【最新2023年】テレワークの実施率は?地域・業界・従業員規模別に解説

新型コロナウイルス感染拡大によりテレワークという働き方が注目されていますが、新型コロナウイルスの影響によってテレワークの実施率はどのように変化しているのでしょうか。本記事では、テレワーク実施率の変化を「地域」「業界」「従業員規模」に分けて解説します。
目次
コロナ禍のテレワーク実施率と推移について
総務省が発表した「令和3年 情報通信白書」によると、企業を対象にした調査では、1回目の緊急事態宣言が発出した2020年4月には、テレワークの実施率が17.6%から56.4%まで上昇したという結果が出ています。しかし緊急事態宣言が解除されて以降は、30%程度まで低下しています。
また2回目の緊急事態宣言が発出されて以降の2021年3月には、テレワークの実施率が38.4%まで再度上昇しています。このように緊急事態宣言の前後で実施率に変動が見られるものの、コロナの影響でテレワークを導入する企業は増えています。
また、2020年5月~2021年7月の雇用者に対するテレワーカーの割合を、以下の表にまとめました。
年月 | テレワークの実施率 |
2020年5月 | 31.5% |
7月 | 20.2% |
10月 | 18.9% |
2021年1月 | 22% |
4月 | 19.2% |
7月 | 20.4% |
出典:公益財団法人日本生産性本部「調査結果レポート」
上記の表から、コロナの感染拡大以降にテレワーカーの割合が20%前後を維持していることが分かります。つまりコロナの感染者数や感染状況にかかわらず、テレワークの実施が定着しつつあるといえるでしょう。
出典:総務省「令和3年版 情報通信白書|テレワークの実施状況」
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地域ごとのテレワーク実施状況
テレワークの実施率は地域によって異なります。そこで国土交通省の調査をもとに、2018年~2021年におけるテレワーク実施率を勤務の地域別で以下の表にまとめました。
地域 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
首都圏 (東京・埼玉・千葉・神奈川) | 21.6% | 19.1% | 34.4% | 42.3% |
中京圏 (愛知・岐阜・三重) | 16.6% | 約15% | 19.7% | 22.9% |
近畿圏 (京都・大阪・兵庫・奈良) | 17.6% | 15.2% | 23.4% | 27.7% |
地方都市圏 (上記以外の道県) | 12.9% | 11.9% | 15.9% | 17.2% |
全国 | 16.6% | 14.8% | 23% | 27% |
上記の表から分かる通り、コロナの感染が拡大しはじめた2020年を皮切りに各地域ともテレワークの実施率が上昇しています。2021年の実施率のみで比較すると、首都圏・近畿圏・中京圏・地方都市圏の順で実施率が高いという結果になりました。
また、どの地域にも共通しているのが、通勤時間30分未満のテレワーカーは割合が少ないということです。通勤時間が長いほどテレワーカーの割合は上昇するといいます。さらに、都市圏の規模が大きいほどテレワークの実施率が高い傾向にあるようです。
出典:国土交通省「令和3年度 テレワーク人口実態調査 -調査結果-」
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23区内のテレワーク実施率
東京23区内の中小企業を対象に行われた調査では、2020年3月~2022年5月のテレワーク実施率は以下の表のように推移しています。
年月 | 期間内の状況 | テレワーク実施率 |
2020年3月 | - | 26.0% |
5月~6月 | 緊急事態宣言期間中 | 67.3% |
9月~10月 | - | 53.1% |
2021年1月~2月 | 緊急事態宣言期間中 | 66.2% |
5月 | 緊急事態宣言期間中 | 38.4% |
8月 | 緊急事態宣言期間中 | 39.9% |
11月 | - | 31.2% |
2022年2月 | まん延防止等重点措置期間中 | 37.8% |
5月 | - | 29.7% |
上記の表から、1回目の緊急事態宣言をきっかけにテレワークの実施率が大幅に上昇していることが分かります。2回目の緊急事態宣言が発出されたタイミングでも再度上昇していますが、2021年5月以降は緊急事態宣言期間中であるにもかかわらず約38%にまで低下しています。
その後は、緊急事態宣言やまん延防止措置といったコロナの感染状況によって多少の変動があるものの、テレワークの実施率は30%前後を維持していることが分かりました。
