【解説】SDGsの歴史的背景とは?年表別に要点をわかりやすく解説

最終更新日時:2023/05/18

SDGs

SDGsの歴史

近年よく耳にするSDGsという言葉。しかし、SDGsが現在のような形になるまでに、数々の変遷があったことをご存知でしょうか。本記事では、そんなSDGsの歴史について、年表形式で詳しく解説します。SDGsに興味のある方、SDGsについて知りたいという方は、ぜひ参考にしてください。

SDGsとは?

SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の頭文字をつなげた略語で、日本語では「持続可能な開発目標」という訳があてられています。2015年9月に開催された国連サミットで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」という形で採択されました。

背景にあるのは、差別・貧困・環境など、世界規模の社会問題です。SDGsは、これらの問題に対処しながら、誰もが幸せになれる世界を2030年までに実現することを目指しています。

具体的には、「誰ひとり取り残さない」をモットーに、17のゴール(2030年のあるべき姿)、169のターゲット(ゴールを達成する具体的な目標)が示されました。

ところでSDGsは、どのような経緯で採択されたのでしょうか。歴史を知ることで、さらにSDGsへの理解が深まります。おおまかな動きを、年代を追って見ていきましょう。

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1960年代|国連総会で「国連開発の10年」を宣言

SDGsの原点といえる動きは、1960年代に見ることができます。国連総会で、先進国と途上国間の経済格差を指摘する「南北問題」にスポットが当たったのです。

アメリカのケネディ大統領の提案を受けた国連は、途上国の経済成長率を年率5%まで引き上げることを目指した「国連開発の10年」という目標を設定し、先進国主導の経済活動を展開することになりました。

その甲斐あって途上国の経済成長率は上昇しましたが、人口増加により、国民1人あたりの成長率は2.5%止まりという結果に。先進国の成長率3.8%も下回り、結局、南北問題の解決には至りませんでした。

そのため「国連開発の10年」は以降も継続、「第2次国連開発の10年」から「第5次国連開発の10年」までが実施されています。しかし、1990年代になるとその動きにも陰りが見えるようになりました。

1972年|ローマクラブによる「成長の限界」の発表

1972年、世界各国の学者、経営者、教育者など有識者により結成されたローマクラブが「成長の限界」という研究報告を発表しました。

「人口増加や環境汚染を問題として認識し、改善に向けた対処をしなければ、やがて食糧不足、天然資源の枯渇に陥り、100年以内に地球の成長は限界に達する」という内容です。将来起こりうる複数のシナリオも提示し、危機を訴えました。

この報告をきっかけに世界は、人口問題や環境問題に目を向ける重要性を認識することとなったのです。

1980年代|持続可能性という考え方の登場

1980年にIUCN(国際自然保護連合)が発表した「世界自然資源保全戦略」のなかで、はじめて「持続可能性」という考え方が世界に示されました。

解釈の難しい言葉ですが、意味するのは「地球上の限りある資源を、地球上のあらゆる生命を尊重しながら次世代に受け渡して社会全体がつながり、すべての人の幸せを追求する」ということです。1987年に「環境と開発に関する世界委員会」が公表した「Our Common Future」という報告書でも核をなす概念として取り上げられています。

こうして世界全体に「持続可能性」という考え方が示され、広がりを見せるようになったのですが、SDGsのようなゴールやターゲットの設定はされませんでした。

そのため、重視して取り組む問題が国や地域によって異なり、統一した動きにならないという課題を残しています。

1989年|冷戦終結で環境汚染問題が浮上

1989年、地球を二分した冷戦が終結し、世界は平和への道を歩みはじめました。しかし、各国を自由に行き来できるようになると、それまで閉鎖的な社会を築いていた東欧に、深刻な環境汚染問題のあることが発覚したのです。

さらに、冷戦終結後、社会主義国家に、経済活動を優先する資本主義経済が入り込みました。モノがなかった国にモノがあふれて新たなゴミ問題を生むなど、環境問題は悪化の一途をたどることに。

