プロセスマネジメントとは?メリットや注意点・プロジェクトマネジメントとの違い
組織の発展や部下の成長には、マネジメント手法の導入が欠かせません。中でも業務の効率化や生産性の向上に活用されるのが、プロセスマネジメントです。本記事では、プロセスマネジメントの概要と考え方から、注目される背景やプロジェクトマネジメントとの違いまで詳しく解説します。
目次
プロセスマネジメントとは?
プロセスマネジメントとは、特定の業務のプロセスを管理・改善するマネジメント手法のことです。主に業務の効率化や生産性の向上を目的として行われます。
作業工程を細かく分解・分析することで、現状の課題を把握することが可能です。改善すべきポイントも明らかとなり、成果を高められます。
例えば、営業担当者をマネジメントする場合に最終的な契約件数だけに着目すると、どのようなプロセスで契約に至り、どのような点で改善が必要かを判断することができません。
そこで、プロセスマネジメントを行うことで、顧客リストの作成から商談や見積もり、契約といった業務プロセスを細かく管理できるため、適切な改善策が見つけられるようになります。
プロセスマネジメントの対象となる業務
プロセスマネジメントは、主に定型業務やルーティン業務に用いられます。例えば、以下のような条件に当てはまる業務があげられるでしょう。
- 発生頻度の高い業務
- 作業手順が明確に決まっている業務
- 作業完了までに時間がかかる定型業務
- 複数の人や部署が連携している業務
上記に該当する業務は、多くの工数を必要とする定型業務です。プロセスマネジメントは、対象の工数が多いほど高い改善効果が見込めます。そのため、プロジェクトなどの非定型業務には向いていません。
プロセスマネジメントが注目されている背景
プロセスマネジメントは、業務プロセスを細分化して分析できるため、成果を最大化して生産性を向上できる点が魅力です。
今後の日本では、人口が減少して労働力の確保が難しくなる可能性があるため、より生産性を高めて企業の競争力も向上できるプロセスマネジメントが注目を集めているのです。
また、従来の業務プロセスの中に隠れていた無駄な作業も把握でき、業務効率化にも貢献します。業務の標準化も可能で、個々の能力やスキルに依存せず成果を出せるようになるため、より必要性が高まっています。
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プロセスマネジメントとプロジェクトマネジメントの違い
プロジェクトマネジメントとは、プロジェクト成功のために綿密に計画を立てて、リソースやコスト、品質やスケジュールなどを管理する手法です。期限までに成果を上げるために、プロジェクトを成功に導くプロセスを綿密に構築してコントロールしていきます。
プロセスマネジメントとプロジェクトマネジメントの主な違いは、適用する範囲と目的です。
プロセスマネジメントでは、定型業務やルーティン業務に焦点を当てて業務プロセスを細分化して分析し、成果を最大化するためにマネジメントを行います。一方で、プロジェクトマネジメントは特定のプロジェクトを成功させるためにマネジメントします。
つまり、プロセスマネジメントは日常的な業務の改善や生産性の向上を図りますが、プロジェクトマネジメントはある特定のプロジェクトを管理して成功に導く点が主な違いです。
プロセスマネジメントのメリット
プロセスマネジメントには、プロセスの可視化や業務の属人化の防止など、さまざまなメリットがあります。ここでは、プロセスマネジメントに取り組む4つのメリットを紹介します。
プロセスが可視化される
プロセスマネジメントに取り組むことで、業務プロセスが可視化されます。
業務全体のプロセスを洗い出すため、担当者以外は把握できていなかったプロセスについても可視化されて、誰でもわかるようになる点がメリットです。
これにより、問題が生じているプロセスを把握して改善策を出したり、アドバイスしたりできるようになります。
業務の進捗状況を把握しやすくなる
プロセスマネジメントでは業務の各プロセスを洗い出すため、それぞれのプロセスにおける進捗状況を把握しやすくなる点がメリットです。
一つのプロセスにどれだけ時間がかかっているかがわかると、遅れが発生している場合も改善ポイントを見つけて対策しやすくなります。また、遅れが生じているプロセスのフォローに入ることも可能です。業務の進捗状況の把握によって、さらに生産性向上につながる施策を打ち出せるようになります。
業務の属人化を防止できる
