CRMの顧客データはどう使う?よくある失敗や分析・活用方法を解説

最終更新日時:2023/01/06

CRM(顧客管理システム)

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CRMの顧客データを蓄積するだけで活用できていないマーケティング担当者は、まず顧客データの種類と失敗例を学び、分析方法を見直してみましょう。この記事ではCRMの顧客データの分析方法と活用手順、具体的な顧客データの活用事例を紹介しています。

CRMの顧客データの種類

CRMに蓄積できる顧客データには、「定量データ」と「定性データ」の2種類があります。まずは簡単におさらいしておきましょう。

(1)定量データ

定量データは、数値化できるデータや事実として明らかな情報を指します。例えば次のようなデータです。

  • 売上
  • 取引件数
  • 購入数
  • 購入頻度

また、顧客の年齢・性別・家族構成・住所などの情報も定量データに含まれます。定量データは、会員登録フォームやアンケートによって調査可能です。

(2)定性データ

定性データは数値化しにくいデータを指します。例は次のとおりです。

  • 商品・サービスを使った感想
  • クレーム
  • 疑問

定性データは、顧客からの問い合わせやアンケートなどによって調査可能です。

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顧客データの活用でよくある失敗

CRMで顧客データを活用する際に陥りがちな失敗例を紹介します。

(1)データが古すぎて役に立たない

CRMに蓄積されている顧客データは、あくまで人の手によって入力された情報のため、更新されない限りデータは古くなっていきます。

古い顧客データを分析したところで適切な施策につなげられないので、CRMの効果は感じにくいでしょう。

誤った分析結果をもとに、顧客へメッセージを送ったり商材を提案したりしても、よい反応を得られないばかりか、顧客を混乱させることや信用を失うことにつながるかもしれません。

(2)優先順位をつけずにデータを収集している

顧客データは多ければ多いほど、精度の高い分析ができます。

しかし、データの優先順位をつけずに無作為に情報を収集しても、「結局何を分析したかったのか」「何を改善したかったのか」と、方向性を見失う可能性があります。

また、収集するデータが多すぎると収集や統合に時間や手間がかかり、分析に手が回らないという問題も起こりかねません。したがって、本当に必要な情報が何かを見極め、情報の取捨選択をしていく必要があります。

(3)従業員がデータを入力していない

従業員がデータを入力しないことで、顧客データが蓄積されないという失敗例もあります。入力しない原因には、以下の内容が挙げられます。

  • 入力項目が多すぎる
  • CRMによる分析の必要性が分かっていない
  • そもそもCRMの導入目的を理解していない

上記のように、CRMへデータが入力されないのには、いくつかの原因があります。そのため、自社に当てはまる原因に合わせて、入力項目の見直しやCRMの導入目的・必要性の共有を行いましょう。

(4)情報を蓄積しているだけ

CRMに顧客データを蓄積しているにもかかわらず、分析を行っていないケースも見られます。

CRMは顧客データを蓄積するとともに、そのデータを分析し戦略立案に役立てることが目的ですが、分析を行わなければ、ただ情報が蓄積されていくだけで状況に変化はありません。

この課題の根底には、CRM自体の操作性が悪いことや、活用ノウハウを持っていないなどの原因が挙げられます。そのため、導入するCRMや活用方法を見直す必要があります。

