顧客管理はエクセルでは限界!CRMへ移行すべき理由やメリットを解説
エクセルでの顧客管理は無料で導入できるメリットがある反面、様々な条件の絞り込みや抽出ができないなどデメリットも存在します。より詳しく分析するにはCRMの移行が必須です。本記事では顧客管理をCRMに移行すべき理由や導入メリットを解説します。
目次
顧客管理の方法の種類
顧客情報を営業やマーケティングに役立てるためには、適切な管理が必要不可欠です。
顧客情報の管理によく利用されているツールといえば、「エクセル」と「CRM(Customer Relationship Management)ツール」です。それぞれの特徴は次の通りです。
エクセル
マイクロソフト社が提供する表計算ソフトのエクセルは、多くの企業の様々な部門で利用されています。予定表、日報、営業報告書、申請書、住所録など、様々な用途で使われている、便利なソフトです。表計算はもちろん、図や表、グラフなどを駆使した資料作りにも役立てられています。
エクセルは、顧客情報の管理においても、最もよく利用されているソフトウェアの1つといえます。営業部門やマーケティング部門における顧客情報のデータベースを作成する時にエクセルを活用している企業も多いでしょう。
CRM
CRMは「顧客関係管理」のことです。顧客情報を適切に管理して、効果的なアプローチを行うための様々な機能が搭載されたツールのことです。
CRMはあらゆる顧客情報の収集・蓄積・分析を得意とし、登録した情報を活用して顧客との関係強化や、売上アップに役立てられる機能が充実しています。
一人ひとりの顧客に対して、最適なタイミングで最適なアクションを実行することで、売上の最大化を目指すとともに、顧客満足度を高めるためにも有効なツールとされています。営業部門やマーケティング部門だけでなく、コールセンターやコンタクトセンターにおいても導入効果が期待できます。
▷CRMにはどんな種類がある?種類別の利用目的や特徴を簡単に解説
エクセルがCRMの代わりに使用されている理由
CRMは、営業活動やマーケティングにおいてより最適的な機能が備わっているものの、多くの企業はエクセルを利用して顧客管理を行っています。
なぜ多くの企業でCRMではなく、エクセルを使っているのかについて、3つの理由を説明していきます。
1.コストがかからない
エクセルはビジネスシーンで最もよく利用されているソフトウェアの1つといえるでしょう。エクセルをはじめとするOfficeソフトは、企業のパソコンにあらかじめインストールされているケースが多く、追加的なコストを負担する必要がありません。
一方、CRMの活用には導入費用とランニングコストがかかります。経営層やシステム導入の決定権を持つ担当者が、顧客管理はエクセルで十分と判断した場合、コスト面を鑑みてCRMの導入を見送ることも考えられます。
2.誰でも使えるため
CRMは、ツールによっては高い操作性によって初心者でもすぐに使いこなせるようにベンダー側が工夫を凝らしているものもあります。また導入サポートを行い、活用や定着を支援してくれるベンダーもあります。
ただし、新システムの導入に際しては検討段階で、本当に活用できるかどうかが心理的な負担となります。追加的なコストを支払って導入することになるので、より慎重になることも考えられます。
一方で、エクセルであれば業種や職種を問わず幅広い業務で活用されているので、「使われない」「定着しない」「教育コストがかかる」というリスクを排除できるでしょう。
運用に際して、使用者の心理的な負担が低い点も、顧客管理においてエクセルが使われている理由の1つといえます。
3.汎用性が高い
エクセルは、会社のなかの限られた人だけが利用するツールではなく、様々な用途で活用されています。また必要に応じて、新たな項目の追加や削除が簡単に行えます。
一方、CRMは、営業やマーケティング、カスタマーサポートなど、利用者が限定される場合があります。さらにエクセルのように、導入後に簡単に項目や機能を追加したり、操作性を微調整したりすることができません。
エクセルが使われている背景には、こうした汎用性や柔軟性の高さもあるでしょう。
エクセルで顧客管理するメリット
ここでは、顧客情報をエクセルで管理するメリットについて説明していきます。メリットを理解することで、顧客管理にエクセルが利用されている理由が明確になるでしょう。
1.導入しやすい
エクセルは会社のパソコンに、最初から導入されている場合が多く追加的なコスト負担が不要です。また、手軽に顧客管理のひな型を作成できる点も利点の1つです。さらに、従業員が操作に慣れている点も大きなメリットです。
