コーピングとは?種類や意味・具体例をわかりやすく解説

最終更新日時:2023/08/07

健康管理システム

コーピングとは

ストレスの多い現代社会において、重要視されているメンタルヘルス。そこで注目を集めているのが、ストレス対処行動の一つ「コーピング」です。コーピングとは、どのような行動なのでしょうか。今回は、その種類や意味を具体例と合わせて解説します。

コーピングの意味とは?

コーピングとはストレスに対処するための行動のことであり、ストレスコーピングとも呼ばれています。

コーピングには本来「対処する」「対応する」などの意味があり、転じて「ストレス要因の解決」や「ストレスによる負担の軽減」を目的とした行動を表す用語として使われるようになりました。

ビジネスシーンではコーピングを上手に活用してストレス管理を可能にし、パフォーマンスの向上やモチベーションの維持に役立てられると考えられています。

コーピングはストレスの多い現代社会で注目されている

ストレスの多い近年の現代社会において、ストレスに対処するひとつの方法としてコーピングが注目を集めています。

厚生労働省が実施した「令和3年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況」によると、53.3%もの人が「現在の仕事や職業生活に関することで、強いストレスとなっていると感じる事柄がある」と回答。ストレスを感じている具体的な事柄と回答者の割合は以下の通りです。

  • 仕事の量:43.2%
  • 仕事の質:33.6%
  • 対人関係:25.7%
  • 役割・地位の変化:17.9%

誰しもストレスフルな環境下で十分なパフォーマンスを発揮するのは困難であり、そのような状況に対処すべく、コーピングによるパフォーマンスの向上やモチベーションの維持が期待されています。

[出典:厚生労働省「令和3年労働安全衛生調査(実態調査)個人調査」]

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コーピングと適応機制の違い

コーピングと適応機制は、本人の意識の面に違いがあります。

コーピングは「意識的」に自ら行うものを示すのに対し、適応機制は、精神的なストレスを受けた際に、落ち着いた状態へ戻ろうと「無意識」に取るさまざまな手段や行動を意味します。

そのため、適応機制は、自身の欲求が満たされないときに起こる緊張・不安を和らげ、心の安定を保とうとする本能的な反応であることから防御機制とも呼ばれています。

コーピングは意識的に行うもののため、内容や正しい手法を学ぶことで誰でも実践できる点が大きなメリットといえるでしょう。

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コーピングは段階に応じて5種類に分けられる

具体的なコーピングの方法を段階別に5種類紹介します。

1.問題焦点型

問題焦点型とは、ストレッサー(ストレスの根本原因)を取り除いてストレスの軽減を図る方法です。問題焦点型はさらに「接近型コーピング」と「回避型コーピング」に分類されます。

たとえば、営業職の従業員が与えられた目標に強いストレスを感じている場合、接近型コーピングでは以下のような対応が考えられるでしょう。

  • 営業目標自体を見直し、達成可能な数字まで落とし込む
  • 営業目標を達成できている同僚や上司にアドバイスを仰ぐ
  • 現在の営業手法の見直しを検討する

一方、回避型コーピングの場合は「異動などで営業職の担当から外れる」といった対応が考えられます。

ストレッサーに変化を加えられそうな場合はまず接近型コーピングを実施し、解決が難しい場合は回避型コーピングに切り替えるなど使い分けると良いでしょう。

2.情動焦点型

情動焦点型とは、ストレッサーに対する考え方や捉え方を変えてストレスの軽減を図る方法です。

たとえば、仕事上の人間関係に強いストレスを感じている場合、以下のような考え方や捉え方もできるでしょう。

  • 自分が管理職になったとき、同じ悩みを抱える部下に寄り添ってあげられる
  • この人とうまく付き合えるようになると、自分の人間性が向上する
  • 仕事上の人間関係がすべてではないと考え、粛々と役割を果たす

ただし、情動焦点型には考え方や見方を変えるコーピングスキルが必要です。スキルが身につくまでは効果が薄い可能性があるため、即効性は期待できず、根気強く取り組む必要があります。

3.社会的支援探索型

社会的支援探索型とは、自分1人で解決を目指すのではなく、周囲に助けや協力を求める方法です。たとえば、以下のような方法が考えられます。

  • 仕事の悩みを家族や友人に相談する
  • 上司や同僚に協力を仰ぐ
  • 相談窓口・支援サービスなどを利用する

社会的支援探索型では、1人で悩みを抱え込まずセーフティーネットを持つことでストレスの軽減を目指します。

4.ストレス解消型

ストレス解消型とは、ストレスを感じたあとに軽減する行動をするもので、「気晴らし型」とも呼ばれています。具体的には以下のようなものです。

  • 適度な運動をする
  • 好きな食べ物を食べる
  • 趣味に没頭する
  • リラクゼーションの時間を過ごす

ストレッサーから物理的に距離を置き、一旦忘れてリセットすることでストレスの軽減を目指します。ストレスの解消法は人それぞれ異なるため、自分に合った方法を見つけられると良いでしょう。

5.認知的再評価型

認知的再評価型とは、ストレッサーに対する見方を変える、いわゆる「ポジティブシンキング」のことで、情動焦点型コーピングの一種です。

たとえば、与えられた営業目標がストレスに感じる場合、以下のような見方に変換します。

  • 自分は会社から期待されている
  • 自分を成長させるチャンスを与えてもらった
  • これを乗り越えれば評価される

情動焦点型が見方や角度を変えるアプローチであるのに対し、認知的再評価型は前向きな見方に変換するイメージです。

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コーピングによるメンタルヘルスケアで得られるメリット

コーピングを活用してメンタルヘルスケアを行うメリットを3つ紹介します。

生産性の低下を抑制する

コーピングによるメンタルヘルスケアの実施は、組織全体の生産性低下を抑制する効果が期待できるでしょう。

メンタルヘルスは、個人や組織の生産性に大きく関与していることから、従業員一人ひとりにとって、ストレスが少なく意欲的な状態で働ける環境の実現は、最大限のパフォーマンス発揮にもつながります。

