マーケティングオートメーション(MA)ツール活用のメリット・デメリットとは?
マーケティングオートメーション(MA)ツールの導入を検討している企業の方にとって、導入することでどんなメリットがあるのかといった疑問が多いのではないでしょうか。この記事では、MAツール導入の目的やメリット・デメリット、活用方法やポイントを解説します。
目次
マーケティングオートメーション(MA)ツールを導入する目的
昨今、ますます注目を集めており、多くの企業に導入されているのが「MAツール」です。MAツールとは、見込み顧客の創出から育成・管理におけるマーケティング活動の自動化・可視化を実現するデジタルツールです。
まず最初に、MAツールを導入する目的や実現できることについて、詳しく見ていきましょう。
(1)営業の効率化
MAツールを導入してビジネスを行う目的として、第一に営業活動の効率化が挙げられます。営業活動を行う際には、名刺交換や電話やメールによるアプローチ、見込み客のフォローアップ、SNSやLINEなどを利用した商品のPRなど、顧客獲得のためにさまざまな施策を行っていかなければなりません。
しかし、管理や分析など工程が複雑化するため、ITツールなしで作業を行った場合、本来注力すべき営業活動自体に割けるリソースが減ってしまい兼ねません。こうした営業課題を解決に役立つのがMAツールです。
MAツールの導入により、顧客の興味や行動などを細かく読み取り、自動で適切なアプローチをかけることや優先度の高いリード(見込み顧客)の判別が可能となります。
▷インサイドセールスにMAツールは必須?導入メリット・効果や活用法を解説
(2)顧客情報の管理・育成
MAツールを活用する目的として、顧客情報の管理や顧客育成(リードナーチャリング)も重要です。現代のさまざまな購買行動を行う顧客に対して、趣味嗜好や普段の行動に合わせて適切なアプローチを仕掛け、商品やサービスへの興味関心を育てていくことは簡単ではありません。
この点、MAツールを活用すれば、顧客の興味や行動のデータから、タイムリーな顧客のニーズを読み取り、販促活動を最適なターゲットにアプローチすることができるため、効率的にナーチャリング施策が可能になります。
また、顧客一人ひとりの現在の関心度について、細かく点数付けをするスコアリング機能によって顧客の優先度や次のアクションを決定・管理できるという点もMAツールを導入して得られる大きなメリットです。
(3)各部署のスムーズな連携
MAツールの導入により、部署間の連携やコミュニケーションもスムーズになります。マーケティング部門で管理・育成した見込み顧客は、MAツールを部署間で共有しながら活用することで、営業部門への引き継ぎも効率的に実現することが可能です。
部署間の連携に課題を抱えている企業は、連携の高速化や連携時のトラブル防止の意図から、MAツールを導入することも少なくありません。
▷MAツールがなぜ重要なのか?事業にとっての必要性や具体的な活用法を解説
マーケティングオートメーション(MA)ツールを導入する6つのメリット
MAツールには便利な機能が備わっているため、スムーズに導入を進めたいところですが、漠然と導入しても失敗につながりかねないため、注意が必要です。
そこで、MAツールの導入にあたっては、導入によって得られる具体的なメリットとデメリットを把握しておくことが重要となります。まずは、メリットについて見ていきましょう。
(1)顧客情報を一元管理できる
MAツールを導入して営業・マーケティング活動を効率化することにより、顧客情報の一元管理ができ、管理工数が減るというメリットが得られます。
見込み顧客の関心度や興味、行動ログなど、営業・販促に役立つデータをまとめて管理できるため、ツールを見ればすぐに適切なプロモーション施策を打ち出すことが可能です。
(2)見込み顧客の放置がなくなる
MAツールを活用することで、見込み顧客を放置してしまうといったエラーを防ぐことができます。
MAツールにより営業や販促に関わる業務を自動化できるため、見込み顧客の関心度や行動に即して、そのタイミングで最も適したアプローチを自動で行うことが可能です。
(3)雑多な業務を自動化できる
営業・マーケティングに関わる業務は多岐にわたりますが、そうした業務の中でも多くの雑多な業務を自動化することで業務効率を高めます。そして、商談や電話営業などのリソースをかけるべき業務に集中できるといったメリットが得られるでしょう。
また、顧客一人ひとりの情報をチェックし、時宜に合わせたメールを手作業で配信する必要がなくなります。自動化が進めばリソースの削減が可能となるため、人件費などのコスト削減などにもつながるのです。
(4)優先度の高い見込み顧客が把握できる
