テレワークで増加する体調不良とは?原因や企業・個人が取るべき対策方法

最終更新日時:2023/08/24

テレワーク

テレワークによる体調不良

柔軟な働き方ができるテレワークの普及は、ワークライフバランスの向上といった多くのメリットをもたらしてくれます。 しかし、コミュニケーションの減少による孤独感や、適切な仕事環境を準備できないことによる体の不調を感じている人も少なくはありません。本記事では、そんなテレワークによる体調不良について、原因や対策など詳しく解説していきます。

テレワークと体調不良の関係について

ここでは、まずテレワークが急速に普及した背景と、テレワークによる体調不良の具体例をご紹介します。

テレワークが増加している背景

テレワークは、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、一気に各企業において導入が進められました。

しかしながら、実はこのようなパンデミックが発生する以前より、政府からは「柔軟な働き方の実現」や「ワークライフバランスの向上」といった観点から、導入の推進が提言されており、テレワークは、そもそも多くのメリットが得られる働き方でもあったのです。

そのため、臨時的な対応策としてテレワークを導入した企業においても、当初は想定外であったテレワークの長期化により、本来のメリットへの理解が深まり、ニューノーマルな勤務形態として定着しつつあるのだと考えられます。

また、上記のような成功例から、導入に二の足を踏んでいた企業が次々とテレワークの実施に向けて動き始めたことも、増加した要因として挙げられるでしょう。

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テレワークにより増加する体調不良

企業のみならず社員においても多くのメリットがあるテレワークですが、テレワークならではの体調不良を感じている人もいます。テレワークによる不調は、大きく以下の2つの種類に区別することができます。

  • 対面でのコミュニケーションが減少したことによる精神的ストレス
  • 通勤などの移動がなく、長時間の座り姿勢が続くことによる不調

このようなテレワークの実施によって発生した状況の変化により、心身の不調を感じる人が増えているのです。身体的な症状としては、肩こりや腰痛、体の凝りによる頭痛などが多く挙げられますが、なかには「テレワークうつ」といった言葉を耳にしたことがある方もいるかと思います。

テレワーク中に体調不良になったら休みを取ることは可能

オフィス勤務とは違い出社する必要がないテレワークでは、体調不良を起こしてもデスクに向かえば仕事ができてしまうため、休みを取ることに抵抗を感じてしまう人も多いかもしれません。

しかし、体調が悪い時に仕事をしてしまうと、体調が悪化してしまうのはもちろんミスもしやすくなるので作業効率が悪くなってしまいます。

回復するまでに時間がかかってしまうケースもあるので、体調が悪いと感じたら遠慮せずに休みをとるようにしましょう。

テレワークで体調不良が増加する7つの原因

前段にて、テレワークによる体調不良の原因を2つお伝えしましたが、ここでは、その原因を、より詳しく7つの要因にわけて、ご説明していきます。

1.運動不足

テレワークでは、オフィスへの通勤だけでなく、部署間や会議の際の移動、取引先の訪問といったオフィス内外の移動もなくなります。日常的かつ無意識におこなっていた運動の機会が減ったことによる運動不足は、肥満などの生活習慣病のリスクを高めることになってしまいます。

また、移動の機会が減り、長時間のデスクワークが続くことで、肩こりや腰痛を発症する人も少なくありません。

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2.生活リズムの乱れ

実は、テレワークによる体調不良は、運動不足よりも「不規則な睡眠」が深刻な原因となっているともいわれています。特に、フレックスタイム制のテレワークを実施している場合においては、始業や終業の時間が曖昧となり、より不規則な生活となりがちです。

このような生活リズムの乱れは、生活習慣病を引き起こすだけでなく、神経伝達物質セロトニンの分泌に支障を来し、うつ病などの発症リスクを高める可能性もあります。

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3.間食の増加

テレワークでは、周りの目がないことや、自宅という環境から、ついつい間食が増えてしまうことがあります。

適度な間食であれば、気分転換としても有効であり問題ありませんが、間食する量や回数が増えてしまうと、本来の食事に影響を与えてしまうなど、生活習慣の乱れにつながってしまいます。

