CRMを他システムとデータ連携する方法は?連携メリットや注意点を解説

最終更新日時:2023/02/02

CRM(顧客管理システム)

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CRMを他システムとデータ連携することで、営業活動だけでなく、全社の業務効率を向上させられます。この記事では、CRMで連携できるデータの種類と連携できるシステムの例、連携メリットや実際に連携する方法、注意点を解説しています。

CRMで他システムと連携できるデータの種類

CRMと他システムとを連携することで、業務効率や業務品質の向上が期待できます。ここでは、CRMが連携できるデータには、どのようなものがあるのかを解説します。

(1)顧客の個人情報

CRMの管理対象で、もっとも基本なのが顧客の個人情報です。個人情報は、大きく2種類に分かれます。

1つは識別情報です。これは顧客を識別するための情報で、氏名、住所、連絡先などが該当します。識別情報は、他システムとの連携の際に、同じ顧客がすでに登録されていないかの確認にも利用されます。

もう1つが属性情報です。これは顧客を分類するために必要な情報で、性別や年代、職業、年収がこれに該当します。マーケティングでの分析や営業活動では、この属性が広く活用されます。

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(2)購買履歴

顧客の購買履歴はマーケティングや営業など幅広く活用できるため非常に重要な情報です。

購買履歴には、以下のような事項が記録されます。

  • 購入した商品
  • 購入を確定した日時
  • 購入したプラットフォーム・場所
  • 購入した商品がキャンペーンの対象になっていたか
  • 購入した商品の割引率

購買履歴から、商品の需要やキャンペーンの効果、顧客の嗜好など、さまざまなことがわかります。顧客を属性分けすることで、年代や性別といった層ごとの傾向も見えてくるでしょう。

(3)問い合わせ履歴

カスタマーサポートへの質問、クレーム、要望といった顧客からのメッセージもCRMに記録できます。

記録した情報を共有することで、適切な顧客対応が可能になります。

カスタマーサポートは入れ替わりの激しい職場なので、顧客ごとに担当を置くのが難しいケースもあるでしょう。そのため、顧客の基本情報や応対履歴を把握していない従業員が対応して、「前も話したじゃないか」といった無用なトラブルが発生することもあります。

問い合わせ履歴をCRMに登録することで、従業員は顧客の今までの質問内容などを瞬時に把握できるようになります。

その他、顧客からの意見として、商品開発・マーケティングに利用するといったことも可能です。

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(4)トラッキング履歴

顧客の行動記録も非常に有用です。顧客がウェブサイトのどのページに訪れたか、利用時間帯はいつか、どのルートでウェブサイトにアクセスしたかなど、さまざまな情報が取得できます。

このトラッキングデータと顧客情報、購買履歴と組み合わせることで、顧客が購入にいたるまでの一連のアクションを分析することが可能です。

CRMと他システムを連携させた事例

CRMと連携できるシステムには、どのようなものがあるのでしょうか。具体的なシステムをご紹介します。

(1)SFA(営業支援システム)との連携

SFAと連携することで、作業負荷の軽減と精度向上につなげることができます。

営業担当者が顧客データ登録をするには手間がかかる上、誤入力などのミスが発生する可能性があります。また、SFAとMAで同じような作業をしていることが多いので、作業が二重になってしまっているという問題があります。

SFAとCRMを連携させることで管理を一元化でき、登録作業はどちらか片方で済むため、作業効率と精度を向上が見込めます。

また、SFAとCRMが同じ情報を共有するため、CRMの顧客情報を利用した営業活動が可能になります。既存顧客の傾向から見込み客を割り出し、期待値の高いターゲット層に営業をする、といったことも可能になるでしょう。

(2)CTIとの連携

コンピュータと電話系装置を連携させるCTI(Computer Telephony Integration)は、CRMとの連携でスムーズなコミュニケーションを実現します。

