プロジェクトの進め方とは?手法や失敗例・フレームワークを解説
プロジェクトを成功に導くには、状況に応じて“適切な手段”と“効率”を判断しつつ進めなくてはなりません。また、失敗を恐れるあまり慎重になりすぎてしまうのも良い判断とは言えないでしょう。そこで今回は、プロジェクトの基本的な進め方や役立つ手法、有効なフレームワークを紹介します。
目次
プロジェクトの基本的な進め方とは?
プロジェクトの基本的な進め方とはどのようなものなのでしょうか。まずは基本となるプロジェクトの進め方を紹介します。
明確な目標と具体的な計画を立てる
プロジェクトを成功に導くためには、明確な目標設定と具体的な計画策定が欠かせません。目標はプロジェクトの方向性を示し、計画はそれを実現するための道筋です。
スケジュール管理、リソース配分、リスク評価などを通じて計画を具体化し、進捗を定期的に確認することが重要です。このプロセスが丁寧に行われることで、チーム内での目標に対する認識の違いが回避できることから、成果物の修正や手戻りといった無駄や非効率な作業が発生しにくくなり、プロジェクトの成功率を高められます。
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チームを構築して役割を分担する
プロジェクトを効率的に進めるためには、適切なチーム構築が必要です。各メンバーのスキルや経験を考慮し、役割を適切に割り当てることで、チームの協力体制を築きます。
チーム内では、常に透明性やリアルタイム性の高いコミュニケーションを実践し、情報格差が起きないよう工夫しましょう。また、各タスクの責任者と責任の範囲をチーム内全体で共有しておくことで、不明点やトラブルが発生した際の問い合わせや指揮命令系統も迅速かつ円滑に機能します。
計画内容に沿ってプロジェクトを進める
プロジェクトを成功に導くには、策定した計画に忠実に従いましょう。計画には目標達成のためのステップ、時間枠、リソース配分が含まれ、プロジェクトの進行中は計画に定められたスケジュールに従って、各ステップを確実に実行するのが重要です。
また、不測の事態や変更が生じた際は、人員配置やタイムスケジュールを柔軟に見直すことで、プロジェクトをスムーズに進行させます。そのため、クリティカルパスと呼ばれる、プロジェクト全体への影響度の高いタスクにおいては、時間や人などのリソース配分には、余裕を持たせておくと良いでしょう。
進捗を管理して状況に合わせた調整を行う
プロジェクトの進行においては、進捗の管理と状況に応じた調整が不可欠です。定期的な進捗報告やミーティングを通じて、計画通りにプロジェクトが進んでいるかを確認し、必要に応じて計画の修正やリソースの再配分を行います。
このプロセスにより、予期せぬ問題に迅速に対応し、プロジェクトを円滑に進めることが可能となります。
プロジェクトの内容を評価・分析する
プロジェクト完了後、良かった点や改善が見込める点などを詳細に評価・分析しましょう。
評価は、主に目標達成度、予算管理、チームワーク、業務品質、業務スピード、顧客の満足度などの項目において分析し、加えて、実際に起きた問題や課題への対応策なども評価していきます。この分析プロセスを通じて組織のプロジェクト管理能力を高め、継続的な改善を図りましょう。
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プロジェクトを進める上で失敗する原因
プロジェクトを進める上ではさまざまな困難があり、失敗に終わってしまうリスクもあります。ここからは、プロジェクトが失敗してしまう原因を紹介します。
スケジュールが適切に設定されていない
プロジェクトの失敗の一因として、スケジュール設定の問題があげられます。現実的ではない納期や作業時間の過小見積もり、リソースの制約を考慮せずに計画されたスケジュールは、遅延や品質の低下を引き起こす原因となります。
スケジュールは、メンバーの実際のタスクレベルまで分解したうえでの作業時間の見積もりと余裕を持った期限設定が重要です。タイトな納期は、メンバーの焦りや過度な労働による疲労の蓄積を招き、ミスの発生や品質の低下といった悪循環にもつながるため注意しましょう。
プロジェクトチーム内での連携が不足している
チームメンバー間のコミュニケーションの欠如や連携不足は、作業の重複や漏れを生じさせ、効率的な進行を妨げます。
チームワークを強化するためには、定期的なミーティングや透明性のある情報共有、明確な役割分担が必要です。チームの一体感や円滑なチームワークは、作業効率と業務品質の2つの側面において欠かせない要素となるのです。
進捗状況が共有されていない
チーム内での情報共有の中でも、特にプロジェクトの進捗状況の共有不足は重大な問題を引き起こす原因となり得ます。複数のメンバーにおいて、進捗が適切に報告されていない場合、タスクレベルの作業遅延だけでなく、目標が達成できなくなるリスクにもなりかねません。
適切な進捗管理には、主に、報告のリアルタイム性、進行状況のチーム内全体での可視化、適時のフィードバックが不可欠であることを認識しておきましょう。
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プロジェクトを進める際に注意したいポイント
ここからは、プロジェクトを進める際に注意しておくべきポイントを紹介します。
作業の優先順位と期限を正しく設定する
プロジェクトを効率的に進めるためには、作業の優先順位と期限の設定が重要です。最も重要なタスクに焦点を当ててリソースを適切に配分することで、プロジェクトの進行をスムーズにします。
期限は、予期せぬ遅延にも対応できる余裕を持って設定します。この方法により、プロジェクトの効率を最大化し、目標達成に近づくことが可能です。
チームワークが向上するような環境を整備する
良好なチームワークを実現するためには、コミュニケーションの促進や相互理解、信頼の構築が重要です。
定期的なミーティングやチームビルディングの活動、オープンで包括的なコミュニケーション環境を整備することが、チームワークの向上に寄与します。これにより、メンバー間の協力が促進され、プロジェクトの効率と効果が高まります。
進捗を可視化して報告を徹底する
