SDGsにおける問題点とは?7つの課題と企業が取り組むべき解決策

2022/8/18 2022/08/18

SDGs

SDGsの文字

SDGsの認知が徐々に広がり、参入する企業は増加傾向にあります。企業がSDGsの目標を実現するために、問題解決は必要不可欠です。本記事では、SDGsにおける7つの課題と解決策を紹介します。企業で取り組む際の参考にしてみてください。

SDGsが抱える7つの課題

近年、SDGsに関するニュースや報道が盛んになってきており、参入する企業も増えています。しかし、いざ取り組んでみると複数の課題が存在し、思うような活動が展開できない企業もいるのではないでしょうか。

ここでは、SDGsが抱える7つの課題について解説します。

1.目標が大きいため実現が困難

SDGsでは世界共通の大きな目標が掲げられており、以下のように「あらゆる」や「すべての」などの言葉を用いた目標が多数あります。

目標1:あらゆる場所あらゆる形態の貧困を終わらせる
目標3:あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
目標5:ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを行う
目標6:すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する

[引用:外務省「持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組」]

SDGsで掲げられた目標は、その目標の大きさから、達成までに長い年月が必要です。また、現実的に達成困難な目標も多いため、どのようにアプローチすればいいのか判断に迷う企業も少なくありません。

2.疑問視されている数値指標

SDGsは、17の目標に対して169のターゲットと232の指標があります。そのなかで具体的な数値目標が設定されていますが、この数値の妥当性を疑問視する声も存在するのです。

たとえば、目標1「貧困を無くそう」のターゲット1.1では

2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。

と定められています。

このようなターゲット設定だと、1日の生活費が1.25ドルを少しでも超える人は支援の対象から外れてしまいます。このように、わずかな差で支援を受けられない人が出る可能性があるのです。したがって、数値上の達成目標だけに縛られず、現状を把握したうえで課題に取り組む姿勢が求められます。

[引用:外務省「JAPAN SDGs Action Platform SDGグローバル指標(SDG Indicators)」より]

3.個人で問題を解決できない

SDGsで掲げられている問題は世界規模の課題であるため、個人の取り組みだけでは解決できません。また、目標が壮大であるため、何をすべきかイメージできない人も多いのではないでしょうか。

SDGsの成功には、多くの人の協力が必要です。一人ひとりが当事者意識を持って取り組み、協力の輪を広げることが大きな成果につながります。

4.認識にズレが生じる

SDGsの目標は抽象的なものが多いため、国や地域、人によって認識にズレが生じやすい側面があります。また、目標に対しての具体的な対策も国や地域、組織によって変わることから、同じやり方が通用しません。

さらに、経済力や技術力の差により、先進国と発展途上国では実施可能な対策の幅も異なります。国をまたいでの取り組みであるため、国や地域によってどのようなアプローチが課題解決に役立つのか、入念な検討が大切です。

5.取り組みの実行は自己判断

SDGsはすべての国連加盟国が取り組む必要のある課題ですが、法的拘束力はありません。自主的に報告するシステムのもと、具体的なアクションは各国に任されています。

また、国や地域の経済格差により、取り組みたくても取り組めない人もいます。そのため、意欲のある人や取り組む余裕のある国が主導権を握り、上下関係が生じる可能性も危惧されるのです。

6.事業内容によって結果が出にくい

自社の事業内容によっては、特定のSDGs目標に対して相性が悪いケースもあります。事業と関連性の低いSDGs活動に取り組んでも、本業との相乗効果が図れなかったり、効果的な活動を展開できなかったりする可能性もあるでしょう。

自社の事業内容を踏まえたうえで、強みを活かせる分野でのSDGs推進を心がけてください。

7.中身の伴わない活動

SDGsに対しての目標を設定しても、中身が伴わない活動となっているケースも見受けられます。具体的なアクションを設定しておらず、「企業のイメージアップのためにやっておこう」といった漠然とした気持ちで活動していることが原因のひとつです。

SDGsに取り組んでいるように見せかける行為を、「SDGsウォッシュ」と呼びます。企業イメージのためだけにSDGsを利用するのは批判対象となるだけでなく、実態の伴わないSDGs活動が社会に増えても課題解決は図れません。

SDGsの課題に対する解決策

ここでは、SDGsの課題に対する解決策について解説します。

SDGsについて理解を深める

「流行だから」といって具体的な考えもなくSDGsを推進してみても、中身が伴わずSDGsウォッシュを疑われる可能性があります。まずはSDGsの中身や背景を理解することが大切です。

SDGsは解決すべき社会課題であり、企業の事業によって最適なアプローチ方法は異なります。単なる社会貢献ではなく、本業のビジネスと組み合わせて相乗効果を発揮するものと認識してみるとよいでしょう。

