社内稟議とは?必要性や通すためのポイント・効率化する方法を解説

2024/05/26 2024/05/28

ワークフローシステム

社内稟議とは

社内で発生した事案について上層部に承認を得る手続き「社内稟議」。社内稟議を活用することで、審議のための会議時間の削減や意思決定プロセスの統一化が実現できます。本記事では、社内稟議とは何か、社内稟議の必要性や稟議を通すためのポイント、効率化する方法を解説します。

社内稟議とは?

社内稟議とは、個々の社員が自分の意思や権限だけでは決定できない事案について、組織内の上司や経営層に承認を求める手続きのことです。

社内稟議では、重要な決定が特定の人物の裁量に偏ることなく、多角的な視点から検討されるため、組織としての意思決定フローの透明性を保ち、効率的な意思決定をするのに役立ちます。

社内稟議を必要とするシーン

社内稟議が求められる代表的なシーンとしては、主に以下のようなケースが挙げられます。

  • 新規事業の立ち上げ
  • 予算編成や執行
  • (一定の金額以上の)備品の購入
  • 人事異動・人材採用
  • 外部との契約締結
  • 規程の改定

このように、費用が発生する案件や経営に影響を与える重要案件については、事案の妥当性やリスクを検討したうえで、個人ではなく組織としての意思決定を行うため、稟議制度が活用されています。特に上場企業などでは、ガバナンス上の観点からも稟議は必須のプロセスとされています。

【簡単解説】稟議の意味とは?目的や必要な場面・承認されるポイントを解説

【例文つき】採用稟議書とは?必要性や承認される書き方と作成のポイント

社内稟議の必要性

社内稟議は、組織運営の透明性と効率性を高めるために欠かせません。具体的に、社内稟議によってどのような組織運営ができるようになるのか、詳しくみていきましょう。

承認会議が不要となり意思決定のスピードをあげられる

社内稟議は、決定権者の承認を得るプロセスのため、活用することで承認会議を省略できるようになります。

多くの企業において、決裁者は経営層や管理職である場合がほとんどであるため、承認会議の度に、一同に集まるのは容易ではありません。その点、社内稟議であれば、それぞれの決裁者のタイミングで稟議申請の内容を確認し、承認の可否を検討できるため意思決定の効率を大幅に向上させることが可能です。特に緊急を要する決定が迅速に行われることは、競争の激しいビジネス環境において大きなアドバンテージとなるでしょう。

意思決定プロセスを統一化できる

社内稟議システムの導入により、申請から承認までのプロセスが統一されることになります。また、すべての事案が文書化されることで、詳細事項の確認や情報共有もスムーズです。

さらに、すべての意思決定において記録を残せるため、後日発生するかもしれないトラブルや誤解を効果的に回避できるなど、リスク管理もしやすくなるでしょう。

責任の所在を明らかにできる

社内稟議には、稟議の内容とともに誰が承認したのかも記録されるため、責任の所在も明確にしやすくなります。起案者と決裁者がひと目で分かるため、何か問題が発生した際にも「誰の指示を仰ぐべきなのか」が把握しやすく、迅速に適切な対応を取ることが可能です。重要な事案においては、特に内部統制を強化するうえで極めて重要な点と言えます。

社内稟議のプロセス

社内稟議のプロセスは、組織内の意思決定をスムーズに進めるための重要な手順です。ここでは、申請から決裁までの手続きの流れについて解説します。

起案者が稟議書を作成・申請する

社内稟議のプロセスではまず、起案者が具体的な事案を分かりやすくまとめた稟議書を作成します。

稟議書に記載される項目は一般的に、プロジェクトの概要・目的、費用、予想される成果などです。作成された稟議書は、決裁権限を持つ上司や関連する部門へと回覧されることになります。稟議の通過率を高めるためには、プロジェクトの背景や経緯、必要性について「誰がみても分かる」ように、明確で理解しやすい内容にすることが大切です。

稟議書とは?書き方や必要な項目・目的別のテンプレート・例文を紹介

決裁権限者によって承認・決裁される

稟議書の内容は、稟議プロセスの決裁者によって精査されます。稟議書の内容が詳細に検討される段階では、必要に応じて追加情報が求められたり、修正が加えられたりすることもあるでしょう。最終的に、決裁権限者は稟議を承認するか、拒否するかの決定を下します。この最終的な意思決定が「決裁」です。

社内稟議の課題とは?

