シナリオメールとは?ステップメールとの違いや使い分けについて
MA(マーケティングオートメーション)ツールで使われるのがシナリオメールです。しかし、ステップメールとの違いを説明できないという方も多いのではないでしょうか。本記事では、両者の使い分け方を含め、MAツールのシナリオメールとステップメールについて詳しくご紹介します。
目次
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シナリオメールの特徴・手法とは?
シナリオメールはマーケティング手法のひとつです。あらかじめ想定された顧客の行動(シナリオ)や状況を分岐点として、自動的に配信されるメール、あるいはそのようなメール配信機能のことを指します。
例えば、配信したメールを開封したかどうかによって、次に送るメールを変える手法があります。開封されていない場合には興味を持ってもらうためにセールの期限が迫っているメールを配信し、開封されている場合には購入行動を後押しするクーポン券などを配信するというように使い分けるのです。
シナリオメール配信におけるその他の分岐点としては、以下のケースが挙げられます。
- メールに添付したURLをクリックした場合としなかった場合
- アンケートに答えた場合と答えなかった場合
- 購入した場合としなかった場合
このように、メールを受信した後のユーザーの行動を、多岐にわたるシナリオとして想定します。そして、次に配信するメールを用意しておくことで、ユーザーの関心度に応じた効果的なコミュニケーションを自動で実現するのが、シナリオメールです。
なお、シナリオメールを送るには、「MAツール」や「メルマガ配信ツール」などを使用するのが一般的です。
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ステップメールの特徴・手法とは?
ステップメールは、ユーザーが商品を購入したり、資料請求したりした日時を起点として、経過した時間に応じたスケジュールに沿って配信されるメール、あるいはそのようなメール配信機能を指します。
ステップメールの目的は、時間と共に変わる購買意欲の変化に合わせてタイミングよくメールを配信し、ユーザーにその企業に対する親しみをわかせ購買意欲を刺激することです。
例えば、会員登録した次の日に会員登録のお礼のメールを送り、3日後に会員特典のお知らせメール、1週間後におすすめイベントのお知らせ、1カ月後に優待情報などのメールを配信するなどが挙げられます。加えて、ユーザーの誕生月にクーポンメールを配信することもあります。
ステップメールは、新規顧客の獲得だけでなく、部品の交換やメンテナンスが必要な商品、定期的に利用するサービス、消耗品や食品の購入促進にも効果的です。
メールの内容はどのユーザーにも同じものを送信しますので、最新の情報に更新しやすく、メール内容の管理が比較的楽にできるというメリットがあります。
ステップメールの中で比較的開封してもらいやすいのが最初のお礼メールですので、次回以降のメールが楽しみになるような内容にしたり、配信時期や目的、回数を示して警戒感を解いたりする工夫が必要です。
シナリオメールと同様にマーケティングの手法のひとつであり、MAツールやメルマガ配信ツールで配信できます。
シナリオメールとステップメールの違いは?