組織の活性化につながる

コーピングは、職場における人間関係の円滑化をはじめとした、組織全体の活性化にも貢献します。

人間関係の不和は従業員にとって大きなストレスとなり、目の前の業務に集中できなくなるだけでなく、メンタルヘルスの不調に直結するものです。

特に、社内相談窓口や従業員同士のコミュニケーションスペースの設置、交流できるイベントなどの開催は、社会的支援探索型やストレス解消型のコーピングを促す受け皿としても役立ちます。

ストレスによるリスクを防止できる

適切なコーピングを実施することで、ストレスによるさまざまなリスクを防止できる可能性があります。

メンタルヘルスの不調を抱えたままでは仕事のパフォーマンスやクオリティが低下するだけでなく、身体的な体調不良を引き起こしたり、休職・離職に発展したりするケースも珍しくありません。人材の流出以外にも、従業員の健康管理を怠ったことで労災請求や訴訟に発展する例も散見されます。

このようなストレスから始まるさまざまなリスクを最小限に抑えられるのもコーピングの大きなメリットといえるでしょう。

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コーピングを効果的に実施する方法

コーピングを効果的に実施する具体的な方法を4つ紹介します。

コーピングリストを作成する

ストレス軽減や解消法、ストレスを感じたときの対処法をまとめた「コーピングリスト」を作成するのがおすすめです。あらかじめ対処法をまとめておくことで、状況にあわせたスムーズな行動が可能になります。

具体的な作成手順は以下の通りです。

  1. 気分転換になる物や事柄を書き出す
  2. 自分が信頼している人、相談できる相手を書き出す
  3. 現場でストレスを感じた際、書き出したことを実行に移す
  4. 実行したコーピングの効果を点数付きで評価する
  5. どのようなストレスを感じた際になにをすれば効果が高いか検証する

リストの内容を実行するだけでも一定の効果を得られますが、そこからさらにブラッシュアップを重ねるとより効果的なリストができあがります。

ストレスを感じた状況やストレスの種類によって効果的なコーピングは異なるため、効果の高い対処法が特定できればスムーズに解消・改善できるでしょう。

輪ゴムテクニックを活用する

輪ゴムを使って意識を切り替える「輪ゴムテクニック」も効果的です。

輪ゴムテクニックとは、手首に輪ゴムをはめておき、強いストレスを感じたときに手首の輪ゴムを弾いて手首に刺激を与えるというもの。手首の刺激をスイッチにストレスから我に返り、プラス思考に切り替えることを繰り返します。

この動作が習慣化されてくることで自分の意識をコントロールできるようになり、ストレスマネジメントが可能になるでしょう。

ここでは例として輪ゴムの刺激を挙げましたが、スイッチになる動作であればほかのものでも構いません。

現状を把握して分析する

強いストレスを感じた際に、客観的に現状を把握して分析する方法も効果的です。

ストレス下では正常な判断能力が失われ、実際はそこまで大きな問題ではないことを過剰に気にしたり、重要なことを見落として対処できない場合があります。

このような状況を打開するためには、まずは現状の把握や問題の整理に努めることで冷静さを取り戻すことが大切です。

自分の主観のみで考え込んでしまうと、感情的になり正確な現状把握・分析ができないこともあるため、家族・友人・信頼できる同僚や上司から客観的な意見を聞いてみるのも良いでしょう。

問題を解決する意思を強くする

コーピングでは自ら問題を解決するという強い意思や主体性が重要です。

具体的な問題やストレッサーとただ向き合っていても、不安や混乱が加速して根本的な問題解決にはつながりにくいといえます。

自分が置かれている状況やどの方法でコーピングを実施するか、自覚的・意識的に行ってはじめて効果が出ることを理解しておきましょう。

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企業でのコーピング活用例

企業での具体的なコーピング活用例を4つ紹介します。

1on1やメンター制度の導入

1on1とは、上司と部下が1対1でコミュニケーションを取り、部下の悩みや課題を共有して解決を目指す取り組みであり、一方、上司と部下の関係に関わらず、一人ひとりに先輩や相談役を設定する方法がメンター制度です。

いずれの方法も、相談相手を明確にすることで不安や不満の早期解決が期待でき、ストレスの軽減やモチベーションマネジメントに役立てられています。

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専門家によるカウンセリング

専門家への委託や相談窓口の設置などのカウンセリングの場を用意するのもひとつの方法です。心理カウンセラーなどの専門家は専門知識やコーピングを効果的に実践するスキルを習得しているため、的確なアドバイスやサポートによる高い効果が見込めるでしょう。

定期的な研修や講座

社内で定期的にコーピングを学ぶ研修や講座を開いている企業もあります。

コーピングを効果的に実施するには、正しい知識やスキルが必要です。そのため、継続的に学び理解を深める機会を設けることは効果的といえるでしょう。

また、このような機会を積極的に作ることで、従業員を大切にしているという印象につながり、従業員のエンゲージメントを高める効果も期待できます。

コーピングの取り組みを把握してメンタルヘルスケアに役立てよう

健康経営が叫ばれる昨今、従業員一人ひとりのストレスの軽減、パフォーマンスの向上を目的としたコーピングが大きな注目を集めています。

コーピングにはさまざまなアプローチがありますが、正しい知識やスキルを身につけることで誰でも取り組める手軽さがひとつのメリットです。

積極的に取り入れ、組織全体のメンタルヘルスケアの一つとして、役立ててみてはいかがでしょうか。

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