プロセスマネジメントを行うことで、業務の属人化も防止できます。
業務が属人化すると、担当者が異動や退職した際にスムーズな業務遂行が不可能になります。しかし、プロセスマネジメントでは業務プロセスを作業手順書やフローチャートなどに洗い出すため、業務の標準化が可能です。
これにより、誰が業務を行っても同じ結果につながるようになり、担当者の移動・退職などによる引継ぎもスムーズに行える点がメリットです。
トラブルやリスクの防止につながる
プロセスマネジメントは、トラブルやリスクの防止にもつながります。
例えば、業務が属人化している場合は何かトラブルやミスが生じても、誰も気づけないこともあるでしょう。また、不正が起きた際も気づきづらく、いつの間にか被害が拡大する恐れもあります。
プロセスマネジメントで業務全体のプロセスが可視化されれば、トラブルにも気づきやすく迅速な対処が行えます。業務におけるリスク評価も適切に行えるようになるため、トラブルやリスクの防止につながるのです。
プロセスマネジメントの注意点
プロセスマネジメントには、いくつか注意すべきポイントがあります。ここからは、プロセスマネジメントの注意点を3つ紹介します。
現場への負担を考慮する
プロセスマネジメントを導入する際は、業務の各プロセスを洗い出す作業が必要になるため、一時的に現場の負担が大きくなります。
また、業務が標準化されるため、一部の従業員にとっては負担が大きくなりモチベーションが下がるリスクもあります。現場の状況や負担を考慮して、様子を見ながら少しずつ導入を進めるなど現場への配慮を心がけましょう。
コミュニケーションを活性化させる
プロセスマネジメントの成果を最大化させるためには、コミュニケーションの活性化が欠かせません。なぜなら、最終的な目標である生産性の向上を達成するには従業員の成長が不可欠だからです。
コミュニケーションを活性化して、部下の悩みや困りごとを聞き解決に導くことで、一人ひとりの成長が見込めます。また、信頼関係も構築できるため、組織やチームの活動も活性化されるでしょう。
コミュニケーションが不足している場合は、定期的に面談を実施するなどしてコミュニケーションの活性化を目指しましょう。
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ツールの導入・外注を選択肢に入れる
プロセスマネジメントは、業務の効率化や生産性の向上を目的として行われます。
しかし、プロセスマネジメントを実施するにあたって担当者の負担も増えるため、かえって業務効率が落ちてしまうケースも考えられます。
そのため、必要に応じて管理ツールの導入や外注を選択肢に入れることも大切です。ツールの導入・外注によって従業員がノンコア業務に取り組む時間を減らすことで、コア業務にかけられる時間が増えて、より高い成果を上げられるようになるでしょう。
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プロセスマネジメントを導入する際の流れ
プロセスマネジメントを導入する際は、いくつかの手順を踏む必要があります。ここからは、プロセスマネジメントを導入する際の流れを詳しく解説します。
業務プロセスを洗い出す
まずは、業務プロセスを洗い出す作業が必要です。現場の担当者にプロセスを確認したり、実際に現場を視察したりしてすべてのプロセスを洗い出してみてください。
各プロセスにおけるポイントや注意点などがあれば、同時に洗い出しておきましょう。業務が属人化している場合はプロセスを洗い出しづらいため、担当者にしっかりとヒアリングしてプロセスを明確にすることが大切です。
手順書・フローチャートで可視化する
次に、洗い出したプロセスを手順書・フローチャートで可視化します。
可視化することで、属人化していたり把握しきれていなかったりするプロセスが明らかになり、業務の標準化につなげられます。誰が見てもわかりやすいように、ポイントや注意点などもまとめておくと良いでしょう。
プロセスごとの目標を設定する
業務プロセスを細分化したら、最終的な目標と最終目標から逆算したプロセスごとの目標を具体的に設定しましょう。
各プロセスごとに目標を設定することで、結果だけではなく過程も評価できるようになります。例えば、中途採用の業務プロセスにおける目標設定の場合は以下のようになるでしょう。
- 最終目標:中途入社社員数3人
- 求人募集:目標受付数80人
- 書類審査:目標通過数30人
- 一次面接:目標通過数10人
