ワークフローを導入して内部統制を行うポイント|メリットや選定のポイントを解説

最終更新日時:2024/01/25

ワークフローシステム

ワークフローでの内部統制

企業を健全に運営するために重要な内部統制の整備には、ワークフローの導入が効果的です。本記事では、ワークフローを用いた内部統制の強化を検討中の方向けに、実施する際のポイントやメリットを解説します。おすすめのシステムも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

内部統制とは?

内部統制とは、企業が経営目標を適切に達成するために必要な仕組み・ルールのことです。金融庁が公表している「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」においては、下記のように定義されています。

内部統制とは、基本的に、業務の有効性及び効率性、財務報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守並びに資産の保全の4つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内の全ての者によって遂行されるプロセスをいい、統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング(監視活動)及びIT(情報技術)への対応の6つの基本的要素から構成される。

[引用:金融庁「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」]

内部統制とは?4つの目的・6つの基本要素や3点セットについて

内部統制は「4つの目的」を達成するためのプロセス

金融庁のサイトでは、内部統制の目的を以下の4つと定義しています。

  • 業務の有効性及び効率性
  • 財務報告の信頼性
  • 事業活動に係る法令の遵守
  • 資産の保全

[出典:金融庁「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準のあり方について」]

それぞれにどのような役割があるのか詳しく解説します。

業務の有効性及び効率性

内部統制を図る目的のひとつに、業務の有効性と効率性の向上が挙げられます。企業が長期的に成長していくには、無駄な業務を減らし、人員や時間、費用などのリソースを最適に配分することが重要です。

事業活動における目的の達成に向け、業務ごとの有効性や効率性を評価し、業務の改善を行っていくことで、企業の生産性を高めることができます。

財務報告の信頼性

内部統制は、財務報告の正確さと信頼性を保証するという役割もあります。財務報告は外部の関係者に対して企業の活動実態を明示するためのものです。万が一虚偽の申告をしてしまえば、企業としての信頼が失われてしまいます。

内部統制によって、誤った財務報告をしないための体制を整備することで、財務の健全性が示しやすくなり、企業の信頼性の向上にもつながります。

事業活動に係る法令の遵守

内部統制は、事業活動における法令遵守を確保する上で欠かせません。企業が活動していく上では、社内における法令順守を徹底する必要があります。

法令や基準を守れるよう社内ルールを整備することで、社員一人ひとりの意識も変わり、不正やコンプライアンス違反を防止できるでしょう。

資産の保全

内部統制は、資産の保全という重要な役割も担います。資産の保全とは、企業の保有する資産の取得から廃棄までの一連のプロセスを適切に行うことです。

企業の資産には、資金をはじめ、ビルや車両、パソコンなども含まれます。これらを不正に取得・使用されないようにするには、内部統制によって資産の保全に関するルールを整備することが必要です。

内部統制を構成する「6つの要素」

金融庁では、内部統制は以下6つの要素で構成されるとしています。ここでは、それぞれの要素について詳しく見ていきましょう。

  • 統制環境
  • 統制活動
  • リスクの評価と対応
  • 情報と伝達
  • モニタリング
  • ITへの対応

[出典:金融庁「財務報告に係る内部統制の評価及び 監査の基準のあり方について」]

統制環境

統制環境は、内部統制の基盤となる要素です。これは、企業文化や倫理観、経営陣の姿勢などを指し、従業員の行動や意思決定に影響を与えます。

また、ほかの5つの要素に対応する際にも影響を及ぼす大切な要素です。適切な環境を構築することで、より安全で透明性の高い企業運営を実現できます。

統制活動

統制活動とは、経営者の命令や指示が適切に実行されることを確保するために定める方針および手続きのことです。これには、社内規定や業務マニュアルの整備、職務の権限の適切な分配などが含まれます。これらを業務プロセスに組み込み、すべての社員が遂行することが重要です。

リスクの評価と対応

リスクの評価と対応は、内部統制の重要な構成要素です。リスクには、自然災害による建物の損壊や取引先の倒産、従業員の事故などが挙げられます。何らかのリスクが発生する前に、企業が直面しうるさまざまなリスクを特定・評価し、適切な対策を講じる必要があるのです。

情報と伝達

情報と伝達とは、必要な情報が社内や外部の関係者に伝達される仕組みを指します。各社員が業務の遂行に必要とする情報は、適切に伝達されなければなりません。

また、外部の利害関係者に対しても同様です。必要な情報には、経営方針や財務情報などが含まれます。これらの情報を必要とする関係者に共有することで、事業目標の達成および内部統制の強化につながるでしょう。

モニタリング

モニタリングは、内部統制の効果を継続的に評価し、改善するプロセスです。業務の一環として行われるものと、業務とは独立した視点から行われるものの2つに分けられます。具体的には、経営管理や業務改善をはじめ、内部監査などを通じて行われる会計監査などが該当します。

ITへの対応

ITへの対応とは、業務にITを取り入れたり、適切に活用していくための方針などを整備することを指します。

内部統制のほかの5つの要素を機能させるためには、ITの導入が有効です。ただし、ITの活用には情報漏えいなどのリスクが考えられるため、ルール作りや適切なアクセス管理なども求められます。

