MAツール導入後のよくある課題とは?注意点や運用の改善方法も解説
MAツール(マーケティングオートメーション)の導入を考えている方の中には、導入後どのような課題や問題が出てくるのか、その対策法について知っておきたいという方も多いのではないでしょうか。本記事では、MAツール導入後のよくある課題と、運用時の注意点や改善方法についてご紹介します。
目次
MA導入後に起こりやすい課題や運用時の注意点
MAツールとは、新規顧客の獲得や見込み顧客の育成を含めたマーケティングをサポートし、効率化するツールのことです。MAツールを最大限に活かすためには、導入後の運用が非常に重要です。
しかし、MAツールは初めて導入する企業も多く、MAツール導入後に多くの課題が見つかるケースも少なくありません。そして、MAツールの効果を最大限に活用できないと、MAツールの効果を感じることができない可能性があるでしょう。
ここでは、MAツール導入後に起こりやすい課題や運用時の注意点について解説します。
(1)コンテンツの更新ができない
MAツール導入後の課題として、コンテンツの更新ができないという問題が挙げられます。
コンテンツとは、顧客に提供するブログの記事やメルマガなどのことで、売上向上や顧客分析を測る上で非常に重要です。
コンテンツを更新し続けるためには、商品を購入する可能性が高い顧客であるホットリードを見極めなくてはなりません。また、更新が途切れてしまうと、顧客の興味が薄れてしまいます。
さらに、コンテンツ更新を行いながら、見込み顧客を既存顧客へとシフトチェンジさせるナーチャリングの要素も必要です。
このようなコンテンツにおける課題を解決するためには、購買意欲の高い顧客であるホットリードへの的確なコンテンツ配信、ナーチャリングによる売上向上など、コンテンツの役割を明確化してコンテンツ配信の人材確保や作業手順のマニュアル化を行い、コンテンツ配信の効果を最大限に活かすことが大切です。
(2)MAツールの機能を使いこなせる人がいない
MAツールを活用するためには、MAツールの機能を使いこなせる人が存在するかどうかも重要だといえるでしょう。
MAツールには、メルマガなどのコンテンツを管理し、顧客分析を行う機能や、社内で情報を一元化して売上や顧客データを共有できる機能があり、顧客の反応をより迅速に経営戦略に反映できる点がメリットです。
しかし、MAツールは海外製も多く、マーケティングのデータなどをシステムに落とし込むスキルも必要なため、マーケティングスキルに加えてシステムに関する知識が必要となります。
こうした課題を解決するためには、マーケティングスキルとシステムの知見を持った人材の確保と、MAツールを使うシステム部とマーケティング担当との密な連携が必要です。MAツールを導入する前には、人的要因も考慮しておきましょう。
(3)シナリオ設計やスコアリングが適切にできていない
MAツールで売上を向上させるためには、シナリオ設計やスコアリングが重要です。しかし、MAツールを初めて導入する企業などにとっては難しく、課題になりやすい傾向にあります。
シナリオ設計とは、蓄積されたデータをもとに顧客の行動を予測し、機能を設計すること、スコアリングは顧客分析を効率的に行うため、購入回数や購入期間、購入金額などをポイントにして数値化することです。
特にシナリオ設計はシステムをある程度詳しく把握した上で行う必要があるため、MAツールに詳しい人員が必要とされます。
そのため、目標を明確化するのは自社の仕事で、具体的なシナリオ設計やスコアリングについてはツールの販売業者であるベンダーに依頼するなど、住み分けを行うことも効果的な手段です。
(4)ホットリードかどうか見極めるのが難しい
MAツールの導入後には、ホットリード(見込みの可能性が高い顧客)の見極めが難しくなるという課題があります。
ホットリードを見極めるためには、MAツールを使ってPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)のサイクルであるPDCAを回しながら顧客分析の精度を上げることが重要です。
しかし、PDCAを適切に回すためには、KPI(業績管理評価指標)の設定や、MAツールの顧客分析機能の活用など、専門的なスキルと労力が必要となるでしょう。
そのため、既存顧客や新規顧客のターゲティング、KPIの設定などは社内や担当者で行い、MAツールに反映させる作業はベンダーやシステム部に依頼してすり合わせを行いながらホットリードを見極めるなど、作業の切り分けが重要になってくるのです。
ホットリードを見極めるためには、作業分担を明確に行い効率よくPDCAを回していかなければなりません。
(5)PDCAが回せない
MAツール導入後のよくある課題として、そもそもPDCAが回せないという課題もあります。
MAツールのメリットは、PDCAを効率よく回すことができ、売上向上までの労力やコスト削減が可能なことです。
しかし、MAツールを使ってPDCAを回すためには、KPIを明確に設定し、検証しなければなりません。KPIの設定はMAツールによっても異なるため、MAツールとKPIの両方の知見、さらに検証を適切に回せる人員が必要です。