4.パソコンの画面を見る時間の増加

対面による社内外の会議や打ち合わせ、業務のシステム化などにより、パソコンを見る時間が大幅に増えたという方も多いのではないでしょうか。

長時間のパソコン作業は、眼精疲労や、首・肩の凝りを引き起こします。また、パソコンの画面から発せられる青い光、いわゆるブルーライトは、可視光線の中でエネルギーが最も大きい光であり、かつ太陽光にも含まれていることから、就寝前のパソコン作業によって、体内時計が朝であると勘違いしてしまい、不眠を誘発するといった可能性も指摘されています。

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5.コミュニケーションの不足

コミュニケーション不足は、テレワークによる代表的なデメリットの一つです。

オフィス勤務であれば発生していた、何気ない業務のアドバイスや雑談といったコミュニケーションが、いいリフレッシュになっていたという方も多いのではないでしょうか。

また、オンラインでは、相談をしたくてもそのタイミングが難しく、悩みを一人で抱え込んでしまいがちです。このような変化に、大きな精神的ストレスを感じてしまうことは珍しくありません。

また、精神的なストレスが解消されることなく長期間続いてしまうと、落ち込んだ気分から浮き上がることができない、モチベーションや集中力が維持できないといった、具体的な症状としてあらわれるようになってしまうこともあります。

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6.整備されていない作業場所

自宅で仕事する場合、仕事に適したデスクや椅子の準備が難しかったり、家族の生活音をストレスに感じたりすることもあるでしょう。

特にデスクワークの姿勢を原因とした腰痛や肩こりは、発症してしまうと改善に多くの時間を要するなどの深刻な体調不良となることもあります。

7.労働時間の長時間化

テレワークの場合、上長が直接勤務状況を確認できないことや、プライベートと仕事の区別が曖昧になってしまうことから、長時間労働が常態化してしまう可能性もあります。

長時間労働の常態化は、疲労が十分に回復されない状態での勤務が続くことになるため、心身ともにストレスが蓄積し、集中力を欠くだけでなく、意欲の低下も招く結果となります。

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テレワーク中に確認したい体調不良のサインとは?

テレワークによる体調不良は、そのサインを把握しておき、悪化する前に対策を講じることが大切です。ここでは、いち早くキャッチしたい不調のシグナルとして、身体的サインおよび精神的なサインの2つにわけて、詳しくご説明します。

身体的な不調のサイン

以下のような症状は、身体的な不調のサインだと考えられます。

  • 目の疲れ
  • 足のむくみ
  • 肩や腰、首などのだるさ
  • 集中力の欠如
  • 寝つきに時間がかかる

このような症状を感じたら、業務の合間にストレッチをしてみたり、時間を決めて間食を取ってみたりするなどの、リフレッシュする習慣を取り入れるように心がけましょう。

また自己管理を徹底し、就業時間を適切にコントロールすることも重要です。

精神的な不調のサイン

以下のような症状は、精神的な不調のサインだと考えられます。

  • 落ち込んだ状態から浮き上がることができない
  • 不安な気分やイライラが続く
  • 食欲がなくなっている
  • そわそわして集中できない
  • 仕事への気力が湧かない
  • 寝つきが悪い、眠れない

このような症状を感じた場合は、身体的な不調のサインと同様に、業務の合間にリフレッシュする習慣をつけるようにすることも大切です。

ただし、精神的なストレスは、コミュニケーションの頻度を上げる、もしくは、フランクな会話ができる場を定期的に設けるといった取り組みによって解消されることも少なくありません。精神的な不調のサインやストレスを感じた際には、早めに周囲に相談するようにしましょう。

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テレワークによる体調不良を防ぐための企業の対策・予防方法

上記で紹介したような体調不良は、以下のような対策を取り入れることで予防が可能です。

対策や予防方法を知ることで、より効率的にテレワークを続けることができるようになります。以下では、それぞれの方法について解説していきます。

勤怠管理の徹底

適切な勤怠管理は、長時間労働の慢性化を予防する上で、効果的な対策の一つです。

クラウド型の勤怠管理システムであれば、場所を問わず、始業終業の打刻が可能となるため、リアルタイム性の高い勤怠管理が可能となります。そのため、管理者が気づかぬうちに長時間労働が慢性化してしまっていたといった事態も避けることができます。