つまり、会社のコスト面、従業員の操作面・心理面において導入のハードルが低いといえるでしょう。顧客情報を管理するための必要最低限の機能が備わっているので、企業によってはエクセルでの運用に特段の支障を感じないかもしれません。
2.情報をすぐに確認できる
エクセルでは、顧客情報をデータベースの形式で管理します。データベースは、縦と横の二次元の表形式で管理するため、情報が一覧で表示されるので、パッと見てすぐに情報を確認できます。情報を見慣れている形式で、すぐに把握したい場合にはエクセルのほうが利便性が高いともいえます。
3.カスタマイズ性が高い
顧客情報を管理する際には、運用後に項目の追加が必要になるケースもあります。CRMではベンダーに相談する必要がありますが、エクセルであれば、行や列、セルの追加が柔軟に行えるので素早く対応できます。
また単純な集計だけでなく、関数やマクロを使えばより効率的な顧客管理ツールとして活用できます。さらにテンプレートも入手できるので、専門的なスキルがなくても簡単に自社に適した顧客管理が行えるでしょう。
エクセルで顧客管理するデメリット
一方、エクセルで顧客管理をする場合のデメリットもあります。主なデメリットを3つ解説します。
1.リアルタイムでの共有が難しい
顧客情報の入力は、社内の様々な従業員によって行われます。また入力された顧客情報は、部署を横断して様々な担当者が活用します。そのため、リアルタイムに情報を更新し、その情報を共有してすぐに使えることが重要になります。
エクセルでもデータの同時編集や共有は可能です。ただし権限の設定変更など手間がかかったり、そもそもエクセルの同時編集機能をあまり使っていない可能性も考えられます。
その場合には、各自がファイルを更新することになり、1人の担当者が更新をしている間は別の人はその作業が終わるのを待っている必要があります。そして、情報を更新した後、メールやチャットなどを使って情報を共有するというフローが必要になります。
こうした運用では、リアルタイムでの情報共有が難しくなり、手間もかかります。すぐにデータを入力しない場合には、入力を忘れてしまい、データベースがアップデートされないままになる可能性もあります。
2.データが増えると重くなる
顧客情報の管理にエクセルを活用している場合、入力されている情報が多くなればなるほど、動作が重くなっていきます。近年、顧客情報として活用可能な情報が増えていることから、入力項目も増え、データ容量も増加傾向にあります。
営業やマーケティング活動をより効果的に行うためには、膨大なデータの蓄積と活用が必要になることから、今後はさらにエクセルでの管理が難しくなっていくことが考えられます。
3.データの分析がしにくい
情報を整理するためのツールとしてエクセルが力を発揮するシーンは多いものの、情報を分析して営業やマーケティングに活用する際には限界があります。
顧客情報は収集するだけでなく、分析して売上増などにつなげることが目的です。収集した顧客情報を様々な角度から分析して、商談や受注、アップセル・クロスセルにつなげるための機能はCRMのほうが充実しています。
確度の高い見込み顧客の選定や休眠顧客の掘り出し、離反防止のための効果的なアプローチを考える際のデータ抽出など、複雑な分析が必要になる際には、専用ツールを活用することでより効果的な施策が可能になります。
CRMで顧客管理するメリット
次に、CRMのメリットを3つ紹介します。CRMを利用することで、エクセルでの顧客管理が抱えていた課題のいくつかを解決できるでしょう。
1.顧客データの一元管理が容易にできる
CRMは顧客データをクラウド上で一元的に管理できるため、オンラインで利用すればいつでもどこからでも顧客データにアクセスできます。
営業担当者であれば、前任の担当者の営業履歴や対応履歴を確認することで最適な提案が可能になります。また、他部署との取引履歴がある場合には、わざわざ新規に相手先の担当者をリサーチする必要がなくなります。
▷CRM(顧客関係管理)とは?機能や重要性など基本知識をわかりやすく解説
2.クラウド上で情報の共有が簡単にできる
CRMはクラウド上でデータを管理するため、リアルタイムで誰もが同じデータを閲覧できます。営業部門に限らず、カスタマーサポートやマーケティング、PRなど、他部署とデータをリアルタイムで共有することで、顧客対応や提案内容の最適化が図れます。
また客先からでもすぐに最新のデータにアクセスできるので、営業効率や営業の質を高めることもできるでしょう。こうした使い方はエクセルでは難しいため、情報共有の点でCRMは優位性があるといえるでしょう。
▷おすすめクラウド型CRM18選!機能や料金を徹底比較!無料ツールも!
