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人材アセスメントの意味とは?導入するメリットや流れ・具体的な手法を解説!

2023/06/22 2023/08/10

組織・マネジメント

人材アセスメントとは

人材のスキルや適性を客観的に評価する人材アセスメント。次世代を担う人材の確保・育成が困難な現代においては、企業が取り組むべき対策も変化させなくてはなりません。本記事では、人材アセスメントとは何か、具体的な手法や導入するメリットを詳しく解説します。

人材アセスメントとは?

人材アセスメントとは、人材の能力や適性を社外の第三者が客観的に評価する手法のことです。近年、人事評価の場で対象者を評価するための基準として、利用される機会が増えています。

従来の人事評価では、直属の上司による主観的評価がメインであったため、不公平感が出やすい状況でした。人材アセスメントを導入することで、評価項目が分かりやすく、客観的なデータでフィードバックされます。それにより、公平な評価を行うことが可能です。

人材アセスメントは、新規採用、昇進、職務配置など、さまざまな場面で活用されています。最適な人材を選定し、その人材が長期的に組織内で活躍する可能性を高めるための評価方法といえるでしょう。

人材アセスメントが注目される理由

人材アセスメントは、元々ヨーロッパやアメリカなどで採用されていた手法です。能力や適性を重視し、適切な人材を選ぶために活用されてきました。近年日本でも、「個の能力」が求められる場面が多くなったことから、人材アセスメントが注目されるようになっています。

さまざまな人種や異なる背景の人が働く現代は、画一的な評価制度よりも、個人の能力を最大限生かすことが重要視されています。従来の日本では、年齢や勤続年数に応じた昇進が行われてきました。しかし、現代では一定の評価軸で評価し、年齢などに関係なく適切な人材を昇進させることが求められています。

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人材アセスメントと従来の評価方法の違い

日本企業における従来の評価方法は、直属の上司が部下の実績やスキルに応じて評価をするのが一般的です。この従来の評価方法だと上司の主観や好みが入りやすく、適切に評価が行われないという課題がありました。

一方で人材アセスメントは、社外の第三者が評価者として加入するために主観や好みに左右されずに正当な判断ができるメリットがあります。

このように、客観性という視点が従来の評価方法と人材アセスメントの違いと言えるでしょう。

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人材アセスメントの手法

人材アセスメントの手法にはいくつか種類があります。ここでは、代表的な3つの手法をみていきましょう。

  • アセスメント研修
  • 多面評価
  • 適性検査
  • インバスケット演習

アセスメント研修

アセスメント研修とは、人事評価の特別な訓練を積んだ担当者が評価する手法です。管理者候補の従業員を集め、研修のなかでいくつかのシミュレーションを行います。その言動を担当者が観察し、評価していくのが特徴です。

評価項目については、事前に企業から求める人物像をヒアリングし、その人物像に沿ったものが作られます。一般的な研修とは異なり、実務に近い環境下で客観的な評価をフィードバックするため、研修内容をその後の業務に反映させることが可能です。一方で、求める人材像が定まっていない場合は、向かない方法ともいえるでしょう。

企業が求める能力を発揮できる場面を意図的に作り出すため、日常の業務では評価しにくい能力を見つける機会にもなります。

多面評価

多面評価とは、対象者が普段接している人が評価を行う方法です。上司だけでなく同僚や他部署、取引先など複数の関係者が評価を行います。従来の上司からの評価のみでは、主観が入り公平な評価が行われていませんでした。しかし、評価者を広げることで、より客観的な評価が可能となります。

また、対象者はよい評価も悪い評価も受け入れやすい点がメリットです。そのため、対象者の成長につながる機会にもなります。また、上司以外の人に評価されることで、周りから見られている意識が増し、日頃のコミュニケーションを大切にすることにもつながります。これにより、部署のコミュニケーションが活性化され、生産性の向上も期待できるでしょう。

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適性検査

適性検査とは、テスト形式で行われる検査です。これにより、対象者の能力や性格、興味関心などを測定できます。低価格で始められ、個人の能力や考え方を定量的に測定できるので、採用時などの評価のばらつきを抑えることが可能です。その結果、社風に合った人材の採用、マネジメント候補人材の育成が行いやすくなるでしょう。

また、採用やマネジメントが上手くいかなかった場合にも適性検査を行えます。客観的データを基に、なぜ採用が上手くいかなかったのかを把握することが可能です。自社に合わない適性について、仮説検証を繰り返し、改善していけるので、中長期的な採用コストの削減にも繋がります。

