MAツールのセキュリティ対策は問題ない?注意点やコンプライアンスについて

最終更新日時:2022/03/07

MAツール

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MA(マーケティングオートメーション)ツールを導入する際には、セキュリティ対策が必須です。本記事では、MAツールのセキュリティ対策、MAツール運用時に注意したいポイントについて詳しく解説するとともに、コンプライアンスを守るMAツールの運用方法についてもご紹介します。

MAツールのセキュリティ対策は大丈夫?

営業やマーケティングの効率化や自動化、そしてコスト削減などへ高い効果を発揮してくれるMAツールは、利便性が高いからこそ運用の際にはセキュリティへのリテラシーを高めることが重要です。

MAにおいては、膨大な量の個人情報を扱うことになります。また、Cookieによるwebトラッキングデータなども個人情報に準ずるデリケートな情報です。そのため、万が一運用方法やデータの管理方法などを間違えれば、重大な問題や情報漏洩の事故へとつながってしまいかねません。

したがって、MAツールを導入するとき、運用するときには、適切なセキュリティ対策ができているか見極める必要があるのです。

セキュリティを意識したMAツールの選び方

セキュリティ対策を強化するためには、導入実績の多い会社によって提供されているMAツールを選ぶことが大切です。原則として、多くの企業から支持されている有名製品であれば、セキュリティ対策は十分施されており問題はないでしょう。

ただし、MAツールのセキュリティ性能については基本的に提供会社に依存せざるを得ません。そのため、導入にあたってセキュリティ対策をあらかじめチェックすること、そして運用の際に定期的にチェックし、不安を感じた場合はすぐに問い合わせることが重要です。

MAツールのセキュリティ対策を確認する方法

各ベンダーから提供されているMAツールのセキュリティ性能を見極めるためには、以下の点に注意が必要です。

  • Pマーク
  • ISMSクラウドセキュリティ認証

上記の点についてセキュリティ認定を受けているMAツールは、安全に運用できるものとして信用できます。

ここからは、PマークとISMSクラウドセキュリティ認証の2点について詳細を解説します。

(1)Pマーク(プライバシーマーク)

Pマーク(プライバシーマーク)は、「JIS Q 15001 個人情報保護マネジメントシステム-要求事項の基準」において基準を満たしていると認定された場合に付与されます。

Pマークの制度は一般社団法人日本情報経済社会推進協会によって運営されており、個人情報保護の体制を適切な形で敷いている事業かどうかを明確にすることが目的です。

昨今、個人情報保護の体制を強化し、その体制を社外にアピールするために、Pマークの認定を目指す企業は非常に多くなっています。

したがって、MAツールベンダーの信頼性をチェックする際には、Pマークの有無を確認するとよいでしょう。MAツールを提供するにあたって個人情報保護の観点からセキュリティ対策をしっかりと行っている企業は、基本的にPマークを取得しているためです。

(2)ISMSクラウドセキュリティ認証

ISMSクラウドセキュリティ認証は、クラウド環境によって提供されるサービスやシステムのセキュリティ対策がしっかりと行われていることを明示する認証制度です。

現在、クラウドで導入できるMAツールは非常に多いため、ISMSクラウドセキュリティ認証の有無も確認しておくことをおすすめします。

なお、ISMSクラウドセキュリティ認証は、情報マネジメントシステム認証センターによって実施されてる認証制度です。企業や一般消費者がクラウドセキュリティに安心したうえでサービスが利用できるよう、基準が設けられています。

この基準を満たしている場合、各サービスや事業者にはISMSクラウドセキュリティ認証が付与される仕組みです。

MAツールのセキュリティ面での注意したいポイント

利便性が非常に高いことが魅力のMAツールですが、住所や氏名、電話番号やメールアドレスといった個人情報を頻繫に取り扱っていくからこそ、ツールを取り入れる際にはさまざまなセキュリティ面での注意点を理解しておく必要があります。

特に以下のポイントには、注意しなければなりません。

  • ログインに関わる情報の管理
  • なりすましメール対策
  • セキュリティにこだわっている製品の導入
  • 情報セキュリティ関連の認定・認証

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

(1)ログインID・パスワード管理

万が一第三者によってMAツールにログインされてしまうことがあれば、情報漏洩といった重大事案に発展してしまいかねません。

サイバー攻撃による不正ログインへの対策を重視することはもちろん重要ですが、IDやパスワードの情報の管理がそもそもずさんだったことから第三者のログインを許してしまうようでは本末転倒です。

IDやパスワードの情報の管理は徹底し、さらにパスワード変更もタイミングを見て定期的に実施する必要があります。

(2)なりすましメール対策

なりすましメール被害により、情報漏洩につながるケースも少なくありません。メール配信を行う際には第三者になりすまされないようにSPF・DKIM・DMARCの対策をしっかりと行うことが大切です。

SPFは、IPアドレスの認証が行えるようになっており、万が一メールの送信元のドメインが詐称されていたときは検知できます。

DKIMは、電子署名によって認証ができるシステムですので、本文の改ざんがあった際にも素早い検知が可能です。

また、DMARCは、SRFとDKIMの認証を主に補う役割を持ちます。DMARCでは受信側がSPF・DKIMでの認証ができなかった場合に検証メールの処理方法を指定することが可能です。このようになりすまし対策を行っておけば、メール配信の際に受信できないという問題を未然に防ぐことができるでしょう。

(3)セキュリティの高いMAツールを見極める

MAツールは現在多くのベンダーによって提供されているため、セキュリティ性能に優れている製品を見極めることが大切です。

原則として、前述した通り多くの導入実績や定着率を誇るツールであれば、セキュリティ性能に問題はないと考えられます。情報セキュリティの重要性が注目されている昨今、多くの企業は高いセキュリティ体制を担保したうえでツール提供を行っているためです。

