人材と人財の違いとは?使い方や例文・4つの人材を紹介!

最終更新日時:2023/09/05

組織・マネジメント

人材と人財の違い

組織にとってなくてはならない「人材」。「人材採用」「人材育成」など、ビジネスシーンにおいて「人材」という言葉はよく使われます。一方最近は「人材」を「人財」と表現する企業も増え、さらには「人罪」「人在」という言葉も使われています。いずれも「じんざい」と読み、企業における従業員を指す言葉として使われますが、これら4つの言葉にはどのような違いがあるのでしょうか。本記事では、4つの「じんざい」の違いは何か、使い方や例文とあわせて紹介します。

人材とは?

「人材」とは、「才能や能力がある人物」を意味する言葉です。「材」からは「材料」という単語が連想されるため、「人材」を「会社を運営するための労働力」と捉えている方は多いのではないでしょうか。しかし「材」という漢字には、「役に立つ能力」という意味もあり、本来「人材」とは、単なる労働力ではなく、会社の利益に貢献できる有能な社員を指す言葉なのです。

英語では「Human Resource(人的資源)」と表され、資金や情報と並ぶ経営資源としても捉えられています。

「人材」に当てはまる人の特徴としては、主体的に業務を遂行できる人、専門的なスキルを活用できる人などが挙げられるでしょう。「人材採用」という言葉もあるように、現時点ではまだ力不足であったとしても、将来的に活躍が期待される新入社員も「人材」と呼ぶことができます。

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人財とは?

「人財」とは、「人材」から生まれた造語です。「人材」と同様、会社の発展に貢献できる有能な社員を表現する際に使われます。「人財」は英語で「Human Capital(人的資本)」と表現されます。

「資源」と異なり、「資本」は価値を磨くことでさらなる利益が期待できる要素です。近年は、社員の価値を引き出すことで利益の最大化を図る「人的資本経営」に関心が寄せられ、社員を“投資すべき資本”と捉える時代になったことから、「人財」という言葉が使われるようになりました。

また「財」には「財産」や「宝物」という意味もあります。したがって「人財」は「会社の宝である貴重な人物」を意味する言葉でもあるといえるでしょう。「私たちの会社は社員を、代替可能な労働力としてではなく、会社の宝として大切に扱っている」というメッセージを強調したい場合に「人財」と表現することが多いようです。

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人材と人財の違い

「人材」と「人財」はどちらも、「企業の利益に貢献する有能な人物」を指します。意味として明確な違いはなく、会社がより伝えたいメッセージなどを基準に使い分けられる傾向にあるといえるでしょう。

もちろん一概には言えないものの、「人財」に対しての「人材」は、会社の役に立つ専門的なスキルを持っていたとしても、他に同じスキルを扱える人物が現れてしまえば代わりが利く代替可能なものとして捉えることができます。

一方の「人財」は代替できない、唯一無二の人物を指します。たとえば専門スキルに加えて、仲間からの信頼が厚かったり、エンゲージメントが特に高かったりする人物は、会社側も手放したくないものです。つまりスキルや能力だけでなく、それ以外の部分での貢献度も高い、まさに会社にとって「宝」といえる人物を「人財」と呼ぶのです。

ただし、「人材」と「人財」の捉え方は企業や個人によって異なります。「人財」のほうが優秀である印象を受けやすいですが、必ずしも2つの間に優劣があるわけではないことを理解しておきましょう。

人材・人財以外のじんざいについて

ビジネスにおける「じんざい」には、「人材」「人財」のほかに、「人罪」「人在」という造語も存在します。それぞれの違いを説明します。

人罪とは?

「人罪」とは、会社にとってマイナスな影響を与える人物を指します。たとえば、企業イメージを損なうような迷惑行為をする、他の従業員の士気を下げる言動をするといった人物が当てはまるでしょう。また、ミスを頻出して会社に損害を出す人物、業務を遂行するスキルや意欲がない人物も「人罪」と呼ばれます。

会社に損害を出す「人罪」に対して給与を払い続けることは、会社にとって高コストです。場合によっては人事整理などの対応を考える必要もあるでしょう。

人在とは?

「人在」とは「会社に在るだけ」の人物を指します。たとえば、言われた業務しかやらない人物、これ以上成長する気持ちがない人物などが当てはまります。「窓際社員」「社内ニート」と呼ばれる場合もあります。「人在」は会社にとって大きなマイナスにはなりませんが、特別プラスにもならない存在といえるでしょう。

終身雇用の時代が終わった現代において、価値を提供できない「人在」は組織に必要とされません。しかしながら「人在」は、「人材」や「人財」に成長できる可能性が十分あります。会社側としても、モチベーション向上施策を行う、能力を発揮できる部署に異動するなど、その人が活躍できる環境を整えることが大切でしょう。

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人材と人財の使い方

「人材」と「人財」の違いを説明しましたが、実際にどのように使い分ければよいのか分からないという方もいると思います。例文を参考に、さらに詳しく違いをみていきましょう。

人材の例文

まずは「人材」を使った例文を3つ紹介します。

  • 「人手不足解消に向け、人材採用に力を入れる」
  • 「彼は高いプログラミングスキルを持っており、即戦力となる人材だ」
  • 「人材紹介サービスに登録し、理想の仕事に就くことができた」