この事態を憂慮したのが当時のアメリカ大統領ジョージ・ブッシュ氏で、「東欧の環境汚染は、国際社会全体で救済すべきである」と提言しています。

こうして環境問題に注目が集まりましたが、具体的な方策を立てるには至りませんでした。

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1992年|地球サミットでアジェンダ21を採択

1990年代に入ると、環境問題にどう取り組むかが模索されるようになりました。

そのひとつが、1992年のブラジルのリオデジャネイロで開催された会議「地球サミット」です。地球環境の保全と持続可能な開発を実現する具体策を得ることを目指した会議には、国連加盟国のほぼすべてに当たる約180の国が参加、14日間に渡って議論を繰り広げました。

そこで合意を得たのが、「環境と開発に関するリオ宣言」「森林に関する原則声明」、そして世界各国が取り組むべき課題を一覧にして行動原則を定めた「アジェンダ21」という文書です。

この会議が持続可能な開発の実現への道のりを明確に示したことで、各国が共通認識を持って動く方向へと、世界全体が大きく転換しました。

1997年|COP3で京都議定書の締結

1997年には、京都においてCOP3(地球温暖化防止京都会議)が開催され、問題として浮上していた地球温暖化の対処法が話し合われました。この会議で採択された文書が「京都議定書」です。

「2008~2012年で、地球温暖化の原因である温室効果ガスを1990年比で約5%削減する」などの具体的目標が盛り込まれ、世界各国が取り組みを実施し、日本も温室効果ガスの排出量6%削減を実現しています。

2000年|SDGsの前身となる国連ミレニアム宣言の採択

2000年に入ると「持続可能性」への取り組みはさらに拡大します。

ひとつは、国連ミレニアム・サミットの開催です。このサミットでは、「平和と安全」「開発と貧困」「環境保全」「人権」などの課題を提示、解決に向けての目標や加盟各国の役割を明文化した「国連ミレニアム宣言」を採択しました。

この文書に盛り込まれたのが、SDGsの前身となる「ミレニアム開発目標」でMDGsと呼ばれています。

MDGsが掲げたのは、達成期限を2015年とした以下の目標です。

  • 目標1:極度の貧困と飢餓の撲滅
  • 目標2:初等教育の完全普及の達成
  • 目標3:ジェンダー平等推進と女性の地位向上
  • 目標4:乳幼児死亡率の削減
  • 目標5:妊産婦の健康の改善
  • 目標6:HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止
  • 目標7:環境の持続可能性確保
  • 目標8:開発のためのグローバルなパートナーシップの推進

引用:外務省「ミレニアム開発目標(MDGs)

結果的に、2015年までに一定の成果は得たと総括されたものの、世界的な動きには至らず、多くの目標が未達成という課題も残りました。この動きを止めず、目標達成に向けて再検討した内容がSDGsの土台となっています。

2010年|持続可能性を活用したマーケティングの提言

2010年になると、経営学者のフィリップ・コトラー氏が「マーケティングに持続可能性を活用すべき」という新たなマーケティング視点を示しました。

製品中心から消費者志向へと変化してきたマーケティングが、これからは「価値主導」になるとして、持続可能性とマーケティングを結びつけたのです。

こうして世界中の経営者にも「持続可能性」という考え方が、浸透していきました。

2015年|国連加盟国の全会一致でSDGsを決議

2015年、国連サミットが開催され、SDGsが全会一致で決議されました。ここで明文化されたのが、「誰ひとり取り残さない」をモットーにした17のゴールと169のターゲットです。

ただし、すべての内容を、このときの国連サミットで決定したわけではありません。MDGsで残した課題、新たな課題にも取り組まねばならなかったため、国連サミット前に、世界中の有識者や団体が話し合いを重ねてきました。その期間は、2~3年に及んだといわれています。

このような経緯を経てSDGsは誕生し、日本も含めた世界各国は、2030年のゴール達成に向けて行動することとなりました。

SDGsの現状

SDGsに取り組み始めた世界各国の状況はについて、2022年のSDGs達成状況を示した「Sustainable Development Report」を見てみましょう。

世界各国の状況が記されたレポートによると、ランキング1位はフィンランドで、上位のほとんどは欧州各国が占める結果となっています。日本は163カ国中19位で、前年(2021年)の18位から1ランク下がりました。アメリカは41位、中国は56位です。