シナリオメールとステップメールはともに、顧客の属性や行動、ニーズに合わせて配信するOne to Oneメールです。
One to Oneメールは、一般的な広告メールと異なり、顧客に「自分宛てに送られてきたメール」だと認識してもらえるメールです。One to Oneメールの目的は「顧客の購買意欲を高めること」であり、それぞれのメールに違いはありません。
しかし、シナリオメールとステップメールには、対象ユーザーの行動がアプローチ頻度に影響するか否かの違いがあります。
シナリオメールはユーザーの行動を反映させながら、次に配信されるメールが選択されていきますが、ステップメールは起点とした日時からの経過日数から次に配信するメールが決められています。
つまり、シナリオメールは行動を起こさないユーザーへメールを送る頻度が減っていき、ステップメールは行動を起こさないユーザーにも同じ頻度で同じ内容のメールが送られ続けるのです。
ユーザーにとって効果的なシナリオメールを配信するには、Webサイトへのアクセス解析や開封率などのデータをもとに、その行動を詳細に分析しなければなりません。シナリオ設定には膨大な手間がかかりますが、適切なタイミングで適切なシナリオメールが配信できれば、購買へ誘導しやすくなるのです。
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シナリオメールとステップメールの使い分けについて
シナリオメールは見込み顧客のニーズに合ったメールを配信し、ステップメールには一律の内容と時期で配信します。
では、シナリオメールとステップメールの使い分けはどのようにしたらよいのでしょうか。ここでは、シナリオメールとステップメールの使い分け方と、顧客に受け入れてもらいやすいステップメールにするための工夫について解説します。
(1)シナリオメールを使うべきケース
シナリオメールは、見込み顧客は見つかっているが、その見込み顧客がまだ購買に至っていない場合に利用するケースが多いです。
例えば、「メルマガは配信しているが、見込み顧客の振り分けができておらず購買に繋がっていない」や「見込み顧客が即決しにくい高額商品を検討している」などの状況が挙げられます。
また、見込み顧客のうち、「ホットリード層」と「ウォームリード層」に対して特に効果が見込めます。
見込み顧客の購買意欲の段階には、次の4段階があります。
ホットリード | 購買意欲が高く、成約まであと一歩の見込み顧客 |
ウォームリード | 購買意欲はあるが、まだ情報収集を行っている段階の見込み顧客 |
コールドリード | 顧客名簿には載っているが、購入意欲が低い見込み顧客 |
アノニマスリード | 個人が特定できず、まだ顧客名簿には載せられない潜在的な見込み顧客 |
最も購入につながる可能性の高いホットリードは、何度も商品やホームページへアクセスして、資料請求やPDF資料のダウンロードを既に行い、メルマガ購読など定期的に行動を起こしています。
キッカケがあれば成約につながることがあるので、メール配信でタイムセールやクーポン券などの送付が効果的です。
一方、ウォームリードは情報収集の段階なので、購入のキッカケよりは、より詳しい購入の決め手となるような情報を求めています。資料請求やより詳しい情報に誘導するようなメールの内容が効果的です。
シナリオメールでは、このようなホットリードとウォームリードの行動が見られたときに、迅速かつ確実にアプローチできます。
(2)ステップメールを使うべき場合とは
ステップメールは見込み顧客の購買意欲の段階にかかわらずに自動配信するメールなので、定期的に顧客へ購買行動を促したい場合に使うのが最適です。
例えば、顧客が既に知っている商品や、以前に購入済あるいは購入の検討をしたことのある商品などの最新情報をメールマガジンで伝え、ステップメールで購買行動を促すという手法も効果的です。
そのため、ステップメールは次のような場合におすすめです。
- 知名度の高く、誰でも知っている商品
- BtoCで比較的購買単価が低い商品
- メルマガ購読者
- 定期的に部品の交換やメンテナンスが必要な商品購入者
- 定期的に利用するサービスのリピート購入
- 消耗品や食品のリピート購入
一方で、ステップメールにはユーザーの行動を反映しないため、興味のない商品や別途購入済みの商品メールを繰り返し送ってしまうというデメリットがあります。
このような状況では、あまり頻繁に配信するとブランド自体に不快感を持たれてしまったり、メールアドレスを迷惑メールに登録されてしまったりするなど、次のチャンスを逃してしまう可能性があるので注意が必要です。
ステップメールは適度な回数を設定し、メール内には配信停止の操作をわかりやすく掲載するなどの配慮が大切です。
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シナリオメールで解決できる課題
