デシル分析とは?活用メリットや分析方法・RFM分析との違いを解説

最終更新日時:2023/01/10

CRM(顧客管理システム)

デシル分析とは顧客分類方法の1つです。しかし、分析方法ごとに特性があり、1つの分析データを用いても正しいマーケティング施策が行えません。この記事ではデシル分析の概要や活用メリット・問題点、さらにRFM分析との違い、活用事例を解説しています。

デシル分析とは

ここでは、デシル分析とはなにかを目的・方法と合わせて解説します。

(1)デシル分析は顧客分析方法の1つ

デシル分析は顧客の購入金額をもとに、10段階にランク分けする分析方法です。デシル(decile)は十分位数という意味で、全データを10等分した数値を意味します。

デシル分析では顧客を購入金額が高い順に並べて10等分のグループに分割し、売上貢献度の高いグループ・低いグループなど売上貢献度の高さによって顧客を層として分けることが可能です。

分割したグループは、上から「デシル1」「デシル2」と連番で数字が振られます。

それぞれの特徴を分析することで、貢献度ごとの適切な施策が見えてきます。

デシル分析は方法が非常にシンプルでむずかしい計算や複雑なシステムを必要としないため、簡易的な分析として広く利用されています。

(2)各顧客に適した施策を行うのが目的

デシル分析の目的は、顧客のグループ分けとそれぞれに応じた施策の実施です。

たとえば、デシル1から2を優良顧客層としたら、2つのグループの顧客を詳しく分析します。

すると、そのグループの傾向や特徴を見つけることができ、分析結果をもとに効果的なマーケティングを実施できるでしょう。

もしもデシル分析をおこなわずに顧客全体の傾向を分析した場合、売上貢献度の低いターゲットに向けた施策をしてしまうおそれがあります。

20代男性向けの顧客の比率が大きくても、実際の売上に貢献しているのは別の層かもしれません。

デシル分析は顧客の属性ではなく、売上金額という直接的な指標を用いるので、先入観や思い込みを排除した分析が可能です。

(3)デシル分析の方法

デシル分析の方法は5つのステップに分けられます。

  1. 顧客を購入金額順に並べる
  2. 顧客を10等分に分ける。
  3. グループごとの合計額を出す
  4. 全体の購入金額に対して、それぞれのグループの比率を計算する。
  5. それぞれのグループの傾向、属性を見つける

デシル分析が完了すると、それぞれのグループに応じた施策が可能になります。

購買意欲が高いとされる上位の顧客層に向けたマーケティングや、売上の低い層の原因を探すなどといった活用ができるでしょう。

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デシル分析を活用するメリット

デシル分析には、どのようなメリットがあるのでしょうか。大きなメリットは2つあります。

(1)効率的かつ費用対効果の高いマーケティングができる

デシル分析は効率的に分析がおこなえるので、高い費用対効果が期待できます。

デシル分析は購入金額という一つの指標でデータを整理するので、時間をかけた調査を必要としません。そのため、調査にかかる人件費や設備費用といったコストを低く抑えることができます。

さらに、低コストにもかかわらず、効果が大きいというメリットもあります。指標が購入金額という売上に直結するものであるため、効果の高い施策を考えられるからです。

コストの低さと効果の高さから、デシル分析は費用対効果の高い方法だと言えるでしょう。

(2)エクセルなどの既存ツールで簡単に分析できる

デシル分析は、特別な技術やツールが不要という点も大きな特徴です。

購入金額に応じて顧客を並び替えて顧客リストを10等分し、グループ分けをするというシンプルな方法なので、表計算ツールで簡単に行えます。

顧客データさえあれば準備なしに始められるというハードルの低さが、デシル分析の大きなメリットです。

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デシル分析の問題点

ここでは、デシル分析が抱える問題点について解説します。

(1)指標が単純なので複雑な分析ができない

デシル分析は購入金額を指標とするシンプルな方法なため、複雑な分析ができません。

たとえば、一度の買い物で10万円の商品を買った顧客と、20回の買い物で平均5,000円の買い物をしている顧客がいるとします。この場合、どちらも購入金額は10万円となります。

しかし、一度しか買い物をしていない顧客は、また店に来てくれるかわかりません。対して、20回の買い物をしている顧客は、店を愛用しているリピーターだと考えられるので、今後も継続利用が期待できます。

