テレワークの導入手順ガイド!基本的なステップや役立つツールを解説

2022/8/16 2022/08/16

テレワーク

自宅で働く女性・テレワーク導入

働き方改革などでテレワーク導入を推進する企業が増えています。しかし、テレワークに移行することが難しい企業やどのように推進すればいいかわからないと悩む方も多いと思います。本記事ではテレワークの導入手順を解説し、基本的なステップや役立つツールをご紹介します。

テレワークの導入ステップは?基本手順を解説

テレワークの導入ステップとして基本となる手順は次のとおりです。

  1. 導入検討・経営判断・全体方針の決定
  2. 現状課題の把握
  3. 推進体制の構築
  4. テレワークに関する社内のルール作り
  5. ICT環境の整備
  6. セキュリティ対策
  7. テレワーク導入の進捗把握と評価

それぞれのステップにおける具体的な内容を紹介していきます。

1.導入検討・経営判断・全体方針の決定

テレワーク導入に際してまずおこなうことは、全体の方針を決定することです。具体的には、テレワーク導入目的を明確にします。

2022年5月27日に総務省が公表した「令和3年通信利用動向調査(※)」によると、テレワークを導入している企業の割合は51.9%と、令和3年調査で初めて半数を超えました。

テレワークの導入目的として最も多かったのは「新型コロナウイルス感染症への対応」で、割合は90.5%でした。感染防止や事業継続のためにテレワークを導入した企業が多いということでしょう。

導入目的を定めたら、対象部門や業務を決め、どのような形態でテレワークを導入するのか方針を決定します。

[※参照:総務省「令和3年通信利用動向調査の結果」より]

2.現状課題の把握

続いて現状課題の把握を進めていきます。把握しておきたい内容は、次のとおりです。

  • 就業規則や勤怠管理制度
  • 人事評価制度
  • 各部門の仕事の進め方(紙で進めているのか電子化されているのか)
  • ICT環境(システム)の導入状況
  • 個人情報などのセキュリティ状況
  • 労働組合など従業員のテレワークに対する意識

テレワーク導入にあたって従来の仕組みを変更する必要はないか、人事評価はどのように変えるべきかといった課題も洗い出しておきましょう。テレワークが可能な業務と実施困難な業務の線引きも、本ステップで検討してみてください。

3.推進体制の構築

テレワーク導入を推進するにあたり、推進体制の構築が必要です。次のような部門責任者が参加するプロジェクトチームを形成しましょう。

  • 経営層
  • 経営企画部門
  • 人事・総務部門
  • 情報システム部門
  • 導入対象となる部門

4.テレワークに関する社内のルール作り

全体方針に基づき現状の課題を把握しながら、プロジェクトチームが社内ルール作りを進めていきます。厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン(以下、テレワーク推進ガイドライン)」によると、ルール作りに必要な項目は次のとおりです。

  • 対象業務
  • 対象となる従業員の範囲
  • 実施場所
  • テレワーク可能日
  • 申請等の手続
  • 費用負担
  • 労働時間管理
  • 中抜け時間の取扱い
  • 通常時または緊急時の連絡方法

なお、テレワークの対象者を選定する際、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で不合理な待遇差を設けることは法令で禁止されているため、注意が必要です。

テレワークの費用負担は、労使で十分に話し合ってルール整備します。なお、通信回線使用料については、個人負担または一定額の手当を支払っている企業が多い傾向にあります。

テレワーク中の中抜け時間について、会社は把握してもしなくてもよいとされていますが、把握する場合は休憩時間として取り扱うなどの対応が考えられます。

テレワークにおけるルール整備については、厚生労働省がまとめている資料も参考にしてみてください。

[参照:厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」]

5.ICT環境の整備

テレワークのルール作りが進んだら、実際にテレワークを導入するために必要なICT環境の整備に進みます。「テレワークができるICT環境」は、次の3つから構成されています。1つでも欠けるとテレワーク導入が困難となるため、あらかじめチェックしておきましょう。

  • マネジメント:勤怠管理や在籍管理、進捗状況の確認ができる
  • コミュニケーション:文字や音声、映像などによるコミュニケーション方法が確保されている
  • セキュリティの確保:利用環境におけるセキュリティ環境が確保されている

