オンラインストレージとNASの違いとは?メリット・デメリットと選定基準

最終更新日時:2024/03/30

オンラインストレージ

オンラインストレージとNASの違い

ファイルの保管や共有を行うツールには、オンラインストレージやNASがあります。導入を検討している方は、それぞれの特徴や違いを把握することが重要です。本記事では、オンラインストレージとNASの違いについて、選定基準からメリットやデメリットまで解説します。

オンラインストレージについて

オンラインストレージとは、インターネット上にデータを保存できるスペースのことで、クラウドストレージとも呼ばれています。よく使われている身近なクラウドストレージとしては、Appleの「iCloud」・Googleの「Googleドライブ」・Microsoftの「OneDrive」などが有名です。

保存先が端末内ではない点を除けば、パソコン本体に備わっているハードディスクと使用感は変わりません。インターネットを使って保存先にアクセスするため、保管しているデータを簡単に他者と共有できます。個人・法人を問わず幅広く利用されているサービスとして、オンラインストレージはビジネスにおいて非常に重要です。

オンラインストレージとは?特徴や具体例・仕組みをわかりやすく解説

NAS(Network Attached Storage)について

NAS(Network

NASとは、社内のネットワークに接続して使うHDDのことで、ネットワークハードディスクとも呼ばれています。一般的なHDDは、パソコン内蔵や外付けHDDのようにパソコンと物理的に接続して、接続元のパソコンのデータを保存する専用の記憶装置です。

一方でNASは、社内ネットワーク(LAN)に接続するため、1台のNASで複数のパソコンからアクセスできる点が異なります。社内ネットワークに繋がっていれば、どのパソコンからでもNASにアクセスできデータの保存や閲覧が可能です。

オンラインストレージとNASの違い

オンラインストレージとNASは、どちらも記憶装置なので違いがわからないという方も多いはずです。ここでは、オンラインストレージとNASの違いを4つ解説します。

接続するネットワークの違い

オンラインストレージとNASは、接続するネットワークが異なります。オンラインストレージはインターネットに接続して使用しますが、NASは社内ネットワークに繋げて使用します。

オンラインストレージは、インターネットに接続できるパソコンならどこからでもアクセスが可能です。そのため、外出先からのアクセスやリモートワークで自宅からアクセスする場合にも便利です。一方でNASは社内ネットワークで利用するため、社外へ持ち出す必要がないデータの保管や共有に適したサービスと言えます。

ファイル共有の範囲の違い

ファイル共有の範囲が異なる点もオンラインストレージとNASの違いとしてあげられます。

オンラインストレージは、アクセス権限を付与することで共有範囲を自由に設定できます。たとえば、社外にいる従業員や取引先とのファイル共有も可能です。一方のNASは社内や建物内が共有範囲なので、同じ建物内にいる異なる部署のメンバーでデータを共有して共同作業を行うなどの使い方ができます。

ファイルを保管する場所の違い

オンラインストレージとNASは、ファイルを保管する場所が異なります。オンラインストレージは、インターネットではなくデータセンターのサーバーが保存先です。データセンターとはサーバーを運用・管理するための専用施設で、データの保護に必要な設備や体制が構築されています。

NASは機器本体に内蔵されているHDDにデータが保管されるため、機器が物理的に破損するとデータ消失の可能性があります。機種によっては消失のリスクを軽減するために、RAIDと呼ばれるデータ分散書き込み機能が備わっているものもあるのでおすすめです。

導入や運用の方法の違い

オンラインストレージとNASでは導入や運用方法が異なります。オンラインストレージはサービス事業者に申し込めばすぐに利用でき、運用も事業者が行います。すべての機能がオンラインで完結するため、機器の保守なども不要です。

NASは導入マニュアルが用意されているものの、ネットワークや機器の設定など導入に時間がかかります。また運用中に不具合や故障が起きた場合も、基本的には自社での対応が必要です。NASを提供する事業者によっては、サポートセンターが設置されていることも多いため、不安な方は確認することをおすすめします。

オンラインストレージの仕組みとは?クラウドとの違いや活用事例

オンラインストレージのメリット・デメリット!活用するポイントも紹介

オンラインストレージのメリット

オンラインストレージを使うメリットは主に3つです。

  • 場所を選ばず利用できる
  • 共有できる容量が大きい
  • 端末ごとのバックアップがいらない

それぞれ詳しく解説します。

場所を選ばず利用できる

オンラインストレージは、インターネット環境さえあればどこでも利用可能です。端末の制限もなく、パソコン・スマホ・タブレットなどから24時間いつでもアクセスできます。オフィスだけでなく、営業先や自宅でも同じデータを共有して作業できる点はオンラインストレージならではのメリットです。

社外へのファイル共有に適したオンラインストレージ!安全なデータやりとりのコツ

共有できる容量が大きい

容量の大きなデータを容易に共有できる点も、オンラインストレージのメリットです。メール添付でデータを共有する場合、ファイル数や容量に制限がかかることも多く、zipファイルなどに圧縮してパスワードを別送するといった手間が発生します。

しかし、オンラインストレージは直接データの保管場所にアクセスするだけなので、ファイル数や容量を気にせず共有できるため手間が省ける点は大きなメリットでしょう。

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端末ごとのバックアップがいらない

オンラインストレージの多くは、自動的にバックアップをするため、端末ごとに取る必要はありません。NASの場合、端末内部にデータを保存するため、端末本体が物理的な故障やウィルスの感染などで消失・流出してしまうリスクがあります。

しかしオンラインストレージであればサーバー上にデータが保管されるため、端末の不具合の影響を受けません。万が一端末の故障やオフィスに被害が発生しても、大切なデータが完全に消失してしまうリスクを軽減できます。