SDGsについて議論する

SDGsは大きな課題であるため、個人の力では解決できません。企業で取り組む際も経営層や一部の担当者だけではなく、できるだけ多くの従業員を巻き込んで活動を展開することが大切です。

人によっては、SDGsを単なる社会貢献活動と認識している場合もあります。また、目標に対する社員の認識がバラバラであると、効果的なSDGs活動の実施は困難です。

社内の活動を活性化していくためにも、情報共有や議論の場を設けながら、会社全体のSDGsに対する理解を深めていきましょう。

達成できる目標を掲げる

SDGsに取り組む際は、自社の事業と関連があり、かつ達成できる目標を掲げることが大切です。

達成困難な目標を設定してしまうと、成果を出すのに時間がかかり、従業員のモチベーション低下が引き起こされます。また、企業としても具体的な成果が社外へ示せなければ、SDGs活動の中止判断を下すケースも考えられるでしょう。

大きな目標を掲げる場合は、大目標の達成に必要な小さな目標をいくつか設定しておくのが効果的です。小さな目標があることで短期的に成果を出せるようになるため、従業員のモチベーションを維持しながらSDGs活動を展開していけます。

短期間で問題解決を行わない

SDGsへの取り組みは、すぐに成果が出るものではありません。そのため、未来への投資として中長期的な視点を持つことが大切です。中長期的にSDGsと向き合うには、企業理念とSDGsがマッチしていなければなりません。

たとえば飲料メーカーのサントリーホールディングス株式会社は、「水と生きる」を企業理念に掲げており、理念に基づいたSDGs活動を長年実施しています。水資源の保全活動を通じてSDGsへ貢献すると同時に、企業の事業継続性を高めているのです。

[参照:サントリーグループ「サステナビリティに関する7つのテーマ 01:水」]

SDGs取り組みの現状

ここでは、SDGsの取り組みについて、日本と世界の双方の現状をチェックしていきましょう。

日本の現状

国連の研究組織が2022年6月に公表した「Sustainable Development Report 2022(持続可能な開発レポート2022)」によると、日本のSDGs達成度は世界19位に位置します。前年度の18位から、順位を1つ落とした結果です。

次の3つの目標が「達成済み」と評価されている状態です。

  • 目標4:質の高い教育をみんなに
  • 目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 目標16:平和と公正をすべての人に

一方、以下の6つの目標に対しては「深刻な課題がある」と評価されています。

  • 目標5:ジェンダー平等を実現しよう
  • 目標12:つくる責任つかう責任
  • 目標13:気候変動に具体的な対策を
  • 目標14:海の豊かさを守ろう
  • 目標15:陸の豊かさも守ろう
  • 目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

このように、日本では複数の解決すべき課題が存在しており、今後さらなるSDGs推進が求められている状況です。

[出典:Sustainable Development Solutions Network「Sustainable Development Report 2022」]

世界の現状

2022年に公表された「Sustainable Development Report 2022(持続可能な開発レポート2022)」では、ヨーロッパの国が上位を占める結果となりました。

1位:フィンランド
2位:デンマーク
3位:スウェーデン
4位:ノルウェー
5位:オーストリア

また、世界各国のSDGs進捗度の平均スコアは、2年連続で低下している状況です。報告書では、軍事衝突による安全保障上の危機や感染症のパンデミックが、貧困や食糧不安、エネルギー問題などを悪化させていると指摘しています。

[出典:Sustainable Development Solutions Network「Sustainable Development Report 2022」]

SDGsを企業が取り入れるメリット

ここでは、SDGsを企業が取り入れるメリットについて解説します。

優秀な人材を確保できる

SDGsに対する意識は、若者の間でも高まっています。株式会社ディスコが2020年に実施した調査によると、就活生が企業の社会貢献度を判断する要素の第5位が「CSR・ESG・SDGsなどの取り組み」でした。

また、SDGsの認知度についても、「詳しく知っている」「ある程度知っている」と回答した人が、全体の7割を超えています。

こうした状況から、企業によるSDGsへの取り組みは、企業イメージの向上だけでなく、人材確保の面でもプラスに働くものと考えられます。社会貢献性の高い企業であることを社外へ発信していければ、優秀な人材も集まりやすくなるでしょう。

[参照:株式会社ディスコ「就活生の企業選びとSDGsに関する調査(2020年8月)」]

ビジネスチャンスを生み出す

SDGsの課題解決に向けたサービスや商品開発は、企業にとって新たなビジネスチャンスにつながります。また、SDGsは世界的に注目されているため、SDGsに関連した取り組みは社会的に認知されやすく、評価されやすい傾向にあります。

