ワークライフバランスはもう古い?注目される新たな3つの考え方

最終更新日時:2022/12/09

ワークライフバランス

ワークライフバランスという考え方が社会に浸透し、企業では普及に向けた取り組みが進められています。しかし、近年では「ワークライフバランスは古い」とされ、新しい3つの考えが登場し注目されているのです。本記事では、ワークライフバランスが古い理由について、新しい3つの考え方とあわせて解説します。

ワークライフバランスはもう古いのか?

ワークライフバランスという言葉は、さまざまなメディアを通して多くの人が一度は聞いたことがあるでしょう。ワークライフバランスは、実際に内閣府(男女共同参画局)の政策として推進されています。

しかし、ワークライフバランスについて誤った認識が浸透してしまっているケースも少なくありません。ワークライフバランスというと、「仕事をし過ぎないことが大事」といったイメージを持つ人もいるでしょう。

たしかに、仕事をし過ぎることによってプライベートとの両立が困難になることは、ワークライフバランスの実現における重要な問題です。しかし、このようなイメージだけが先行してしまったことで、ワークライフバランスは「とにかく労働時間を減らすこと」「仕事はほどほどに、より生活を充実させること」といった誤った認識が浸透してしまいました。

本来のワークライフバランスとは、やりがいや充実感を感じながら働いて仕事上の責任を果たし、かつ家庭においても多様な生き方を選択し実現できる社会を目指すものです。

「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」

[引用:内閣府男女共同参画局「仕事と生活の調和とは(定義)」より]

「ワークライフバランス」というとどうしても仕事と家庭が対立し、仕事について消極的になることを想起させる場合があります。そのため、現在では後述する他の言葉で表現されることが増え、「ワークライフバランスは古い」とされる場合があります。

ワークライフバランス(WLB)とは?正しい定義・メリット・事例を解説

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ワークライフバランスが古い理由とは?

ワークライフバランスが古いといわれる理由は、前述の通り、そもそも仕事と家庭を対立するものとして天秤にかけるのは本来の趣旨ではないからです。また、次のような問題が生じたことによって、ワークライフバランスが古いといわれる風潮が加速しました。

  • 仕事と生活の両立は難しい
  • 取り組み自体がストレスになっている
  • 社員の要望に対応しきれなくなった

この3つの観点から、ワークライフバランスが古いといわれる理由についてもう少し掘り下げてみましょう。

仕事と生活の両立は難しい

ワークライフバランスは仕事と生活の両立を目指すものですが、「バランス」という言葉が含まれている時点で、仕事と家庭を両立させるという積極的なイメージを持つことは難しいかもしれません。

また、近年ではスマートフォンなどのデバイスやクラウドサービスなどが普及し、リモートワークを推進する企業も増えました。そのため、特に在宅ワークでは仕事と生活の場所に区分がなくなりつつあります。

リモートワークによって、例えば子どもの送迎や家族の介護、家事などの時間を確保しやすくなる一方で、時間や場所の制約がなくどこでも働けてしまうという問題点が生じることがあります。

取り組み自体がストレスになっている

労働時間の削減に取り組む場合、アウトプットを下げないために生産性の向上が必要です。ワークライフバランスを推進すると、従来よりも限られた時間で結果を出さなければなりません。

ところが、生産性の向上が伴わなければ、仕事が終わらなかったという記憶を従業員が生活にまで引きずる可能性があるのです。

人間は仕事が未完了の状態の場合には緊張感が持続しやすく、仕事が完了するまではリラックスできないという心理が生じる傾向にあります(これを「ツァイガルニク効果」といいます)。

そのためワークライフバランスについて誤った認識を持って進められた取り組みにおいては、かえって心理的なストレスが増えるなど、悪い影響を及ぼしている可能性があるのです。

社員の要望に対応しきれなくなった

企業が社員一人ひとりのワークライフバランスの実現に向けて努力する一方で、チームで仕事をしている場合には、例えば休憩中に上司からメールで問い合わせが来ることもあります。

細かな調整などタイムリーな対応が求められる仕事においては、結局のところ休憩時間中に対応しなければなりません。すべての従業員の状況を把握して、ニーズに沿った働き方や環境を提供することに限界が生じている部分もあるのです。

【解説】ワークライフバランス実現に向けて個人が実践すべきこと

【最新】ワークライフバランスの企業事例23選!成功から学ぶ推進のコツ

ワークライフバランスに代わる3つの考え方

ワークライフバランスにはいくつかの問題点があることを紹介してきました。このような問題点が意識された結果、近年ではワークライフバランスに代わる3つの考え方が提唱されています。具体的には次のような考え方です。

  • ワークライフマネジメント
  • ワークライフインテグレーション
  • ワークアズライフ

従業員が自己のワークライフバランスの実現について受動的な考え方をするのではなく、能動的に仕事と生活を無理なく融合させることが念頭に置かれています。

ワークライフマネジメントとは?

