ティール組織とは?5段階の組織モデルや事例・メリット、失敗しやすい理由

最終更新日時:2023/10/12

組織・マネジメント

ティール組織とは

新しい組織のあり方を指す「ティール組織」。従来の組織階層や風土を一新させた、現代社会に合った新しい組織モデルとして注目されています。本記事では、ティール組織とは何か、ティール組織に至るまでの5段階の組織モデルや事例を、メリット・デメリットとあわせて解説します。

ティール組織とは?

ティール組織は、近年注目されている組織構造の一つで、従来トップダウン型の組織構造とは違い、指示・命令が少なく個々のメンバーが自律的に行動することを重視しているのが特徴です。

ビジネス用語としての「ティール」は、成熟した組織の特徴を示すカラーコードの一部です。赤やオレンジなどの組織モデルを経て、青緑色のティールに到達するとされています。

ティール組織が注目されるきっかけとなった本とは?

ティール組織が広く注目されるきっかけとなったのは、フレデリック・ラルーの著書「Reinventing Organizations(ティール組織)」によるものです。従来の組織論や経営手法に対する批判・考察のほか、新しい視点を提示する書籍として注目されました。

ラルーは、伝統的な企業や団体の組織形態が、現代の複雑で急速に変化する社会においては限界があるとし、個人の自律と協働を重視する新しい組織モデルを提案しています。書籍の発表後、ティール組織の理論は多くの企業や団体が導入する動きを見せています。

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ティール組織の5段階の組織モデル

フレデリック・ラルーによる「Reinventing Organizations」では、組織の成熟と進化を示す5段階のカラーコードが提示されています。色別に組織の発展過程を表現しており、それぞれ異なる特徴や価値観を持っているのです。それぞれの組織モデルについて紹介していきます。

レッド組織

レッド組織は、最も初期の組織モデルです。個人の力で支配的なマネジメントが行われるのが特徴です。頂点にいるリーダーが最も権力を持ち、組織の方向性や意思決定はリーダーの意志によって決められます。

権限が特定の個人に集中するため、下層の人員は支配に近い関係性を迫られます。精神恐怖による統制につながりやすい一方、リーダーがいることに安心感を覚えるメンバーがいるのも事実です。安定性よりも迅速な行動が求められる状況で効果を発揮するほか、再現性においては欠点が目立つモデルともいえます。

アンバー組織

アンバー組織は、役職や立場などの階層的構造(ヒエラルキー)が区分されており、組織を構成しているメンバー間の上下関係が明確に保たれています。

なお、アンバー組織の強みは、大規模な運営でもその構造を保ち続けることができる点です。一方で、変化の激しい環境下では、その堅牢さが柔軟性の欠如として現れることも否定できません。

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オレンジ組織

オレンジ組織はアンバー組織と同様に断層的構造(ヒエラルキー)を前提としているものの、個々の役割は成果に応じて変化するため、出世や昇進も可能である点がアンバー組織との違いです。

特に上場企業や大手コンサルティング会社はオレンジ組織を採用しており、優れた人材はスキルアップや昇進の機会が与えられます。しかし、高い業績を追求する文化が根付いており、過度なプレッシャーや内部競争の激化などのリスクも持ち合わせています。

グリーン組織

人間関係や多様性を尊重し、組織という視点だけではなく個人にも焦点が当てられているのがグリーン組織です。目標や業績の達成は重要な点として持ちつつも、個人が希望する働き方を重視しており、別の組織モデルと比べてワークライフバランスをとりやすいのが特徴です。

トップダウンだけではなく、ボトムアップ方式で意思決定が行われることもあり、メンバーはより主体性を持って働くことができます。一方で、個々の意見を尊重し過ぎるあまり、機会損失を招く恐れがあります。

ティール組織

先進的なモデルであるティール組織は、マネージャーやリーダーなどの役職や、上司部下など関係性がないのが大きな特徴です。全ての社員がフラットな立場で意思決定権を持ち、自律的に業務に取り組めるため、環境や時代の変化に柔軟に対応することができます。

