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特定電子メール法とは?メルマガを安全に配信するためにポイントを解説

2023/01/09 2023/01/09

メール配信システム

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メルマガ送付を行う際には、「特定電子メール法」と呼ばれる法律の遵守が求められます。メールマーケティングはビジネスにおいて非常に効果的な方法ではありますが、法律違反で罰則・行政処分がおりることもあるため注意しなくてはなりません。この記事では、特定電子メール法の概要や罰則、メルマガ送付時に押さえておくべき基本と違反事例について解説します。

メール送付の必須知識!特定電子メール法とは

メール送付を行う際には、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(以下:特定電子メール法)」について理解しておくことが大切です。

これを知らずにメール送付を行うと、迷惑メール扱いを受けてしまうだけでなく、最悪のケースでは法律違反として罰せられてしまいかねません。

スパムメールの送信を規制する法律のこと

特定電子メール法とは、広告・PRを目的とした迷惑メールやチェーンメールを取り締まり、インターネット環境の質を保つことを目的とした法律のことです。

2002年に施行され、2005年には特定電子メールの範囲拡大や架空アドレス宛ての送信を禁止する条項が追加されています。続く2008年には、オプトイン方式の導入や罰則強化を目的とした改正も行われました。

正式名称は「特定電子メールの送信の適正化などに関する法律」ですが、「迷惑メール防止法」と呼ばれることもあります。メルマガをはじめとするビジネス目的のメール送付を行う個人・団体であれば、必ず関係することとなるルールです。

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適用範囲は?

特定電子メールとは、個人・団体を問わず広告・PRを行うための手段として発信する電子メールのことです。

また、以下の2つも特定電子メールに含まれます。

  • 特定の商材を扱うWebサービスへの誘導をするためのメール
  • 友人からのメールやSNSへの招待などを装い、Webサービスへの誘導をするためのメール

商品・サービスのPRだけなく、商品を扱うWebサービスへの誘導を目的とするのも法律適用の範囲になるということです。

ただし、以下のメールは適用対象外となります。

  • 取引上の条件を伝える事務連絡、料金のお知らせなど取引に関係する連絡であり、PRの内容を含まずWebサイトへの誘導も行わないメール
  • 単なる時候の挨拶であり、PRの内容を含まずWebサイトへの誘導も行わないメール

つまり、単なる事務連絡や挨拶でPRを目的としていないと判断されるものは、適用の範囲外とするということです。

特定電子メール法ができた背景について

特定電子メール法ができた背景には、迷惑メールが社会問題になったことが挙げられます。2000年代になると携帯電話からのインターネット接続が普及し、一方的な迷惑メールを送り付けるという社会的問題が生じました。

迷惑メールは一度に大量に送り付けられるため、受信や処理に手間や時間がかかってしまいます。また、未成年に対してアダルトサイトや出会い系サイトの広告が送付されることも、問題視されていました。

さらに、中には詐欺を目的としたサイトや有害サイトへの誘導を目的としたものもあり、政府として対応すべきとの判断が下されたのです。

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混同される「特定商取引法」との違いは?

特定電子メール法と混同されやすい法律に、特定商取引法が挙げられます。両者の違いは、規制の対象と目的にあります。

特定商取引法は、広告主(広告でのPRを依頼するクライアント)を規制する法律です。この法律の目的は、消費者保護や取引の公正性の確保であり、広告主自身が商品のPR用メールを送る場合は、特定商取引法が適用されます。

一方、特定電子メール法の対象は、端的にいえばメールの送信者です。メールの送受信に際する障害の防止を目的としている点で、特定商取引法とは異なります。

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メール送付の際に押さえておくべき基本

メール送付の際には、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

  • オプトインの設置
  • 同意の記録義務を守る
  • メルマガ送付の中止方法を明記する
  • 送信元情報を明記する

(1)オプトインを設置する

メール送付時にまず大切なことは、オプトインの設置です。オプトインとは、「特定メールを送信する際には事前に受信者の同意をとる必要がある」というルールのことを指します。

