MAツールが営業にもたらす効果とは?具体的な活用方法や注意点も解説
MA(マーケティングオートメーション)ツールが営業にもたらす効果はユーザーニーズに対応できたり、営業課題の発見などがあります。本記事ではMAツールの基本機能から具体的な活用方法について解説しています。またMAツールを活用する際の注意点やおすすめのツール3選も紹介します。
目次
MAツールとは
MAツールとは、主にデジタルチャネルのマーケティング活動を自動化・効率化するためのツールです。マーケティングオートメーション(Marketing Automation)ツールを略してMAツールと呼ばれています。
MAツールの担当フェーズは、見込み顧客の選別・育成から商談化までの領域です。
獲得したリード情報を一元管理し、ニーズごとに最適化されたマーケティング施策を実行したうえで、適切なタイミングで営業担当者にバトンパスすることがMAツールの役割になっています。
従来の新規顧客獲得では、マスメディアを活用した網羅的なアプローチが一般的でした。しかし、現代はインターネットの普及で価値観が多様化し、ニーズが細かく分岐しています。
また、商品・サービスのコモディティ化によって、機能や価格での差別化が難しくなっています。
これらの背景から、1人ひとりのニーズと向き合うOne to Oneマーケティングの重要性が高まった結果、MAツールによるマーケティング活動の効率化に注目が集まっています。
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MAツールの主な機能
ここではMAツールの主な機能を4つご紹介します。
- リード管理
- スコアリング
- キャンペーン管理
- メールマーケティング
(1)リード管理
リード管理は、名刺情報やWebからのコンバージョンで獲得した個人情報などを一元管理する機能です。
具体的にはWeb上での行動履歴をリード情報と結びつけるだけでなく、匿名の見込み顧客の行動までもトラッキングできます。
この機能によって、企業は自社の商品・サービスに対する見込み顧客の興味・関心の度合いを可視化し、分析に役立てられるのです。
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(2)スコアリング
スコアリングは、行動ごとに点数をつけることで、受注確度の高い見込み顧客を特定する機能です。
具体的には購入の意欲や検討度合いの高さを基準に行動を点数化し、この点数の合計数に応じて、見込み顧客を次の3種類に分類します。
自社の商材に対する興味・関心度 | |
コールドリード | 低 |
ウォームリード | 中 |
ホットリード | 高 |
上記の基準をもとに、ホットリードの対応を営業にバトンパスするだけでなく、コールドリードやウォームリードに対して育成(ナーチャリング)を行い、ホットリード化を目指していきます。
(3)キャンペーン管理
キャンペーン管理は、条件に合致した見込み顧客に対して、マーケティング施策を自動で実施する機能です。
見込み顧客の属性だけでなく、Webページの滞在時間や特定ページへの遷移など、細かなアクションを指定できます。
条件の設定では、見込み顧客が購買に至るまでの行動パターンに応じて、購入の意欲を着実に高めていくために、マーケティング施策の中身と実施タイミングを決めていきます。
この施策の効果を定期的に分析し、改善を繰り返すことで、ニーズに合った情報提供ができるようになるでしょう。
(4)メールマーケティング
メールマーケティングは、見込み顧客の興味・関心に合わせてメールを自動で配信する機能です。
業界トレンドや導入事例の紹介など、見込み顧客の検討ステージに合わせて配信するメール内容を変更できる特徴があります。
また、メール配信後の開封率やクリック率などの効果を測定できる機能を持ち合わせているMAツールが多く、ABテストの実施にも役立てることが可能です。
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MAツールが営業にもたらすメリット5選
MAツールは営業活動を合理化し、効果的に進めるための機能を数多く有しています。ここではMAツールを活用することで得られる、主なメリットを5つご紹介します。
- ユーザーニーズに対応した営業ができる
- リードの情報を一元管理できる