SDGsへの取り組みを通じて他社や政府機関との協力関係が築ければ、それまでアプローチしてこなかった新たな市場へ参入が図れるかもしれません。

企業イメージが良くなる

SDGsに取り組むことで、社会貢献に注力する企業として社外から評価されるようになり、企業イメージの向上が期待できます。また、企業の社会的責任を果たせるため、顧客や取引先などに対するブランディング効果も見込めるでしょう。

最近では、企業の財務情報だけではなく、環境・社会・ガバナンスへの取り組みを重視する「EGC投資」の考えが広まっています。SDGsへの取り組みが投資家に評価されれば、新たな資金調達源の確保につながることも考えられるでしょう。

将来のリスクを回避できる

SDGsに対する社会意識が高まっている現状から、SDGsに取り組まないことが、将来的に企業イメージの低下を引き起こす可能性が考えられます。現在も「環境に配慮した企業の商品を購入したい」「社会貢献に意欲的な企業へ就職したい」といった考えを持つ人が一定数存在します。

そうした考えがSDGsの浸透によってさらに広がれば、SDGsに関心のない企業が、商品購入先や就職希望先に選ばれない未来もありえるのです。この将来的に発生しうるリスクを防ぐためにも、企業は今からSDGsへ向けた取り組みを検討する必要があります。

コストを削減できる

資源やエネルギーなどの環境問題に取り組むことで、コスト削減が図れます。一例として挙げられるのが、社内のペーパーレス化です。

ペーパーレス化とは、紙の書類を電子化する取り組みを意味します。限られた紙資源の消費を防ぐ目的に加え、紙代のコスト削減が可能です。電子化による業務効率化も期待できるため、少ない時間で成果を出しやすくなります。

SDGsを企業で取り入れる方法

いざSDGsに取り組もうと思ってみても、具体的な実施までの流れがイメージできない方もいるのではないでしょうか。

そこで、ここではSDGsの実施方法を解説していきます。

SDGsの情報をまとめる

まずはSDGsについて理解を深め、情報を整理していきます。学習をスタートさせる前に、社内アンケートを通じて従業員のSDGs理解度をチェックするのも有効です。従業員の理解度やSDGsに対するイメージを把握しておくことで、効果的な学習プランを作成できます。

研修会やワークショップを通じてSDGsの理解を深められたら、次は自社とSDGsの関連性を大まかに整理しておきましょう。それが次のステップである、問題点を探るプロセスへとつながります。

問題点を探る

続いて、自社の事業に関連するSDGsの課題を特定します。SDGsが掲げる目標は多岐に渡るため、一企業がすべてを担うことは困難です。そのため、優先課題を設定し、自社が最も貢献できそうな領域にリソースを注入していく必要があります。

課題は、未来の社会・環境・経済状況を予測したうえで検討します。たとえば海洋汚染の深刻化を予測し、このままだと自社事業の継続性が保てないと水産加工会社が判断した場合、取り組むべき課題は海洋保全となるでしょう。

複数の課題を優先課題と設定するのも間違いではありませんが、SDGsの活動が軌道に乗るまでは課題を絞り、経験やノウハウを得たのちに優先課題を増やしていくのが無理のない方法です。

目標を設定する

決定した優先課題をもとに、目標を設定します。目標は期限を設け、具体的かつ効果測定可能なものにしましょう。また、マイルストーンを決めておくと、目標達成への道筋が明確になります。さらに、目標と併せて達成度を評価するためのKPI(重要経営指標)も設定しましょう。

事業に取り入れる

SDGsの実施には、経営層や担当者だけではなく、全従業員の理解が必要です。なぜ自社でSDGsに取り組むのか、メリットや目標の根拠を社内へ浸透させていきます。

また、具体的なアクションプランを立てる際は、部署を横断したプロジェクトチームを編成することが大切です。全社一丸となって取り組むことで、中長期的なプロジェクトとなるSDGs活動の継続を図ります。

実践し活動報告する

SDGsの活動は、実施してからが本番です。活動の進捗状況や達成度、今後の活動計画などを定期的に整理し、従業員やステークホルダーへ報告します。

最近では、SDGsの活動をWebサイトやSNSを通じて発信する企業も珍しくありません。企業のブランディング効果や従業員のモチベーションアップが期待できるため、社外への情報発信も積極的に取り組むとよいでしょう。

SDGsの課題解決には問題点の把握が重要

今回は、SDGsに取り組む際の問題点と解決策について解説しました。SDGsは世界共通の課題であり、日本でも意欲的に活動に取り組む企業が増えています。しかし、SDGs自体の目標が壮大であることから、自社の事業とSDGs活動のバランスを取るのが難しいケースもあるでしょう。

SDGsを取り入れる際は、自社の事業に関連するSDGsのテーマから、優先課題を設定していきます。社会の動向や将来の経済状況を見据え、適切な課題設定を図ることが大切です。

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