グループウェアとワークフローの違いとは?特徴や活用方法
働き方の多様化が求められる現代、よく耳にする「グループウェア」「ワークフロー」。業務に役立つものであるとは認識していても、厳密な違いはわからないという人が多いのではないでしょうか。本記事では、グループウェアとワークフローの違いに加え、それぞれの特徴や導入に向いている企業を紹介します。
目次
グループウェアとワークフローの違い
情報技術が進化し、多くの業務がデジタル化されるなかで、さらなる業務効率化を目指したグループウェアの活用やワークフローの導入が進んでいます。
しかし、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。まずは、それぞれの違いと特徴を解説します。
グループウェアの特徴とは?
グループウェアとは、組織内のコミュニケーションや情報共有を効率化するためのツールです。
グループウェアには、さまざまな機能が搭載されていますが、主に以下の「情報共有」、「コミュニケーション」、「業務のデジタル化」の3つの基本機能に大別できるのが共通する特徴といえるでしょう。
- 情報共有(カレンダーや予定表、文書管理、社内掲示板)
- コミュニケーション(チャット、メール、社内SNS、オンライン会議)
- 業務のデジタル化(各種申請・承認フローのデジタル化、タスク管理、電子回覧板)
そのため、グループウェアを導入することで、あらゆる業務のデジタルシフトが進むのはもちろん、情報管理が効率化され、社員同士の連携もスムーズになります。
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ワークフローの特徴とは?
グループウェアのワークフロー機能には、各種手続きをオンラインで行えるようにすることで、効率化やペーパーレス化を実現できる特徴があります。
ワークフロー機能の利用により、申請・承認作業そのものが効率化されるだけでなく、外出先でも利用可能なアクセス性に優れたグループウェアの特徴を活かし、業務の遅延を回避することもできます。
また、承認フローの進捗状況が、常にオンラインで可視化される点は内部統制にも役立つでしょう。経費精算、勤怠関連の届出といった手続きにも使えるなど、その汎用性の高さは、グループウェア機能のなかでも、特に生産性の向上や最適化といった導入のメリットを実感しやすい機能といえます。
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グループウェアを導入するメリット
ここからは、グループウェアを導入することで得られる、代表的な3つのメリットをご紹介します。
場所や時間を問わず業務を遂行できる
クラウド型のグループウェアは、そのほとんどがマルチデバイス対応として、PC、スマートフォン、タブレットなどの多様なデバイスからアクセスし、使用することができます。
場所や時間を問わない利便性の高さは、テレワークにおける情報共有や生産性を促進し、外出先や移動中の隙間時間も業務に充てられるなど、無駄の削減にもつながります。働き方が多様化した現代のビジネスシーンにおいて不可欠な機能といえるでしょう。
スムーズに情報共有ができる
グループウェアの導入により、組織内の情報が一元化かつオンライン化されるため、管理の手間が削減されるだけでなく、情報の共有性が高まるだけでなく、リアルタイム性も向上します。
文書管理だけでなく、スケジュール機能やタスク管理機能による進捗状況の見える化、重要な告知、各部門からの報告など、業務上の情報がリアルタイムで共有されることで、意思決定の迅速化や業務の連携がスムーズに行えるようになるのです。
従業員間のコミュニケーションの頻度や質も高まり、組織全体の生産性が飛躍的に向上するでしょう。
ペーパーレス化を促進できる
グループウェアの利用により業務のデジタルシフトが進むことで、組織内のペーパーレス化も促進されます。
各種文書や資料のデジタル化は、用紙代や印刷代などの直接的なコスト削減につながるだけでなく、ファイリングやラベル付けといった管理の手間や書類保管スペースが不要になるなど、幅広いコスト軽減を実現します。
また、デジタルデータの検索性の高さは、日々の業務効率化にも大きく貢献するでしょう。
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グループウェアを導入するデメリット
次に、グループウェア導入前に考えておくべき、デメリットについても詳しく説明します。
導入する際に費用がかかる
グループウェアには、オンプレミス型とクラウド型の2種類がありますが、いずれも導入時の初期費用やランニングコストが掛かります。
オンプレミス型は、初期費用としてソフトウェアライセンス料やハードウェアの設備投資が必要となるものの、ランニングコストは抑えられる傾向にあります。