- アプローチの優先順位を判断できる
- マーケティング部門と営業部門のすれ違いがなくなる
- 活動の可視化によって課題を発見できる
(1)ユーザーニーズに対応した営業ができる
MAツールはユーザーの行動履歴を追跡でき、興味・関心の度合いに合わせた情報発信が可能です。
さらにユーザーの行動に応じてトークスクリプトを変更できれば、ニーズに合致した営業活動ができるようになるでしょう。
購買プロセスの多様化が進む現代において、トークスクリプトの細分化は重要です。一方でトークスクリプトが細分化すると、どのシーンでどのスクリプトを使用するべきかの判断が難しくなります。
この解決策として、MAツールのシナリオ機能が役立ちます。シナリオ機能では、ユーザーのリアクションによって道筋を自動で分岐させるため、どの道筋を通ってきたのかを基準にトークスクリプトの振り分けを実施できます。
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(2)リードの情報を一元管理できる
営業活動では商談の実施から成約までのフェーズが重視されがちですが、このフェーズに辿り着くためには、リードの情報が適切に管理されている必要があります。
MAツールでは、スコアリング機能によって見込み顧客のフェーズの可視化が可能です。この機能によって、営業担当者は潜在層や顕在層のユーザー動向を迅速に把握できるようになります。
さらにMAツールのデータを営業プロセスに統合することで、顧客に対してマーケティングキャンペーンを効果的に実行できます。
このような機能を活用できるMAツールは、営業組織にとって獲得したリードの顧客化に結びつけ、営業目標を達成するための大きな武器として役立てられるでしょう。
(3)アプローチの優先順位を判断できる
見込み顧客には主に4つの意識レベルがあり、この段階をMAツールのスコアリング機能によって特定することで、営業担当者はアプローチの優先順位を素早く判断できるようになります。
必要性 | 欲求 | |
まだまだ客 | 低 | 低 |
そのうち客 | 低 | 高 |
お悩み客 | 高 | 低 |
今すぐ客 | 高 | 高 |
上記の見込み顧客のタイプの中で、「今すぐ客」はニーズに対する緊急性が高いと判断できます。
この場合、予算や成果のバランスが見合えば、購入検討に進みやすいため、営業担当者が優先的にアプローチを行うべき見込み顧客といえます。
このようにMAツールを活用して見込み顧客の購買意向が判断しやすくなると、営業組織はリソースを購入意欲の高い見込み顧客に集中することで、受注率の向上が期待できるようになるでしょう。
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(4)マーケティング部門と営業部門のすれ違いがなくなる
部門連携において課題となりやすいのが、マーケティング部門と営業部門のすれ違いです。
これは各部門の目標において、マーケティング部門のリード獲得数と、営業部門の成約率のギャップが大きくなると発生しやすいといわれています。
マーケティング部門がリードの数にこだわりすぎた場合、営業部門には受注確率の低い見込み顧客もバトンパスされてしまいます。
そうなると、営業部門は受注確度の低い見込み顧客にもリソースを割く必要があり、結果的に成約率が落ちてしまうのです。
このバランスを取るうえで、MAツールは効果を発揮します。MAツールはユーザーを発掘し、潜在顧客から顕在顧客への育成を通じて、セールスリードになったタイミングで営業部門にバトンパスすることを目的としています。
つまり、MAツールを活用してセールスリードの条件を細かく設定すれば、受注確度の低いリードの送客を防ぐことが可能です。
一方でマーケティング部門と営業部門では目標の内容が異なるため、業績拡大という共通目標を重視しつつも、双方が納得できる条件に落とし込むように心がけましょう。
(5)活動の可視化によって課題を発見できる
MAツールは、営業活動の課題の特定にも役立ちます。具体的にはリード単位で行動傾向を把握できるため、営業部門はカスタマージャーニー上のどこに課題があるのかを発見しやすくなるのです。
また、営業活動ではプロスペクトリスト(商品・サービスの購買意欲が高い顧客リスト)や、営業のパイプライン管理の質によって、最終的な実績が変わってきます。