ワークライフバランスに代わる考え方の1つに、ワークライフマネジメントがあります。ワークライフマネジメントとは、個人が主体的に自己を管理して仕事と生活の両方を充実させるという考え方です。

ワークライフマネジメントのメリットや推進方法について確認していきましょう。

ワークライフマネジメントのメリット

ワークライフマネジメントのメリットは、ワークライフバランスよりもポジティブに仕事と生活の調和を捉えている点です。

ワークライフバランスは、従来からあった長時間労働の問題などを背景として重要視されてきました。そのため、柔軟な働き方や業務の見直し、雇用管理・人事評価制度の見直しなど企業が主体となって進めることばかりイメージされ、従業員は取り組みに受動的である印象を持つことがあります。

一方、ワークライフマネジメントは従業員自らもワークライフバランスの実現に向けて主体性を持ち積極的に取り組むことが強調された考え方です。バランスといった表現もなくなったため、仕事と生活が対立するのではないという点をイメージしやすいメリットがあります。

ワークライフマネジメントを推進することで、例えば育児中など、通常勤務が困難な社員も積極的に仕事に参加できるようになります。結果、多様な人材が活躍する組織を実現できるといったメリットも期待できるでしょう。

ワークライフマネジメントの推進方法

企業におけるワークライフマネジメントの推進方法としては、従業員が自ら働き方を管理できるように、労働環境を整備することを検討すべきでしょう。活用できる具体的な制度としては、次のようなものがあります。

  • 育休・産休制度
  • フレックスタイム制度
  • リモートワーク制度

もちろん、ただ制度を導入するだけでなく、ワークライフマネジメントの重要性を伝えて従業員の意識改革を図ることも重要です。制度を導入するだけで終わるのではなく、効果検証を行って必要であれば改善を繰り返すなど、PDCAを回しましょう。

ワークライフマネジメントとは?考え方や実現方法・企業の事例を解説

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ワークライフインテグレーションとは?

ワークライフインテグレーションとは、仕事と生活を統合する考え方です。これまで紹介してきたワークライフバランスやワークライフマネジメントは、いずれも仕事と生活を別のものとして認識していました。

一方、仕事と生活を統合してしまうという新たな考え方がワークライフインテグレーションです。ワークライフインテグレーションのメリットや推進方法について解説します。

ワークライフインテグレーションのメリット

ワークライフインテグレーションのメリットは、仕事と生活の「どちらか」ではなく、「どちらも」充実させやすい点がメリットです。

企業においてワークライフインテグレーションを推進するのは簡単ではありませんが、従来から問題として指摘されてきた、仕事に追われて家庭生活を充実できないといった問題に対して有効な対策となりえます。

仕事と生活を区分しないことから、仕事であっても家庭生活であっても、得た情報やスキルを活用することでシナジー効果も見込めるでしょう。

またリゾート地や旅先などでテレワークを行い、休暇を取りながら働く「ワーケーション」もワークライフインテグレーションの一つといえます。プライベートと仕事を充実させることで、心身のリラックスにもつながり、メンタルヘルスの向上にも寄与すると期待されているのです。

ワークライフインテグレーションの推進方法

ワークライフインテグレーションの導入と推進にあたっては、必要な制度の導入はもちろん、新しい働き方の考え方について広く理解を得ることが重要です。

自社にとって仕事と生活を統合するとはどのようなことなのか、具体的にどのような制度改革が必要かを考えていくことも求められます。また従業員にとっても、働き方の価値観のアップデートなど意識改革が必要になるでしょう。

ワークライフインテグレーションとは?仕事と生活を統合させる働き方

ワークアズライフとは?

ワークアズライフは、ワークライフインテグレーションと同様に仕事と生活を区分しない考え方です。ワークライフインテグレーションと似ていますが、仕事についての捉え方が異なります。具体的には、自分のやりたいことと仕事が一致していることが特徴です。

ワークアズライフのメリット

ワークアズライフのメリットは、比較的ストレスなく意欲的に仕事を継続できることが挙げられます。

従来は「仕事に時間を奪われる」といった考えが主流でしたが、ワークアズライフは仕事も生活の一部であるため、「奪われる」といった考え方にはなりません。ワークアズライフでは、仕事は「好きなこと」であり「趣味」としてとらえるため仕事から受けるストレスも抑えられるでしょう。

ワークアズライフでは意欲的に仕事を進められる分、スキルアップや生産性の向上を図ることができます。

ワークアズライフの推進方法

ワークアズライフを推進するには、自身の好きなことやできること、苦手なこと、できないことなどを明確にすることが重要です。ただし、好きなことを仕事にできるとは限りません。

例えば、スポーツが好きでもスポーツを仕事にするためには、相応の努力が必要です。このように、ワークアズライフは好きを仕事にする魅力がある反面、仕事を見つけることは簡単ではありません。

ワークアズライフとは?正しい意味やワークライフバランスとの違いについて

ワークライフバランスに囚われない新しい考え方を取り入れよう

近年ではワークライフバランスは古いといわれ、ワークライフマネジメントやワークライフインテグレーション、ワークアズライフなど新しい考え方が提唱されています。

古いといわれる理由は、ワークライフバランスは仕事と生活が対立する誤った認識が浸透しやすいなどの理由からです。

そのため従業員自ら主体的に自己を管理して仕事と生活の両方を充実させるワークライフマネジメントや、仕事と生活を区分しないワークライフインテグレーション・ワークアズライフなどの考え方が注目されているのです。

ぜひ仕事と生活に関する新しい3つの考え方を知り、自社に取り入れられるものがあれば実践してみましょう。

働き方改革の推進で企業がワークライフバランスを整える方法とメリット

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