(5)分析指針がアップデートされていない

CRMの活用で効果を感じられない場合、そもそも分析における指標が適切でないことがあります。

分析指針が最適化されていないと、CRMの費用対効果は得られにくいといわれており、効果を見ながら分析指針を適宜アップデートしないと意味がありません。

また、分析指針が曖昧だと得られた効果がCRMの効果なのかどうかも判断しにくいです。

そのため、「新規顧客獲得数」「リピート率」など具体的なKPIを設定したうえで、効果を得られない際は分析指針を見直すことが大切です。

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CRMの顧客データを分析する方法

CRMに蓄積した顧客データはどのように分析すればよいのでしょうか。具体的な分析方法を5つ紹介します。

(1)セグメンテーション分析

セグメンテーション分析は、特定の条件を設け、収集したデータをもとに顧客をグループ分けしていく分析手法です。

多様化する顧客ニーズを把握し、一定の属性を持つ顧客にどのようなアプローチをするのかを検討します。

セグメンテーション分析における条件には、「年齢」「性別」「居住地」などの基本情報から、「購入商品」「購入頻度」「購入金額」などの購買行動、さらに顧客の好みや趣味趣向に関する情報まで含まれます。

さまざまな条件による分析を行うことで、どのような特徴を持つ顧客が、どのような商品を好むのかを把握でき、セグメントの条件を変えながら多角的に分析を行えば、ターゲティング精度の向上も期待できます。

セグメンテーション分析とは?重要な理由や具体的な方法・成功事例を解説

(2)RFM分析

RFM分析は、「Recency(最終購入日)」「Frequency(購入頻度)」「Monetary(購入金額)」の3要素から構成されており、自社のファンや優良顧客を見極める分析手法です。各顧客における3要素を分析し、顧客をスコアリングします。

例えば、最終購入日から1週間で来店が確認でき、購入頻度の高い顧客であれば、優良顧客と判断できるうえ、次回来店時の購入が期待できるでしょう。

このように、優良顧客は自社の売上に貢献してくれる可能性が高いため、優良顧客をターゲットとして施策を立てることで、効率的なマーケティング活動につながります。

RFM分析とは?目的や分析手法・活用メリットや具体事例を解説!

(3)行動トレンド分析

行動トレンド分析は、特定の時期やシーズンによって売上が変動する商品・サービスにおいて、どのような顧客層がもっとも売上に貢献しているのかを分析する手法です。

特定の季節や顧客層を分析することで、時期やターゲットを細かく絞り込んだうえでのマーケティング施策を立案できます。

シーズンとターゲットを絞り込んだマーケティング施策は効果が高く、コストパフォーマンスにも優れているといえます。また来期以降の売上予測にも役立てられる手法です。

(4)デシル分析

デシル分析は、顧客の購入履歴をもとに購入金額順で10のグループに分け、優良顧客を見極める分析手法です。

グループごとの購入金額や購入金額の比率などを分析することで、各グループの特徴や傾向を把握できます。

例えば、購入金額の多い上位3グループが全体の購入金額の5割を占めている場合、この上位3グループに向けたマーケティング施策を立案することで、売上拡大が期待できるでしょう。

このように、デシル分析によって優良顧客を見極めてターゲットの優先順位を明らかにできるので、限られたマーケティングリソースの効率的な投下が可能になります。

(5)CTB分析

CTB分析は、「Category(分類)」「Taste(デザイン)」「Brand(ブランド)」の3要素から構成されており、各顧客の趣味趣向を把握するための分析手法です。

3要素を分析することで、顧客がどのような商品・サービスを購入する傾向があるのか、好みはどのようなものかなどを把握できます。

そのため、商品・サービスの開発以外にも、それぞれの顧客層に最適なプロモーションも可能となるでしょう。

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CRMの顧客データの活用手順

CRMの顧客データの活用手順をみていきましょう。

(1)顧客情報を集める

まずは、顧客情報を集めるところから始めましょう。ただし、すべての情報を集めるのではなく、必要な項目を設定したうえで情報を集めると、収集・統合の時間や手間を削減でき、後の工程でも効率化を図れます。

また情報収集の段階で自社のターゲットとなる顧客を想定しておくことで、無関係な情報やノイズとなり得る情報が排除できるでしょう。

(2)自社目標に沿った分析を行う

顧客情報が収集できたら分析を行います。

CRMを使った分析手法は様々なので、自社の目的を達成できそうな分析手法を見極めることが大切です。

最適な分析手法を見極めるには、分析によってどういう情報を得たいのかを洗い出しておくとよいでしょう。そして、得たい情報を導くにはどういった分析が必要なのかという視点から、分析手法を決定します。