一方で、これまでの営業活動ではマンパワーの依存度が高く、プロスペクトリストやパイプライン管理はブラックボックス化しやすい傾向にありました。
しかし、MAツールの活用で顧客のステージが可視化されると、営業活動が上手く噛み合っていない領域が明確になります。その原因を細かく調べていくことで、課題解決の方向性が見えてくるでしょう。
このようにMAツールは営業活動の課題点を特定し、改善に向けた具体的なアクション設定にも役立てることができます。
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営業効率を高めるMAツールの具体的な活用方法
営業活動におけるMAツールのメリットを踏まえて、ここでは具体的な4つの活用方法について解説します。
- リードのデータ管理
- ユーザー分析
- One to Oneマーケティング
- スコアリング
(1)リードのデータ管理
MAツールによってリード情報が一元管理されると、営業担当者はユーザーの状態を素早く把握できます。さらに営業活動でヒアリングした情報を追記することも可能です。
これによって、営業部門はデータフォーマットを統一しながら、必要な情報を網羅的に管理することができます。
また、データフォーマットの統一は、ハイパフォーマーの行動を分析し、営業組織のパフォーマンス水準を高めることにも役立てられるでしょう。
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(2)ユーザー分析
MAツールにはアクセス解析機能があり、Web上でのアクティビティログなどを通じて、ユーザー分析の効率化が可能です。
アクセス解析機能を活用すると、自社の商材に興味・関心を抱きやすいユーザーの属性や行動パターンを特定できます。
さらに問い合わせや資料ダウンロードによって一度リード情報を獲得したユーザーであれば、その後の行動をより細かく追跡できるようになるのです。
この機能によって、営業担当者はユーザーが何に困っていて、どのような情報を欲しているのかなどを、商談前に把握できます。
(3)One to Oneマーケティング
MAツールはニーズなどの条件設定に応じて、最適化された情報を自動で発信できる特徴があります。
この情報発信のパーソナライズを実現するのがシナリオ機能です。シナリオ機能は、One to Oneマーケティングの要でもあります。
近年はニーズが多様化したことで、ユーザーの行動パターンは複雑に分岐しています。この行動パターンを営業担当者が自力で追い続けるには、相当なリソースが必要となるでしょう。
だからこそ、MAツールとの分業を進めることで、コア業務に注力できる環境づくりが重要です。MAツールでは、顧客の行動や反応に応じて、営業担当者のメールアドレスから自動でメッセージを送付できます。
この機能によって、営業部門は顧客とのエンゲージメントを高めながら、今まで以上に商談の準備に時間を割くことができるでしょう。
(4)スコアリング
MAツールのスコアリング機能を活用すると、営業部門はリードの質を評価するための基準を設定でき、質の高いリードに対して優先的な営業活動を行えます。
具体的にはスコアリング機能で見込み顧客の行動を点数化すると、受注率の高い顧客リストを自動で抽出できるのです。
この機能を使いこなすには、営業担当者が商材を提案し、成約に至るために、ユーザーがどのような状態になっているべきかを定義する必要があります。
そして、理想の状態までリードのステージを高めるために、必要なアクションと点数を明確に決めることで、最終的なリードの質が担保されるようになるでしょう。
MAツールを使用する際の注意点
使いこなすことで幅広い効果が期待できるMAツールですが、使用には2つの注意点があります。
- MAツールを導入するだけではいけない
- 営業部門とマーケティング部門で役割分担
(1)MAツールを導入するだけではいけない
MAツールを導入しても、社内の業務システムや収益プロセスの課題、従業員の意識まで自動で変えてくれるわけではありません。
MAツールを効果的に扱うためには、ツールの導入前に自社が抱えている課題を整理し、その解決に必要な機能を導き出すことが重要です。
そのためには、見込み顧客の把握とシナリオ設計が求められます。これまでの受注傾向から、自社の商材に興味を持ちやすいユーザー像や、受注に至りやすいルートを把握しましょう。