対して、クラウド型では、初期費用が無料のサービスもあるなど、導入時のコストは抑えられますが、主に定額制の料金プランとなっているため、ランニングコストが掛かり続けることになります。
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システム移行時に負担が増大する
グループウェア導入時には、システム移行のための業務の棚卸しや見直し、利用に関するルールやマニュアルの作成、操作に慣れるまでの問い合わせ対応など、一時的に業務の負担が増すことになります。
グループウェアの運用が浸透した後は、大幅な業務効率化や生産性の向上が見込まれるものの、準備段階から一定の人的リソースを要する点については、あらかじめ認識しておかなければなりません。
自社に適したグループウェアを見つけるのが難しい
ひと口にグループウェアといっても、機能や特徴はさまざまです。
自社に適した製品を見つけるには、まず、自社が抱える課題の可視化と導入目的の明確化、システム化を見据えた業務の棚卸しといったプロセスを経て、必要な機能の洗い出しを行います。
そのうえで、必要機能を搭載したグループウェアのなかから、操作性、使用感、コスト、連携機能を含めた汎用性などを基準に自社に合うグループウェアを見つけなければなりません。どのグループウェアを選んでも同等の業務改善効果が得られるというわけではないことに気をつけなければならないのです。
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ワークフローシステムを導入するメリット
導入目的によっては、多機能なグループウェアではなく、ワークフロー機能のみを利用したいこともあるでしょう。そのようなケースでは、ワークフローの効率化に特化したワークフローシステムの利用がおすすめです。
ワークフローシステムを導入する2つのメリットをお伝えします。
テレワークの導入につながる
テレワークの制度を導入していても、休暇などの勤怠にかかわる申請や経費精算、稟議の申請・承認作業などが発生する度に出社が必要となる業務環境であれば、実質、テレワークは実施されず、形骸化した制度になってしまうでしょう。
ワークフローシステムは、申請・業務フローの電子化により、ペーパーレス化や脱ハンコができることから、テレワークをはじめとした働き方改革の実現につながります。
申請書類のフォーマットを作成し、申請の手間を省略化する機能や、フォームの入力内容を自動でチェックする機能を搭載したシステムもあるため、業務の簡略化やミスの防止により、組織全体の業務効率化や生産性の向上が期待できます。
決裁フローがスムーズになる
業務の承認や決裁フローがデジタル化され、迅速な処理ができるのもワークフローシステムのメリットです。
紙の文書を介したフローが削減されるため、物理的な書類のやりとりで発生する遅延や手間が軽減されます。このような承認フローの効率化は、意思決定のスピードへとつながり、俊敏性のある組織の構築を促進します。
内部統制を強化できる
ワークフローシステムでの承認フローは、進捗状況がすべてシステム上で可視化されることから、不適切な承認フローの実行を未然に防ぐことも可能になります。
適切な手順を踏んでいない申請や承認フローを検出し、システムの操作履歴から、誰が申請し、承認したかなどを追跡できることから、不正が起きにくい環境醸成のもと、内部統制が強化されるのです。
ワークフローシステムを導入するデメリット
ワークフローシステムには、導入前に知っておきたいデメリットもあります。
ここでは、2つのデメリットについて詳しくお伝えします。
操作に慣れるまでに時間がかかる
ワークフローシステムに限らず、新しいシステムの導入時は、「慣れるまでの時間」が必要です。
特に、長期間に渡って定着した業務プロセスがある場合は、システムが定着するまでに、より多くの時間を要する傾向にあります。さらに定着するまでの期間中は、不慣れなことから操作ミスが発生することもあります。
十分な移行期間の設定や研修の実施により、移行時の混乱をなるべく最小限に止めるための準備が必要です。
既存システムとの連携ができないケースがある
ワークフローシステムの導入時に大きな課題となるのが、既存のITシステムやデータベースとの互換性です。
ワークフローシステムは、例えば、経理システムや人事システムなどのバックオフィスシステムとの連携により業務効率化の可能性を組織全体に広げることが可能です。
しかし、互換性のないシステムを選んでしまうと、連携による相乗効果が期待できないばかりか、二重入力や手動でのデータ転送といった非効率な作業が発生することで、生産性を落としてしまうことも考えられます。
外部システムとの連携可否は、ワークフローシステム導入前にしっかりと確認することが大切です。
「グループウェア」と「ワークフロー」どちらを導入すべき?