この2つの顧客の特徴は大きく違いますが、デシル分析では同じ評価となってしまいます。分析の方法が簡単な分、このような粗があるのが、デシル分析のデメリットです。

(2)詳細な分析には他分析結果を組み合わせる方が良い

デシル分析はすぐに始められるため、他の分析方法と組み合わせやすいというメリットがあります。

顧客情報と表計算ソフトがあればすぐに始められるため、思い立ったらその日のうちに実行することができるでしょう。

デシル分析により優良顧客層の特徴がつかめるので結果に応じた施策が考えられるようになります。

しかし、デシル分析は粗があるため、結果とは別に複雑な分析が必要になります。たとえば、顧客の利用状況、利用頻度、購入金額を組み合わせて考えるRFM分析などが挙げられます。

RFM分析があればデシル分析は不要なのかと言われれば、そういう訳でもありません。RFM分析のような複雑な分析は、分析結果も詳細に得られる分、有効な施策を考えるのがむずかしいという側面があるからです。

そこで、デシル分析の結果が役に立ちます。さきほどデシル分析で考えた施策を、RFM分析の結果とすり合わせて改良をおこなうことで、実現性の高い施策ができあがるのです。

このように、デシル分析は他の分析結果と組み合わせると大きな効果を発揮できます。

RFM分析とは?デシル分析との違い

ここでは、さきほど触れたRFM分析について、デシル分析との違いと合わせながら解説します。

(1)RFM分析とは

RFM分析は顧客を3つの指標に分けて分析する手法です。

RFM分析はLTV(Life Time Value)の向上を目的としています。LTVとは、顧客が一生にどれだけ利益を出せるかを表した数値で、生涯生産価値とも呼ばれます。

RFM分析における3つの指標は、以下のとおりです。

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Recency

Recencyは、最後に購入してから数えた経過日数のことで、顧客が現在も自社を利用しているかを確認する指標になります。

たとえば、購入金額が高くても、Recencyが1000日であれば、優良顧客層とは呼べません。

ただし、そのような休眠顧客は、再び戻ってきてくれれば優良顧客になる可能性があります。そのため、休眠顧客が多い場合は、また利用したくなるようにアプローチをかけるような施策が有効になります。

Frequency

Frequencyは、購入頻度のことです。

一般的に購入頻度が高い顧客は常連になったと考えられ、常連顧客は一回の購入金額が小さくても、総額で見ると高額になるという特徴があります。

常連顧客を増やすことで、継続して安定した売上が期待できるのです。

ただし、常連顧客の比率が高ければいいわけではなく、常連顧客ばかりの場合は新規層を取り込めていないことも意味します。

その場合、広告やSNSでのキャンペーンを展開し、より広範囲にアプローチする施策が必要になるでしょう。

Monetary

Monetaryは購入金額のことです。

一人の顧客が一定期間内に購入した商品の総額を算出し、Monetaryは売上に直結するため重視されがちですが、他の指標と組み合わせなければ正確な分析はできません。

たとえば、一度に大きな買い物をした人も何度も少額の買い物をした人も、総額が同じであればMonetaryでは同じ評価になります。

しかし、Frequencyの指標と合わせることで、2つの顧客は別グループとして分類が可能になるのです。

このように、RFM分析は複数の視点から顧客を分析します。そのため、1つの指標よりも詳細な分析が可能です。

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#1: RFM分析の方法

RFM分析は5つのステップに分かれます

①仮説立案

分析する前に、現在の課題と原因を考えておきましょう。

どうして売上が伸びないのか、常連がつかないのか、といった問題の原因をメンバーで議論します。この段階ではまだ分析は完了していないので、正確性の低い仮説しか出すことができません。

ここで出た仮説は、今後の分析をもとにブラッシュアップしていくことで、精度の高いものになっていきます。

②データ整理

分析に必要なデータを集めましょう。基本的には、顧客の属性、最終購入日、購入頻度、購入金額が揃えばRFM分析が可能です。その他にも、①で立てた仮説検証に必要なデータがあれば集めておきましょう。

データを集めたら、表計算ソフトやデータベースで扱えるようにデータを整えます。表記揺れがあると、データの並び替えなどの操作に不都合が発生する可能性があるので注意が必要です。

③データ分類

収集したデータをもとに分類をおこないましょう。

分類は、Recency、Frequency、Monetaryの3つの指標それぞれでおこないます。Recencyは最終購入日が新しい順、Frequencyは購入頻度順、Monetaryは購入総額が高い順で並べ替えます。そして、指標ごとにランク付けをおこないましょう。