逆に、あまり広く知られていないMAツールを取り入れる場合は注意しなければなりません。セキュリティの面で安全に使えるものなのかはよく確認したうえで、導入を検討することが大切です。

(4)情報セキュリティに関する認定の確認をする

情報セキュリティに関わる認定・認証の有無についても、注意が必要です。重視しておきたい認証制度として、前述で説明したPマークやISMSクラウドセキュリティ認証などが挙げられます。

これらの認証を受けているかどうかで安全性の判定がしやすくなります。各認定・認証制度には、第三者機関のチェックが入るためです。自社のみで「安心安全」とうたっているサービスよりも、第三者機関から認定を受けている方がより信頼性は高まります。

そのため、MAツール製品を選ぶ際には、各ベンダーに付与されている認定・認証の内容を確認してください。

MAツール運用時に確認したいコンプライアンス事項

MAツール導入・運用時には、コンプライアンス違反のないように十分に注意しなければなりません。個人情報というデリケートな情報を取り扱うからこそ、ルールや法令を意識した運用体制を強化することが重要です。

確認しておきたいコンプライアンス事項としては、以下のような点が挙げられます。

(1)自社ルールや法令に則って営業活動を行う

まず、コンプライアンス違反を起こさないためには、自社ルールと法令に則って運用を行っていく必要があります。

一般的に、企業においては、社内の規程や理念、社会的責任を果たすための行動指針が定められています。こうした行動指針を意識して情報を適切に扱うことを徹底すれば、情報漏洩などの重大な事故は防げるはずです。

企業には、模範となる姿勢を見せていくべき社会的責任があります。そのためには、法規範に違反しないことが大前提です。MAツール運用にあたって判断に迷うことがあれば、自社ルールや法令の面から見て違反しないか、冷静に判断していくことが重要だといえるでしょう。

(2)個人情報保護法の確認

個人情報保護法は、個人を特定できる情報を取り扱う事業者に向けて主に定められている法律です。ユーザーが安心して商品やサービスを利用できるよう、個人情報を扱うときの基本ルールを示しています。

特にBtoC向けサービスを展開する企業であれば、莫大な量の個人情報を扱うことも珍しくありません。したがって、企業として個人情報保護法遵守は大原則であり、MAツールを活用する際にも法律への理解は欠かせないのです。

(3)特定電子メール法の確認

MAツールを利用していくうえで、特定電子メール法も重要です。これは、社会問題として頻繁に取り沙汰されている迷惑メールへの対策として制定された法律です。

メール配信にあたっては、送信元の情報を正しく明記しなければなりません。また、配信停止の方法や問い合わせをする際の連絡先についても、誰が見てもわかりやすいようにメール内に記載しておくことが大切です。

また、特定電子メールを送る際には、あらかじめメルマガ登録で承諾を得ている人宛てに送る必要があります。

このようなルールが定められているのが、特定電子メール法です。MAツールでは多数のメルマガや告知メールの配信を行っていくため、特定電子メール法について理解を深めておくことも忘れないでください。

コンプライアンスを守るMAツールの運用方法について

マーケティングオートメーションでは、正しくコンプライアンス遵守を実現できるよう、具体的には以下のような点を意識して運用をしていく必要があります。

(1)個人情報利用目的を公表して認証を得ること

個人情報保護法では、事業者が個人情報を収集する際にはその収集・利用の目的をわかりやすく示す必要があると定められています。

利用目的のわからない個人情報収集は、悪用されたり漏洩のリスクがあったりするため、ユーザーにとっては不安になるだけでなく、コンプライアンス違反に該当します。

そのため、マーケティングオートメーションを適切に運用する際には、個人情報の利用目的を明確に示すことが重要です。どのような目的・意図で利用するのかを伝え、それ以外の用途では使用しないことを示すプライバシーポリシーを必ず設ける必要があります。

そして、ユーザーには、このプライバシーポリシーに目を通してもらい、利用用途や目的を承諾してもらう必要があります。事業者・ユーザーともに安心してサービス・商品を利用するためには、このようなプライバシーポリシーの存在が重要です。

(2)セキュリティ意識の強化

MAツールだけに限らず、ITツール運用におけるセキュリティ意識の強化は常に重視していかなければなりません。数々の顧客情報や企業秘密に該当するデータなどを扱う際には、従業員一人ひとりがセキュリティ意識を高く持つ必要があります

例えば、以下の点について徹底し、セキュリティ体制強化に努めることが大切です。

  • 個人情報やシステムのログイン情報などを正しい方法で保管する
  • 脅威や脆弱性にいち早く対応できるようアップデートを早めに行う

MAツールのセキュリティ性能はベンダー次第という側面はありますが、どれだけ高い性能を担保してもらっても、自社で正しく運用できなければ意味がありません。

アップデートが行われたら早めに更新を行う、担当者に向けた定期的な研修など、自社でできる対策は先手を打って行っていく必要があります。

セキュリティとコンプライアンスを意識してMAツールを運用しよう

MAツールを導入する際には、セキュリティの面で不安を抱くことも少なくありません。一般的に、知名度の高い導入実績豊かなMAツールなら、ツール自体のセキュリティ性能は安心できますが、自社でコンプライアンス遵守・セキュリティへの意識を高めておくことも不可欠です。

セキュリティに対する意識の確立とコンプライアンス体制を構築し、徹底することで、利便性と安全性の両方が実現できるMAツールの運用を行っていきましょう。

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