MAツールでは、見込み客一人ひとりの行動ログなどの情報に基づき、関心度の高さによってスコアリングを行います。ここでいうスコアリングとは、顧客がどれだけ商品やサービスに関心を持っているかについて各種データから判断し、点数付けを行うことです。
顧客情報のスコアリングにより、どの顧客に対して優先的に営業活動を行うべきかが明確になるため、的確な見込み顧客に適切な順序でアプローチができます。結果的に、アポイント数の最大化につながり、売上の最大化に貢献するはずです。
▷MAツール運用で分析すべき指標って何?効果を最大化するための活用法
(5)顧客に最適なコンテンツを提供できる
MAツールの活用により、顧客の行動や興味関心をチェックし、それぞれの顧客に合ったコンテンツを提供できます。
例えば、「メールを開封した人にはAのメールを送る」「資料請求の問い合わせをした人にはBのメールを送ってwebページに誘導する」といったようにシナリオを設定しておけば、見込み顧客の育成を自動で行うことが可能です。
また、MAツールはシナリオによる最適なアプローチ方法の設計、さらには必要なコンテンツの制作においても非常に便利です。適切なコンテンツ制作ができれば、MAツールは見込み顧客の獲得・売上向上のための好循環を生む可能性が高くなるでしょう。
(6)営業とマーケティングの連携力の強化
営業とマーケティングの連携をより素早く、効率的に実現できることも大きなメリットです。営業とマーケティングは、常に情報連携を取りながら施策の改善やKPIの見直しなどのPDCAを回すことが成果を出すために非常に重要です。
MAツールを活用すれば、営業からは見えにくいマーケティング施策、あるいはマーケティング部門からは見えない営業活動などを可視化して共有できます。レポートや顧客リストなどのデータが共有できるため、より適した施策を最適のタイミングでそれぞれ営業部門・マーケティング部門で実施することが可能です。
マーケティングオートメーション(MA)ツールを導入する4つのデメリット
利便性が高くメリットの多いMAツールですが、自社に導入すべきか迷った場合は、デメリットも合わせて理解しておくことが大切です。ここでは、具体的なデメリットについて解説します。
(1)導入コストがかかる
MAツール導入にあたっては、原則として導入コストがかかります。また、導入後のランニングコストも含めて費用対効果を検討しつつ、導入すべきか冷静に判断しなければなりません。
特に、機能性が高く、便利な機能を多く搭載しているMAツール製品は、コストも高額になるケースが多いです。そのため、最初はフリープランから試してみて、コストパフォーマンスを見極めることが望ましいといえるでしょう。
▷MAツールの導入費用や月額料金の相場は?おすすめツールも合わせて解説
(2)シナリオ設計・運用にリソースが必要である
MAツール導入後には、ある程度人的リソースを割かなければなりません。効果的に営業活動を自動化するためには、「どの顧客に・どういったアプローチをするか」というシナリオ設計を考える必要があるためです。最適なシナリオ設計には、ある程度MAに関する知見のある人的リソースが必要になります。
また、施策に最適なメールやフォーム、LPといったコンテンツを用意する必要があり、制作のリソースも必要になります。したがって、人的リソースが圧迫されやすいため、この点はMAツール導入のデメリットだといえます。
(3)結果が出るまでに時間がかかりやすい
MAツールを導入しても、即日〜数日で分かりやすい結果が出ることはまずありません。データ分析に基づき、日々適切なコンテンツを提供したり適切なタイミングで営業活動を行ったりすることでようやく効果が見え始めるためです。
そのため、導入直後から短期間ではコストがかさみ、効果を実感しにくい可能性があることも、デメリットといえるでしょう。
(4)機能が複雑で使いこなせないリスクがある
機能性に優れた製品は、担当者がITに詳しくない場合、あるいは社内にMAに関する知見がない場合は最大限に活用することが難しいです。MAツールを使いこなせなければ、結果としてコストパフォーマンスが極めて悪くなり、導入失敗という結果になってしまうケースも十分にあり得ます。
そのため、使いこなせないかもしれないというリスクに備えるためには、比較的単純な機能の製品から導入を進めていくのが望ましいのです。
また、世界的に高いシェアを持つ海外産のMAツールは、ユーザーインターフェースが馴染めず、操作することが難しいケースも多いです。したがって、最初のうちは国産製品から運用を開始する方が安全である可能性が高いでしょう。
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マーケティングオートメーション(MA)ツールを活用するポイント
MAツールを適切に使いこなしていくためには、メリットとデメリットを踏まえた上で、自社に合った使い方を実践する必要があります。費用をかけてMAツールを導入するわけですから、最大限に効果が出るように活用していかなければなりません。