MAツールを使ってPDCAを回すには、ベンダーなどMAツールに詳しい部署と話しながらKPIを明確にし、MAツールのサポートを受けるという方法が有効だといえるでしょう。
(6)ホットリードを検知しても適切にアプローチできない
MAツールの課題はホットリード検知後のアプローチにもあります。ホットリードを検知しても、インサイドセールスに繋げることができず、マーケティング成果が向上しない場合もあるからです。
ホットリードのデータをMAツールに反映させ、新たな戦略に繋げるためには、マーケティングの視点、営業戦略、システム設計など、多くの部署が一体となって進めていかなければなりません。
そのため、企画やマーケティング部、営業部、システム部が連携を取りPDCAを一緒に回していくという体制を構築することと、部署ごとの役割分担が必須です。
MAツールを使ってホットリードへの適切なアプローチを行うためには、同時に社内体制やコミュニケーション体制の整備も進めておきましょう。
(7)成果が出る前にやめてしまう
また、MAツールの導入後、成果が出る前にやめてしまうという問題もあります。
マーケティングの成果は、戦略を変えてすぐ表れるような短期的なものではなく、長期的に少しずつ表れる場合が少なくありません。
しかし、MAツールのように月額料金が発生する場合、かかるコストとマーケティング成果の比較が難しくなり、成果を実感できずに導入を中断してしまうパターンも多いのです。
MAツール導入により、成果を確実に出すためには明確な数字設定が重要となります。KPIでの目標数値から月々の成果、月額料金も含めたROI(投資収益率)など、より具体的に数値を設定することで、MAツールの成果を実感できるようになるでしょう。
MAツールの導入前には、目標数値の明確化に努めることを忘れてはいけません。
問題発生を事前に防ごう!MAツール導入時のポイント
多くの企業がMAツールを導入する際は、準備不足はもちろん、MAツール導入後の問題発生を事前に防ぐポイントも存在します。このポイントを理解して実践することで、MAツール導入から成果が表れるまで、スムーズな運用が行えるでしょう。
特に、顧客が購入に至るまでを分析したカスタマージャーニーの作成や、人員の確保など、導入前の準備が鍵を握る内容もあるため、導入前にしっかりと確認しておくことが大切です。以下でご紹介する対策を把握し、スムーズなMAツールの活用をおすすめします。
(1)カスタマージャーニーマップを作成・プロセスごとに適切なコンテンツを用意
MAツールの問題発生を防ぐため、カスタマージャーニーマップを作成すると良いでしょう。カスタマージャーニーマップとは、顧客がどのようなプロセスをたどり購入に至るまでマップなどで表したものです。
カスタマージャーニーマップは、MAツールでコンテンツ配信を行う際のシナリオ設計やスコアリング設定に使用され、MAツールを使ってのマーケティングを左右する重要性があります。
また、新しくコンテンツを考えるときにも活用できるため、制作することにより多くのメリットが得られます。カスタマージャーニーマップは、MAツールの種類によっても作成方法が異なるため、システム部分はベンダーのサポートを受けるなどして作成を進めましょう。
カスタマージャーニーマップが作成できれば、顧客の行動プロセスごとに合わせて最適なコンテンツの設計・作成が必要になります。スコアリングやシナリオに合わせて、最も成果の出るコンテンツを用意し、運用後も検証しながら改善していくことが重要です。
(2)手厚いサポート体制があるMAツールを選ぶ
MAツールを選ぶ基準として、手厚いサポートがあるMAツールを選ぶ方法もあります。MAツールは目的や用途に沿った機能があり、機能を使いこなすことで、顧客分析や顧客管理まで幅広い分野を効率的に改善することが可能です。
しかし、MAツールは海外製のものも多く、MAツールの機能を使いこなすためにはシステムの知識もある程度必要となります。そのため、問い合わせ対応や説明を丁寧に行ってくれるサポート体制の整ったMAツールを選ぶことが重要です。
電話でのサポートや無料トライアル、さらには導入サポートまで行ってくれるベンダーもあるため、MAツール導入を考えている方は、まずはサポート体制を比較してみましょう。
(3)toBに強いMAツールか・toCに強いMAツールか確認
MAツールには、元請け業者と下請け業者など企業間で行われる取引を指すBtoBに強いものと、企業と消費者間の取引を指すBtoCに強いものが存在します。
MAツール導入前には、自社にとってどちらのMAツールが合っているのか確認しておきましょう。また、BtoBとBtoCに特化したMAツールにはそれぞれ特徴があります。
- BtoB向けのMAツールはSFAとの連携が充実している
- BtoC向けのMAツールは顧客獲得のためのツールが充実している
SFAとは営業支援システムやツールのことです。SFAとの連携により顧客の管理機能や社員の行動管理を一元化して、営業を効率よく行うことができます。
見込み顧客を獲得するための活動であるリードジェネレーションに特化した機能が多く、顧客行動や分析、コンテンツ機能が充実しています。
それぞれのMAツールの特徴と自社を照らし合わせて最適なMAツールを選択することが大切です。
