勤怠打刻の押し忘れ?正しい勤怠管理の対処法や打刻忘れの防止法を解説
忙しい日々の中で、うっかり生じてしまう勤怠打刻の押し忘れ。業務上直行直帰の頻度が多い等を理由に、勤怠打刻を忘れた経験のある人も多いのではないでしょうか。本記事では、勤怠打刻の押し忘れに対する正しい勤怠管理の対処法と、打刻忘れの防止法をくわしく解説します。
目次
タイムカード押し忘れによる減給は違法
タイムカード押し忘れによる減給は違法で、労働基準法第16条に違反する行為となります。労働基準法第16条では業務上のミスや規律違反行為に対し、就業規則で事前に罰金額を定めておく行為を禁止しています。
1回や2回の押し忘れをした社員に対して罰金を命じていた場合、労務契約の不履行として訴えられる可能性があるため、注意してください。ただし、何度注意してもタイムカード押し忘れがなくならない社員に対しては、規律違反とみなして懲戒処分を下せます。
その際は、いきなり減給処分にするのではなく、戒告や譴責など軽い処分から下してください。ある日突然処分を言い渡されると社員との関係が悪化し、裁判沙汰に発展する可能性が高くなるからです。また、タイムカード押し忘れに対する処罰として、懲戒処分の内容を就業規則へ明記しておかないといけません。
[出典:e-Gov 労働基準法 第十六条]
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勤怠打刻押し忘れの原因
勤怠打刻押し忘れの原因は、以下4つが考えられます。
- タイムレコーダー設置場所の問題
- 打刻作業の手間とミス
- 習慣化していない
- 出勤・退勤時間の変動
タイムレコーダー設置場所の問題
タイムレコーダー設置場所の問題がないか確認しましょう。時間に追われている状況で、タイムレコーダーが視界に入りにくい場所に設置されていると、打刻押し忘れが発生しやすくなります。
また、他のことに気を取られていると、打刻への優先順位が下がり、忘れる可能性が高くなります。
たとえば、始業時間前から業務の準備をしていたとしましょう。やるべきことが多いと準備に追われ、出勤時刻を打刻せずにそのまま始業時間を迎える可能性も考えられます。
タイムカードを打刻する意識を高めるためにも、タイムレコーダーを目立ちやすい場所に設置しましょう。その際は、コピー機や傘立てなど、周辺に障害物を置かないよう注意してください。
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打刻作業の手間とミス
打刻作業の手間とミスが起きやすい点も、タイムカードの押し忘れが発生しやすい理由の一つです。
始業時間直前は出勤のタイミングと重なりやすく、多くの従業員がタイムレコーダーの前に並びます。そうすると、タイムカードを打刻するために多くの時間を費やさないといけず、打刻が面倒になり押し忘れが発生します。
また、Excelで勤怠管理をしている場合は、自分で出退勤時刻を打ち込む作業があり、転記ミスにつながる可能性も否めません。
習慣化していない
習慣化していないことも考えられます。出退勤時にタイムカードを打刻する習慣が従業員に根付いておらず、打刻忘れが発生する可能性もあるでしょう。従業員の入れ替わりが激しい企業の場合、従業員全体にタイムカードを打刻する習慣が根付くのに時間が掛かります。
そのため、出退勤時に必ず従業員自身が打刻することや打刻してから退勤するなど、社内のルールを明確化することが大切です。
出勤・退勤時間の変動
出勤・退勤時間の変動にも要注意です。フレックスタイム制や裁量労働制など、出退勤時間を自由に設定できる勤務形態の場合、社員同士で声掛けする機会が減るため、打刻忘れが発生しやすくなります。
出勤・退勤時間の変動による打刻押し忘れを防ぐために、PCログ取得やWebブラウザなど、出退勤時刻が日々変動しても対応可能な方法への変更が求められます。
正しい勤怠管理の対処法
正しい勤怠管理の対処法について、以下3つを参考にしてみてください。
- 打刻を忘れた本人に確認する
- 軽度の処罰を与える
- 労働基準法に基づいた処罰を与える
打刻を忘れた本人に確認する
打刻を忘れた本人に確認する場を設けましょう。目的は以下の3つです。
- 正しい給与計算を行うため
- 社員の意識改革を図るため
- 勤怠管理の課題を把握するため
