SDGs経営とは?注目される背景やメリット・推進方法について解説

最終更新日時:2022/07/29

SDGs

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SDGsの認知が広がるなか、大企業から中小企業まで多くの企業が「SDGs経営」を実践し始めています。一方、これから推進するという企業もあるでしょう。そこで本記事では、SDGs経営について、注目されている背景やメリット、推進方法までを詳細に解説していきます。あわせて、3つの先進事例も紹介します。

SDGs経営とは?

SDGs経営とは、「SDGs」の考え方を企業経営に取り入れながら、事業を行うことをいいます。

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略称で、持続可能な社会の構築を目指す、17の開発目標のことを指します。2015年9月に国連サミットで採択され、その後は国連加盟国である193の国々が、2030年を目標にSDGsの達成を目指し活動を続けています。

SDGs経営では、SDGsを通じて広い視野で社会的な課題を捉え、それらの問題を解決すべく企業の商品やサービス、さらには従業員の働き方などを見直すことが求められます。

CSRとの違い

CSRとは「Corporate Social Responsibility」の略称で、企業における社会的責任のことを指します。

「社会的責任」とは、企業がステークホルダーから信頼を得るための活動のことです。具体的には、販売する商品やサービス、事業プロセスの中に社会や環境への配慮を取り入れることを指します。

一方のSDGs経営では、企業における事業活動と持続可能な開発目標の両立を目指しているため、CSRはSDGsの先に位置付けられています。

SDGs経営が注目されている背景

近年、SDGs経営が注目されている理由には、SDGs経営が消費者からの信頼向上や将来的な企業のリスク回避につながることが挙げられます。貧困や飢餓、人権、環境問題など、SDGsにおける17の開発目標は、先進国を含めた世界共通の課題として設定されています。

そのためSDGsを無視した企業活動は、社会課題の解決に向けて努力していないと見なされ、消費者を含めたステークホルダーからの評価が下がるおそれがあります。その結果、企業経営に影響を及ぼすリスクが生まれます。

他方、SDGs経営の推進によって、新たなビジネスチャンスを創出する機会が増え、結果的に企業価値が向上するとの期待もあります。

国連開発計画(UNDP)の試算では、「SDGsが達成されるならば、労働生産性の向上や環境負荷低減等を通じた外部経済効果を考慮し、2030年までに年間12兆ドルの新たな市場機会が生まれうる」としています。

こうした背景から、国内外の様々な企業はSDGs経営に注力し始めているのです。

[出典:経済産業省「SDGs経営ガイド」]

SDGs経営を行うメリット

企業におけるSDGs経営の取り組みには、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、5つのメリットについて解説していきます。

コストの削減

SDGs経営のメリットとして、コストの削減が挙げられます。自社の商品やサービスとSDGsの取り組みを紐づけたPRや、SDGsに取り組む企業として世間から注目を浴びることにより、企業のPRやマーケティングにかかるコストを削減できます。

他社との差別化

SDGs経営に取り組む企業は、他社との差別化を図ることが可能になります。SDGs経営への取り組みの有無が、取引や協業の判断材料に影響するケースも少なくありません。また大手企業などでは、サプライヤーにおけるSDGsへの配慮の有無を確認する動きも見られています。

新規事業の獲得

SDGsを足掛かりに、企業は新規事業の獲得が期待できます。企業は、多くの社会的課題の解決に取り組む上で、行政や教育機関など多くのパートナーと手を組むことになります。その過程で、新たなパートナーとの出会いから新しいビジネスモデルが生まれる可能性も期待されます。

企業のイメージ向上

SDGs経営に対する取り組みが消費者や取引先などに認知されることは、企業のイメージ向上につながります。企業イメージの向上は、企業の商品やサービスなどの売上が向上するだけでなく、採用活動でも有利に働くため優秀な人材を確保しやすくなります。

社会課題への対応

SDGs経営を通じて企業が社会的な課題に対応することは、将来的な経営リスクの回避につながります。たとえば、企業が環境問題などに無関心な場合には、自然災害により事業の悪化・停止などのリスクが高まります。

自然災害による経済損失額は数兆円規模に及ぶともいわれているため、SDGs経営を通じた社会的な課題への対応は、企業における将来的な経営リスクの回避に必須といえるでしょう。

[出典:国土交通省「3. 自然災害リスクの増大について」]

SDGs経営の推進方法

企業におけるSDGs経営の推進には、どのような方法があるのでしょうか。ここでは、SDGs経営の具体的な推進方法を解説していきます。

SDGsについて知る

まずは、SDGsについて知ることから始めましょう。企業におけるSDGsの現状把握には、従業員全員を対象にSDGsに関するアンケートを実施することが有効です。ここでは、従業員一人ひとりがSDGsについて正しい知識を身につける動きが重要になります。