社内稟議は効率的な意思決定を支援する重要な機能ですが、その運用にはいくつかの課題が存在します。一般的にどのような課題があるのかを理解し、プロセスの改善につなげましょう。

稟議書作成・保管に手間・費用がかかる

社内稟議の制度が設けられる場合、組織内では「稟議書」としてのフォーマットが統一されることがほとんどです。そのため、稟議事案にあわせた、いくつかのフォーマットを用意することになるでしょう。

また、文書による稟議申請の場合は、決裁後の稟議書をファイリングして、保管する作業も発生します。特に、大規模な組織においては、これらの負担は無視できません。

稟議書の回覧・承認に時間がかかることがある

稟議の決裁者が複数名いる場合、最終的な決裁を得るまでに、多くの時間がかかってしまうこともあります。

これはプロジェクトのスタートを遅らせる原因となり、最終的には組織の効率性を損なうことにもなりかねません。承認を待つ間、プロジェクトの進行はストップせざるを得ないため、時には重要な機会を逃すリスクにも発展するでしょう。特に、紙の文書での稟議では、このような遅延が起こりやすくなります。

進捗把握がしにくい

紙の文書において複数の決裁者に稟議書が回覧される場合、「稟議書が今、誰の手元にあるのか」のリアルタイムの進捗状況が把握しにくいという問題も起こります。この状況把握のしにくさは、急ぎの決裁が必要な案件において、特に非効率さを生む元凶にもなってしまうでしょう。

社内稟議が通らない場合がある

申請された稟議は、必ずしも承認されるわけではありません。非承認となった場合、その理由を申請者に適切にフィードバックするためのプロセスも必要になります。

フィードバックでは、非承認となった理由が、誤解なく、適切に申請者へと伝わらなければなりません。次の提案につなげるための明確なコミュニケーションが求められるでしょう。

社内稟議を通すためのポイント

社内稟議を成功させるためには、明確かつ効果的な稟議書の作成が重要です。ここでは、そのための具体的なポイントを紹介します。

要点をまとめ分かりやすく記載する

効果的な稟議書では、不必要な情報は省いたうえで重要な点を箇条書きで整理し、具体的な数字を用いて要点を明確にします。稟議書の内容がすぐに理解され、決裁者が重要な情報を素早く把握できるようになるでしょう。

短時間で把握できるよう結論から記載する

稟議書を作成する際は、文書の冒頭に結論を明記することが重要です。決裁者は文書を開いた瞬間に結論を理解し、詳細な内容へと進めるでしょう。この手法は、特に多忙な決裁者に対して効果的で、迅速な意思決定を促進します。

誰が読んでも分かる言葉を使用する

稟議書は、専門用語を避け、誰が読んでも理解できる言葉を用いて記述します。異なる部門の決裁者にも内容が伝わりやすくなり、稟議書の説得力を高めることができます。明瞭で簡潔な言葉遣いを心がけ、稟議書の可読性と効果を大幅に向上させましょう。

メリットだけでなくデメリットも記載する

稟議書では、提案のメリットだけでなくデメリットも正直に記載することが重要です。これにより、決裁者は、相対的に提案の費用対効果を評価でき、総合的な情報に基づいた意思決定が可能となります。信頼と説得力を構築するためには、透明性の高い情報提供が不可欠です。

決裁者に事前に根回しをする

効果的な稟議のためには、決裁者に事前に提案内容を伝え、必要な根回しを行うことが効果的です。決裁者は提案に対して理解を深め、実際に稟議書を確認する際も、スムーズに内容を確認できます。また、根回しの際に起案者の熱意を伝えることで、提案への支持を得やすくなるでしょう。事前の伝達は、スムーズな稟議通過には欠かせません。

社内稟議を効率化する方法

社内稟議の効率化は、決裁プロセスの迅速化とコスト削減につながります。ここでその具体的な方法を見ていきましょう。

申請・承認ルートを見直す

社内での承認プロセスにはしばしば多くの決裁者が関与しますが、これが意思決定の遅延を招く原因となります。効率的な稟議プロセスを実現するためには、社内の申請・承認ルートを見直し、実際に必要な決裁者に絞り込むことが重要です。決裁者の数を減らすことにより、手続きと意思決定のスピードが格段に早くなります。

システム・ツールを導入し電子化する

紙の文書による稟議では、「進捗状況が把握しにくい」、「決裁後の文書管理が煩雑」といった課題が発生しやすくなります。そのため、ワークフローをオンライン化できるシステムやツールの導入は、稟議プロセスを大幅に効率化する方法の一つと言えるでしょう。

稟議フローの電子化は、紙の文書での手間を削減するのはもちろん、決裁者は外出中でも、稟議の確認及び決裁ができるようになるなど、意思決定のスピードアップにもつながります。

ワークフローシステムで稟議を電子化!メリットやおすすめのシステムを紹介

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アウトソーシングを活用する

稟議書を作成するための情報収集や出張費用の決裁稟議といった、型化しやすい稟議文書の作成は、アウトソーシングすることも可能です。

これらのタスクを効率的に処理するための知識と技術を持っている専門業者に依頼すれば、社内の業務負担が軽減され、全体的な生産性が向上するはずです。

承認ルートの見直しやシステムの導入を行い社内稟議を改善しよう

社内稟議の効率化は、意思決定の迅速化だけでなく、運用コストの削減にも直結します。承認ルートの最適化、プロセスの電子化、外部リソースの活用は、これを達成する有効な手段です。社内稟議の改善を進めることで、組織はより機動的かつ効率的に運営されるようになるでしょう。

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