1に関しては、時間外労働の時間数を正確に算出するためです。1日8時間・週40時間を超える労働を社員に命じた場合、企業は割増賃金を支払わないといけません。割増賃金は「基礎賃金×割増率×時間数」で算出しますが、割増率は労働の種類によって異なります。
また、深夜労働が発生した場合は、時間外労働や休日労働と割増率を合算しないといけません。本人に確認する場を設けることで、時間外労働をしていたにもかかわらず、残業代が支給されなかった事態を防ぎます。
2については、今後の再発防止です。何度も同じ間違いを繰り返している社員に対しては、懲戒処分も検討しないといけません。他の社員が打刻忘れをしないよう、企業として厳しい姿勢を見せる必要があるからです。
3に関しては、現行の勤怠管理で問題ないかを確認することが目的です。改善点が多かった場合、他の方法への移行も真剣に検討しないといけません。
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軽度の処罰を与える
軽度の処罰を与える必要もあるでしょう。何度も打刻忘れを繰り返している社員には、懲戒処分を下します。懲戒処分は、就業規則違反や職場の規律を乱した社員に対し、制裁を科すことです。違反行為の内容に対して、戒告〜懲戒解雇の処分を使い分けます。
ただし、いきなり降格や懲戒解雇など、重い処分を下すのは避けてください。処分を下すのに十分な証拠や合理的な理由がないときは無効となります。
最初の段階では、口頭で注意を促す戒告か始末書を提出させる譴責が妥当な対応です。譴責の場合、反省や謝罪文も本文に盛り込むため、戒告よりも再発防止効果が期待できます。
労働基準法に基づいた処罰を与える
労働基準法に基づいた処罰を与えることも考えましょう。戒告や譴責でも反省の色が見られない社員に対しては、減給処分を下します。減給は、社員に支給している給与から一部の賃金を差し引くことです。減給によって経済的なダメージを与え、再発防止につなげるのが狙いです。
1回の行為に対して減給を下せるのは1回だけです。1回の打刻漏れを理由に、継続して減給することは認められません。減給する際は労働基準法に沿って、以下2つの上限を遵守してください。
- 1回の減給額は1日の平均賃金の半額未満
- 減給総額は一賃金支払期における賃金総額の1/10
[出典:e-Gov 労働基準法 第九十一条]
勤怠打刻押し忘れの防止法
勤怠打刻押し忘れの防止法は、以下7つです。状況に合わせて、1つの方法だけでなく、複数の方法を実施することも検討しましょう。
- 必要性の周知
- タイムレコーダー設置場所の工夫
- 社員間でチェック
- 掲示物の活用
- 勤怠管理の電子化
- アラーム機能の活用
- 処罰があることを周知
必要性の周知
必要性の周知をしましょう。勤怠管理の必要性を正確に理解できていない点も、出退勤時刻の打刻忘れを招く一つの原因です。正確な給与計算・過重労働防止・コンプライアンス違反回避など、勤怠管理の目的を従業員へ伝えることにより、再発防止につなげます。
タイムレコーダー設置場所の工夫
タイムレコーダー設置場所の工夫をしましょう。オフィスの出入り口や社員用通路など、出退勤時に必ず通る場所にタイムレコーダーを設置します。毎日通る場所にタイムレコーダーを設置すれば、出退勤時にタイムカードを打刻する習慣も付きやすくなります。
その際は、タイムレコーダーをすぐに確認できるよう、周囲に障害物は置かないよう注意してください。また、トイレや休憩室の近くにタイムレコーダーを設置するのは避けましょう。視界に入りやすい一方、トイレや休憩室を利用した後、打刻を忘れる可能性があります。
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社員間でチェック
社員間でチェックすることも大切です。タイムカードをきちんと打刻しているかどうか、当番制で確認する体制を作ることにより、打刻忘れを防ぎます。また、実際に監視する立場を経験することで、勤怠管理への意識を高める狙いもあります。
当番制を導入する場合は、部署やチーム内で日替わりで担当者を選出する形を取ると良いでしょう。
掲示物の活用
掲示物の活用も勤怠打刻押し忘れの防止法の一つです。オフィスの出入口・廊下・休憩室など、目立つ場所に張り紙やポスターを貼りましょう。頻繁に立ち寄る場所へ掲示物を貼っておくことで、リマインド効果を高めます。
その際は、「タイムカードを打刻してから業務開始」「出退勤時のタイムカード打刻徹底」など、想起しやすい内容を盛り込みましょう。また、定期的に新しい張り紙やポスターに張り替えることで、社員からの視線を集められ、注意喚起につながります。