(4)既存のリード数が十分あるかチェック
MAツールでコンテンツ配信を行う前に、配信するリード数を確認しておきましょう。リードとは既存顧客や見込み顧客など、コンテンツの配信先のことです。
MAツールを導入したときに、コンテンツを増やして様々な顧客にアプローチすることは重要ですが、そもそも配信する顧客が少ない場合はコンテンツの効果が発揮できません。
しかし、MAツールは顧客の獲得だけでなく顧客の洗い出しにも活用できます。MAツールによるセグメント(区分)を行い、より新規顧客になりやすい見込み顧客の絞り込みを行うことも可能です。
MAツールのリードが不足している場合は、MAツールによる顧客のセグメントを視野に入れておきましょう。
(5)どのくらいのリソース(人員と時間)が割けるか確認
MAツールの導入に向けて、導入前から人的リソースの確保を考慮しておくことは大切です。
MAツールをマーケティングに活用するためには、シナリオ設計やコンテンツ機能の作成などシステム的な分野から、顧客の分析などのマーケティング視点、そして営業との連携など様々な人的リソースが必要となります。
そのため、一部の社員がMAツールの活用に尽力しても、マーケティングに活かすことは非常に難しいでしょう。MAツール導入前には、システム部やマーケティング担当、営業担当など担当者を明確に決定することをおすすめします。
また、より専門的な内容はベンダーに問い合わせを行い、MAツールのリソースをしっかりと獲得しておくことが大切です。
MAツール導入後の課題解決方法
MAツールを導入する多くの会社は、MAツールの運用が初めての場合が多い傾向にあります。そのため、MAツール導入後に初めて遭遇する課題が見えてくることが少なくありません。
特に、マーケティングの要素とシステム的な課題に関しては、長期的な悩みに繋がる可能性があります。
しかし、課題解決をきっかけにマーケティングやシステムの知識、さらには社内の連携が進むことも多く、導入後の課題解決はMAツールの運用が上手くいくかいかないかの分岐点といっても過言ではありません。
ここでは、MAツールを導入後の課題解決方法をご紹介しますので、課題解決をプラスの材料にしていきましょう。
(1)ホットリードとみなす基準を再考する
MAツールの課題が見つかったとき、ホットリードの基準を再考することも有効な手段です。ホットリードの設定を行うためには、見込み客を判断するためのスコアリングを行います。
ほとんどの場合、現場の声やマーケティングデータを分析してポイント設定を行い、一定のポイント以上をホットリードと判定するやり方です。
ホットリードに関するデータは、コンテンツの配信やSFA管理など、MAツールを活用するための核となる重要なデータです。そのため、ホットリードを見極めるためにはPDCAを回しながらより精度を向上させることが重要だといえるでしょう。
さらに、時期によって変化する場合もあるため、定期的に見直す作業も必要な場合があります。マーケティングの向上、顧客の変化に対する対応の観点から、ホットリードとみなす基準の再考は非常に有効な手段です。
(2)部署間で連携が取れているか確認する
MAツールで発生する課題の解決策として、部署間での連携の確認が挙げられます。マーケティング活動を自動化する場合は、顧客の行動分析やホットリードの検討など、マーケティングの知識が必要です。
さらに、実際にアプローチを行う営業との連携、MAツールを使う場合はシステム関係のスキルも欠かせません。
MAツールを社内で活用していくためには、様々な部署が連携してPDCAを回していく必要があります。
見込み顧客に電話などで働きかけるインサイドセールス、顧客や見込み客を直接訪問するフィールドセールスなど、マーケティングの種類によっても連携する部署は違ってきます。課題が見つかった場合は、まずは部署間の連携を確認してみましょう。
(3)MAツール提供元のCSに相談する
MAツールの課題になりやすい内容が、MAのツールの活用方法についてです。この課題を解決するためには、MAツール提供元のCSに相談することが有効となります。
CSとはカスタマーサクセスのことで、サービスの導入から活用、さらには成功までをサポートする手法のことです。
類似した言葉にカスタマーサポートがありますが、CSはカスタマーサポートと比べてより能動的にサポートするという違いがあります。
CSはサービス活用トレーニングを行いながら、サービスの成功までサポートするので、ツールの使い方や課題の解決方法などの相談に最適なサービスです。課題の解決を望む場合は、MAツール提供元のCSも選択肢として検討してみましょう。
MAツール導入前から課題に備えよう!
MAツール導入に際して生じる課題は、費用対効果やリソースなどの大きな課題のほか、コンテンツの選定や部署毎の連携、KPIの設定など多岐にわたります。
しかし、MAツール導入前からの準備によって、解決あるいは改善が可能です。マーケティングオートメーションをより効率よく行うために、MAツール導入前にマーケティング業務全体を見直し、起こり得る課題に備えましょう。
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