SDGsが掲げたゴールの達成状況にも目を向けてみましょう。

17のゴールのうち「貧困をなくそう」「産業と技術革新の基盤をつくろう」など大きく前進しているものもあれば、「飢餓をゼロに」「陸の豊かさを守ろう」のように、取り組みが停滞しているもの、後退しているものもあります。

レポートで、2020年までは動きの停滞や後退はほぼ見られなかったと報告されていることを鑑みると、取り組みがうまくいっている現状とは言い難いかもしれません。

「Sustainable Development Report」で日本がゴールを達成していると認められたのは「質の高い教育をみんなに」「産業と技術革新の基盤をつくろう」「平和と公正をすべての人に」というゴール3点です。

また、課題が残るとされたのは「働きがいも経済成長も」「住み続けられるまちづくりを」など5点、重要な課題があるとされたのは「人や国の不平等をなくそう」を含む3点です。さらに、「気候変動に具体的な対策を」「パートナーシップで目標を達成しよう」など6点は、深刻な課題があると指摘されています。

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SDGsの取り組みが遅れている理由

現状を見ると、日本だけでなく世界各国でもSDGsへの取り組みに遅れが生じています。

その理由として指摘されているのが、新型コロナウイルスの流行と、各地で勃発している紛争です。

新型コロナウイルスの流行が始まったのは、2020年でした。この影響により失業率が上昇するなど、世界全体の経済活動が停滞したことは日々の報道からも明らかです。各国間の紛争も、貧困や飢餓を拡大させた原因となっています。

また、SDGsの取り組みの多くは、個人での達成が難しい社会的なテーマです。このことも、SDGsの取り組みが遅れがちな問題点として指摘されています。

SDGsの課題と今後に向けて

現状をふまえると、SDGsの達成率を上げるためには、2020年の新型コロナウイルスに限らず、感染症対策を徹底することが必要不可欠といえます。さらに、社会的テーマに、どう個人レベルで取り組むかも考えていかなければならないでしょう。

日本に目を向けると、SDGsの認知度の低さという課題も避けては通れません。2021年に朝日新聞社が実施した「第8回SDGs認知度調査」によると、「SDGsという言葉を聞いたことがある」と答えた人は76.3%にのぼり、前回調査を約30%上回る結果となりました。しかし、「言葉は知っているが内容はよくわからない」という人が大半で関心度も「非常に関心がある」と答えたのはわずか10%にとどまっています。

日本でSDGsの取り組みを進めるためには、まずは国民一人ひとりがSDGsへの理解を深めることが必須といえそうです。

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SDGsの歴史や活動を学びたい人におすすめの方法

ざっくりとSDGsの歴史を紹介してきましたが、中には「もっと知りたい」と思った方もいるのではないでしょうか。そのような方は、ぜひ次の方法で知識を深めていってください。

SDGsに関する書籍や記事を読む

SDGsをテーマとした書籍は数多く出版されており、歴史に焦点を当てて解説した本や具体的な取り組みを提案する本など、様々な書籍があります。ぜひ、気になる本を手に取って読んでみてください。

本を手に取る前に軽く調べたいという場合は、新聞、雑誌、インターネットの記事を読んでみることもおすすめです。インターネットなら、国連機関のサイトにアクセスして情報を得ることもできます。

SDGsに取り組む企業事例を調べる

国内でもSDGsに取り組む企業が増え、その多くは、取り組み概要や状況をHPなどで公表しています。

どの企業がどのような取り組みをしているのか、なぜその取り組みをすることになったのか、さまざまな角度から調べてみることも、SDGsの理解を深めるためには有意義です。そこから、知られざるSDGsの歴史に触れられることもあるかもしれません。

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SDGsの歴史から学んだことを未来へとつなげていこう

SDGsという言葉や取り組みが、広く認知されるようになりました。しかし、SDGsが採択される60年も前から、社会問題や環境問題を解決するための取り組みはおこなわれてきたのです。

その課題のなかには、解決できずに現代に受け継がれているものもあります。歴史を学びSDGsへの理解を深ることで、その行動が未来につながります。

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