具体的には、労務管理ツールやWeb会議システム、チャットツールなどの導入が必要です。既存のICT環境に不足点がないかチェックし、ICT環境の整備を進めていきましょう。

6.セキュリティ対策

ICT環境を整備する際、同時に考慮しておくべきポイントがセキュリティ対策です。テレワークでは、従業員の自宅やサテライトオフィス、カフェなどから社内情報へアクセスする機会が増えます。

そのため、セキュリティ管理がしやすい社内オフィスより、テレワークはセキュリティリスクの高い業務形態といえるでしょう。テレワークにおけるセキュリティ対策には、次のようなアプローチがあります。

  • 端末管理の徹底
  • 不正アクセス対策
  • データ盗聴や改ざんの防止

上記のアプローチに加えて、情報セキュリティに関する基本方針や行動指針を明文化したセキュリティガイドラインを策定し、社員に遵守してもらうことも重要です。

7.テレワーク導入の進捗把握と評価

テレワークは、導入するだけで終わらせてはいけません。テレワーク導入後の状況を確認・評価しながら、より良いテレワーク体制の構築を図ることが大切です。

テレワークの効果測定は、大きく量的評価と質的評価の2つに分けられます。量的評価の例は次のとおりです。

  • 顧客対応:顧客対応回数や時間、訪問回数はどうなったか
  • 情報処理力:伝票や企画書、報告書などの処理件数は増えたか
  • オフィスコスト:オフィス賃貸料や付随費用、紙の消費量、電気代などは減ったか
  • 移動コスト:移動時間や移動コストは減ったか
  • ICTコスト:PCやタブレットなどの情報機器コスト、ネットワークコスト、クラウドサービス利用費はどうか
  • 人材確保・維持:新規採用の応募者数や離職率はどうなったか

続いて、以下は質的評価の例です。

  • 業務改革:知識や情報の共有が増え、無駄な仕事が削減できたか
  • 成果・業績:顧客満足度は向上したか
  • コミュニケーション:上司や同僚、部下とのコミュニケーションや会議の質はどうなったか
  • ワークの質:仕事はやりやすくなったか、モチベーションは向上したか
  • 生活の質:育児や介護、自己啓発、地域活動、睡眠時間に関する満足度はどうか
  • 全体評価:ワークライフバランスは実現できているか

テレワークを評価する際は、量的評価と質的評価の両面を押さえていきましょう。

テレワークの導入に役立つ助成金・補助金

テレワークの導入に役立つ主な助成金や補助金は、次の2つです。

  • 人材確保等支援助成金(テレワークコース)
  • IT導入補助金

なお、補助金に関する情報は、経済産業省(中小企業庁)が運営する「ミラサポplus」のサイトで確認可能です。ここで紹介する情報は2022年7月31日時点のものなので、実際に補助金を検討する際は、あらかじめ公式サイトで最新情報を確認するよう心がけましょう。

人材確保等支援助成金(テレワークコース)

人材確保等支援助成金(テレワークコース)は、雇用保険法に基づく助成金です。テレワーク制度導入のために、就業規則の作成や変更、テレワーク用通信機器の導入・運用などを実施し、離職率低下の効果をあげた場合などに助成金が支給されます。

機器等導入助成は、1企業あたり支給対象経費の30%、目標達成助成は20%が支給額です。ただし、1企業あたり100万円もしくはテレワーク実施対象労働者1人あたり20万円が上限となります。なお、事前にテレワーク実施計画を労働局に提出し、認定を受けなければなりません。

[参照:厚生労働省「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」]

IT導入補助金

IT導入補助金とは、ITツールを導入する経費の一部が補助される補助金です。テレワーク導入に必要なITツールも補助対象となっています。補助率は通常枠の場合50%以内で、具体的な補助対象経費は次のとおりです。

  • ソフトウェア購入費
  • クラウド利用料(1年分)
  • 導入関連費

申請には「gBizIDプライム」アカウントが必要です。申請から発行まで約2週間かかるので、早めに準備しておきましょう。

テレワークの実施状況や今後について

テレワークという言葉を耳にするようになって久しいですが、テレワークの実施状況や今後の展開が気になる方もいるのではないでしょうか。そこでここからは、テレワーク導入率や今後の動きを紹介していきます。

