マネジメント能力がない上司の特徴|職場への影響や対策・末路
企業の人材育成に必要不可欠な存在である上司。しかし、中にはマネジメント能力がない上司も多く、部下や企業の成長を低下させている場合もあります。そこで本記事では、マネジメント能力がない上司の特徴や対応・対処法について解説していきます。
目次
マネジメント能力がない上司の特徴とは?
マネジメント能力がない上司には共通している特徴があります。
現場の実態を把握しようとしない
マネジメント能力がない上司は、現場の実務や実態について理解しようとしない点が特徴です。このような上司は、部下の仕事や業務について把握していないため、ミスやトラブルが発生した時にフォローできなくなることがあります。
また、部下の仕事に関心を持たず、判断や仕事の管理を丸投げしている場合についても同様です。現場について理解しようとしない上司をそのままにしておくと、部下は報告・連絡・相談をしても無駄と感じてしまう可能性もあるでしょう。
その結果、モチベーションが低下し、円滑なコミュニケーションが行えなくなる恐れがあります。
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部下の考えを理解しようとしない
部下に的確な指示を与えるには、抱えている悩みや不安を引き出すようなコミュニケーションが必要となる場面があります。部下の心情や性格、得意・不得意などを理解することで、持っている能力を発揮させることが可能になるのです。
しかし、部下の考えを積極的に知ろうとしない上司では、信頼関係を築くことができません。さらに、大きなパフォーマンスや成果を得ることも難しくなるでしょう。
上司・部下の関係悪化は職場の雰囲気を悪くし、トラブルにつながる可能性もあるので注意が必要です。
自分で責任を取らずに部下・他人になすりつける
部下がミスを犯した時に、上司は部下一人に責任を負わせるのではなく、一緒に責任を取ることが必要です。しかし、自分が責任を負いたくないばかりに、部下・他人に責任をなすりつけてしまうのが、マネジメントができない上司の特徴でもあります。
責任を押しつけたり、言い訳をして責任から逃れようとする自分勝手な上司は、責任感が欠如しているため、マネジメント力を発揮することはできないでしょう。
部下にあいまいな指示を出す
部下にあいまいな指示を出す上司についても、マネジメントができていないといえます。
具体的な指示を出さずに成長を促すのも、育成手段のひとつです。しかし、場合によっては明確な指示を出して方向性をはっきりさせ、部下が迷わないように意識してアクションを起こすことが必要です。
いつもあいまいな指示ばかりしていると、部下は自分の仕事の進め方に対して不安や迷いが生じて、生産性が低くなってしまうこともあります。明確な指示や方針が出せなければ、徐々に信頼を失っていくことになるでしょう。
感情の起伏が激しい
マネジメントでは、一時の感情に左右されることなく、冷静に判断することが必要です。部下を育てるためには、状況次第で叱らなければならない時もあるかもしれません。
しかし、上司の感情が安定していないと、その時の感情によって発言や指示が変わってしまうことがあります。これにより、発言や指示は一貫性がないものになり、チームのモチベーションやパフォーマンスが低下することにもつながります。
また、部下が萎縮して言いたいことを言えなくなるため、信頼関係を築くのは難しいでしょう。
スケジュールの管理ができていない
上司は、チーム全体の業務を円滑に進めるために、全体のスケジュールや部下のスケジュールを把握する必要があります。
しかし、スケジュール管理が苦手な上司であれば進捗管理ができず、期日までに目標を達成することが難しくなる場合もあるでしょう。また、スケジュールが把握できていなければ、適切なタイミングで部下をフォローすることもできません。
特に、スケジュール管理ができず取引先への納期に遅れてしまうと、信頼を失う恐れもあるため注意が必要です。
意思決定ができない
明確な意思決定ができない上司は、マネジメント能力が低いといえます。
例えば優柔不断であったり、判断が遅く曖昧な意見や指示を出したりしてしまうと、部下もどう動けば良いかわからず、生産性の低下や業務の遅延につながる恐れがあります。
また、意思決定ができず部下を不安にさせると信頼関係が崩れる可能性もあり、部下に与える影響が大きい要素です。特に上司が「責任を負いたくない」と考えると、意思決定に遅れが生じる恐れがあります。
コミュニケーションが取りにくい
上司とコミュニケーションが取りづらいと、指示がわかりづらく作業に遅れが生じたり、情報共有に支障をきたしたりする恐れがあります。
特に上司という立場は多くの人とコミュニケーションを取る機会があり、部下への指示出しや他部署との調整など、さまざまなやり取りを行わなければなりません。
コミュニケーションが取りにくければ、結果的にうまくやり取りできず業務に支障が出るリスクがあるため、コミュニケーション能力は上司にとって必須といえます。
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否定的な発言が多い
否定的な発言や改善点がわからないダメ出しなどが多い上司は、部下との信頼関係を築けないリスクが高いでしょう。
特に、性格や能力などを否定するような発言をすると、人格を全否定されたと捉えられる恐れがあるだけではなく、改善のポイントも伝わらないため部下の成長につながりません。
否定的な発言により部下が心を閉ざすと、帰属意識の低下や業務の遂行に支障が出る場合があり、部下の自主性も損なわれてしまうので注意が必要です。
マネジメント能力がない上司が引き起こす影響
上司にマネジメント能力がない場合、部下などの特定の人だけではなくチーム全体・会社にまで影響が及んでしまう可能性があります。ここからは、マネジメント能力がない上司が引き起こすさまざまな影響を紹介します。
部下の業務量が多くなる
上司がマネジメントできないと、部下の業務量の負担が増える場合があります。
