地産地消とSDGsの関係性・つながりとは?メリットや具体的な取り組みについて

最終更新日時:2023/07/05

SDGs

地産地消とSDGsの関係性

世界でもさまざまな角度から取り組みが行われているSDGs。地産地消もその取り組みの1つですが、はたして地産地消とSDGsの関係性とは何なのでしょうか。本記事では、そんな地産地消とSDGsの関係性について、メリットや具体的な事例などを併せて解説していきます。

地産地消とは?

地産地消とは、地域で生産された農林水産物を地域で消費することを指します。消費者が食の安全・安心を求め、より良い食品を選びたいというニーズによる取り組みです。地産地消を通じて、消費者と生産者の結び付きを強化できます。

地域でとれた食物は、直売所・病院・学校・地域のレストラン・高齢者施設など、地域に根付いた施設に送られるケースが多いです。また、地産地消による取り組みをWebや新聞などで発信して、他の地域からの集客のためにも活用されています。

数十年以上前に地産地消という言葉が生まれ、最近になって地方自治体だけではなく国をあげて地産地消の促進を進められています。

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地産地消とSDGsの関係性・つながり

近年、SDGsへの関心が高まっており地産地消が改めて注目されています。ここでは、地産地消とSDGsの関係性について解説します。

地産地消とつながりのあるSDGsの目標

SDGsには17の目標がありますが、地産地消に関係がある目標は以下の2つです。

  • 目標14:海の豊かさを守ろう
  • 目標15:陸の豊かさも守ろう

地域で獲れた海産物や農産物を地域で消費することは、海や陸の資源を保護することにつながります。具体的には輸出目的の海産物乱獲による生態系の破壊の防止や、農地開拓による森林伐採の防止などがあげられます。

エネルギー問題における地産地消

エネルギー問題はSDGsに関係ないと考えている方もいらっしゃいますが、実際は地産地消に貢献しています。地産地消は、SDGsで提唱されている3つの目標にも関わりがあります。

  • 目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
  • 目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 目標13:気候変動に具体的な対策を

地産地消を行うことで、食べ物の運搬で排出されるCO2の削減が可能です。また地域で使うエネルギーを地域で作り出す、エネルギーの地産地消も注目を集めています。再生可能エネルギーから生まれた電力で、エネルギー問題や環境問題への取り組みも行われているのです。

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地産地消のメリット

地産地消を行うことで、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、地産地消のメリットを解説します。

流通にかかる経費を抑えられる

地産地消は地域で獲れたものを地域で消費するため、運送の経路が短くなり、流通にかかるコストを安く抑えることが可能です。また地域内で経済が循環し、生産者の収益も向上します。

遠方に配送する場合、流通に多額のコストがかかってしまい、排気ガスによって環境への負担も大きくなってしまうためそのようなリスクを防げるのは大きなメリットです。

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SDGsへの貢献が期待できる

地産地消に取り組むことでSDGsにも貢献できます。地域で獲れたものを地域で消費することで、環境への負荷を減らし海や陸の資源を保護したりエネルギー問題・環境問題への貢献ができたりするでしょう。

また、地域内の経済を活性化することも期待できます。さらに地域で責任を持って消費することで、フードロスの削減も実現できるでしょう。そのため、目標8:働きがいも経済成長もと目標12:つくる責任 つかう責任にもつながります。

新鮮な食物が流通する

地産地消にこだわることによって、食物を収穫してから消費者の手に渡るまでの時間が短くなるので、新鮮な状態の食物が流通するようになります。

最近では様々な流通において質の向上が見込まれていますが、取り立ての新鮮な状態の食物を食べれる機会は非常に少ないです。地産地消によって、取り立てのものを食べられるようになるので、消費者の満足度もアップします。

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地域の活性化に寄与する

地域で収穫した農作物や畜産物などをその地域で消費することによって、地域経済の活性化につながるでしょう。例えば、地元の食材を地域で消費する活動をすることによって、地域外の人々に対しての観光客を呼ぶことにつながります。