出典:東京商工会議所「中小企業のテレワーク実施状況に関する調査」
業界別のテレワーク実施率
総務省が行った調査をもとに、2020年11月における業界別のテレワーク実施率を以下の表にまとめました。
業界 | テレワーク実施率 |
全体 | 24.7% |
情報通信業 | 55.7% |
学術研究、専門・技術サービス業 | 43.2% |
金融業、保険業 | 30.2% |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 28.4% |
不動産業、物品賃貸業 | 27.9% |
製造業 | 27.2% |
卸売業、小売業 | 20.5% |
教育、学習支援業 | 19.6% |
生活関連サービス業、娯楽業 | 18% |
運輸業、郵便業 | 11.3% |
宿泊業、飲食サービス業 | 11.1% |
医療、介護、福祉 | 4.3% |
業界別でテレワークの実施率を比較すると、情報通信業の実施率が55.7%と、全体の実施率を大幅に上回っていることが分かります。そのほかにもテレワーク実施率が高い業界としては、「学術研究、専門・技術サービス業」「金融業、保険業」などが挙げられます。
一方で、「医療、介護、福祉」「宿泊業、飲食サービス業」「運輸業、郵便業」のテレワーク実施率は、約11%もしくはそれ以下という結果でした。このように対面での業務が必要な業界ではテレワークが浸透しておらず、業界によってテレワーク実施率にばらつきがみられます。
出典:総務省「令和3年版 情報通信白書|テレワークの実施状況」
従業員数別のテレワーク実施率
2020年7月時点のテレワーク実施率を、従業員数別で以下の表にまとめました。
従業員数 | テレワーク実施率 |
全体 | 14.3% |
99人以下 | 6.1% |
100~299人 | 14.2% |
300~999人 | 18.8% |
1,000人以上 | 42.9% |
上記の表から、従業員数が多くなるほどテレワークの実施率も比例して高くなることが分かります。従業員数が99人以下の小規模企業では、全体のテレワーク実施率を大きく下回る6.1%という結果でした。
出典:厚生労働省「テレワークの労務管理等に関する 実態調査(速報版)」
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テレワークの実施頻度
国土交通省の調査によると、1週間に1日以上テレワークを実施する人の割合は、2019年度までの過去4年間では60%前後を維持していました。
しかしコロナの感染が拡大しはじめた2020年以降では、1週間2日~4日テレワークを実施する人が増加し、週に1日以上テレワークを実施する人は約78%まで上昇しています。
出典:国土交通省「令和3年度 テレワーク人口実態調査 -調査結果-」
テレワーク実施者の週の出勤日数
国土交通省が2021年度にテレワークの実施頻度を調査したところ、1週間あたりの平均日数は2.4日という結果でした。1週間あたりの平均日数が2.4日という数値は、2020年度の結果と変動していません。
コロナの感染が拡大する以前の2019年では、1週間あたりの平均日数は1.9日であるため、コロナの影響で実施の頻度が増加しているといえます。
出典:国土交通省「令和3年度 テレワーク人口実態調査 -調査結果-」
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年収別のテレワーク実施率
内閣府が行った調査をもとに、2020年の年収別テレワーク実施率を以下の表にまとめました。
年収 | テレワーク実施率 |
全体 | 21.5% |
300万円未満 | 12.7% |
300万円以上500万円未満 | 20.6% |
500万円以上700万円未満 | 27.9% |
700万円以上1000万円未満 | 41.2% |
1000万円以上 | 51% |
上記の表から分かる通り、年収と比例してテレワークの実施率も高くなっています。年収が1000万円以上になると、全体の2倍以上もの数値であることが分かります。
出典:内閣府「第2回 新型コロナウイルス感染症の影響下における 生活意識・行動の変化に関する調査 」
社会情勢に合わせてテレワークを進めよう!
コロナ感染拡大に伴いテレワークの実施率は上昇しており、現在では感染状況にかかわらずテレワークが定着しつつあります。テレワークの実施は感染拡大の抑制だけでなく、働き方改革や業務効率化といった効果にもつながります。従業員の健康維持や労働環境の改善を実現するためにも、社会情勢に合わせてテレワークの導入を進めましょう。
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