「人材」は、会社の戦力となる人物を指す場合に使われます。社員の能力向上を図る際に「人材開発」「人材育成」という言葉が使われるように、特にスキルや能力面に着目されているといえるでしょう。「人材紹介」「人材派遣」など、採用活動の場面においても広く使用される単語です。

人財の例文

次に「人財」を使った例文を3つ紹介します。

  • 「彼女は大変優秀で、この会社になくてはならない人財だ」
  • 「多様な人財の能力を掛け合わせることで、組織のさらなる発展を目指す」
  • 「社員は皆大切な人財であり、最も大切にすべき資本だ」

「人財」は社員に対する価値をより高めたい場合に使用されます。スキルや能力面だけでなく、パーソナルな部分を含めて社員を大切にしている印象を与えるため、「人材」よりもメッセージ性を高めたい場合によく使われる単語です。

あえて「人財」を使う意味と使う際の注意点

近年はコーポレートサイトや求人広告において、「人材」ではなく「人財」を使用する企業が増えています。「人財」という表現をするメリットとして、「社員を宝のように大切に扱う会社」という印象を与えられる点です。

ハラスメントや長時間労働などが問題視されるようになったことで、求職者は業務内容だけでなく労働環境についてもよく吟味しています。「人財」という表現を用いることで求職者に好印象を与えることができるため、人材獲得につながる可能性も高まるでしょう。

一方、「人財」という言葉が使用されていることに、嫌悪感を感じる人がいるのも事実です。

なかには、「人財を大切にする」と謳いながら、実は環境が整っていないなど、実態が伴わないケースもあるようです。大切なのは字面ではありません。社員を経営の「宝」として扱える環境づくりができてこそ、であることを忘れないようにしましょう。

そもそも「人材」は悪い意味を持つ言葉ではなく、無理に「人財」という表現を用いる必要はありません。「人財」は特にメッセージ性を強調したいときだけ使うなど、効果的に使用することをおすすめします。

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人材を定着させるための秘訣

「人材」や「人財」は企業の成長に欠かせない有能な社員であると説明してきました。しかしながら、そもそも社員が定着しない企業であれば、せっかくの人財や人財も離れてしまうでしょう。したがって、ここからは社員を定着させるための秘訣を紹介します。ポイントは以下の3つです。

  • 社内のコミュニケーションを活性化させる
  • 人材配置を最適化する
  • 労働環境を改善して整える

それぞれ解説していきます。

社内のコミュニケーションを活性化させる

人材が定着しやすい企業は、社内コミュニケーションが活発であるという特徴があります。たとえ給与が高い職場だったとしても、人間関係が悪い、コミュニケーションが少なく相談できる人がいない、などを理由に離職を決断する人は少なくありません。職場の人間関係やコミュニケーションは、社員の定着率と深く関係しているのです。

普段からコミュニケーションが活発であれば円滑に情報共有を行うことができますし、問題が発生した際も迅速に相談・解決することができます。またスキルを共有して互いに成長し合う関係性が築ければ、生産性の向上にもつながるしょう。

しかしながら、リモートワークの普及もあり、コミュニケーションの希薄化を課題とする企業は多いのではないでしょうか。コミュニケーション活性化に向けた施策としては以下のようなものがあります。

  • 1on1ミーティング
  • メンターの設置
  • 部活やイベントの開催

直属の部下と上司だけでなく、同年代との横のつながり、他部署との斜めのつながりなど、社内に多くの接点を設けられるよう工夫するとよいでしょう。

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人材配置を最適化する

人材定着のためには、最適な人材配置も重要な要素です。社員それぞれ得意・不得意は異なります。それぞれのスキルや能力を引き出せるポジションに配置することで、高いパフォーマンスが発揮されやすくなるでしょう。

最適な人材配置によってスキルやエンゲージメントが向上することで、「人財」への成長も期待できます。具体的な施策としては、以下のようなものがあります。

  • ジョブローテーション
  • 社員に対する希望調査
  • タレントマネジメントツールの活用

全員を希望の部署に配属させることは難しいものですが、個々の得意分野やスキルを考慮したうえでの人材配置が大切です。自分に適した業務であれば、ストレスや不満を感じにくくなるため、人材定着につながるでしょう。

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労働環境を改善して整える

残業が多い、休みを取得しづらい、ワークライフバランスを保てないなど、労働環境が悪い職場は離職率が高い傾向にあります。定着率を高めるためにも、社員が心身共に健康的に働ける環境を整えましょう。労働環境改善に向けた施策には以下のようなものがあります。

  • 残業時間の見直し
  • フレックスタイム制や時短勤務の導入
  • 有給取得率の向上
  • 女性や高齢者が働きやすい環境整備

柔軟な働き方ができるよう整えることで、多様な人材が活躍できる可能性が高まります。定着率の向上だけでなく、優秀な人材を獲得する機会を逃さないよう、労働環境の改善に努めましょう。

「人材」「人財」はシーンにあわせて適切に使い分けよう

本記事では、4つの「じんざい」の違いについて解説しました。

特に「人材」と「人財」はどちらも有能な社員を意味しますが、シーンに応じて適切に使い分けることで、求職者や世間に対して好印象を与えることができます。それぞれの意味や違いをしっかり理解し、効果的に活用しましょう。

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