MAツールとメール配信システムの違いとは?役割や機能・選び方を解説!

最終更新日時:2022/03/04

MAツール

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MA(マーケティングオートメーション)ツールとメール配信システム、どちらを導入するか迷っている企業担当の方も多いのではないでしょうか。この記事では、MAツールとメール配信システムの違いや役割、メリット・デメリットを比較し、自社に適したツールの選び方を解説します。

MAツールとメール配信システムの役割

MAツールとメール配信システムは、類似する機能を持つ部分もあるため、状況や製品によって混同されることが少なくありません。

そのため、両者の違いやどちらを導入すべきなのかなど、的確な判断ができず困っている方も多いのではないでしょうか。利益の最大化やマーケティング・営業活動の効率化を実現するためには、両者の違いをよく理解し、自社に適したものを選ぶことが大切です。

まずは、それぞれの役割や特徴を見ながら違いを比較していきましょう。

(1)MAツールの役割

MAツールの役割は、販促や営業活動において必要なマーケティング業務の自動化です。関心度の高いリード(見込み顧客)をデータ分析によって割り出し、自動的にメールやSMS配信などを実現できるツールとなっています。

また、MAツールは、自動化にとどまらずユーザー一人ひとりの興味関心を見える化するツールでもあります。MAツールによって明示されたデータをもとに、営業・販促活動を行うことも非常に効果的な戦略です。

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(2)メール配信システムの役割

メール配信システムの役割は、自社で抱えているユーザーリストに対して自社商品やサービスのPRメール、重要なお知らせをメール配信することが可能です。

メールをリード一人ひとりに送る場合、メール配信システムを利用しなければ1件ずつ宛先を設定して内容を入力し、送信するという作業が必要になります。しかし、リードの数は膨大ですから、1件ずつ手作業では非効率で現実的に実行するのが難しいです。そこで役立つのが、大規模なメールの一斉配信を可能にするメール配信システムです。

メール配信システムは、主にメルマガやアンケート、キャンペーン告知、クーポン配布などで多くの企業に活用されています。

MAツールとメール配信システムの違い

次に、MAツールとメール配信システムの違いを具体的に見ていきましょう。主な違いとして、取り入れる目的、解決につながる課題、コストなどの点が挙げられます。

#1: 導入の目的

MAツールはさまざまな分野のマーケティングに対応しており、メール配信システムは主にメールマーケティングに特化していることがわかります。

したがって、リードの獲得や管理の効率化、コンテンツ制作などの目的がある場合は基本的にMAツールが向いているといえるでしょう。

一方、メールマーケティングを特に強化したいとき、キャンペーン告知などを一度に行いたいときなどは、メール配信システムを選ぶのが効果的です。

#2: 解決できる課題

MAツールとメール配信システムでは、解決に向けてアプローチ可能な営業課題が異なります。

MAツールは、多角的な販促や休眠リストからの見込み顧客の掘り起こし、営業・販促の自動化による効率化、各部門の連携などの課題を素早く解決することが可能です。そのため、マーケティング活動全般に対する課題にアプローチしたい場合はMAツールを検討すべきでしょう。

一方、メール配信システムの場合、大規模なメールマーケティングの実現・効率化といった課題解決を実現します。また、メールマーケティングにおける成果アップにより集中したいものの実現できていないケースなども、メール配信システム導入を検討すべきでしょう。

#3: 必要なコスト

必要な導入コストやランニングコストも両者の大きな違いです。

MAツールにはメール配信の仕組みも組み込まれているため、さまざまなマーケティング自動化を実現できます。こうした利便性の高さから、必要なコストも比較的高くなりがちです。

一方、メール配信システムは、主にメールマーケティングに特化しているため、MAツールと比べると機能はシンプルになるのでコストは安くなる傾向にあります。無料で利用できるものも少なくありません。

ただし、それぞれの利用用途やその頻度、具体的には獲得するリード情報の数や配信するメール通数、API連携の数などによってランニングコストは大きく変わるので、あくまで実現したいことをベースに予算を設計すべきだと言えるでしょう。

MAツールとメール配信システムのメリットについて

ここからは、MAツールとメール配信システムの違いを理解するためのポイントとして、それぞれのメリットについて解説します。

(1)MAツールのメリット

MAツールが持つメリットとして、以下のような点が挙げられます。

  • 顧客情報の一元管理が可能
  • リードの放置を防げる
  • 営業の効率化
  • コンテンツ作成がスムーズ
  • 顧客の行動分析・スコアリングが可能

以下、具体的に見ていきましょう。

#1: 顧客情報の一元管理ができる

MAツールの導入により、顧客情報管理を大幅に効率化できます。MAツールとCRM(顧客管理システム)と連携すれば、ユーザー一人ひとりの情報と紐づけた状態で、これまでの取引(購入)履歴や興味関心などを見える化し、施策に反映させることが可能です。