何かの理由で部下の業務量が増えたとしても、上司が適切にマネジメントしていれば業務量を適切に配分し直したり、必要に応じて人材配置を変えてくれたりします。
しかし、上司にマネジメント能力がない場合、部下の能力やスキルがわからず、それぞれが行っている業務や状況についても把握できていません。
そのため、一部の優秀な社員に業務を集中させてしまいがちです。このような状況が続くと、部下は上司を信頼しなくなり、場合によっては退職につながってしまうこともあるでしょう。
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部下への精神的な負担が増える
働いている部下が精神的な負担を感じてしまうことも、マネジメント能力がない上司が引き起こす問題の一つです。部下のモチベーションを管理できないと、仕事に対するやりがいを感じられなくなってしまいます。
その場の感情に任せた威圧的な指示、現場の状況がわからないことで発生するミス、あいまいな指示などの影響を直接受ける部下は、精神的な負担が非常に大きいといえるでしょう。
人材が流出しやすくなる
部下が能力を存分に発揮するためには、信頼できる上司の存在が欠かせません。しかし、マネジメント能力がなく信頼できない上司の下では、部下の意欲やモチベーションが低下することが考えられます。
このような職場では、より自分が成長できる環境に転職したいと考える人が出てくるのは当然といえるでしょう。
優秀な人材が育ちにくくなる
会社で優秀な人材を育成するためには、マネジメントができる上司の存在が不可欠です。人材育成に成功している会社では、マネジメント能力のある質の高い上司が、部下の成長やモチベーションアップをサポートしています。
しかし、上司が適切にマネジメントできなければ部下はモチベーションを失い、優秀な人材として身につけるべき知識やスキルを習得できなくなることもあるでしょう。
会社にとっては、マネジメントができない社員がいることで、人材育成プランを大きく崩されてしまう恐れがあります。
組織全体の生産性が低下する
上司が現場を理解していないと、効率的に人材を配置したり、部下を育てたりするための正しい指導を行うことが難しくなります。その結果、組織全体の生産性が落ちてしまう可能性があるのです。
このような職場では、チームの協調性が乱れてしまい、トラブルが頻繁に発生します。さらに、会社に対する評価が落ちたり、クレームなどが発生したりする恐れもあるでしょう。
上司にマネジメント能力がないと正しい指導は期待できないため、部下の成長を阻害する要因にもなります。
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マネジメント能力がない上司の対応・対処法
上司と部下という立場上、部下から上司に指摘をするのは難しいと感じてしまう人も多いかもしれません。しかし、伝え方や工夫次第で上司に指摘することも可能です。
ここからは、マネジメント能力がない上司の対応・対処法を4つ紹介します。
部下から改善の提案を行う
マネジメントできない上司の下では、部下自身が仕事をどのように進め管理していくかの改善提案を行うのが効果的です。
上司がマネジメントできていない場合、現場の実態がわからないため間違った判断や指示を出してしまい、現場を混乱させる可能性があります。ミスや失敗を回避し、仕事をスムーズに進めるためにも、上司に改善を提案して正しい方向に導くのが良いでしょう。
ただし、上司が考えている仕事の進め方や管理に対して強く否定してしまうと気分を害し、部下の話を聞かなくなるかもしれません。普段からまめなコミュニケーションを心がけたり、しっかり働いている姿を見せたりしておくことで信頼を獲得し、提案を受けて入れてもらえる体制を整えておきましょう。
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信頼できる同僚や人事部の人に相談する
マネジメントできない上司と仕事をするストレスは、一人で抱えないようにすることが大切です。信頼できる同僚に話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になるでしょう。
また、人事部の人に相談をしておくと、大きな問題が起こる前の指導や、人員配置の再編成など、何らかの対策を考えてもらえるかもしれません。一人で不安や悩みを抱え込まず、困った時は誰かに相談するということを常に意識しておいてください。
上司より立場が上の人に相談する
上司に提案しても受け入れられなかった場合は、上司よりさらに上の立場にいる人に相談してみましょう。マネジメントできていない上司に対して指導してくれたり、何らかの対策を考えてくれたりするかもしれません。
上の立場の人から指導されることにより、上司は考え方を改めてくれる可能性もあります。
ただし、相談したことがばれてしまうと、関係が悪くなってしまうこともあります。それにより、ますます仕事がやりにくくなる恐れがあるため、相談する相手は慎重に選びましょう。
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上司とのやり取りを記録に残しておく
上司との会話を記録として残しておくことは、いざというときの証拠になります。
マネジメントができないと仕事の管理ができていないことも多いため、指示したことや連絡を忘れてしまいがちです。部下が適切ではない指示や連絡を受けたと主張しても、上司が言っていないと言い張り、対立することにもなりかねません。
重要なやり取りについては、メールやメモなどで記録しておきましょう。
マネジメント能力がない上司には早めの対応を心がけよう
上司にマネジメント能力がない場合、接していく中でストレスを溜め込んでしまうリスクがあるため、早急に問題を解消しておく必要があります。
自分一人ではなかなか解決することは難しいため、同僚やほかの部署などと連携し、できる限り早めに相談して解決するようにしましょう。
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