デシル分析では、顧客を10等分してランク付けしていましたが、RFM分析では分ける数に決まりはありません。しかし、ランクの数は分析ができるような現実的な数に調整が必要です。

たとえば、それぞれの指標でランクを10個にすると、10の3乗で1000通りの組み合わせがありますこれでは細かすぎて分析がむずかしくなってしまいます。

逆に、ランクを3つに減らすと3の3乗で9通りになりますが、これでは区分けが大きすぎて精度の低い分析になってしまうでしょう。

そのため、投入できるリソースや実情を見ながら、無理のない範囲での数に調整しましょう。

④施策を考える

分析したデータをもとに施策を考えます。

まずは、①で立てた仮説が正しいか、データを見比べながら検証をおこないましょう。もしも仮説が正しければ、その仮説に基づいた施策を練ることができます。仮説が間違っていたなら、どこが違うのかを検証し、仮説を立て直しましょう。

データに基づいた施策は、なんとなく意味のありそうな根拠のない施策に比べて、はるかに効果の高いものになります。

⑤施策を実施する

最後に施策を実施します。施策の効果を検証するために、データをしっかり記録するようにしましょう。

効果がどれだけ出たか、反省点はなかったか、などを記録することで、次の施策に活かすことができます。

すべての工程が完了したら、また①からやり直します。施策を何度もおこなうことで、より精度の高いものになっていくでしょう。

(2)RFM分析とデシル分析の違い

RFM分析とデシル分析の違いは分析指標の数にあります。

デシル分析は顧客の購入金額だけを指標として、顧客を10段階のランクに分けます。シンプルでスピーディな分析が可能ですが、指標が一つだけのため多角的な検証には適していないでしょう。

また、購入金額が同じであれば、どれだけ頻度や利用状況が異なる顧客であっても、同じ評価にしてしまいます。そのため、精度はあまり高くありません。

RFM分析は現在の利用状況(Recency)・購入頻度(Frequency)・購入金額(Monetary)の3つの指標から分析をおこないます。顧客は各指標のランクの組み合わせで分類されます。

顧客を多面的に評価するため、より詳細な分析が可能です。一方で、顧客の分類が複雑になるため、分析や施策立案がむずかしくなるというデメリットもあります。

時間をかけた詳細な分析をおこなうのであれば、RFM分析が最適です。時間や労力を割けなかったり、最初の足がかりとしたいのであれば、デシル分析から始めてみると良いでしょう。

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デシル分析の活用事例

デシル分析を活用できる事例をご紹介します。

(1)購買力の高い層を中心にリピーター施策を行う

デシル分析によって購買力の高い層を見つけることができます。購買力の高い層に対して施策をおこなうことで、高い効果を得ることができるでしょう。

たとえば、デシル1が40代女性だったとします。購入履歴を調査すると、化粧品の購入割合が高いことがわかりました。

その結果から、「40代向け化粧品をさらに充実させる」、「美容効果の高いサプリメントや健康食品を積極的に宣伝する」などのアイデアが生まれます。

このように、購買力の高いそうを狙い撃ちすることで、成功率の高い施策が可能になります。

(2)コールセンターの問い合わせ履歴と組み合わせて顧客対応を検討する

コールセンターでもデシル分析を有効的に活用できます。

デシル分析によって顧客ごとの購買力のランク付けができ、ランクごとにアプローチの仕方を変えることで、顧客への訴求力を高められるためです。

たとえば、「購買力の高い顧客に対しては、高級品や高品質な商品を勧める」、「購買力の低い顧客には、割引やキャンペーンで興味を持ってもらう」などの方法が考えられるでしょう。

また、積極的に勧めたい商品によって、ランクを絞り集中してアプローチをかけるということも可能です。

コールセンターはしばしば総当りの営業になりがちですが、それではアプローチの方法が画一的になってしまいます。デシル分析によるランク付けによって、顧客に合った営業が可能になるでしょう。

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手軽なデシル分析で購買力の高い顧客を見分けましょう!

デシル分析はすぐに始められる上、費用対効果の高い優れた分析方法です。また、分析方法がシンプルなため、複雑な技術がいらない・時間コストも小さい、といったメリットがあります。

より詳細な分析をおこないたいのであれば、RFM分析のような複雑な分析が必要ですが、その際もデシル分析で得られた結果が活用できます。

デシル分析は、今からでも始めることができる分析方法です。まずは、手に入る範囲でいいのでデータを揃えて、実際に分析をおこなって感覚をつかんでみましょう。

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