プロジェクト管理において進捗の可視化と徹底した報告は、効果的にプロジェクトを進行するために不可欠です。ガントチャートやタスク管理ツールなどを使用して、各タスクの進捗状況を明確にしましょう。
進捗の可視化によって、チーム全体がプロジェクトの現状を容易に把握し、必要に応じて迅速な対応が可能になります。定期的な報告は、進捗状況を共有して全員が目標に向かって進むための基盤を提供します。
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プロジェクトの進行に役立つ手法・フレームワーク
ここでは、プロジェクトを進める上で役立つ手法やフレームワークを紹介します。
ガントチャート
ガントチャートは、タスクの期間と重なりを一目で把握できる視覚的なチャートのことです。各タスクの開始日と終了日が可視化されるため、全体のスケジュール管理や各タスク担当者の割り振りが容易になります。
ガントチャートの作成によって、プロジェクトの進行状況を効率的に追跡し、計画の遅延やリソースの不足を早期に発見できます。
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WBS
WBS(Work Breakdown Structure)は、プロジェクトをより小さな作業単位に分解し、タスクを漏れなく管理・実行する方法です。WBSにより、タスクが作業レベルまで細分化されるため、必要な人員や作業時間の見積もりがより正確に行えます。
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PMBOK
PMBOKは、プロジェクトマネジメントに関する知識体系の一つで、プロジェクトマネジメント協会(PMI)が定義しているものです。
具体的には、スコープ、スケジュール、コスト、品質、リスク管理などのプロジェクトの成功に欠かせない10つの知識領域と、プロジェクト開始から終了までの5つのプロセスにおける方法論やフレームワーク、ツールやテクニックなどを体系的にまとめたガイドラインとなっています。
PMBOKを利用することで、プロジェクトマネージャーは、全体的な視点を持ってプロジェクトを管理できるようになり、効率的な意思決定を行うことができます。
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プロジェクトの進行をサポートするおすすめ管理ツール
ここからは、プロジェクトの成功を支える、効率的で使いやすい管理ツールを3つ紹介します。
Trello
Trelloは、直感的でユーザーフレンドリーなインターフェースが特徴のプロジェクト管理ツールです。カード型(カンバン方式)に基づいたこのツールは、タスクをビジュアル化し、進捗状況を一目で確認できます。
ボード、リスト、カードを使ってタスクを整理して、チームメンバー間での共有と協力を促進します。また、通知機能やアドオンの利用によってプロジェクトの複雑な要素を効率的に管理し、チームの生産性を高めることが可能です。
提供元 | Atlassian Pty Ltd. |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン |
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導入実績 | 100万チーム以上 |
機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
Stock
Stockは、シンプルな操作で情報共有を可能にするノート型ツールです。ITの専門知識がない企業でもすぐに活用できるように、あらゆる工夫が施されています。
主要機能は「ノート」「メッセージ」「タスク」で構成され、ノートに記載された情報は自動的に保存、リアルタイムでの共有が可能です。また、ノートには画像などのファイル添付もでき、フォルダ機能によりカテゴリ別に整理が行えるほか、チャットやタスクもノート単位で利用できるため、関連情報を1箇所にまとめて管理することができます。
提供元 | 株式会社Stock |
初期費用 | 無料 |
料金プラン | ◼︎フリープラン:無料 ◼︎ビジネスプラン
◼︎エンタープライズプラン
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機能・特徴 |
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URL | 公式サイト |
Lychee Redmine
Lychee Redmineは、プロジェクト管理において多機能かつ柔軟性に優れたツールです。タスク管理、進捗追跡、報告書作成などの機能を提供し、プロジェクトの効率的な運営を支援します。
カスタマイズが容易で、さまざまなプロジェクトニーズに対応可能。タスクの割り当てから成果の評価までプロジェクトの各段階を効果的に管理し、目標達成を促進できます。
提供元 | 株式会社アジャイルウェア |
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン | ◼︎クラウド版
◼︎オンプレミス版
※どちらも購入は10ユーザー単位 |
導入実績 | 7,000社以上 |
機能・特徴 |
|
URL | 公式サイト |
プロジェクトの進め方を理解して確実な目標達成を実現
プロジェクトを成功へと導くには、明確な目標設定、ムリやムダのない計画策定、円滑なチーム構築、適切な進捗管理など、さまざまな領域・視点で、タスクとチーム、そして、スケジュールを管理しなければなりません。
また、失敗を避けるためには、マネージャーだけでなく、チームメンバー同士の連携、情報共有も欠かせないでしょう。
ガントチャートやWBSなどの手法、TrelloやRedmineのような管理ツールの活用は、効率的なプロジェクト運営をサポートします。知識や経験を積むのはもちろん、便利なツールや実践的なマネジメント手法を上手に取り入れ、プロジェクトを成功させましょう。
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