勤怠管理の電子化
勤怠管理の電子化も検討しましょう。クラウド型勤怠管理システムは、GPS・Webブラウザ・チャットなど、多彩な打刻方法を搭載しており、自社の就業形態に応じて選択できます。
スマートフォンやノートパソコンからスムーズに出退勤時刻を打刻できるため、社員に大きな負担も掛かりません。社員に付与したモバイル端末から出退勤時刻を打刻することで、不正打刻のリスクも抑えられる点も魅力です。データ改ざんが困難な生体認証を搭載したシステムを選択すれば、紛失や盗難の心配もいりません。
また、勤怠管理システムは、従業員の正確な勤怠データを効率的に集計できる点も魅力です。時間外労働・深夜労働・休日労働の時間数抽出〜反映まで、一連の作業をシステムへ一任でき、労務担当者の業務負担を軽減することが可能です。クラウド型であれば法改正が起きてもベンダーが自動アップデートを行うため、スムーズに対応できます。
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アラーム機能の活用
アラーム機能の活用をしてみましょう。スマートフォンのアラーム機能やスケジュール管理アプリを活用し、社員の意識を高めるのも一つの選択肢です。毎日同じ時刻にタイムカードを打刻することで、出退勤時刻を打刻する習慣が自然と身に付けられます。
また、始業前に打刻を忘れた場合は、1日の仕事の流れや労働時間をメモに残しておくと、事実確認の証拠として提示できます。
処罰があることを周知
処罰があることを周知します。タイムカードへの打刻を何度も忘れた場合、懲戒処分を下すことを従業員へ周知する場を設けましょう。企業として厳しい姿勢を打ち出すことで、社員の意識改革を図ります。
減給や出勤停止処分が下されると、日々の生活にも影響してくるため、抑止力向上も期待できるでしょう。
勤怠打刻を忘れた場合は上長に相談
勤怠打刻を忘れた場合は上長に相談するルールを徹底しましょう。上司に相談せず、社員の自己判断で打刻時間を修正する行為は禁止されてるからです。
厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では、自己申告制を行う際の処置について明記しています。以下に内容を抜粋しました。
- 実労働時間と申告した時間に差がある場合、調査を実施。必要に応じて修正作業を実施
- 自己申告制を採用する場合は、労働者と勤怠管理責任者へ本ガイドラインについて説明する。労働時間の正確な把握や正確に自己申告する点などを強調
- 労働者が正確な労働時間を申告しやすい職場環境を整備
[出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」]
また、打刻時間の修正作業が簡単に行える環境だと、改ざんや不正打刻が発生しやすくなります。それらを防ぐためにも、タイムカードの打刻時間を手書きで修正する場合は、直属の上司や部長から承認印をもらう体制を確立してください。
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打刻忘れの現状を把握し再発防止に取り組もう
勤怠管理は、社員の健康保護・正確な給与算出・コンプライアンス遵守など、さまざまな目的を達成するために行います。しかし、社員が勤怠管理の重要性を認知していないと、出退勤時刻の打刻忘れが頻繁に発生します。
打刻忘れが発生すると、労働時間や残業手当の正確な算出が難しくなるため、早急な改善が必要です。社員間のチェック体制強化やポスターの活用などを行い、出退勤時刻を打刻する意識を高めてください。
タイムカードの打刻忘れを防ぐためには、クラウド型勤怠管理システムを導入するのも有効です。不正打刻を防げるだけでなく、就業形態を問わず正確な出退勤時刻を記録できます。また、労働時間・時間外労働・有給休暇の取得状況など、勤怠データを効率的に集計できる点も魅力の一つです。
近年は、ハイスペックな勤怠管理システムが市場に多数登場しています。初期費用やサポート代を無料としているベンダーも多く、予算に制限のある企業でも導入できます。勤怠管理工数増大にお悩みの方は、勤怠管理システムの導入をご検討ください。
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