また、物産展で商品を売る・伝統文化の体験できるイベントを開催するなど、工夫次第で様々な活動をすることが可能です。

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地産地消のデメリット

地産地消にはメリットがある一方で、デメリットもあります。ここでは、地産地消のデメリットについて解説します。

価格が割高になってしまうケースがある

運送コストの削減で価格が安くなる一方、かえって商品が高価になってしまうケースがあります。具体的には、小規模で生産される食べ物や、地域で生産されにくい食べ物などです。

大量生産で抑えていたコストが小規模の清算でかかってしまい、商品価格に反映されてしまうのです。よって生産できる農作物に偏りがある地域では、地産地消の実現が難しい場合もあります。

生産以外のスキル・知見が必要

地産地消を行うためには、流通・販売を生産者の手で行う必要があります。生産者が自分たちで流通や販売を行うには、マーケティングの知識やブランディング・品質管理などのスキルや知見が必要です。

地産地消を行っても確実に収益につながる訳ではないので、生産以外の努力も必要です。また、経理や会計など金銭に関わる業務が負担になることもあるでしょう。

地産地消の課題

地産地消にはいくつか課題もあります。まず、地域によっては生産が難しい食品があるということです。すべての食品を地産地消で補うことはできません。無理のない範囲で地産地消を取り入れることが大切です。

また食べ物の安定供給が難しいのも、地産地消の課題といえるでしょう。小規模生産の場合、必要な量が揃わなかったりサイズが小さくなってしまったりする恐れがあります。

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地産地消を推進していくための取り組み

地産地消を推進するためには、環境の整備や人材の確保など取り組むべき課題があります。ここでは、地産地消を推進していくために必要なことを解説します。

直売施設の環境整備

地産地消を推進するには、直売施設の環境整備が大切です。JA(農業協同組合)や大型ショッピングモールなどと組み、消費者に販売するための場所をつくりしましょう。

地産地消を推進していく人材の確保

地産地消を推進する人材の確保や育成も必要です。地産地消を実現するために、生産者と消費者をつなげる人材が求められています。

地域によっては、「まちむら交流きこうで地産地消コーディネーター育成研修会」が開催されるなど、地産地消を推進する人材を育成するための取り組みが行われています。

行政からの交付金の整備

地産地消の実現するためには、行政からの交付金の整備も重要です。地産地消の推進には、農作物の生産以外にも多くのコストがかかります。すべてのコストを生産者だけで賄うのは難しいので、行政の支援が必要です。

地産地消の具体的な取り組み事例

地産地消を行う取り組みは、全国で広がっています。ここでは、地産地消の具体的な取り組み事例を3つ紹介します。

山形県:和田地区 自給野菜組合

山形県高畠町の和田地区自給野菜組合は、1964年から町内の学校給食に地元食材を提供しています。母親たちを中心に結成された組合が、安心・安全な地元野菜で子供たちの成長を支えているのです。

和田地区自給野菜組合では、1日あたり小学校約170食、中学校約700食分の野菜と果物を提供しています。2019年度の学校給食における地場農産物の利用割合を指す地場産率は、68.2%でした。

兵庫県:株式会社ナチュラリズム

兵庫県神戸市の株式会社ナチュラリズムは、「有機野菜を当たり前にしたい」という思いから有機野菜の農家とチームを組みました。

野菜の作付け費用にかかる数ヶ月〜1年間の野菜代金を農家に先払いし、後から育った野菜を受け取るCSA(コミュニティ・サポーテッド・アグリカルチャー)という買い方を提案しています。CSAの取り組みで、小規模農業を行う就農者や新規の就農者が安定した収入を得られることを可能にしました。

また若手農家を育成し、持続可能な農業のための取り組みも行っています。

福島県:株式会社おくや

福島県喜多方市の株式会社おくやでは、地元の農家約70名と「会津豆倶楽部」を組織しています。会津豆倶楽部では、1980年前半まで地域で栽培されていた落花生に着目し契約栽培を広げました。

地元で獲れた落花生を地元で加工・販売することで、地産地消に貢献しています。また約15カ所の障がい者施設と農福連携も行っています。

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地産地消はSDGsにとってなくてはならない存在

地産地消はSDGsのための取り組みの1つです。地域で取れた農林水産物を地域で消費することで、環境の保護につながります。

地産地消を推進するためには、環境の整備や人材の確保などが必要です。本記事で紹介した事例や推進のポイントなどを参考に、地産地消に取り組みましょう。

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