組織活性化とは?成長する組織の特徴と業績向上に向けた取り組み
時代の変化によって組織の在り方も変わる中、新たに注目されている組織活性化。企業の成長に必要とされていますが、組織活性化とは一体どのような状態なのでしょうか。本記事では、そんな組織活性化について、成長する組織の特徴や具体的な取り組みなど詳しく解説していきます。
目次
組織活性化とは?
組織活性化とは、従業員が自主的に業務に取り組むことにより、組織全体が前に進んでいる状態のことを指します。
組織が活性化すると、従業員同士の積極的なコミュニケーションが期待でき、目標やビジョンを共有する場面も多くなることでしょう。
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組織活性化が注目されている背景
組織活性化が注目されている背景には、IT化が進んで業務が細分化され、担当者単位で業務をシンプルに割り振れるようになったことがあります。
IT化で業務効率は上がったものの、チャットやメールなどのツール利用が多くなり、従業員同士の対面でのコミュニケーションは減少してしまいました。
コミュニケーションツールは非常に便利である一方で、お互いの気持ちを汲み取ったり、言葉のニュアンスを察知するには向いていません。
また、業務の分業によって、個人で仕事が完結することが多くなるため、社内のコミュニケーションが低下しています。コミュニケーションが低下した状態のままだと、他の部署の業務や役割に関心を持たない、協力もしないといった悪影響が出てしまいます。
そのような状況を改善するために、従業員同士のコミュニケーション不足を解消し、会社全体の成長のために注目されているのが組織活性化です。
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活性化する組織とは?成長する組織の特徴
どのような組織が今、まさに活性化している状態であるといえるのでしょうか。
成長する組織の特徴を具体的に解説します。
- 従業員が経営理念を理解している
- 従業員が主体的に取り組んでいる
- 組織の育成体制が整っている
- 社内のコミュニケーションが活発化である
- 従業員の仕事に対するモチベーションが高い
従業員が経営理念を理解している
従業員が経営理念を理解している点が特徴の一つになります。
経営陣が考えていることと従業員の認識に違いがあると、会社として目指している目標達成は難しくなるため、まずは従業員に会社の理念や方向性、ビジョンについて共感してもらうことが必要です。
会社の経営理念をしっかりと共有し、従業員がそれに対して理解をすることによって、会社が掲げている目標達成に近づいていくでしょう。
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従業員が主体的に取り組んでいる
目標を達成したいというモチベーションがあると、人は主体的になって積極的に行動するようになるため、従業員が主体的に取り組んでいる状態が大切になります。
目標を明確にし、達成に向けて従業員全員が自分の役目を果たそうという意識が強まると、従業員同士のコミュニケーションが活発になってさまざまな意見や提案が出てきます。
その結果として、良いアイデアや成果が出る組織となり、従業員個人も成長することでしょう。
組織の育成体制が整っている
組織の育成体制が整っていることも成長する組織の特徴であり、組織内の人材を育てていくためには、従業員自身が実感できる成功体験が欠かせません。
成功体験を積み重ねて、学びを伝授する風土が根づいていくことで、組織の育成スキームができ上がり、多くの従業員が成長できる体制が整っていきます。
育成体制が整っていると、新しい人が入ってきても自分たちで育てることができ、教えることでまた育てる側の成長にもつながるという好循環が生まれるでしょう。
社内のコミュニケーションが活発である
社内のコミュニケーションが活発である点もポイントです。従業員同士で自然なコミュニケーションが取れていると、情報を共有しやすくなるため、組織への帰属意識が高まります。
また、普段のコミュニケーションの何気ない会話や情報交換から、違う視点での見方や新しい気づきを得られるかもしれません。
「自分がチームの役に立った」「みんなもがんばっている」という意識が生まれることで、組織の団結力が高まっていくはずです。
従業員の仕事に対するモチベーションが高い
従業員の仕事に対するモチベーションが高いことが挙げられます。活性化している組織内では、従業員全員が目標を達成するために、自分の役目を果たそうという強い気持ちが生まれるのです。
従業員が目標達成のために行動したい、自分の役目を自覚して仕事に取り組みたいと感じている組織は非常に強いといえるでしょう。
組織活性化を実現するためのポイント
組織活性化を実現するためのポイントを解説します。
- 従業員が明確な目標やビジョンを持つ
- 組織内のコミュニケーションを活性化させる
従業員が明確な目標やビジョンを持つ
従業員が明確な目標やビジョンを持つことが大切です。
「組織として何を目標としているのか」「自分は何のために今の仕事をしているのか」「この仕事をすることで社会に対してどのように貢献できているのか」などをしっかり理解することで、従業員は明確な目標やビジョンを持つことができます。