個々人の柔軟な思考・創造で成り立つ組織構造から、革新的な取り組みを促進する文化の形成が可能です。なお、指揮を取る人材がいないため、個人の責任や行動一つの重さは大きくなるでしょう。

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ティール組織に必要な要素

ティール組織を形成・維持するためには、特定の核心的な要素が求められます。これらの要素は、組織の構造や働き方、思考の方法に深く関わり、ティール組織特有の運営方法をサポートするでしょう。

エボリューショナリーパーパス

エボリューショナリーパーパスとは、組織が追求する真の存在目的を指します。「何を目的として組織が存在しているのか」を問い、利益追求だけに留まらない、深い意味での組織のあり方や存在意義を問い続けなければなりません。そのため、ティール組織の核となる要素で、全ての活動や意思決定の基盤となります。

組織のメンバーそれぞれが共通のエボリューショナリーパーパスに基づいて、自律的に行動していく必要があります。

ホールネス

ホールネス(全体性)とは、組織内の各メンバーが自分らしさを活かせる環境や考え方を指します。言い換えれば、自己肯定の意識が育まれた誰もが安心して働ける環境であることが大切です。

ティール組織は社員の自律性が重視され、業績にも色濃く反映されます。ホールネスが欠けると個人の能力が十分に発揮できないため、成果や目的の達成は成し得ないのです。社員の心理的安全性をホールネスにより確保することで、組織の持続的な成長や、メンバーの満足度向上にも寄与します。

セルフマネジメント

従来の組織モデルは上下関係が基本で、業務の指示やマネジメントが行われます。一方で、個々の社員に裁量が与えられ意思決定権を持つティール組織では指揮系統がないため、自らの思考に基づき行動するセルフマネジメントが不可欠です。

セルフマネジメントを向上させるためにも、プロジェクト関係者や知見のある人からのアドバイスを受けられる制度である、助言プロセスを設けておきましょう。助言プロセスを仕組み化しておくことにより、個々のメンバーのスキルを一定に保ちセルフマネジメントが適切にできるようになります。

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ティール組織のメリット

ティール組織モデルは、従来の組織運営とは異なる方法で多くの利点を提供します。そのうちの主要なメリットを2点挙げて解説します。

社員の行動力・積極性が育つ

ティール組織は社員に裁量を持たせる特徴から、個人の行動力や積極性が高まります。そのため、業務を最後まやり遂げる責任感や周りの信頼に応えたいという想いから自発的な動きが活性化されるでしょう。

誰かの指示や命令を待つこともないため、積極的にアクションを起こす姿勢が育成されます。仕事を任されている意識も強調され、自信や熱意の高まりから行動力・積極性のさらなる成長につながっていくのです。

行動力と積極性が磨かれた社員は変化にも強く、エンゲージメント・生産性の向上にも良い働きをもたらします。

組織力を強化できる

ティール組織はメンバー間のコミュニケーションを強化し、組織の一体感を醸成します。なかでもホールネスの理念が働くことで、互いに認め合い安心できる組織風土を形成でき、社員はモチベーションを高く保つことができます。また、貢献意欲や愛着として組織力に反映され、より強い連携が可能となるでしょう。

社員が高い主体性とエンゲージメントを兼ねる組織においては、革新的な発想や創造性が育成されます。柔軟な発想・創造力は、変化の激しいビジネス環境にも対応する強固な組織力の源となるでしょう。

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ティール組織のデメリット・失敗しやすい理由

ティール組織の方法論は革新的であり、多くのメリットを持つ一方、実践には注意が必要です。ティール組織を取り入れる際の潜在的なデメリットや失敗の要因について、2点解説します。

セルフマネジメント能力が必要とされる

マネージャーや上司などがいないティール組織では、社員個人でセルフマネジメントをしなければなりません。そのため、セルフマネジメントができない社員が多い場合、そもそも組織として成り立たなくなり、業績・生産性低下のリスクが考えられます。