この際の同意とは、以下両方の要件を満たすことです。

  • 受信者がメールの送信を行うことを認識する
  • 送信について賛成の意思を表明する

つまり、「メールを送ることを知っています。送ることを許可します。」と確認できた場合のみ、送ることが許されるのです。

ただし、メールの送信を認識してもらうためには、以下の2点を明示しなければなりません。

  • 広告・宣伝メールが送信される事実
  • メールを送る人がどんな人か

また、同意の取得はケースによっては第三者を通じて行うことも可能です。ただし、この場合でも、「誰から送られるのか」「誰が送信を依頼するのか」との情報をはっきりと認識できなくてはなりません。

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同意無しで送信できる場合もある

以下の6パターンに当てはまる場合は、同意無しでも送信できることがあります。

  • 受信者がすでに取引関係にある
  • 受信者へ、書面を用いてメールアドレスを通知している
  • 受信者が、自分のメールアドレスをインターネットで公表している
  • 同意の有無を確認するために送る
  • 契約内容などに関する通知メールにおいて、付随的にPRを行う
  • フリーメールサービスを用いたメールで、付随的にPRを行う

ただし、取引関係にある相手に送るケースや書面を用いてメールアドレスを通知しているケースでは、特定商取引法の適用があるため要注意です。

また、自分のメールアドレスを公表している相手に送るパターンにおいて、相手が個人である場合は営業を営んでいる場合に限られます。

(2)同意の記録義務を守る

同意の記録義務は、必ず守らなくてはなりません。事前同意を得た場合は、そのことを第三者に証明できるように記録する必要があるのです。

  • 同意をとったメールアドレス
  • 同意日時
  • 同意取得方法

上記を記録し、示せるようにしなくてはなりません。

また、書面の提示や電子メールの送信について、Webサイトを通じての同意を行った場合は、上記の情報に加えて文面に記載された定型事項を記録する必要があります。

同意の記録義務は、通常なら特定電子メールを送信しないと決まった日から1か月が経過する日まで続きます。

(3)メルマガ停止の方法を明記する

メルマガ停止の方法を明記することも、忘れずに行うべき行動です。メルマガ送付は、受信者から停止の申し出を受けたらすぐ停止しなくてはなりません。分かりやすい送付停止の方法を用意し、迅速に進められる体制をとる必要があります。

(4)送信元情報を表示する

送信元の情報を明記することも、必ず行わなくてはなりません。受信者の立場から考えれば、当該メールが事前に同意をしたものかどうかを判断できなくてはならないからです。

  • 氏名(名称)
  • 住所
  • 送付停止できる旨
  • 苦情や問い合わせの連絡先

上記のうち、氏名(名称)と配信停止ができる旨は、本文中に入れる必要があります。住所と連絡先は、リンク先のページでも問題ありません。記載に当たっては、やはり受信者にわかりやすくすることが推奨されています。

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特定電子メール法に違反した場合の罰則事例

特定電子メール法に違反した場合、罰則が課せられることがあるので注意が必要です。ここでは、具体的な罰則を事例別に紹介します。

(1)送信者情報の偽装が発覚した場合

送信者情報の偽装は、第五条において禁じられています。そして第三十四条一項には、第五条の規定に違反した場合「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」が科せられると規定されています。また、法人の場合は第三十七条にて行為者を罰するほか、第三十四条違反により「三千万円以下の罰金刑」が科せられると規定されています。

[出典:e-Gov 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律 第五条・第三十四条

(2)存在しないアドレスへメール配信した場合

存在しないアドレスへのメール配信は、第六条において禁止されています。そして第七条により、総務大臣および内閣総理大臣によって適正な措置をとるように命じられるとされているのです。

もし措置命令を無視した場合は、第三十四条二項により「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」が科せられます。また、法人の場合は第三十七条にて行為者を罰するほか、第三十四条違反により「三千万円以下の罰金刑」が科せられると規定されています。

[出典:e-Gov 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律 第六条・第七条・第三十四条・第三十七条]

(3)受信拒否した人に送信した場合

受信拒否をしている人への送信は、第三条において禁止されています。違反すると、第七条により総務大臣および内閣総理大臣からの措置命令が下され、従わなかった場合の罰則は第三十四条二項により「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」です。また、法人の場合は第三十七条にて行為者を罰するほか、その法人に対して第三十四条違反により「三千万円以下の罰金刑」が科せられると規定されています。