インバスケット演習

インバスケット演習とは未完了のタスクを限られた時間の中でどの程度の精度で処理していくのか、総合的に判断・評価するための演習方法のことです。この手法は、1950年代のアメリカで情報員の適正評価をする目的で用いられたのがきっかけと言われています。

人材アセスメントにおいては有効な手法の一つであり、企業規模や官公庁などに様々な団体・企業でインバスケット演習が導入されているのです。

特に管理職登用の昇格試験で適用されることが多く、与えられたタスクをどのような基準・優先順位をつけて対処していくのかを評価します。

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企業視点で人材アセスメントを導入するメリット

現在導入企業が増加している人材アセスメントには、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、人材アセスメントを導入するメリットを3つ紹介します。

採用ミスマッチの防止

面接時に自社で活躍しそうだと感じても、想定よりも活躍できず、退職してしまうケースは珍しくありません。会社の求める人物像を明確にし、人材アセスメントを導入することで、こうした採用時のミスマッチを防止できます。

人材アセスメントを導入することで、自社に合わない人材をスクリーニングし、客観的なデータに基づいて採用を行える点がメリットです。上手に活用すれば人材の定着率が上がり、採用コストの削減にもつながります。

人材配置の最適化

人材が持つ能力や適性が把握できるため、より的確な人材配置が行えます。面接などの主観的な評価だけで人材が活躍できる場所を提供することは、非常に難しいことです。本人のやりたいことや適性からずれが生じていることもあり、新しい環境下で能力を発揮できないケースは多々あります。

適材適所に人材を配置するためには、人材アセスメントを活用して本人の性格や能力を客観的に評価することが重要です。その結果、業務の活性化や生産性向上にもつながります。

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人材育成の効率化

人材アセスメントを導入することで、人材育成の効率化が実現できます。個人の適性に合わせた人材配置が行えるため、パフォーマンスを最大限引き出すことが可能です。

営業として実績を上げていた人でも、経理部門の内勤業務では能力を活かしきれないというケースもあります。人材アセスメントを行っておけば、社員の適性を把握したうえで人材配置が行えるため、個人の能力を日々の業務に活かせるだけでなく、人材育成がスムーズに行える点がメリットです。

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従業員視点で人材アセスメントを導入するメリット

人材アセスメントは企業だけではなく、従業員視点でも様々なメリットがあります。

納得性のある評価を受けられる

従来のマネージャーや上司などの特定の人物による評価では、不公平が生まれてしまう可能性があり、従業員にとっては評価に納得ができない場合あります。

しかし、人材アセスメントによる公正な評価は、従業員にとって評価に納得性が生まれます。

適正で納得性のある評価が行われることにより、従業員にとってはモチベーションやエンゲージメントの向上につながり、より生産性や業務効率の向上につながるでしょう。

キャリアビジョンを形成できる

人材アセスメントによる評価は、現在の業務のみを評価するものではなく、特性・適正を客観的に示すためにこれまでに知らなかったスキルや適性が見つかることがあります。

自分では知り得なかったスキルを認知できるので、新たなキャリアビジョンを見つけることができ、チャレンジするきっかけをにもなるでしょう。

人材アセスメント導入の流れ

人材アセスメントは、適切なステップを踏んで導入されないと高い効果を得られません。。ここからは、人材アセスメントの導入までの流れを5つのステップに分けて解説していきます。

  1. 導入する目的を明確にする
  2. 評価項目を設定する
  3. アセスメントツール・手法を決定して実施する
  4. 評価結果を分析・運用する
  5. 定期的にモニタリングする

以上の5ステップを適切に踏んでいくことで、人材アセスメントを活かすことができます。上記ステップを行う理由を以下で解説していきます。

1.導入する目的を明確にする

人材アセスメントの導入時には、目的を明確にすることからはじめてください。目的を決めずに人材アセスメントの導入を行ったとしても、膨大なデータを活かせずに人材配置や採用を行うことになってしまいます。まずはじめに、人材アセスメントを導入する目的を明確にし、データをうまく活用できるようにしましょう。

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2.評価項目を設定する

人材アセスメントの目的が決まったら、導入目的に沿った評価項目を設定していきましょう。

人材アセスメントでは、以下のような項目を評価できます。

  • 思考力
  • 問題解決力
  • ストレス耐性
  • マネジメント資質
  • メンタルヘルスの状況
  • 専門的なスキル
  • ビジネスマナー・スキル
  • 能力
  • 個人の特徴
  • 対人関係能力(ヒューマンスキル)
  • 組織への適性

