やよいタイミングでの広告配信が可能となります。
このように、大量のデータをもとにあらゆる予測が可能となる機械学習は、より効率的なマーケティングにつながるとして、SaaSでも今後活用が進むでしょう。
10.Vertical SaaS
Vertical SaaSとは、ある業界や業種に特化したSaaSのことです。Vertical SaaSは、小売業・建設業・物流業・ヘルスケア業などに特化したものが多く存在しています。その業界・業種に特化した機能だけでなく、+α部分の機能が豊富である点も特徴です。
例えば、小売業では実店舗向けに提供されているPOSレジサービスは、顧客管理・在庫管理・売上分析などの機能を搭載しています。
また、特定の業種や業界で利用されることを前提としたSaaSは、市場規模が小さいものの、市場を独占でき、市場間競争に巻き込まれにくいとして、注目が高まっています。
▷バーティカルSaaS・ホリゾンタルSaaSとは?各特徴やサービス事例を解説
11.PaaS
PaaSとは、各サービスを提供する事業者が持つプラットフォームそのものをサービス化し、ユーザーに提供する新たなサービス形態です。SaaS業界の市場規模が拡大したことから、各SaaS事業者は次のフェーズへと進んでいます。
SaaSはすでに構築されたソフトウェアやアプリケーションを利用できるサービスである反面、PaaSはそうしたソフトウェアやアプリケーション自体の開発に必要な機能を提供するというものです。
SaaS事業者はすでにサービスの開発基盤を保有していることから、SaaS業界からPaaS業界への参入は比較的ハードルが低いといえます。
▷SaaS導入の際の選び方やポイントは?注意すべき点も解説!
SaaS業界が成長する要因
SaaS業界が成長している理由としてさまざまな要因が考えられます。そこで、考えられる8つの成長要因を紹介します。
スマホやアプリの普及
現代では、一人一台スマホを持っていると言っても過言ではないほど、スマホが普及しています。SNSや検索エンジンも、パソコンよりスマホを通じて利用することが多くなっています。また、スマホではさまざまなアプリが提供されており、Webアプリもそのなかのひとつです。
そして、SaaSはこういった時代の変化に合わせ、スマホ対応や専用アプリの提供などを行っているため、市場規模拡大の後押しをしていると考えられます。
リモートワークの普及
コロナの影響で外出自粛が求められ、リモートワークを導入する企業が急増しました。ただ、リモートワークには、出社しなければできない業務やコミュニケーション不足などの課題が挙げられます。
そこで、出社せずともインターネットを経由して社内情報にアクセスできるようなSaaSや、リモートでのコミュニケーションを活発化させるSaaS導入した企業が多かったようです。
また、働き方改革の観点でも、リモートワークはニューノーマルな働き方として注目されています。このように、リモートワークの普及が進んだことで、SaaSの必要性が高まり、市場規模を拡大させているのです。
▷【2023年最新】テレワーク・リモートワークに役立つおすすめアプリ19選!用途別に紹介
場所やデバイスを問わない利用形態
SaaSはインターネットを経由して利用できるサービスです。そのため、インターネット環境さえあれば、オフィス以外の自宅・カフェ・コワーキングスペースなど、場所を限定せずに利用できます。
また、マルチデバイス対応のSaaSも多く、パソコンのほかスマホ・タブレットでも利用できるため、デバイスを問わないという強みがあります。
このように、場所やデバイスを問わないSaaSの利用形態は、離れた拠点にいるメンバーとの共同作業や、営業先からの情報共有など、さまざまな場面でメリットがあります。したがって、利用の自由度や柔軟性の高さから、SaaSの利用が広がっているといえるでしょう。
▷テレワークとはどんな働き方?日本の現状や導入メリットをわかりやすく解説
運用の利便性
自社でソフトウェアやアプリを管理する場合、手間がかかるだけでなく、運用に関する知識が必要です。そのため、運用するための人材確保や教育などのコストが必要となるでしょう。
その反面、SaaSの基盤は自社でソフトウェアやアプリを管理する必要がなく、運用するための手間やコストを省けることから、運用の利便性が高いとして、企業において導入が進んでいるといえます。
サービスの安定した継続性
SaaSの基盤となる部分は、事業者側によって管理・運用されることから、サービスの安定した継続性にもつながります。
従来の購入型の場合、トラブルや不具合が起こった場合、自社で対応するか専門業者へ依頼しなければなりません。自社での対応や業者への依頼には、専門知識・時間・コストなどが必要となり、一時的にサービスを利用できない期間が生じる可能性があります。
一方で、SaaSを提供している事業者は、トラブルや不具合が起こらぬよう、定期的にメンテナンスを実施しています。そのため、トラブルや不具合が起こりにくく、もし起こった場合でも迅速に対応してもらえるでしょう。
このように、サービスの安定した継続性は、事業の継続性にもかかわるため、サービス利用や事業の継続性を維持するためにも、SaaSの活用が進んでいます。
高度なセキュリティ対策
SaaSのセキュリティ体制は各事業者によって異なりますが、サービスの安全性を重視する顧客が増えているため、高度なセキュリティ対策が施されているSaaSがほとんどです。
また、事業者としてもあらゆる企業の情報を預かっている以上、セキュリティ対策は万全にしておく必要があります。そのため、各SaaSには高いセキュリティ性が担保されており、セキュリティ対策を行う手間やコストの削減にもつながるでしょう。
また、そもそもSaaSはインターネット経由で提供されているため、自社でセキュリティを強化するには限界があることから、サイバー攻撃などのリスクヘッジとしても、SaaSの導入が進んでいるのです。
▷SaaS利用におけるセキュリティの課題と対策法とは?リスクについて解説
バックアップ機能
SaaS内に保管している情報は、ほとんどの場合事業者側のシステムにも同時保管されています。そのため、自然災害やサイバー攻撃などの緊急事態時にデータを消失してしまったという場合でも、事業者が保管しているデータはバックアップとしての役割を果たすことができます。
また、データは1か所でなく複数拠点で保管されていることも多いため、不測の事態が生じても別の拠点に残っているデータから復旧も行えるでしょう。このように、SaaSを利用することで、万が一の備えとしても活用されています。
SaaS市場の今後の動向に注目!
生活の多様化やDX推進などのさまざまな要因から、SaaS業界の市場規模は拡大傾向にあります。SaaS業界では、すでに優位性を確立している企業もあり、SaaSを導入する企業はますます増加しています。
SaaS業界の今後の市場動向に注目していきましょう。
SaaSの記事をもっと読む
-
ご相談・ご質問は下記ボタンのフォームからお問い合わせください。
お問い合わせはこちら