リモートハラスメント(リモハラ)とは?よくある事例や対策方法を解説

最終更新日時:2023/05/30

テレワーク

リモートハラスメントとは

近年広がりを見せているリモートワークですが、それに伴い新たなハラスメントが生まれていることをご存知でしょうか。本記事では、そんなリモートワークハラスメントについて、事例や対策方法など詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

リモートハラスメントとは?

リモートハラスメント(リモハラ)とは、リモートワーク中に起きる嫌がらせ行為の総称です。具体的には、上司が部下の勤務態度について過剰に責めるパワハラや、性的な嫌がらせに関するセクハラ発言などが挙げられます。

また、言葉や態度によって、相手に精神的な苦痛を与えるモラハラも、リモート中に起こりやすいハラスメント行為とされています。

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リモートハラスメントにあたる具体的な事例

それでは具体的に、どのような事例がリモートハラスメントにあたるのでしょうか。この章では、リモートワークハラスメントを3つのカテゴリーに分け、その内容を具体的に見ていきましょう。

パワハラ型の事例

1つ目のリモートハラスメントはパワハラ型です。上司が自分の立場を利用して、部下に嫌がらせを行う行為を指し、具体的には、以下のようなケースが挙げられます。

  • 時間内に提出や報告ができなかったことを延々と説教する
  • 特定の部下に目をつけて勤務態度に細かく文句をつける
  • 勤務時間内に終わらない仕事量を強制しながら残業を禁止する

会社の上司にあたる立場の人が、部下に対して高圧的な態度で、部下が嫌がることを続けることはリモートハラスメントにあたります。

部下の失敗に対して、理性的にとがめることや注意を促すこと自体は問題ありませんが、それらも注意の仕方や方法が「度を越す」ようであればパワハラと見なされることがあります。

セクハラ型の事例

2つ目のリモートハラスメントは、セクハラ型です。セクハラとは、相手が嫌がるような性的ニュアンスを含む言動を指しており、具体的には以下のようなケースが挙げられます。

  • 相手の外見についてしつこく意見する
  • 過剰なスキンシップ行為を行う
  • ビデオ会議の際に、必要以上に部屋を映すよう指示する

明らかに業務と関係がなく、異性の従業員が嫌がるような要素を含む意見や質問は、リモートハラスメントにあたる可能性があります。

リモートワークでは、仕事とプライベートの境界線が曖昧となり、気が緩んでしまうことがあるかもしれませんが、異性の従業員が嫌がるような不用意な発言は慎むようにしましょう。

モラハラ型の事例

3つ目のリモートハラスメントは、モラハラ型です。従業員の私生活を過度に詮索・批判するような言動が、モラハラの事例として挙げられています。

  • 当人及び家族に対する悪口や人間性を否定する発言
  • 周囲に人がいる状態での叱責
  • 行動や労働時間に対する合理性のない監視
  • 勤務時間外における頻繁な仕事の指示

従来の勤務と異なり、働く人の仕事ぶりが見えないリモートワークの場合、部下に対しての信頼感が低下することがこのような事例が生じる要因の一つかもしれません。

しかし、どんな状況であれ、相手の尊厳を傷つけるような一方的な発言や行為は、モラハラにあたります。相手が不愉快に感じる発言は避けるようにしましょう。

その他の事例

「部屋が片付いてないね」などの相手のプライベートな生活に意見することや「オンライン飲み会に参加しないのは付き合いが悪い」といった高圧的な発言もリモートハラスメントにあたることが考えられます。

リモートワーク中は対面での応対ができないことから、どうしても従業員同士の人間関係が薄れてしまいがちです。

よって、上司が部下とのコミュニケーションを取るために、親しみを込めて発言したつもりが、部下にとってはプライベートへの介入と感じてしまうこともあるでしょう。

部下にとって心理的に苦痛と感じる発言を続けた結果、リモートハラスメントだと訴えられてしまうことも起こりえます。

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リモートハラスメントが起こってしまう原因

ここまではリモートハラスメントの具体例について見てきましたが、リモートハラスメントが発生してしまう原因は何なのでしょうか。

この章では、リモートハラスメントが発生してしまう環境的・心理的な変化などの側面から、リモートハラスメントが発生してしまう原因について解説します。

慣れない環境によって生じる不安やストレス

オフィスワークからリモートワークに移行することによって、慣れない環境で業務を行う従業員も少なくないでしょう。また、オフィスから自宅へと就労場所が変わることによるストレスもあるものと思われます。

仕事環境が変化したことで業務がうまく進行せず、部下に対して発言の語気が強くなってしまうこともあるかもしれません。

リモートワークへ移行したばかりの時期は、これらのストレスが重なってしまいがちです。職場で部下を管理する立場にある人は、リモートハラスメントの存在を意識し、リモートワーク中の労働環境を良好に維持するよう努める必要があるでしょう。

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仕事とプライベートの境界線があいまい

リモートハラスメントが発生してしまう原因として挙げられる理由の一つは、多くの場合、職場が自宅になることから、仕事と私生活が混同してしまうことです。

私生活の空間にいることでつい気持ちが緩んでしまい、同僚や部下に不適切な発言をしてしまうといったケースもあります。

例え、リモートワークで自宅が仕事場になっても、勤務時間中は気持ちを切り替え、リモートハラスメントにあたるような発言をしないよう注意しましょう。

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リモートワークに対する理解不足

リモートワークが導入されて年月が浅いことから、会社側にリモートワークへの理解が不足しており、この体制について適切な対応をしていないケースがあります。

従業員がリモートワーク中の労働環境に不満を募らせることのないようにどのようなことに注意しなければならないのか、経営サイドがハラスメントへの理解を持つことが大切でしょう。