MAツールには多くの便利な機能があるだけに、それらを最大限活用できるよう、以下のポイントを押さえておくことが大切です。
(1)導入前に準備を整えておく
MAツール導入にあたっては、事前に以下のような点に留意して準備を整えておく必要があります。
#1:導入目的を明確にする
MAツール導入にあたっては、「なぜ導入する必要があるのか」「なぜ今必要なのか」など、具体的な導入目的を明らかにしておかなければなりません。
なぜなら、「なんとなく便利そうだから」「IT活用が大事と聞いたから」という漠然とした目的だけで導入しても、機能を十分に活用できない可能性が否めないからです
そのため、現状どのような課題があり、MAツールによってその課題が解消できるのか、導入によって業務フローや組織体制はどう変わるのかなど、導入後のシミュレーションを行っておくことが大切です。
その上で、導入目的が明確になった後に本当にMAツールの導入が必要だと判断した場合、目的を達成できる製品を見極める必要があります。目的が不明瞭な状態では、MAツールについてどのような機能を重視すべきかも明らかにならないので注意が必要です。
#2:リソースを整えておく
MAツール運用のためには、ある程度リソースを確保しなければなりません。シナリオ設計やマーケティング施策の見直しなどのPDCAを回す体制が必要なためです。また、特にMAツール運用開始時には設定作業や社内の導入サポートなど担当者はかなりの工数を割く必要があります。
MAツールは、知見のある専任の担当者以外では運用が難しいケースも少なくありません。専任の担当者を用意できない場合は、導入や運用のハードルが高くないシンプルな機能のMAツールを選ぶか、外部のリソースを活用する体制が望ましいでしょう。
#3:顧客情報のデータ化・シナリオ設計の考案をしておく
導入前の準備にあたっては、顧客情報のデータ化やCRMシステムとの連携、販促施策案をピックアップしておくことなども重要です。
例えば、名刺や手書きの顧客リストなどは、MAツールを導入しただけでは自動でスキャニング・管理できません。そのため、先にExcelデータに変換しておく、あるいは既にCRMシステムを導入している場合は連携できる体制を整えておくと、MAツール導入後の運用がスムーズになります。
また、シナリオ設計には予想以上に多くの時間を必要とします。そのため、草案として、どのような場合にどのような施策を打ち出すことが適切か見極めを行うことも大切です。
(2)運用後は結果が出るまでPDCAサイクルを回す
MAツールを効果的に活用するためには、結果が出るまでまめにPDCAサイクルを回さなければなりません。MAツールの活用は、決して運用初期から正解の形は実現できるものではなく、常に検証と改善を積み重ねていくことによって効果を最大化することができます。
マーケティング施策のポイントは、常に顧客の行動や興味、それに応じたプロモーション施策を研究していくことです。近年、購買行動の多様化が見られるように、今後も時代の変化に伴って顧客の行動や趣味嗜好は変化していくと予測されます。
そのため、より高い効果を得られる施策を模索し、ある程度納得のいく結果が出るまでPDCAサイクルを回し続けることが重要なのです。
(3)顧客行動に応じて柔軟にシナリオを変更する
顧客の行動に即したシナリオ作成は、簡単なことではありません。どのようなプロモーション施策がそのときの顧客の関心度を高めるのか、さまざまなパターンを試して模索していくことが大切です。
そこで重要なのが、顧客行動に基づいてシナリオ作成に柔軟性を持たせることです。顧客の行動に寄り添い、適切なコンテンツを見極めていかなければならないので、タイミングや訴求文言、誘導するページなどについてさまざまな選択肢を検討していくことが必要となります。
マーケティングオートメーション(MA)ツール導入を検討しよう
MAツールを導入することにより、営業活動やマーケティング活動の多くの業務を自動化・可視化することが可能です。そのため、業務効率化やコスト削減、そして利益の最大化にもつなげることができます。
しかし、MAツールを活用する際には、メリットだけでなくデメリットやリスクもある点に注意しなければなりません。特に、ITツールをあまり活用してこなかった企業がMAツールを導入する場合は、使いこなせるかどうか入念に検討して導入を決めることが大切です。また、自社に適した製品を選ぶことも運用をスムーズに行うために非常に重要となります。
ご紹介したMAツールのメリットやデメリット、適切に活用するポイントを考慮したうえで導入し、ビジネスの効率化を図ってみてはいかがでしょうか。
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