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オンラインストレージのデメリット

オンラインストレージの主なデメリットは2つです。

  • 障害による影響を受けやすい
  • セキュリティリスクの懸念がある

様々なメリットがある一方で利用にあたってのデメリットもあるので、チェックしておきましょう。

障害による影響を受けやすい

オンラインストレージはインターネットを使ってデータにアクセスするため、回線やサーバーに障害が発生するとアクセスできなくなります。

アクセスできない間はデータの参照・編集が不可能であるものの、サービスによってはオフラインで作業が継続できる場合もあります。導入を検討する際には、事前に障害が発生した時の対策を確認しておきましょう。

セキュリティリスクの懸念がある

ハッキングや不正アクセスなどのサイバー攻撃など、セキュリティリスクの懸念がある点もデメリットです。サービス提供会社も万全のセキュリティ体制を整えていますが、インターネットを使うためセキュリティリスクはゼロではありません。

サービスによってセキュリティ対策の方法や程度が異なるため、社内で運用する際の課題などとあわせて十分に確認・検討しましょう。

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NASのメリット

ここからは、NASを利用するメリットについて紹介していきます。オンラインストレージと比べてどのような利点があるのかチェックしてみてください。

  • 社内で容量を分け合える
  • 運用にかかる費用が安い
  • アクセスの制限を設定できる

社内で容量を分け合える

NASは容量が一人ずつ上限が定まっていないため、容量を考慮して社内でバランスよく利用できるのがメリットとしてあげられます。職種や部門によって、自由度高く利用することができるため無駄なく効率的に使えます。

対してオンラインストレージでは、それぞれの端末で容量が決められているため、社員によって容量が足りない・余ってしまうなどの状況が考えらるので注意しておきましょう。

運用にかかる費用が安い

NASを利用する上で基本的にかかるコストは電気代のみで、運用にかかるコストはほとんどかかりません。そのため、ランニングコストをなるべく安く抑えたいと考えている方におすすめです。

一方でオンラインストレージは毎月の利用料が発生するため、NASに比べると運用コストが割高になります。

アクセスの制限を設定できる

アクセス制限を細かく設定できる点もNASのメリットです。部署や個人単位でアクセス制限をかけることで、関係者以外がアクセスできないファイルを作成でき、適切にアクセス制限を設定することで不正アクセスや編集ミスを未然に防止できます。

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NASのデメリット

NASのデメリットは、大きく2つです。

  • 運用や構築に知識を必要とする
  • 災害時など故障する恐れがある

デメリットを理解して、自社で導入する時の判断材料にしてください。

運用や構築に知識を必要とする

NASは、導入時のセットアップや運用に知識が必要です。たとえば導入・運用には、以下のような作業が発生します。

  • NAS本体にHDDを取り付ける
  • ルーターやハブなどを配線する
  • 専用ソフトを使って初期設定をする
  • 管理者・利用者の登録を行う
  • 共有フォルダを作成して権限を設定する
  • 容量を拡張したい場合はHDDの増設
  • 故障・トラブル時の対応

導入時は基本的にマニュアルや画面の手順・サポートセンターのフォローがあるため手間はかかりません。しかし企業の規模によっては、利用者登録や権限の設定に時間がかかる場合があります。

また社内にネットワーク関連の技術者がいない場合は、トラブル対応に時間がかかる可能性もあるので注意が必要です。

災害時など故障する恐れがある

NASは社内に機器を設置する必要があり、物理的な故障リスクがあるため、事前に対策を講じておく必要があります。

たとえば点検・交換の時期を決めておくことや、災害リスクに対処するためにNAS以外の場所にデータのバックアップを取っておくなどが重要です。特に災害リスクはバックアップデータを遠隔地に置いたり、オンラインストレージにバックアップを取るなどの工夫でリスクを軽減できます。

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オンラインストレージとNASの選定基準

オンラインストレージとNASはそれぞれにメリット・デメリットがあります。どちらを選択するか判断に迷う場合は、利便性・機能・コストを基準にするとよいでしょう。

使いやすさなら「オンラインストレージ」

オンラインストレージの魅力は使いやすさです。導入・運用が簡単で、場所を問わずにデータ共有ができます。

たとえば以下のような場合は、NASよりもオンラインストレージが適しているといえます。

  • データを共有したい相手が社外に多い
  • 営業職やリモートワークで利用する割合が多い
  • 取引先や他社ともデータの共有をしたい
  • 導入や運用に手間をかけたくない・専門知識がない

【2023年最新】オンラインストレージおすすめ15選!選び方を徹底比較

機能やコストの良さなら「NAS」

NASの魅力は、機能の細かさと運用コストの安さです。オンラインストレージに比べてカスタマイズ性が優れているため、使いこなせれば最適なストレージを構築できます。

たとえば、以下のような場合はオンラインストレージに比べてNASが適しているといえます。

  • 部署内・チーム内など小規模グループでデータを共有したい
  • 社外秘の秘匿性が高い情報を扱っている
  • 既存の社内ストレージを拡張したい
  • できるだけ少ないコストで運用したい

オンラインストレージとNASの特徴を理解して業務に活かそう

オンラインストレージとNASにはそれぞれ異なる特徴があり、利用環境によってメリットとデメリットがあります。情報漏えいなどのリスクを回避するには、NASをメインで使いバックアップをオンラインストレージで取っておくという併用もおすすめです。

データによる情報の保管や共有が加速する昨今、ストレージ管理の重要性は一層高まっています。本記事を参考にオンラインストレージとNASの特徴やメリット・デメリットを十分理解し、最適な方法で業務改善・効率化に活用しましょう。

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