経営層は、従業員に対して会社の経営方針、計画を立てた背景まで共有すると良いでしょう。
従業員が自分の存在意義、仕事の価値を見出せると、やりがいを持ってモチベーション高く仕事に取り組んでもらえます。
組織内のコミュニケーションを活性化させる
組織内のコミュニケーションを活性化させることも欠かせません。
リモートワークの普及やITツールの利用により、みんなで集まる機会や面と向かったコミュニケーションが減るリスクがあるため、意識的に従業員同士がコミュニケーションを取る場をつくっていく必要があります。
従業員同士のコミュニケーションが不足すると、周りや他部署に協力するという意識が薄まり、自分の役割だけ果たそうという意識になる恐れがあります。
従業員全員が組織への帰属意識を持ち、同じ目標に向かって仕事に取り組んでもらうためにも、活発にコミュニケーションを取れる環境を構築していきましょう。
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組織活性化に向けた具体的な取り組み
組織活性化に向けた具体的な取り組みを紹介します。
- コミュニケーションの場を増やす
- 上司との定期的な面談を実施する
- 組織内の育成体制を整える
- マルチ担当制を導入する
- フリーアドレス制を導入する
- ITツールを導入する
- ピアボーナス制度を導入する
コミュニケーションの場を増やす
コミュニケーションの場を増やすようにしましょう。特に部署や職種などに関係のない上司との「ななめ面談」をおこなうのがおすすめです。
自由に話せる雰囲気をつくり、直属の上司でないからこそできる話をすることで、ななめのつながりによってコミュニケーションが向上します。
部下は違った意見、違った角度のアドバイスを受けてそれが成長につながり、上司は他の部署の考え、仕事の目的を把握できることで視野が広がります。
上司との定期的な面談を実施する
上司との定期的な面談を実施するようにしましょう。リーダーや上長は従業員との面談を実施し、意見交換をしっかりおこなうことが大切です。
普段の仕事の振り返りや評価も大事ですが、それだけでは意味がありません。
個人の目標や会社に対してどういう想いがあるか、仕事やプライベートで抱えている悩みなど、深いところを話し合って従業員との信頼関係を築いておくと、風通しの良い組織となります。
組織内の育成体制を整える
新しい人材が入ってくると組織への刺激になり、新人の育成をチーム全体でおこなうことで組織は活性化するため、育成体制を整えることは非常に重要です。
従業員が自分の知識やノウハウを教えたり、OJTで一緒に実務をおこなうなど、特定の教育係だけに任せず、チームのみんなで新しい人を育てていくことでコミュニケーションが活発になります。
知識やスキルだけでなく、それぞれに合ったカリキュラムに沿って研修を実施したり、ヒューマンスキルを高める教育なども効果的です。
マルチ担当制を導入する
業務の属人化は担当者が抜けたときに業務が回らなくなるなど、さまざまなリスクがあります。
この問題に対して、マルチ担当制を導入することにより、個人が複数の部門を担当します。その結果、今までとは違う視点を持てたり、他の部門の状況が把握できたりと、個人の視野が大きく広がるはずです。
また、1つの業務にメイン、サブなどの複数の担当をつけることで、業務の属人化を防げます。
さらに、従業員同士の情報共有、意見交換によって判断材料が増え、よりアイデアや施策が生まれやすい組織となるでしょう。
フリーアドレス制を導入する
フリーアドレス制を導入することも効果的で、フリーアドレス制とは従業員の席を固定せず、自由に席を決められるかたちにしたものです。
席が固定されていると、チームや役職などで壁ができてしまって横のつながりが持ちにくくなったり、チームを超えたコミュニケーションが取りづらくなったりします。
フリーアドレス制にすると従業員の自由度が増し、コミュニケーションが取りやすくなります。毎日違う景色、違う従業員と一緒に働くことが刺激になったり、新たな交流が新しいアイデアにつながることも期待できるでしょう。
ITツールを導入する
ITツールを有効的に使うことで、組織の活性化につながります。
チャットやメールなどのITツールは、対面のコミュニケーションが減るという面はあるものの、従業員全員が迅速に同じ情報を共有できるというメリットがあります。
ITツールに不慣れな従業員がいるとそのメリットが薄れてしまうため、ITスキルが高い人を担当にしてレクチャーする場をつくり、全員が問題なく使用できるようにしておきましょう。
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ピアボーナス制度を導入する
ピアボーナス制度を導入することも検討してみてください。
ピアボーナス制度とは、peer(仲間)とbonus(報酬)から生まれたもので、従業員の頑張りや個人への日頃の感謝を、メッセージやポイントなどで贈る仕組みです。
成果を数字で表しにくい職種の従業員や、目立たなくても大事な仕事を日々おこなっている従業員などへの称賛に役立ちます。
また、ピアボーナスを贈った側と贈られた側とでコミュニケーションが発生し、新しい交流ができます。