- 二次(最終)面接:目標通過数4人
- 内定通知:最終承諾者数3人
従業員の負担になりすぎないよう、実現可能な数値で目標を設定してみてください。
プロセスの実行・改善を繰り返す
目標設定を追えたら、実際にプロセスを実行します。プロセスごとの目標を意識しながら業務を進めることで、現状とのギャップも明らかになります。
また、業務内容を評価するために、各プロセスごとの結果を記録することも大切です。
そして、業務を進めるうえで課題や問題点が浮上した場合は、必要に応じて改善しましょう。例えば、必要のないプロセスを排除したり、プロセス同士を統合したりするなど、さまざまな工夫が挙げられます。
また、目標設定が適切であったかどうかも確認しましょう。これらの振り返りをもとに、より良い業務フローや目標に向けて改善していくことが大切です。
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プロセスマネジメントに役立つツール
最後に、プロセスマネジメントに役立つツールを3つ紹介します。プロセスマネジメントを導入する際に役立ててみてください。
TimeCrowd
TimeCrowdは、工数管理に特化したツールです。
プロジェクトごとの工数管理が可能で、従業員がどのプロセスにどれぐらいの時間をかけているかを一目で把握できます。時間がかかっているプロセスを把握できれば、効率化のための改善策を打ち出せるでしょう。
また、プロジェクトごとに自動で人件費管理もできるため、赤字になっていないかをリアルタイムで確認可能です。
提供元 | タイムクラウド株式会社 |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
導入実績 | 4,000社以上 |
機能・特徴 | Googleアカウントで簡単ログイン、メンバー機能、単価計算、Chrome拡張でよりかんたんに記録、ツールと連携、APIで機能無限大など |
URL | 公式サイト |
Create! JobStation
Create! JobStationは、業務の標準化に特化したツールです。
利用することで業務フローや進捗状況を可視化し、やるべき業務はチェックリストで把握できるため、適切にタスク管理を行えます。万が一漏れがある場合でも、設定した期日に近づくとリマインドメールが届くため、業務の遅延を防止可能です。
このように、Create! JobStationは定型業務を誰が行っても同じ結果になるよう、業務を標準化できます。品質の均一化や属人化解消につなげられる点が魅力です。
提供元 | インフォテック株式会社 |
初期費用 | 無料 |
料金プラン | 330円(税込)/月/1ユーザー、3,630円(税込)/年/1ユーザー |
機能・特徴 | 最新の業務フローと進捗状況を可視化しオンライン上で展開、マニュアルと一体化したチェックリストと期日設定でタスク管理、必要な作業を自動的に絞り込めるルール設定など |
URL | 公式サイト |
octpath
octpathは、さまざまな業務プロセスを管理できるプロセスマネジメントツールです。
スケジューリング機能を活用すれば、繰り返しの業務を自動で開始し、関係者に通知できます。さらに、メンバーの忙しさも可視化できるため、手が空いているメンバーを見つけてスムーズに業務を依頼可能です。
各プロセスの期限を自動で設定できるため、期限管理の手間を省ける点も特徴です。また、作業結果やデータは自動で後続の手順に表示できるため、引き継ぎがスムーズに行えます。
提供元 | 株式会社テクノデジタル |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | スタンダード:30,000円/月~ |
機能・特徴 | 自社サービスの納品・提供プロセス、入社・退社対応、お問い合わせ・お申し込み対応、コンテンツ制作業務、イベント・会議の準備、備品の在庫管理・発注など |
URL | 公式サイト |
プロセスマネジメントを導入して業務の効率化を目指そう
プロセスマネジメントは、業務の効率化や生産性の向上に効果的なマネジメント手法です。正しく運用することで現状の課題が明確になり、より高い成果を上げられるようになります。
今回紹介したプロセスマネジメントに役立つツールなども積極的に活用しながら、プロセスマネジメントを運用していきましょう。
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