[出典:e-Gov 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律 第三条・第七条・第三十四条・第三十七条]

(4)表示義務を守っていない場合

表示義務は第四条において定められています。違反すると、第七条により総務大臣および内閣総理大臣からの措置命令が下され、従わなかった場合の罰則は第三十四条二項により「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」です。また、法人の場合は第三十七条にて行為者を罰するほか、その法人に対して第三十四条違反により「三千万円以下の罰金刑」が科せられると規定されています。

[出典:e-Gov 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律 第四条・第七条・第三十四条・第三十七条]

(5)同意なくメルマガを送信した場合

同意を得ていない相手への配信は、第三条3項において禁止されています。違反すると、第七条により総務大臣および内閣総理大臣からの措置命令が下され、従わなかった場合の罰則は第三十四条二項により「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」です。また、法人の場合は第三十七条にて行為者を罰するほか、その法人に対して第三十四条違反により「三千万円以下の罰金刑」が科せられると規定されています。

[出典:e-Gov 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律 第三条3項・第七条・第三十四条・第三十七条]

(6)同意の記録義務に違反した場合

同意の記録義務は、第三条2項に規定されています。違反した場合には総務大臣・内閣総理大臣からの措置命令が下され、従わなかった場合の罰則は第三十五条一項により「百万円以下の罰金」です。また、法人の場合は第三十七条にて行為者を罰するほか、その法人に対して第三十五条違反により「百万円以下の罰金」が科せられると規定されています。

[出典:e-Gov 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律 第三条2項・第三十五条一項・第三十七条二項]

知っておくべき特定電子メール法違反事例2選

特定電子メール法遵守の重要性は、法令違反の事例を知っておくことでより理解が深まります。ここでは、2件の法律違反事例について見ていきましょう。

  • 株式会社MOTHER
  • 株式会社ライトニング

(1)株式会社MOTHER

<違反してしまったルール>

  • 同意取得義務(第三条第一項)
  • 同意の記録義務(第三条第二項)
  • 表示義務(第四条)

<課された罰則>

総務省および消費者庁から、2018年3月6日付文書による措置命令

株式会社MOTHERは、同社が運営するWebサイトである「MOON」において同意取得義務違反を犯してしまいました。少なくとも2017年10月8日~2018年1月24日までの間に、受信者の同意を得ずにメール配信を行ってしまっていた(第三条第一項の違反)ようです。

また、メール配信を行うにあたって、同意の記録義務にも違反(第三条第二項の違反)してしまったことが分かっています。さらに、上記と同じ期間に、送信者の名称、受信が拒否できるとの案内を行っていませんでした(第四条違反)。

(2)株式会社ライトニング

<違反してしまったルール>

  • 同意取得義務(第三条第一項)
  • 同意の記録義務(第三条第二項)
  • 表示義務(第四条)

<課された罰則>

総務省および消費者庁から、2017年11月13日付文書による措置命令

株式会社ライトニングは、同社が運営するWebサイト「アプリ」と「チャット」におけるメール配信にて、同意取得の義務に反していたようです。少なくとも2017年7月6日~2017年10月10日までの間に、受信者の同意を得ずメール配信を行っています(第三条第一項の違反)。

また、同社は同意の記録義務も履行しておらず(第三条第二項の違反)、上記と同じ期間に送信者の名称、受信が拒否できるとの案内を行っていなかったことがわかっています(第四条違反)。

法人の法令違反例を確認すると、同意の取得や記録義務、表示義務は気を付けるべきということがわかるでしょう。

メルマガで誤送信した場合の対処法は?お詫びの方法やミスを防ぐ方法

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法律を遵守してメール配信を行いましょう!

メルマガ配信においては、「特定電子メール法」を遵守しなくてはなりません。特定電子メールには商材の宣伝・広告メールだけでなく、商材を購入させるのを目的としたWebサイトへの誘導メールも含まれます。

同法では、同意の取得や記録、表示義務などのルールが定められています。これらの違反をすると、場合によっては懲役や罰金が科せられることもあるためご注意ください。

法律について知らないままに対応していると、取り返しのつかないことになる可能性も否定できません。実際の企業の法令違反事例も参考にしていただき、自社の法令対応体制の確立を目指していきましょう。

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