3.データの分析ができる
CRMは、情報を管理することはもちろん、情報を活用することに焦点をあてたツールです。単に情報を収集・蓄積するだけではなく、その情報を実際の営業活動に活かすために、データを分析する機能が備わっています。
たとえば、特定の商品を購入している顧客に共通する属性を抽出する機能や確度の高い顧客だけを抽出する機能などが該当します。このように、顧客情報の分析を通じて効果的な営業活動につなげられるのが、CRMの最大の強みです。
▷LTV分析とは?必要性や計算方法・マーケティングへの活用事例を解説
▷セグメンテーション分析とは?重要な理由や具体的な方法・成功事例を解説
CRMで顧客管理するデメリット
CRMで顧客管理をすることには多くのメリットがあるものの、デメリットもあります。デメリットを理解したうえで、CRMの導入を検討することが大切です。
1.効果が出るまでに時間がかかる
CRMの効果を最大化させるためには多くの顧客データを蓄積することが重要です。また使用者の慣れや習熟度も大切な要素です。そのため、CRMを活用してから実際に効果が出るまでには一定の時間を要します。
すぐに効果を定量化できないため、コストパフォーマンスの良し悪しが判断しにくい場合があるので注意が必要です。拙速な判断は、CRMの効果を誤って判断することになる可能性があるので、長期的なスパンで取り組むことが肝要です。
2.コストがかかる
大半のCRMツールは、導入費用と毎月の月額使用料、または年額費用などがかかります。そのため多くの企業で導入済みのエクセルと比べると、コスト面では劣る部分があります。
ただしクラウド型のCRMは初期費用がほとんどかからず、ランニングコストも低い傾向があります。また無料版やトライアル期間を設けているツールもあるので、一度試してみて、効果や使用感を確認してみるのも良いでしょう。
3.カスタマイズが難しい
顧客管理の方法や運用ルールは企業ごとに異なるのが普通です。そのため導入前にはベンダーと打ち合わせを行いながら自社に最適なシステムにカスタマイズすることになります。
ただし、導入後に必要な項目の追加や削除が発生するケースもあります。そうした場合には、追加で費用がかかることになります。システムによっては自社でカスタマイズ可能ですが、その場合にも対応できるIT人材の確保が必要になる点には留意が必要です。
▷CRM導入のメリット・デメリットとは?初心者にもわかりやすく解説
顧客管理をCRMへ移行すべき理由
効率的な顧客情報の管理や、営業・マーケティングのパフォーマンスを最大化させるために多くの企業がCRMの導入を進めつつあります。企業が顧客管理をエクセルからCRMへ移行すべき理由を、3つの視点から解説していきましょう。
1.社内で顧客情報を一元管理するため
営業担当者ごとに顧客情報を持っている場合、各担当者が独自に営業活動を行うため非効率な営業になってしまいます。また、担当者が変更になった時の引き継ぎがうまくいかないと、相手先からの評価が下がり、顧客満足度の低下や契約の打ち切りなどにつながるおそれもあります。
一方、CRMを活用することによって、各営業担当者が持っている顧客情報を集約して一元的に管理できるようにすれば、営業部門全体で効率的な営業活動が可能となります。
またエクセルでは、社内の顧客情報を一元管理するための手間がかかります。営業担当者が情報を入力し、その情報を管理担当者に送信し、管理担当者が再度データを入力して、各営業担当者に最新の顧客情報を提供するという運用が必要になります。
CRMを導入すれば、営業担当者がクラウド上の顧客情報を更新するだけで、その他のプロセスを経ずとも、最新の情報を他の担当者に共有できるので、営業効率が上がり、生産性向上や売上拡大も期待できます。
2.リスクを軽減するため
CRMを活用すれば、クラウド上に保管されたデータにアクセスできる権限を細かく設定できます。閲覧権限だけを与え、情報の変更権限は与えないという使い方も可能です。
またクラウド上に自動的にバックアップがとられるため、誤操作によるデータ損失のリスクも軽減できます。
3.進捗管理がわかりやすい
エクセルでは、多くの場合顧客情報の更新のために、担当者同士でデータのやりとりをしなければなりません。一方CRMは、システム上でデータをリアルタイムで更新し共有できます。
クラウド上のデータは常に最新の状態なので、従業員間で状況確認のための伝達が不要になります。CRMでは対応履歴の確認や進捗管理が行えるので、現状の把握と次のアクションが明確になるメリットがあります。
▷CRM施策の基本ガイド!重要性や具体的な施策一覧・成功事例を解説!