就業ルールが確立しきれていない

リモートワーク中に問題になることが多いのが時間外労働です。表面上は勤務時間内に業務が終わっていても、業務量が多いと時間外に勤務せざるを得なくなります。

リモートワークでは従業員の仕事ぶりが見えないことから、従来の業務以上にこのようなケースの発生が考えられますが、社員にとっては伝えづらい内容でもあります。

このような事態を防ぐため、上司が部下のこなせる作業量を見極め、適切な仕事量を配分することが大切です。

あらかじめ、業務量についての配慮があれば、部下が大きなストレスを抱え、「上司からリモートワークハラスメントを受けている」と感じることを回避できるでしょう。

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テレワークへの移行による過剰な監視

会社によっては社員がサボらずに仕事をしているか確認するために、仕事中に写真や映像を記録するカメラを導入しているケースもあります。

もちろん、就業態度や仕事の進捗を管理する上では必要な方法ではありますが、監視を過剰にしすぎてしまうと不快感・不満を感じる社員もでてきます。

自由度が高いのが一つの魅力であるテレワークという働き方が逆に社員の自由度を奪ってしまい、結果的にリモートハラスメントになってしまうのです。

そのため、社員の監視は節度を持って実施する必要があるでしょう。

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リモートハラスメントを防止するための7つの対策方法

リモートハラスメントが起きてしまうと様々なリスクにつながってしまうため、防止するための環境作りが大切です。ここからは、防止するための7つの対策について紹介していきます。

1.気軽に相談できる窓口の設置

リモートハラスメントによる従業員の勤務環境の悪化を防ぐためには、誰でも気兼ねなく相談できる窓口を設置することが有効です。その際、従業員が安心して相談窓口を利用できるよう、プライバシーが保護されることも併せて伝えましょう。

会社が従業員からの生の声を聞き、リモートワーク環境の改善に生かすことも重要です。もし、従業員が相談窓口の利用を躊躇することが考えられる場合は、民間の専門機関に依頼するなど、社外に相談窓口を設置することも一案です。

2.定期的なアンケート調査の実施

リモートハラスメントの実態を知るためにも、従業員全員を対象とした勤務状況に関するアンケート調査を実施しましょう。アンケートを行うことで、従業員の不満についての把握ができ、リモートハラスメントの原因究明にもつながります。

アンケートは匿名で実施し、同時に相談窓口の周知も行いましょう。リモートハラスメントが問題となる前に原因を突き止めて改善するには、定期アンケートの実施が有効であると考えられます。

3.ハラスメントに対する共通の理解を持たせる

社内でのリモートハラスメントを防ぐためには、会社全体として何がハラスメントにあたる言動なのかについて、共通認識を持っておくことが大切です。

もし、上司が部下のプライベートに干渉するような発言をしたときは、「あのような発言には気をつけよう」などと助言してくれる同僚がいる風通しの良い労働環境であることが理想です。

4.ハラスメント防止研修を実施する

社内のリモートハラスメントを防止するためには、社内でどのような言動がハラスメントに当たるのかを研修して学んでいくことも重要です。

事前に研修という形で具体的なリモートハラスメントの事例を学んでおけば、従業員に対してハラスメントに該当するような不用意な発言を防ぐことができます。

5.具体的なルールやマナーを明言する

リモートワーク中の働き方に関するマニュアルを作成する際に、リモートハラスメントに関する規定を設けておくことで、ハラスメントの発生を抑制できる可能性が高まります。

リモートハラスメントを起こさないためのルール・マナーについて明記すれば、リモートワーク中に、異性の従業員に対してのセクハラや、特定の従業員に対するパワハラ・モラハラが発生するリスクは低減されるでしょう。

6.技術的に解決する方法を検討する

従業員の時間外労働の強要や私生活への干渉を避けるために、勤怠管理ツールを導入したり、ビデオ会議で背景を移さない設定にすることなども有効です。

勤怠管理ツールで会社側が従業員の労働時間を把握することができれば、上司からの圧力で部下がハラスメントを感じるようなシーンはなくなるのではないでしょうか。

また、リモートワーク中に自宅の様子を映さない工夫をすれば、上司に私生活を詮索されるリスクも低減できるでしょう。

7.リモートワークに適したマネジメントを導入する

オフィスワークとリモートワークには、異なるマネジメントが必要になります。リモートハラスメントは、上司と部下の間で起こることが多数です。

そのため企業のマネジメント層は、リモートワーク中のハラスメントを回避をするための前提知識を身につける必要があります。企業のマネジメント層を教育し、リモートハラスメントが発生しない職場環境を目指しましょう。

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8.節度をもってコミュニケーションをとる

テレワーク中は過度なコミュニケーションにならないように節度を持って接することが重要です。関係性が構築できていると思っていてもプライベートに踏み込まれるのに抵抗を感じる社員も少なからずいます。

あくまでも仕事の関係であるという前提で、適切なコミュニケーションをとるのが大切です。

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リモートハラスメントが起こらないよう企業体制を整備していこう

この記事では、リモートハラスメントの種類や事例についてご紹介し、さらに具体的な原因や予防策についても解説してきました。

リモートハラスメントの主な原因は、パワハラ・セクハラ・モラハラです。対面での嫌がらせではないものの、画面越しの叱責やプライベートにまつわる発言も、想像以上に部下のストレスになっているかもしれません。

リモートハラスメントを回避するため、マネジメント層への教育や定期的なアンケート調査の実施、リモートハラスメントに対するルール作りを徹底し、従業員が安心して働くことができる体制づくりを目指すことが大切です。

上司や部下、同僚を尊重しあう社風は、従業員のパフォーマンスの向上や会社の業績アップにもつながるでしょう。

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