見込み顧客の反応から、より細やかに購買意欲の段階を見極めてメールを変化させていくシナリオメールは、マーケティングや顧客管理、顧客へのアプローチの質を高めてくれる自動メール配信システムです。そのため、シナリオメールの導入はマーケティングに関する課題解決に役立ちます。
ここでは、メルマガの成果に関する課題と、見込み顧客とのコンタクトに関する課題、ナーチャリングに関する課題について解説します。
(1)メルマガのCVRが低いケース
最新情報を載せたメルマガを配信したのに購買行動につながらない、誘導先のサイトへの訪問が少ないといったように、目指した成果(CV)を得られない場合は少なくありません。
目指した成果の達成率(CVR)が上がらない原因として、「メルマガを開封してもらえない」ことが理由のひとつに挙げられます。
せっかくメルマガでのプロモーション活動に力を入れているのに、顧客の目に触れないようでは意味がありません。実は、このような場合に役立つのがシナリオメールです。
シナリオメールでは、顧客それぞれの行動に基づいてメールの内容を送り分けていますが、属性や興味に応じた内容にカスタマイズすることもできます。
例えば、その顧客の興味や属性に合わせた割引クーポンや商品リストをシナリオメールに設定しておき、メルマガと連携して活用する方法があります。
顧客が開封したくなるメールの件名や、思わずクリックしたくなる画像、商品を購入したくなるようなメールの内容、URLをクリックしやすい誘導文などをパーソナライズするとCVRの向上につながります。
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(2)見込み顧客にコンタクトが取れないケース
今後購入行動につながる可能性のある見込み顧客に対して、定期的にアプローチして関係を維持しておくことはセールスの鉄則です。
しかし、同時進行でいくつかの案件を動かしているときなどは、ルーティンとして見込み顧客に連絡を取り続けることが時間的に難しかったり、慌てて送ったメールの内容が逆効果になってしまったりすることもあります。
その結果、「連絡が途切れてしまっている間に見込み顧客が他社の製品を購入した」「購入する商品が検討対象から外された」などといったチャンスロスが生じるのです。
コンタクトが取れない見込み顧客にシナリオメールを設定しておけば、その顧客に対して効果的なメールを自動的に配信できます。
見込み顧客とのつながりを維持しておいて、進行中の案件が落ち着いた段階でシナリオメールの設定を見直して修正したり、直接アプローチをしたりしていきます。こうして、関係を維持することで、見込み顧客が本格的に購入商品を検討する際に連絡をしてくれる担当者になれるのです。
シナリオメールを活用することで、忙しい時期の仕事のボリュームを調整しつつ、確実な成果を上げることができます。
(3)見込み顧客のナーチャリングが上手くいかないケース
ナーチャリングとは、潜在顧客から見込み顧客へ、見込み顧客から既存顧客(購買する顧客)へと段階的に育成することです。
高額な商品やBtoBの契約などでは、顧客はより多くの情報を集めて的確な判断をしようとします。そのため、問い合わせや資料請求、見積もり依頼などがあったとしても、実際の購買活動につながらないということがあります。
展示会に訪れた見込み顧客や名刺交換した見込み顧客、Web広告に反応した潜在顧客などに対して情報提供などのアプローチを継続し、購買意欲を高めて最終的に既存顧客へ育てる必要があるのです。
ナーチャリングは、シナリオメールが得意とする分野でもあります。潜在顧客の段階からシナリオメールでコミュニケーションをとり、割引クーポンやWeb上でサービスの利用を促し、購買意欲を高めていくのです。
また、ナーチャリングには、既に商品を購入した顧客との関係を維持して、次の購買行動につなぐことも含まれます。
ナーチャリングでは、見込み顧客との息の長い関わりが必要になりますので、シナリオメールをうまく活用して顧客の反応を見ながら、実際に連絡を取ったりセミナーに招待したりといったきめ細やかな対応が必要です。
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ステップメールとシナリオメールを上手に活用しよう
顧客の状態を振り分けてより効果的な細やかなアプローチを行うのがシナリオメールであり、時間の経過に合わせてスケジュール通りのメール配信を行うのがステップメールです。
ステップメールとシナリオメールを組み合わせると、メールマガジンだけでは得られにくいOne to Oneの関係を見込み顧客との間で築くことができます。
また、ステップメールとシナリオメールは、CVRの向上や顧客の育成など、マーケティング課題において解決の糸口となります。こうした課題にお悩みの企業の方は、ぜひステップメールとシナリオメールを上手く活用していきましょう。
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