内部統制の整備にワークフローシステムを活用するメリット

内部統制の整備には、ワークフローシステムを活用するのがおすすめです。ここでは、具体的にどのようなメリットがあるのかを紹介します。

申請・承認ルートやルールが可視化しやすくなる

ワークフローシステムを活用するには、承認ルートの設定やルールの策定などの仕組み作りが必要となります。これによって、ルールを明確化することが可能です。

また、申請を行う際はシステム上で承認ルートが可視化されるため、誰の承認が必要なのかの確認も行えます。

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申請・承認フローの証跡管理ができる

ワークフローシステムにより、申請や承認の各プロセスに関する証跡を効率的に管理できます。誰がいつどのような決定を行ったかを記録し、追跡することが可能です。

これにより透明性が高まり、監査や評価の際に必要な情報が容易にアクセスできるようになります。また、社内での不正行為の防止にもつながるでしょう。

リスク管理体制が強化される

ワークフローシステムの導入により、企業のリスク管理体制が大幅に強化されます。潜在的なリスクを自動的に識別し、早期に対処するためのアラートを出すことが可能です。これにより、リスクの発生を未然に防ぐことができ、より安全かつ効率的な企業運営を実現します。

コンプライアンスの遵守につながる

ワークフローシステムは、企業が法令や規則を遵守する上で重要な役割を果たします。適切な記録管理と報告機能によって、コンプライアンスの監視と評価が容易になり、監査対応時の情報収集や書類作成といった作業負担が軽減されるでしょう。

また、規制変更に対応するための更新が継続的に行われるのもメリットです。これにより、常に最新のコンプライアンス要件を満たすことができ、法的措置や罰金といったリスクを回避できます。

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内部統制に用いるワークフローシステムを選定するポイント

ここからは、内部統制に適したワークフローシステムを選定する際のポイントを紹介します。

自社の申請・承認フローに対応可能か

ワークフローシステムを選定する際は、自社の申請・承認フローに適合するかどうかを重視する必要があります。内部統制を行う上でとくに重要なのが、ルールを遵守するために必要な申請書に対応しているかを確認することです。

また、企業によっては申請の内容に応じて承認ルートが異なる場合もあるでしょう。複数の承認者へ同時申請ができるか、承認者が不在の場合に代理承認できるかなど、承認プロセスの柔軟な設定が可能かについても確認する必要があります。

クラウド型のワークフローシステムを比較|メリット・デメリットや選び方を解説

申請書の作成などが簡単に行えるか

ワークフローシステムでは、申請書の作成や管理が簡単に行えるかも重要なポイントです。システムの操作が直感的でユーザーフレンドリーであれば、従業員はスムーズに申請プロセスを進められます。

また、フォームのテンプレートや自動化機能があれば、ミスを減らし、一貫性のある文書管理を実現できるでしょう。

既存システムと連携可能か

ワークフローシステムを選定する際は、既存システムと連携できるかについても確認しましょう。

システムがほかの業務ツールやデータベースとスムーズに統合できれば、情報の一元管理と流れの自動化が実現し、業務の効率性が向上します。すでに使用しているシステムがある場合は、事前に連携可能か確認しておくとよいでしょう。

ログ追跡・監査機能の充実度

ワークフローシステムの選定時には、ログ追跡および監査機能が充実しているかをチェックしましょう。詳細なログ情報は、申請や承認の各ステップを透明に記録し、後からの検証がしやすくなります。

強力な監査機能があれば、内部統制の整合性を保ち、不正やミスのリスクを低減できるでしょう。また、必要な情報や書類にすばやくアクセスできる機能があるかについても確認することをおすすめします。

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内部統制の強化におすすめのワークフローシステム

ここでは、内部統制の強化におすすめのワークフローシステムを2つ紹介します。

X-point Cloud

X-point Cloudは、内部統制を強化に適したワークフローシステムです。業種や業務内容を問わず、あらゆる企業で利用されています。

柔軟なカスタマイズによって企業の特定のニーズに合わせた設定が行え、業務プロセスの効率化と透明性を向上させることが可能です。また、セキュリティと監査機能が充実しているため、企業のコンプライアンス要件をしっかりとサポートします。

提供元株式会社 エイトレッド
初期費用
  • スタンダード:無料
  • プリペイド:無料
料金プラン
  • スタンダード:500円(税抜)/1ユーザー/月
  • プリペイド:475円(税抜)/1ユーザー/年
導入実績シリーズ累計4000社以上
機能・特徴
  • 作成・申請・承認
  • 検索・集計
  • 管理者設定
  • 外部システム連携
  • 内部統制
URL公式サイト

コラボフロー

コラボフローは、誰でも簡単に操作できるワークフローシステムです。普段使用しているExcelを活用して申請フォームの作成が行えます。

また、さまざまな外部システムとの連携も可能で、社内に散在する情報を有効活用できます。チームワークを活用して内部統制を強化するための理想的な選択肢といえるでしょう。

提供元株式会社コラボスタイル
初期費用
  • プレミアムプラン:要問い合わせ
  • スタンダードプラン:要問い合わせ
  • コラボフロー パッケージ版:要問い合わせ
料金プラン
  • プレミアムプラン:880円(税込)/月/1ユーザー
  • スタンダードプラン:550円(税込)/月/1ユーザー
  • コラボフロー パッケージ版:要問い合わせ
導入実績1,500社以上(2023年9月末時点)
機能・特徴
  • 申請・承認
  • 検索
  • フォーム設定
  • 経路設定
  • 外部連携
URL公式サイト

ワークフローシステムを導入して内部統制を強化しよう

内部統制の強化を図るには、ワークフローシステムの導入がおすすめです。申請・承認フローの可視化や申請書の作成が簡単に行え、業務の効率化にもつながります。本記事で紹介したシステムや選び方を参考にし、自社に最適なワークフローシステムを導入しましょう。

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