電話応対は、聞かれたことに答えたり、注文を機械的に受け付けたりするだけではありません。顧客の人柄や性格、今までのやり取りによって、適切な対応は異なってきます。

しかし、コールセンターやカスタマーサポートは人員の入れ替わりが多く、専任で対応するのが難しいケースが多いでしょう。そのため、顧客の情報を広く共有するシステムが必要です。

CRMと連携することで、瞬時に顧客情報を参照できます。性別年齢などの基本情報から、過去のやり取り、特徴などを把握できるので、どのスタッフでも適切に対応ができるようになるでしょう。

(3)MA(マーケティングオートメーション)ツールとの連携

マーケティング活動をサポートするMA(マーケティングオートメーション)ツールと連携することで、精度の高いアプローチが可能になります。

CRMで管理している顧客情報を活用し、顧客の属性や傾向を知ることで、ニーズに合ったアプローチが可能になるのです。

また、MAとCRMを一元化することで、既存顧客情報をマーケティングに活かすことができます。たとえば、顧客データを分析することで、全体の傾向やニーズの把握が可能です。

分析結果をもとに、マーケティングのターゲットを絞る、アピールするメリットを変えてみる、といった改善ができるようになるでしょう。

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CRMを他システムとデータ連携するメリット

CRMのデータ連携により得られるメリットを、3つご紹介します。

(1)情報の可視化・有効活用につながる

データ連携によって、社内の情報の透明性が大きく向上します。

システムがそれぞれ独立していると、業務データへのアクセスが難しく、業務全体を俯瞰することができません。また、本来であれば有効活用できるデータがあるのに、存在に気づかずに放置してしまうおそれもあります。

データ連携をおこない、社内で広くデータ活用できる環境を作り出すことで、実態に即した経営判断が可能になるでしょう。

また、社内データが可視化されることで、データを活用したアイデアが生まれやすい土壌も生まれます。従業員の創造性が刺激されることで、業務の効率化や、新しい事業の創出が期待できます。

(2)情報の一元管理で業務効率化できる

社内の顧客情報を一元管理することで、業務を大幅に効率化できます。

システムがそれぞれ独立していると、情報の取得に時間がかかってしまいます。管理部門が異なっている場合などは、データの取得に申請やメールをする必要があるなど、余計な手間がかかってしまうかもしれません。

情報を一元管理することで、必要な情報に瞬時にアクセスすることが可能です。データによってアクセス権限を設定しておけば、セキュリティ面でも安心です。

また、一元管理をすることで、データ形式を統一できるというメリットもあります。システムによってデータ形式が異なっていると、加工作業などの手間が発生してしまいます。データ形式の統一により、データの移動・活用がスムーズにおこなえるようになるでしょう。

(3)入力システムが少なくなり作業を減らせる

システム連携をおこなうことで、全体の作業量を減らすことができます。

システムが独立している状態でデータ登録をおこなう場合、それぞれのシステムで別々に入力作業が必要になります。作業が二重になってしまい、作業時間が不必要に増えてしまうでしょう。

システムを連携することで、あるシステムで入力したデータを、そのまま他システムで利用できます。ムダな時間を削減できるため、内部リソースを節約できます。

また、入力ミスも最小限にできるため、ミスによるシステム間の不整合も未然に防止できることも大きなメリットです。

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CRMを他システムとデータ連携する方法

CRMをデータ連携するには、どのような方法があるのでしょうか。代表的なものを2つご紹介します。

(1)EAIを使用して連携する

EAIはシステム連携のために広く利用されています。EAI(Enterprise Application Integration)とは企業で運用されている複数のシステムを統合する仕組み・システムのことです。

導入するシステムが多くなると、それぞれが独自の動きをしたり、データが散在してしまったりします。結果として、社内の業務データを把握している人間がいない、データのアクセスに多大な時間と手間がかかる、といった問題が発生してしまいます。