[参照:一般社団法人 サービスデザイン推進協議会「IT導入補助金」]

現状の日本におけるテレワークの導入率

総務省が2022年5月27日に公表した「令和3年通信利用動向調査(※)」によると、日本のテレワークの導入率は次のとおりです。

  • 平成29年:13.9%
  • 平成30年:19.1%
  • 令和元年:20.2%
  • 令和2年:47.5%
  • 令和3年:51.9%

令和2年に47.5%とテレワーク導入率が一気に高まったのは、新型コロナウイルスの感染拡大が影響しているものと考えられます。

[※参照:総務省「令和3年通信利用動向調査の結果」]

今後もテレワークは続くのか?

令和3年になって半数を超えた企業のテレワーク導入率ですが、今後もテレワークが続いていくのか気になるところです。先ほど紹介した「令和3年通信利用動向調査」によると、令和2年では導入率が47.5%に対し、導入予定があると回答した企業が10.7%ありました。

一方、令和3年では導入率51.9%に対して導入予定率が5.5%となっています。導入企業は今後も増加する見込みであるものの、導入予定率が低下していることから、今後のテレワーク導入の動きは緩やかになっていくものと考えられるでしょう。

[参照:総務省「令和3年通信利用動向調査の結果」より]

テレワークに役立つ代表的なおすすめツール

ここでは、テレワークに役立つ代表的なおすすめツールを紹介します。

ビジネスチャットツール

まず導入を検討したいツールが、ビジネスチャットツールです。従来はオフィスに従業員が集まって業務を進めていたことから、社内のコミュニケーションは比較的容易にとれる環境でした。

一方、テレワークが導入されると、基本的に非対面でコミュニケーションを取ることになります。そのため、リアルタイムに気軽なコミュニケーションが図れるビジネスチャットツールの導入が効果的です。

ビジネスチャットツールの中には、タスク管理やビデオ通話機能を備えているものもあります。自社に合ったツールを採用し、効率的なテレワーク業務を図っていきましょう。

勤怠管理システム

テレワーク導入後は、従業員の勤務時間などを可能な限り客観的な方法で把握し、管理する必要があります。勤怠管理システムを導入することで、勤怠管理体制を構築していきましょう。

勤怠管理システムを導入する際は、テレワークに適したサービスを選ぶ必要があります。ポイントは、次のとおりです。

  • 作業状況が記録できること
  • 給与システムとの連携機能があるか
  • 有給や残業などの申請・承認機能があるか

タスク・プロジェクト管理ツール

従来の勤務では、口頭によるコミュニケーションを通じ、上司がタスクやプロジェクトの管理を進めているケースも多く見受けられました。ところが、テレワーク導入後は非対面でのコミュニケーションとなることから、従来のようなタスク・プロジェクト管理が難しくなります。

そこで検討したいのがタスク・プロジェクト管理ツールの導入です。プロジェクト管理ツールを導入するとプロジェクトの進捗が見える化され、プロジェクトの管理が容易になります。

オンラインストレージ

オンラインストレージとは、データをインターネット上(クラウド)に保存する領域のことです。これまで紙で書面を管理していた場合でも、電子化してオンラインストレージに保存すれば、さまざまな場所や端末からアクセスできるようになります。

オンラインストレージを選ぶ際は、データ容量、対応端末、セキュリティ対策の3点をチェックしておくとよいでしょう。

電子契約サービス

電子契約サービスも、テレワークに役立つツールのひとつです。「ハンコのための出社」も問題になりましたが、電子契約サービスの導入でこのような問題を解決できます。

電子契約は、電子データ上に電子署名をすることで、紙の契約書と同様の効力が得られるものです。契約締結までのリードタイム短縮や、書類保管コスト削減などに役立ちます。

テレワーク導入は正しい手順で着実に進めること

テレワーク導入には、本記事で紹介したステップ・手順におけるポイントを押さえつつ、導入効果を最大化することが必要です。利用できる助成金や補助金情報も、一部ではありますが簡単に紹介しました。

人材確保や業務効率向上、ワークライフバランスの実現など、目的に沿った正しい手順でテレワークの導入を進めていきましょう。

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