課題を把握する

次に、SDGsで掲げられている課題を把握しましょう。SDGsは17の課題から構成されており、内容も広範囲で多岐にわたります。一度に全ての課題に取り組むことは困難なため、個々の課題を企業の現状や特性などと照合し、優先的に取り組む課題を決めていきましょう。

達成する目標を掲げる

取り組む課題を把握できたら、次に達成する目標を掲げましょう。目標を掲げる際には、期限や目標達成へ向けたKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)の設定がポイントになります。

これらを設定することで、目標達成に向けて従業員一人ひとりのやるべきことが具体的になるため、実際の行動に移るハードルも低くなります。

経営と統合する

SDGsの実行には、企業における経営との統合が必須になります。経営者や役員のSDGsに対する理解が得られていない状態では、目標達成へ向けて実効性のあるプランの策定は困難です。経営者や役員などがリーダーシップを発揮すれば、自社のビジネスモデルに沿ったSDGsの取り組みを検討できます。

取り組みを実践する

SDGsの取り組みを実践する上では、目標や施策に対して日々取り組んだ内容と進捗をしっかりと記録しましょう。活動内容の記録をもとに振り返ることで、取り組みの進捗のみならず問題点も抽出できるため、取り組み内容のブラッシュアップにつながります。

活動した報告を伝達する

SDGsの取り組みにおいては、日々の活動内容を伝達し、ステークホルダーとコミュニケーションを取ることも忘れてはなりません。

ステークホルダーと定期的にコミュニケーションを取ることで、企業のブランディングが向上するだけでなく、従業員のモチベーションアップにもつながります。

SDGs経営を実現させるためのポイント

企業がSDGs経営を実現させるためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。ここでは、特に重要な3つのポイントについて解説していきます。

サステイナビリティを理解する

SDGs経営では、従業員全員がサステイナビリティを正しく理解することが重要です。

サステイナビリティとは「持続可能性」を意味し、目先の利益ではなく、自然環境や社会システムの維持などを広く視野に入れた考え方や活動のことをいいます。

SDGs経営においては、このようなサステイナビリティを正しく理解した上で、企業が目指す将来の姿をはっきりと描くことが重要になります。

解決する課題を明確にする

SDGs経営の実現に向けて、解決する課題を明確にすることも大切になります。課題の明確化には、自社の事業が地球環境に与える影響を考慮することが必要です。その際には、事業の長所だけではなく短所が与える影響もしっかりと把握しましょう。

目標達成までの期間を決める

SDGs経営の実現には、目標達成までにかかる期間の設定が欠かせません。また、期間を決める際には、SDGsの掲げる2030年という期限にこだわりすぎず、自社の目標に合った期限の設定が重要になります。

SDGs経営の取り組み事例

ここでは、企業におけるSDGs経営の取り組み事例を3つ紹介します。

富士通株式会社

富士通株式会社は、世界における巨大な自然災害による損害低減を目指し「災害統計グローバルセンター(GCDS)」に設置予定の「グローバルデータベース(GDB)」の構築・運営に関して、国連開発計画(UNDP)・国立大学法人東北大学災害科学国際研究所(IRIDeS)の二者とパートナーシップを締結しました。

同社は、ICTの総合力を活かしてGDBの構築を無償で支援しています。これらの運営だけでなく、開発途上国における防災行政能力の向上を目的として寄付による支援を続け、巨大自然災害に備える社会の構築を目指しています。

株式会社レノバ

株式会社レノバでは「2030年までに1,000万トンのCO2削減」を目標に掲げ、太陽光発電などの自然エネルギーの普及に努めています。

また、太陽光発電のほかに風力発電や地熱発電、バイオマス発電などの普及も行っており、その運営を地方の施設で行うことで地域産業の活性化だけでなく、地域雇用の創出にもつなげています。

サラヤ株式会社

サラヤ株式会社は、持続可能な原料の調達や原料供給地における生物多様性の保全、さらにはアフリカにおける衛生面の向上などに取り組み、2017年に「SDGs推進副本部長(外務大臣)表彰」を受賞しました。

具体的なSDGsの取り組みとしては、同社の主要ブランドである手洗い商品において、出荷額の1%をユニセフに寄付しています。

アフリカの子供たちやその母親に、石鹸による正しい手洗い教育の活動を支援し、アフリカ全土において下痢性疾患などの予防にも成果を出しています。

SDGs経営は企業の成長につながる

今回は、SDGs経営が注目されている背景や、企業におけるSDGsの推進方法について解説しました。

SDGs経営は、消費者からの信頼向上や将来的な企業のリスク回避につながるため大きな注目を集めています。SDGs経営の推進においては、従業員と経営層がSDGsについて深く理解し、課題解決に向けて全社的に取り組むことが不可欠です。

SDGsの掲げる2030年という期限に固執することなく、現状や事業における長所・短所を踏まえて、自社に合った目標を定めることから始めてみましょう。

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