#2: リードの放置がなくなる

すべて手作業で営業活動を行うとなると、一部のリードを放置してしまう事態になりかねません。

この点、MAツールを導入すればリード一人ひとりの行動や関心に基づきメール配信などを自動で行えるため、本来発生していたかもしれない取りこぼしがなくなることが大きなメリットです。

#3: 営業活動を効率化できる

MAツール導入により、リードの関心度の把握、メール配信など、データ分析から実際のアプローチまで営業・販促活動に関わる多くの業務を自動化できます。そのため、業務効率化やコスト削減が可能である点が大きなメリットです。

このことは、従業員一人ひとりが商談などの中核業務により集中できる環境を実現することにもつながるので、機会損失を回避することにもつながります。

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#4: コンテンツ作成ができる

問い合わせフォームや資料ダウンロードフォーム、その他ランディングページなど、営業活動に役立つコンテンツ作成がスムーズにできるのもMAツールの大きなメリットです。

特別なweb知識を必要とせず、誰でも比較的簡単に作成できるため、効率化やアウトソーシング費用の削減などにもつながります。

#5: 顧客の行動分析・スコアリングができる

MAツールでは、リードの行動ログからさまざまな分析を行うことが可能です。webサイトにおけるアクセス解析やメール開封の有無などを確認して分析を行えば、関心度別にリードをスコアリングすることもできます。

そしてその結果を元に、より温度感の高いリードの見極め、ひいては営業の優先順位の判断に役立ちます。

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(2)メール配信システムのメリット

続いて、メール配信システムのメリットは、以下の通りです。

  • 手作業での送信が不要
  • 誤送信がない
  • HTMLメールの作成が簡単
  • セグメントごとのメール配信が可能

それぞれについて、具体的に見ていきましょう。

#1: 手作業でのメール送信作業が不要になる

メール配信システムを活用すれば、大量のメールを自動で簡単に送信できます。手作業で1件ずつ確認しながら送信するといった膨大な作業が不要となり、大幅な業務効率かが可能です。

#2: 誤送信等のミスを減らせる

手作業でメールを送ることのリスクとして、誤送信などのヒューマンエラーが挙げられます。

この点、メール配信システムなら、プログラムによって機械的に決められた宛先にメールを大量送信できるため、誤送信等のヒューマンエラーは原則として起こらないのがメリットです。

#3: テンプレートでHTMLメールを簡単に作れる

メール配信システムには、メールを誰でも気軽に作成できるよう、各種テンプレートが用意されています。そのため、例えばHTMLについて知識がなくても、誰でも簡単に見やすいHTMLを作成することが可能です。

#4: セグメントごとのメール配信ができる

メール配信システムの機能は、単純にメールの大量送信を自動で行えるのみにはとどまりません。うまく活用すれば、クリック率や開封率によってユーザーの関心度のセグメンテーションを行った上で、セグメントごとの配信が可能です。

このことは、ユーザー一人ひとりのニーズや興味関心に合わせたメールマーケティングの効率化につながります。

MAツールとメール配信システムのデメリットについて

新たにいずれかのツールを自社に取り入れる際には、メリットだけでなく、デメリットも合わせて理解し、検討することが大切です。ここからは、MAツールとメール配信システムのデメリットを比較してご紹介します。

(1)MAツールのデメリット

MAツールを取り入れる際のデメリットは、主に以下の通りです。

  • 人的・費用的コストの問題
  • シナリオ作成が大変
  • 機能が複雑

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

#1: 人的・費用的コストの問題

まず重要なのは、人的・費用コストが比較的高くなりやすいことです。これはMAツールを始めて導入する場合には最大のデメリットであり、導入を阻む障壁だといえるでしょう。

MAツールでできることは多岐にわたるだけに、必要なコストは高くなる傾向にあります。そのため、十分に費用対効果が望めるのかよく検討した上で導入しなければなりません。

また、導入に伴って専門的な知見を持った人材の確保などの人的コストがかかることもデメリットです。

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#2: シナリオ作成や運用に人手が必要

MAツールの活用により、例えば「メールを開封した人にはAのメールを送る」「メールからサービスページにアクセスした人にはBのメールを送る」といったシナリオ設定を行い、営業の自動化が可能です。