おすすめの無料CRMツール3選
最後に、無料で利用可能なおすすめのCRMを紹介していきます。エクセルからCRMに移行を検討中の会社は、まずは無料ツールを試してみてはいかがでしょうか。
1.Hub spot CRM
Hub spot CRMは、顧客管理や営業支援などにおいて効果を発揮する無料のCRMツールです。無料ながら、以下のような多彩な機能が利用できます。
- コンタクト、取引、タスクの管理
- Eメールのトラッキングとエンゲージメント通知
- Eメールのテンプレート作成とスケジュール設定
- ドキュメント共有
- ミーティングのスケジュール設定
- ウェブチャット
- 見積書の作成
最大100万件のコンタクトを登録でき、ユーザー数とストレージ量は無制限です。利用期限もなく、完全に無料で利用できます。
提供元 | HubSpot Japan |
---|---|
初期費用 | 無料 |
料金プラン | 無料 |
導入企業数 | 14万社以上 |
機能・特長 |
|
URL | 公式サイト |
2.Ambassador Relations Tool
Ambassador Relations Toolは、株式会社コンファクトリーが提供する初期費用・月額費用がかからない無料のCRMです。Ambassador Relations Toolを利用すれば、顧客の基本情報や商談・対応履歴を簡単に一元管理できるようになります。
顧客の購入履歴・利用行動からRFM分析(「最終購入日(Recency)」「購入頻度(Frequency)」「購入金額(Monetary)」の3つの指標を用いて顧客をグループに分ける手法)を行い、自動的に6つのランクにグルーピングしてくれます。
各ランクに応じた施策を行うことができ、顧客属性に合わせて最適なマーケティング活動を実施できるなど、無料ながら充実した機能を利用できるのが魅力です。
提供元 | 株式会社コンファクトリー |
---|---|
初期費用 | 無料 |
料金プラン | ・フリープラン 無料・クラウドプラン 初期費用 0円 月額 29,480円(税込)・クラウドBプラン 初期費用 0円 月額 110,000円(税込)・サーバ設置プラン 要問い合わせ |
導入数 | 非開示 |
機能・特長 |
|
URL | 公式サイト |
3.Fullfree
Fullfreeは、株式会社フリースタイルが提供する、ダウンロードして自由に使える顧客管理ソフトです。パッケージ型のCRMに該当します。
Fullfreeは、2つのモードがあり、パソコン1台(スタンドアロンモード)でも、複数台(クラウドモード)でも利用可能です。データベースの共有・同時編集ができるのが特徴です。パッケージ型のCRMで無料で使えるものは少ないので、おすすめです。
提供元 | 株式会社フリースタイル |
---|---|
初期費用 | 無料 |
料金プラン | 無料 |
導入数 | 非開示 |
機能・特長 |
|
URL | 公式サイト |
用途にあったCRMを導入して効率的な顧客管理を
CRMの導入が進んでいる昨今にあっても、依然として多くの企業がエクセルによる顧客情報管理を行っています。CRMは顧客情報を管理するだけでなく、顧客情報を活用した効果的なマーケティングや営業を実現するために有効なツールです。
用途にあったCRMを導入することで、効率的な顧客情報管理と情報活用を実現できるため、新しいツールであるCRMを検討してみてはいかがでしょうか。
▷最適なCRMの選び方とは?自社の目的にあった選定ポイントと確認事項を解説
▷CRMの導入方法をわかりやすく解説!失敗しないためのポイントも!
▷CRMマーケティングとは?基本知識から成果を上げる戦略の考え方について
CRM(顧客管理システム)の記事をもっと読む
-
ご相談・ご質問は下記ボタンのフォームからお問い合わせください。
お問い合わせはこちら