個々の社員がセルフマネジメントの必要性を理解し、スキルを磨いていけるような取り組みや対策を講じる必要があるでしょう。

業務進捗の管理がしにくい

裁量や意思決定が個々の社員に割り振られているため、取り組んでいる業務がどの程度進んでいるのか、業務進捗を把握しにくくなります。

定期的な情報共有やメンバー間で相談する場を設けて、業務進捗の把握や問題が発生した際のサポートなど柔軟に対応できるようにしておきましょう。

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ティール組織を実現させた企業事例

ティール組織を実現させた企業の事例について紹介していきます。自社で実践する際の参考にし、より良い組織開発に役立ててください。

ザ・モーニング・スター・カンパニー

世界のトマト加工業界をリードするザ・モーニング・スター・カンパニーは、階層型の組織構造を排除し、ティール組織を取り入れた企業の一つです。

すべての社員に付与される決定権により、個々の裁量による判断での労働が成立しています。昇進制度や上司部下の関係性がなく、同じ立場の従業員が評価を行うなど、フラットな人事制度も特徴といえます。同社にとっては、社員同士が信頼し合う精神がもっとも重要視されるのです。信頼が自信や安心を生み、社員自らにとって会社は居場所であると確信して働くことができるのでしょう。

パタゴニア

世界的なアウトドアアパレルブランドで知られるパタゴニアは、ティール組織の考え方を取り入れており、組織の透明性や従業員の自主性を重視している企業です。「社員をサーフィンに行かせよう!」の経営哲学でも有名な同社は、地球救済のためのビジネス運営を理念に掲げています。一見ユニークな経営哲学ですが、社員を信じているからこその表現です。

パタゴニアの組織構造はシンプルで、リーダー層・マネージャー層・プレイヤーの3つだけです。リーダーが絶対的な主導権を握るわけではなく、マネージャーがプレイヤーを従えるわけでもありません。上層部はあくまでも個々人の自律性を促すために動き、課題を提示するだけです。社員の主体的な働きをサポートすることで、適度な業務バランスを実現しています。

ティール組織ならではのフレキシブルな考え方が功を奏した例といえます。

ビュートゾルフ

オランダに拠点を置く在宅ケアの支援団体に、ビュートゾルフが挙げられます。ティール組織の理念を具現化している団体で、850チームが独立して業務を行う運営スタイルが特徴です。従業員同士の小さなチームが中心となり、階層的な管理体制や中間管理職が存在しない独特の組織形態を採用しています。

特にコミュニケーションの活性化に寄与しており、スムーズな情報共有の実現に役立っています。コミュニケーションの取り方にも趣向が凝らされ、議論に問題が生じたときにはコーチの意見を聞くのがセオリーです。一方で、最終的な意思決定はチームメンバーに任されており、コーチはあくまでも間接的な助言や進行役をするのみに留まります。

アズワン株式会社

アズワン株式会社は、弁当の製造・販売や不動産業などを営む三重県の企業です。アズワン株式会社を中心に、さまざまな業務を取り扱うグループカンパニーとして知られています。ティール組織の要素を取り入れ、自律的な組織運営を実践しているグループです。

アズワングループでは、話し合うことそのものはもちろん、話し合いができる人間であることを大切にしています。社長という名は肩書きであるとし、社員それぞれが経営者意識を持って働いているのも特徴です。保温容器を使った弁当配達を確立させていますが、柔軟な思考が生み出せる労働環境の賜物といえます。

現状を脱却しティール組織を実現させよう

ティール組織は全ての社員がフラットな関係性で個々に裁量が割り振られているため、組織全体の機動性・革新性を向上させることができます。

ティール組織には多くの課題があり、成功させるためには具体的な対策が欠かせません。事例を参考に、自社の場合はどのように取り入れると良いかを検討していきましょう。現状を脱却し、ティール組織の実現を目指すことは、企業の持続的な成長と新たな価値創出の道を開く鍵となります。

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