しかし、最適なシナリオ作成のためにはトライアンドエラーが必要になるため、作成・運用にマーケティングに深い知見を持った人的リソースが必要になることはデメリットとなり得ます。

#3: 機能が複雑で使いづらいことがある

豊富な機能により多種多様なデータ分析が可能となるのがMAツールのメリットですが、機能が複雑である点は企業によっては大きなデメリットです。

使いこなせなければコストばかり膨れ上がってしまいかねないため、使いこなせるかどうか、導入にあたってリソースを割くことができるかなどの点を、事前に見極めなければなりません。

(2)メール配信システムのデメリット

メール配信システムを導入する場合には、以下のデメリットに注意が必要です。

  • 迷惑メールにならないように注意する必要がある
  • メール文章の推敲に時間がかかる

それぞれについて解説します。

#1: 迷惑メールに振り分けられる可能性がある

注意すべきなのは、場合によって送信したメールが迷惑メールに分類されてしまうリスクがある点です。メールによっては、件名や文章の内容から迷惑メールと判断される場合があり、せっかく講じた施策が徒労に終わってしまう可能性が否定できません。

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#2: 文章の推敲に手間がかかる

メール配信システムは、あくまで配信の自動化やセグメントごとの配信効率化が可能なツールなので、メールの文章自体は人の作業で用意する必要があります。

そのため、そもそおのメルマガのコンテンツ内容を作成するリソースがない場合やメールマーケティングの戦略を改善したい場合は導入しても本質的な解決にはなり得ません。

MAツールとメール配信システムで迷ったときの選び方

どちらのツールを導入すべきか迷った場合には、選ぶ基準・選び方のポイントを押さえた上で検討することが大切です。ここでは、MAツールを選ぶべき企業、メール配信システムを選ぶべき企業の特徴を解説します。

(1)MAツールを選ぶべき企業

まずは、MAツールを取り入れるのがおすすめの企業の特徴を見ていきましょう。

#1: 人員と予算に余裕がある

さまざまな観点でリソースにゆとりがある企業には、MAツールが向いています。使いこなせるまでに時間とコストはかかりますが、MAツールの方がメール配信システムに比べて多角的なマーケティング強化が可能なため、利益の最大化に貢献してくれるためです。

#2: 既に多数の顧客情報をストックしている

サービスやサイトなどで多数の顧客情報を既に保有している場合も、MAツールを選ぶのがおすすめです。顧客情報の管理工数を減らしつつ、顧客一人ひとりの行動や関心度を確実に把握しながらより効果的なプロモーションを行うことが可能です。

また、リードの放置防止にもつながるため、数多くの顧客情報を抱えていても効率的な営業活動が可能となります。

#3: 集客の経路が複数ある

さまざまな集客経路を持つ企業は、メール配信システムではなくMAツールの方が向いているといえるでしょう。MAツールでは、メール配信だけでなくLINEやSMSなど多くのチャネルでプロモーション施策を打ち出すことが可能です。

(2)メール配信システムを選ぶべき企業

これに対して、以下のような特徴を持つ企業にはMAツールよりもメール配信システムの導入が向いています。

#1: 予算を抑えたい

メール配信システムは、コスト削減を図りながら導入することが可能です。

MAツールと比べて導入・運用コストが低いため、予算に限度がある企業の場合は、メール配信システムから導入してみるとよいでしょう。最初は無料のツールから試してみるのも一つの方法です。

#2: メール送信機能以外は不要である

メール配信の効率の悪さがビジネス上の課題となっている企業にも、メール配信システムの導入はおすすめです。メール送信機能以外の、MAツールが持つ機能が不要と考えられる場合は、メール配信システムで十分こと足ります。

#3: 抱えている顧客情報が多くない

現状抱えている顧客情報がそこまで多くない場合は、管理工数を軽減する必要性は比較的低いといえます。その場合は、メール配信システムで問題はありません。メールマーケティングの強化のみで足りるか考慮し、導入を検討することをおすすめします。

必要に応じてMAツール・メール配信システムを導入しよう

MAツール・メール配信システムの両者の間には、利用できる機能や解決できる課題、コストなどの面で大きく異なる部分があります。そのため、まずは違いを認識し、自社に照らし合わせてメリット・デメリットを把握した上で、比較検討を進めていくことが重要です。

必要に応じて最適なサービスを見極め、MAツール・メール配信システムを活用してビジネスの効率化・利益の最大化を実現していくことが大切だと考えられます。

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