例えばアパレル商品など、季節性の商品に関する分析には行動トレンド分析が向いているでしょう。そもそも顧客の売上実績データしか蓄積していない場合には、簡易的な手法であるデシル分析が適しています。

その後購入頻度や購入回数などのデータが収集できた段階で、RFM分析でより詳細な分析を行うといったパターンも考えられるでしょう。

(3)属性別にメール・コンテンツの配信を行う

分析によって顧客層やターゲットが明らかになったら、それぞれのターゲットに適したメールやコンテンツの配信を行います。ここではターゲット層の特徴を把握したうえで、効果的な内容を検討することが大切です。

ただし、企業によっては分析のみで満足し、実際の戦略に落とし込めていないケースがよくみられます。CRMに蓄積されたデータは、分析後も実際の戦略に落とし込むことで効果を発揮できます。分析が目的化することなく、具体的なアクションまでつなげましょう。

(4)効果を見ながらPDCAサイクルを回す

一度の分析と実行で効果を得られることもありますが、顧客行動の変化や外部環境の変動などの影響を受けて、効果が落ちることも考えられます。

その場合は効果を見ながら分析と実行を繰り返すことで、マーケティング精度を高められます。当初の目標が達成できるまで、PDCAサイクルを継続的に回し続けましょう。

状況に応じて、分析手法や収集する情報に変更を加えながら、自社にとって最適な戦略立案につなげましょう。

CRMで顧客データを活用する具体的事例

CRMの顧客データを活用する具体例を3つ紹介します。データ活用まで落とし込めていないマーケティング担当者は、ぜひ参考にしてみてください。

(1)メールマーケティングへの活用

CRMにはメール配信機能が備わっているものが多く、蓄積された顧客データをもとにメールマーケティングを行えます。

メールを配信する際は、顧客一人ひとりに配信するだけでなく、さまざまな特徴で分類された顧客グループへの一斉送信も可能です。

メールマーケティングは、顧客の購買意欲を促進させるほか、自社と顧客の関係性の構築や認知度向上にもつながるでしょう。

メールマーケティングを行う際は、メール配信後も開封率やリンクのクリック率などを分析しながら、改善を繰り返すことが大切です。

(2)CTIと連携して顧客対応を向上

CTIとは、コンピュータと電話・FAXを連携させる技術であり、電話対応業務に導入することで、顧客対応の品質向上につながります。

CTIとCRMを連携すると、電話対応時に、顧客の電話番号をもとに購入履歴や過去の問い合わせ内容などの顧客情報を表示できるため、情報を見ながらの対応が可能です。

そのため、いちから顧客情報を聞くことなく、スムーズな対応を実現できるでしょう。

電話対応時の記録から顧客の特徴を掴めるため、顧客とのトラブル防止にもつながります。

(3)行動分析でパーソナライズされた情報を配信

顧客ニーズが多様化している現代では、多くの顧客に対して画一的な施策を行うよりも、顧客一人ひとりに合わせたOne to Oneマーケティングが主流になっています。

CRMに蓄積された顧客データをもとに行動分析し、優良顧客・既存顧客・見込み顧客などに分けたり細かくセグメント分けすれば、顧客に応じた最適なメール配信やコンテンツ表示が可能になります。

CRM施策の基本ガイド!重要性や具体的な施策一覧・成功事例を解説!

CRMの顧客データは蓄積だけでなく活用しましょう!

CRMは導入して顧客データを蓄積するだけでなく、分析と具体的なアクションにまでつなげることが重要です。

マーケティング施策は、PDCAサイクルを回し、分析手法や収集データの調整や改善を行い続けることでより効果を高められるでしょう。

多様化する顧客ニーズに対応したマーケティング施策が実行できるように、CRMの有効活用に注力しましょう。

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