このような問題を解決するために考案されたのがEAIという仕組みです。EAIツールによってシステムをつなぎ合わせることにより、迅速なデータ連携が可能になります。

EAIには、既存のシステムにあまり変更を加えずに導入できるというメリットがあります。すでに重要なシステムが複数稼働しており、システムの作り直しが難しい場合は、EAIでの連携が適切と言えるでしょう。

(2)CRMに付帯している連携機能を使う

CRMの多くは他システムとの連携機能を備えているため、連携機能を利用することで新たにEAIツールを導入するよりも少ない手間でシステム連携が可能になります。

どのような方法で連携できるかは、CRMの仕様や連携先のシステムによって異なっているので、注意が必要です。一般的には、業務データをCSVファイル化し、データ連携をおこなう方法が広く採用されています。

また、連携先のシステムがCRMの開発元と同じ場合は、連携を前提にシステム設計されていることもあります。その場合は、他システムに比べて容易にデータ連携ができる、リアルタイムで連携が可能、などのメリットがあるかもしれません。

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CRMと他システムを連携させるときの注意点

CRMと他システムとの連携の際には、いくつか留意しておくべき点があります。ここでは、その注意点を3つ紹介します。

(1)連携の目的を明確に決める

システム連携をおこなう目的を、はじめにしっかりと決めておきましょう。目的が漠然とした状態でシステム連携を進めてしまうと、システム連携そのものが目的になり、効率や効果が考慮されないシステムが出来上がるかもしれません。

「なぜ連携が必要なのか」「現在の問題はなにか」「連携によってどのような結果が得られるのか」、といった事項を明らかにすることで、行動の指針となるでしょう。

現場のヒアリングや現状調査などを通じて、しっかりとした目的を設定しましょう。

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(2)データ入力など運用ルールを決める

システム連携と同時進行で運用ルールを策定しましょう。異なるシステムを連携させるということは、運用方法を統一するということでもあります。そのためには、それぞれのシステムが正常に動くようなルールを考えることが必要です。

具体的には、データやシステムごとのアクセス権の設定、受け渡すデータ形式の統一、トラブルに対処するフロー、ログの管理方法、などが挙げられます。

これらのルールはシミュレーションを通して、できるだけ漏れのないようにしましょう。連携開始直後はトラブルが頻発する可能性がありますが、ルールを明確にすることで、問題を最小限に抑えることができます。

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(3)一気に連携させない

スモールスタートで、少しずつ連携をおこないましょう。

はじめのうちは体制自体が未熟で、ルールの穴や、仕様の問題が隠れている可能性があります。いきなりすべてを連携しようとすると、そのような問題が広範囲に広がるおそれがあります。

場合によっては、連携のやり直しや、データの不整合などで業務に支障が出る可能性もあり、非常に危険です。

はじめはできるだけ狭い範囲で、最小限の連携から始めてみましょう。同じ部門内のシステムの連携など、影響の少ないものがおすすめです。

万が一トラブルが起こっても対処は比較的容易な上、今後の横展開に活かすことができます。

CRMと他システムを連携させて会社を巻き込んだ営業活動をしましょう!

CRMは顧客情報を、利用しやすい形で効率的に管理できるシステムです。CRMに記録されたデータは、さまざまな部門で有効活用できます。

社内でデータを活用できるようにするには、CRMを他システムと連携させて、手間なく情報共有できる仕組みが重要です。従業員が必要な業務情報にすぐアクセスできるようになれば、今までは考えられなかったデータ活用のアイデアが生まれるかもしれません。

また、CRMを基盤としたシステム同士の繋がりを作ることで、部門を超えた協力関係が生まれます。これにより、部門が独自に動いていた状態から脱却し、会社を巻き込んだ活動が可能になります。

このように、CRMは会社の体制を大きく変えるポテンシャルを秘めています。現在の顧客管理に少しでも不満を感じているのなら、CRMへの移行を検討してみましょう。

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ビズクロ編集部
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