目的や予算に合わせて導入を検討したいグループウェアやワークフローシステムですが、どちらを導入すべきなのか、迷ってしまうこともあるでしょう。
ここからは、それぞれのシステムが向いている企業の特徴について紹介していきます。
グループウェアの導入がおすすめの企業
グループウェアには、「情報共有」、「コミュニケーション」、「業務のデジタル化」と、多様な機能が搭載されているため、組織全体のDXを進めたい企業や、拠点が複数ある企業、あるいは、多様なワークスタイルを導入している企業に向いています。
グループウェアを導入することで、働き方や働く場所の違いに左右されることなく、組織内のコミュニケーションが効率化され、業務の進捗や変更点を迅速に素早く共有することが可能となります。
また、グループウェアで情報が一元化されることによって、情報の共有性やリアルタイム性が向上されるため、組織内の情報格差の防止も効果が期待できるでしょう。そのためビジネスのアジリティをより高めたい企業にもおすすめです。
▷グループウェアの使い方|仕組みや最大限に活用する方法
ワークフローシステムの導入がおすすめの企業
ワークフローシステムは、申請・承認フローの効率化に特化したシステムのため、コミュニケーションツールや情報共有、文書管理に既存のシステムがある企業などは、ワークフローシステムの導入がおすすめです。
グループウェアにも、基本機能としてワークフロー機能が搭載されていますが、最低限のシンプルな機能となっていることがほとんどです。
ワークフローシステムでは、承認フローの設定、申請入力フォームの作成、申請時入力エラーの自動チェック、承認フローの可視化・管理機能、申請の検索といった申請・承認時に必要な作業を包括的にサポートし、効率化できる機能が充実しています。
そのため、承認フローや決裁業務の非効率さ、生産性の低さが課題となっている企業においては、特化型のワークフローシステムを選ぶことで、より業務改善の効果を実感できるでしょう。
また、内部統制を強化したい企業にもおすすめです。ワークフローシステムは、申請・承認フローやルールを遵守するためのサポート機能を備えており、不正やミスのリスクを軽減する役割も果たします。
グループウェアとワークフローシステムは併用もおすすめ
グループウェアとワークフローシステムは、それぞれが異なる機能を持つため、必要に応じて併用するのもおすすめです。
ただし、システム導入には、コストが伴うため費用対効果を見極めなければなりません。
グループウェアには、シンプルなワークフロー機能が搭載されているため、まずはグループウェアのワークフロー機能を活用してみたうえで、さらなる効率化を目指すのであれば、ワークフローシステムを検討してみるのも良いでしょう。
2つのシステムを連携することで、申請・承認フローをワークフローシステムで電子化し、その結果をグループウェアで共有することもできるなど、組織全体の業務スピードの加速化、円滑化が可能となります。
グループウェアとワークフローの違いを理解し最適な方を導入しよう
グループウェアとワークフローシステムは、いずれも情報共有や業務の効率化、コミュニケーションの円滑化を目指すツールですが、その機能には大きな違いがあります。
ここでご紹介したそれぞれの特徴や違いを参考に、自社の目的に合った最適なシステムを導入し、デジタル化による業務改善、生産性向上を実現しましょう。
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