1on1ミーティングは意味ない?無駄?改善策と効果的な1on1にするコツ
1on1ミーティングは上司と部下の関係性向上や人材育成などに有効な手段ではあるものの、目的や実施する方法によっては「意味ない」「無駄」になってしまうケースもあります。 この記事では、1on1ミーティングに意味がなくなってしまう原因や改善するためのポイントについて紹介していきます。併せて1on1ミーティングで使えるテーマ例も紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1on1ミーティングとは
1on1ミーティングとは、上司と部下の1対1で行う個人面談のことです。
上司が部下に対して、業務進捗や悩みなどの仕事関連の情報や業務外のヒアリングし、必要に応じてフィードバックを行います。主な目的は、部下の悩みを解消したり対話のなかで本来の能力を引き出したりするなど、部下の成長を促進させることです。
1on1ミーティングを導入する企業では、週1回もしくは月1回程度のペースで実施されており、ヤフー株式会社といった有名企業が導入したことで、導入する企業が増えつつあります。
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1on1ミーティングが必要とされる理由
ここからは1on1ミーティングが必要とされている理由について紹介していきます。
離職を防ぐため
1on1ミーティングでは部下の業務状況や社内での人間関係、仕事へのモチベーションなど様々な内容をヒアリングします。
ヒアリングした内容の中で不満や悩んでいることがあれば、その問題を解消するために働きかけができ、離職につながるリスクを軽減できます。
業界業種に関わらず、人手不足が深刻化している昨今において、1on1ミーティングは離職を減らし、人手不足を防ぐためのの一つの手段となっているのです。
VUCAの時代に対応するため
現代社会はVUCA(ブーカ)の時代と呼ばれており、「VUCA」は下記4つの言葉の頭文字をとった言葉です。
- Volatility(変動性)
- Uncertainty(不確実性)
- Complexity(複雑性)
- Ambiguity(曖昧性)
常に変化が起こっている社会環境において、未来の予測が難しい状態を表しています。
そして、未来予測が難しいVUCAの時代だからこそ、1on1ミーティングの必要性が高まっています。なぜなら、いくら上司であっても正解を持っていない場合があるためです。VUCAの時代では、これまで培った経験や知識が通用するとは限りません。
つまり、正しい回答を誰も知らない状況下では、上司と部下が対話するかたちでコミュニケーションをとり、対話のなかで現状・課題点・解決策などの正解を導き出さなければならないのです。
▷1on1ミーティングを導入する目的とは?導入企業の事例からわかる効果
1on1ミーティングが意味ない・無駄と言われる原因
導入する企業が増えつつある1on1ミーティングですが、「意味がない」「無駄」と言われることも少なくありません。では、なぜ1on1ミーティングは「意味がない」と言われているのでしょうか。その原因を解説します。
1on1ミーティングの目的を理解していない
1on1ミーティングの目的が理解できないまま対話を行っても、何を話せばよいか分からず、無意味なミーティングになってしまうケースがあります。あくまでも、1on1ミーティングは上司と部下が対話することで、部下の成長を促進させるものです。
しかし、目的を理解していない1on1ミーティングは、業務の進捗状況や設定した目標の報告のみで終わることが多く、1on1ミーティング本来の効果を生み出せません。また、ただの雑談になってしまうケースも多いようです。
1on1ミーティングで話すことがない
いざ1on1ミーティングを実施したとき、「話すことがない」「何を話せばよいか分からない」という状況に陥るケースもあります。
導入当初は話すことがあった場合でも、1on1ミーティングは定期的に繰り返されるため、そのうち話すことがなくなることも珍しくありません。
対話のない1on1ミーティングは、上司と部下の双方にとって無意味な時間になります。呼ばれる側の部下にとっては、「呼ばれて来たのに何も話さない」と不満につながる可能性もあるでしょう。
上司の一方的なコミュニケーションになっている
1on1ミーティングは、本来上司と部下が対話を行う場でありながら、ときに上司から部下への一方的なコミュニケーションとなるケースがみられます。上司が感じる課題点と部下が感じる課題点は必ずしも一致するとは限りません。
1on1ミーティングの目的や話したいことが異なると、お互いにとって有意義な1on1ミーティングを行うことができず、かえって関係性を悪くする可能性があります。
お互いが1on1ミーティングの実施を望まない状態に陥り、最悪の場合には部下の退職を引き起こすかもしれません。
▷上司との面談が怖い...|怖い原因と和らげる対処法について詳しく解説!