さらに、手軽に称賛しあえることで組織の雰囲気がよくなったり、他の部署の従業員への関心につながるなど、多くのメリットがあるでしょう。
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参考にしたい各社の組織活性化への取り組み事例
参考にしたい各社の組織活性化への取り組み事例について紹介します。
- カルビー株式会社
- スノーピーク株式会社
- 株式会社アイズ
カルビー株式会社
カルビー株式会社のフリーアドレスは自分で席を決めるのではなく、ダーツシステムでランダムに席が決まるようにしています。
フリーアドレスといっても、実際は同じ席にいつも座っている従業員は多いことでしょう。しかし、ダーツシステムだと毎日違う席になるため、周りにいる人も変わります。
その結果、あまり接点のない従業員との交流が生まれるなど、組織活性化に役立っています。
スノーピーク株式会社
スノーピーク株式会社では、キャンピングオフィスを導入しています。キャンピングオフィスは、従業員がリラックスできたり、気軽にコミュニケーションが取れたりする空間を実現しています。
キャンピングオフィスの導入でチームを横断したコミュニケーションが増え、いろいろな従業員と話すなかで、新しいものを生み出そうという動きが出てきており、今後ますます活性化していくことでしょう。
株式会社アイズ
株式会社アイズでは、「デスクワン」と呼ばれる、1人につき1万円まで好きなデスク備品を買えるという福利厚生を導入しています。
従業員はお昼寝クッションやリストレストなど、デスクにほしいものを1万円まで自由に購入できるため、仕事環境の向上とモチベーションアップにつながっているのです。
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組織活性化に向けて活用したいフレームワーク5選
組織活性化に向けて活用したいフレームワーク5選を紹介します。
- カッツ理論
- SMARTの法則
- カークパトリックモデル
- 思考の6段階モデル
- 70:20:10フレームワーク
1.カッツ理論
カッツ理論は、業務の遂行や概念化するスキル、対人関係に関するスキルなど、上司、リーダーが必要とするスキルを提唱した理論です。
上司やリーダーは総合的なスキルが必要ですが、他の従業員は立場や役職と照らし合わせて、それぞれに必要なスキルを見極めなければなりません。
カッツ理論は社員の状況に合わせて必要なスキルを明確にすることができるため、現状の課題と今後の育成について考えるヒントとなるため、ぜひ導入したいフレームワークです。
2.SMARTの法則
SMARTの法則は、「明確性」「計量性」「割当設定」「実現可能性」「期限設定」の5つで目標を設定するフレームワークです。
チームの目標を正しく設定するために、SMARTの法則を活用して細かい基準に沿って設定すると効率的に進められます。
SMARTの法則は目標設定だけでなく、PDCAを回すヒントを得ることも可能です。用途が広いことから、多くの企業で取り入れやすいフレームワークであるといえるでしょう。
3.カークパトリックモデル
カークパトリックモデルは、「反応(レベル1)」「学習(レベル2)」「行動(レベル3)」「成果(レベル4)」の4段階に分けておこなうフレームワークで、研修効果の検証でよく活用されています。
反応(レベル1) | 参加者が研修の魅力、自分の仕事との関わりを感じているかなどを検証 |
学習(レベル2) | 研修によってスキルや知識が身についているかを確認 |
行動(レベル3) | 研修で得た知識や技術を実際の仕事で活用できているかを見る |
成果(レベル4) | 参加者の成果の明確化 |
カークパトリックモデルはロジカルな視点で研修効果を探っていく方法として効果的です。
4.思考の6段階モデル
思考の6段階モデルは、「知識」「理解」「応用」「分析」「結合」「評価」の6段階に分けて論理的に深掘りしていくフレームワークです。
テーマや自分自身の現状を主観的、客観的に見ることができ、インプットとアウトプットの両方をバランスよくおこなえるのも特徴です。
5.70:20:10フレームワーク
70:20:10フレームワークは人材育成でよく使われています。
70:20:10はそれぞれのパーセンテージを表しており、「70%」は仕事の経験、「20%」は人間関係、「10%」は研修や読書などの学習です。
このフレームワークでは、従業員の成長は学習だけでなく、実践的な研修などが効果的であるといえます。
それぞれのパーセンテージから、従業員の育成はどこに重きを置いておこなえばいいか、そのバランスがわかることでしょう。
組織活性化は企業の目標達成のためには不可欠
組織活性化は企業の目標達成のために欠かせません。
周りの従業員だけでなく、上司や他部署とのコミュニケーションが活発な組織では、組織のビジョンや目標の共有、新しいアイデアが生まれる環境となり、組織を前に進めることができます。
具体的な施策を導入したり、フレームワークを活用したりするなど、それぞれの組織に合ったやり方で組織を活性化させていきましょう。
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