たとえば、自社で営業マネジメント候補を採用したいと考えた場合には、問題解決能力や数字のプレッシャーに耐えられるメンタルヘルスの状態を重視するかもしれません。このように、求める能力や性質などを評価項目として設定しておき、優れている候補者を採用することで、求める人材の確保や適材適所への配置がしやすくなります。

ただし、評価項目が多すぎると判断が難しくなるため、本当に必要なものだけを厳選しましょう。

3.アセスメントツール・手法を決定して実施する

次に、アセスメントツールを選定します。多くの企業で導入されている、代表的なツール・手法は以下の通りです。

  • 適性検査
  • 360度評価
  • アセスメント研修
  • エニアグラム
  • コンピテンシー診断
  • 特性診断

上記のなかから、自社に合うものを選定しましょう。選定する手法やツールによって、評価方法や得られる効果が異なります。また、それぞれでコストにも差があるので、予算を確認し導入目的に合ったツール・手法を選定してください。

4.評価結果を分析・運用する

実際に人材アセスメントの導入が開始したら、得られた評価結果の分析を行います。その後は、対象者にデータをフィードバックを行うことも重要です。これにより、自身の特性や短所を把握して改善していく機会を作ることにつながります。また、自社の課題をみつけ改善が必要になる場合もあるでしょう。

実施後は、定期的に効果を確認する機会をつくり、日々の業務に落とし込めるよう促すことが必要になります。

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5.定期的にモニタリングする

データを基に採用した人や部署移動した人がパフォーマンスを発揮し、長期で働けているかを確認しましょう。もし、想定よりもパフォーマンスが悪い場合には、人材アセスメントの評価項目の見直しや改善を行っていく必要があります。

改善を繰り返すことで採用や人材配置の精度が上がり、結果的に採用コストの削減にもつながるでしょう。

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人材アセスメント導入の注意点

人材アセスメントは導入すれば、うまくシステムが回っていくというものではありません。ここでは、導入時に注意すべき点についてもみていきましょう。

人材アセスメントの目的を周知しておく

人材アセスメント研修を始める前には、対象者に事前に目的を共有しておきましょう。最近では導入する企業が増えてきましたが、人材アセスメントがどういうものなのか分からず、不安になる対象者もいます。あくまで評価対象の一部であるということを伝えてから研修に臨むように促しましょう、

アセスメントの結果のみで評価しない

人材アセスメントの結果だけを鵜呑みにし、人事評価を行うことは非常に危険です。人材アセスメントは対象者を多面的に評価するためにあります。

そのため、あくまで従業員の適性を測るものにとどめましょう。主観的な評価と客観的評価を上手く織り交ぜながら、適切に人事評価を行うことが重要です。

人材アセスメントの導入事例

実際に企業で人材アセスメントを導入した事例を2つ紹介します。

株式会社山梨中央銀行

株式会社山梨中央銀行では、「マネジメント改善」「マネジメント状況の可視化」「組織風土の改善」の3つを課題として、360度サーベイを実施しました。

実施後は、マネージャーにフィードバックを行い、結果の受け止め方や注意点、意識や行動の改善についてフォローアップを行いました。参加したマネージャーからは、作成した計画を日々の行動で実行するのは難しいという感想があったようです。評価結果を日々の行動に活かしていくためには、今後も年1回のペースで導入し、マネージャーの成長をみていきたいとしていますと。

フジモトHD株式会社

フジモトHD株式会社では、経営人材を育てることを目的に、リクルートマーケティングソリューションズが提供する経営人財育成研修「PRO-MOA」を実施しています。

研修受講後は参加者に当事者意識が生まれ、主体的に変革案や新規事業案のプレゼンテーションが行われました。出されたアイデアについては、実際に動き始めているものもあり、今後成果が出ることが期待されています。

また、社内では研修と同時期に「2025年委員会」が立ち上がり、組織的な変革が起き始めているようです。同社では今後も研修を継続し、経営人財育成研修の更なるステップアップを検討しています。

人材アセスメントを取り入れ効果的な人材の育成・配置をしよう

人材アセスメントは、客観的な人事評価を行うためのものです。人手不足や働き方の多様化が進む現在では、社員の能力を最大限に活かして生産性を上げることが求められています。

そのためにも、第三者による評価を基に社員の適性を再考していくことが重要です。企業の成長を促すきっかけとして、人材アセスメントの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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