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コミュニケーションツールの導入

コミュニケーションツールを導入することで、コミュニケーション不足による「孤独感」や「孤立感」が解消できます。

特に、チャットなどのコミュニケーションツールは、フランクな会話形式のやり取りも生まれやすく、精神的なストレスの軽減に役立つでしょう。

運動不足解消の促進

運動不足を解消するために、従業員に対して、業務の合間におけるストレッチの実施などを呼びかけたり、スポーツや体を動かす習い事、または社員同士の健康的な交流を支援する制度を設けるのも有効です。

なお、声かけのみでは制度が活性化しないリスクも考えられるので、制度が活性化する様に具体的な日時を設定したりルールを明確化するなどの取り組みが必要でしょう。

1on1の定期的な実施

1on1を定期的に実施することも効果的です。1on1とは、主に上司と部下の間において、マンツーマンでおこなう面談のことを意味します。

こうした機会は、社員の悩みや不安の早期キャッチアップや、フランクなコミュニケーションの活性化に役立ちます。

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テレワークによる体調不良を防ぐための個人の対策・予防方法

テレワークによる体調不良の予防は、個人でもおこなえます。具体的には、以下のような方法が効果的です。

作業環境の整備

テレワークのストレス軽減だけでなく、作業効率を上げる意味でも、作業環境の整備は必要です。作業環境の改善は、主に以下のようなことが挙げられます。

  • 仕事専用のデスクや椅子を用意する
  • 専用のワークスペースを設ける
  • PCの高さを調節する

専用のワークスペースの準備については、住環境により難しい場合もあるでしょう。その場合は、仕事中に趣味のものが目に入らないようにするといった、小さな工夫から取り組むようにしてみてください。

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運動の習慣化

テレワークでも運動不足にならないように、運動を習慣化させましょう。必ずしも激しい運動をする必要はありません。そのため、散歩や軽いジョギング、業務の合間のストレッチから始めてみるのもおすすめです。

大切なのは、運動を習慣化させることですので、苦痛にならない程度でおこないましょう。

規則正しい生活リズムの実行

テレワークにおける就業時間や働き方については、徹底した自己管理が求められるところです。

特に、通勤がなくなることで、終業時間への意識が薄れてしまっているという方も多いのではないでしょうか。テレワークであっても、業務効率を意識し、就業時間とプライベートをしっかりと区別することで、規則正しい生活リズムを維持するよう心がけましょう。

パソコン作業による眼精疲労対策をとる

テレワークでは、パソコン作業が長時間になりがちであることから、眼精疲労を和らげるための対策を取っておくことも重要です。

具体的には、パソコン画面を30〜40cm以上離して作業する、ブルーライトカットなどのフィルムや眼鏡を使用する、室内の照明を工夫する、定期的に目を休めるといった方法が挙げられます。

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食事に気を配る

食事などの生活習慣の見直しもテレワークによる体調不良の予防策として有効です。

1日3食、なるべく決まった時間に摂る。といった、当たり前とも言える食習慣を実行できていない人も多いのではないでしょうか。栄養バランスの完璧な食事を、毎食用意する必要はありません。ただし、「食事の時間」については、あまり不規則にならないよう注意しましょう。

家族や友人とコミュニケーションをとる

テレワークでは、就業時間外の家族や友人とコミュニケーションを、意識的に増やすことも重要です。

就業時間内であっても、例えば友人とオンラインランチをするのも良いでしょう。リフレッシュする機会を、意識的に設けるのも、テレワークにおける自己管理の一環です。

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テレワークによる体調不良は早期発見と対策が重要

この記事ではテレワークによる体調不良について、詳しくお伝えさせていただきました。体調不良の症状を悪化させてしまうと、本人が辛いだけでなく、治療が必要になってしまうこともあります。

そのため、リスクを把握しておき、予防策を講じておくこと、また、体調不良のシグナルを早期にキャッチすることが重要です。

本記事でご紹介したサインや予防策などを参考に、ぜひ充実したテレワークライフを実現していきましょう。

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