ここで導き出した内容をもとに、MAツールに必要な機能を洗い出します。
具体的にはカスタマージャーニーマップでのユーザーの態度変容において、自社が苦手としているフェーズを特定できると、MAツールに求めるべき機能の優先順位をつけられるでしょう。
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(2)営業部門とマーケティング部門で役割分担
MAツールの導入で期待した成果を得るためには、営業部門とマーケティング部門の役割の明確化が欠かせません。
ここで認識のずれが生まれると、バトンパスが乱れてしまい、商談の進捗が停滞する可能性があります。
だからこそ、MAツールを有効活用するためには、部門ごとの目標に合わせて役割を適切に分担することが重要です。
営業部門は売上目標に対して、営業活動の計画・実行だけでなく、マーケティング部門から送客されるリードの数や質を評価します。
リードの数や質を担保するためには、営業活動で得た情報を共有し、マーケティング部門のターゲティングやセグメンテーションの精度を高めることが欠かせません。
一方、マーケティング部門は送客目標に対して、見込み顧客の獲得・育成を通じて営業部にセールスリードを送客します。
リードは数と質のバランスが大切になるため、ナーチャリング施策の実行・改善を繰り返し、シナリオ設計をより高度な状態に進化させていくことが求められます。
さらにリードの質や営業活動の成果などを共有し、共にKPIを設定・達成することも忘れてはなりません。これによって双方の部門が協力し、ターゲットに対して効果的なアプローチが行え、営業効率の向上につながります。
▷MAツール導入後のよくある課題とは?注意点や運用の改善方法も解説
営業を効率化する代表的なMAツール3選
ここでは営業活動の効率化に役立つ、代表的な3つのMAツールをご紹介します。
- Adobe Marketo Engage
- SATORI
- Synergy!LEAD
(1)Adobe Marketo Engage
Adobe Marketo Engageは、アドビ株式会社が提供するMAプラットフォームです。
自社にとって優良な顧客を選別し、アプローチを最適化するABM(アカウント・ベースド・マーケティング)戦略を強化できる特徴があります。
提供元 | アドビ株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | Select(要問い合わせ) Prime(要問い合わせ) |
導入実績 | 全世界で5,000社以上が採用 ※2023年1月時点 |
機能・特徴 |
|
URL | 公式サイト |
(2)SATORI
SATORIは、SATORI株式会社が提供するMAツールです。
見込み顧客の獲得・育成・管理における標準的な機能を網羅しつつ、見込み顧客のアクションの起点となるWebページやフォームを簡単に作成できる特徴があります。
提供元 | SATORI株式会社 |
初期費用 | 30万円(税別) |
料金プラン | 月額14万8000円(税別/年間契約) |
導入実績 | 1,000社以上の導入実績 ※2023年1月時点 |
機能・特徴 |
|
URL | 公式サイト |
(3)Synergy!LEAD
Synergy!LEADは、シナジーマーケティング株式会社が提供するMAツールです。
SFA/CRMツールとして世界各国で導入実績のあるSalesforceとの連携に強みを持ち、Salesforceの顧客リストを活用したマーケティング施策の実行を手軽にできる特徴があります。
提供元 | シナジーマーケティング株式会社 |
初期費用 | 無料 |
料金プラン |
|
機能・特徴 |
|
URL | 公式サイト |
MAツールを効果的に活用して営業部門を効率化しよう
本記事ではMAツールの特徴や主な機能、具体的な活用方法などをご紹介しました。
MAツールはマーケティング部門が扱うものとして認識されやすいですが、その影響範囲は営業部門にも及びます。双方の部門が協力関係を築き、情報の提供と施策の実行・改善を続けることで、営業効率の改善にもつながるでしょう。
営業活動をより効率的に進めていくためにも、ぜひMAツールの活用をご検討ください。
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