意味のない1on1ミーティングを続けるリスク
意味のない1on1ミーティングを続けると上司・部下だけではなく、会社にとってもデメリットになります。続けることでどの様なリスクがあるのかを紹介していきます。
関係性が悪化する
雰囲気が悪い・上司からの一方的なコミュニケーションの場になっているなどの1on1ミーティングを続けると、上司部下間の関係性の悪化につながります。
関係性の向上やコミュニケーションの機会として1on1ミーティングが苦痛な場となってしまうでしょう。
この様な状態だと、日常的な業務に支障がでてしまうのはもちろん、最悪の場合には離職のリスクにつながります。
業務の時間が少なくなる
意味のない1on1ミーティングからは業務にとってプラスとなる要因がなく、業務時間さえも圧迫してしまいます。
1on1を行っている時間の業務時間が削られてしまうのはもちろん、業務に対してのモチベーションも減ってしまい、生産性の低下につながってしまうでしょう。
上司の負担が大きくなる
上司1人が受け持つ部下の人数によっては、1on1ミーティングを実施する負担が大きく、1on1ミーティングの効果より負担のほうが大きく感じられるでしょう。
1on1ミーティングは、1回30分程度で行われることがほとんどです。もし、5人の部下と実施するとなれば、150分(2.5時間)もの時間を確保しなければなりません。そのため、柔軟かつ綿密なスケジュール管理をする必要があります。
このように、1on1ミーティングの効果より負担のほうが大きく感じられると、「意味がない」という結論に至ってしまうのです。
▷1on1のメリット・デメリット|目的や上司・部下の役割
意味のある1on1ミーティングで得られる効果
1on1ミーティングを行うことで得られる4つの効果について解説します。
お互いの理解を深められる
1on1ミーティングでは上司と部下が対話を繰り返すため、お互いの理解を深められます。
仕事以外にもプライベートに関する話をすることもあり、仕事に対する姿勢やプライベートにおける悩みなどを話し合うことで、距離感が縮まったり親しみが湧いたりするでしょう。
お互いの理解が深まれば、個人の特徴や個性を活かした業務を任せられるなど、業務効率化というメリットも得られる可能性があります。このように、1on1ミーティングでお互いの理解が深まれば信頼関係が生まれ、業務にも好影響を与えます。
人材育成につながる
人材育成につながる点は、1on1ミーティング最大のメリットともいえます。
1on1ミーティングでは、部下の現状や悩みを引き出し、フィードバックを行うことで課題解決のヒントを与えます。そのため、部下は自ら課題を解決する能力が向上し、成長が期待できるでしょう。
また、1on1ミーティングで部下が振り返りを行う習慣が身につきます。つまり、1on1ミーティングでの振り返りによって成功体験や失敗体験から新たな気づきを得たり、成功・失敗パターンを認識できたりするなど、部下にとってはキャリア開発のきっかけになる可能性もあるのです。
離職率を下げられる
1on1ミーティングによって定期的にコミュニケーションをとることによって、部下の悩みや不満などを早期にヒアリングすることができ、離職防止につながります。
また、1on1ミーティングで出てきた部下の意見を上に通すことで、部下は「自分の意見が反映されている」と、モチベーションの維持・向上にもつながります。このような理由から、1on1ミーティングには離職率を低下させる効果があるといえるでしょう。
マネジメント能力の向上
1on1ミーティングでは、上司自らのマネジメント能力を向上させることにもつながります。
1on1ミーティングで得た部下の情報をもとに適材適所に配置を行ったり、部下の悩みを解消することで成長させたりするなどの、マネジメント能力は高く評価されるでしょう。
また、マネジメント能力に長けた上司は部下からの信頼も厚く、組織力を高めることにもつながります。このように、1on1ミーティングは部下の成長だけでなく、上司自らの成長にもつながっていることを認識しなければなりません。
意味のある1on1ミーティングにするためのポイント・改善点
1on1ミーティングは上司と部下の貴重なコミュニケーションの場であり、最大限に活かすことで様々なメリットがあります。ここでは、意味のある1on1ミーティングにするためのポイントや改善点について紹介していきます。
1on1ミーティングを実施する目的を伝える
1on1ミーティングを実施する目的を上司と部下の双方で共通の認識を持っておきましょう。「なんのために行うのか」が明確になることで、部下の1on1ミーティングに対しての姿勢や話す内容にも違いが出てきます。
有意義で生産性のある対話ができることにより、1on1ミーティングに対して意味がないと感じる可能性も減るでしょう。
▷1on1ミーティングを導入する目的とは?導入企業の事例からわかる効果
事前に1on1ミーティングで話すテーマを伝える
唐突に1on1ミーティングを実施した場合、「話したいことは特にありません」と、何も話題が挙がらないまま、1on1ミーティングが終了してしまう可能性があります。
そのため、事前に1on1ミーティングで話すテーマについて伝えておき、部下側も事前準備ができるようにすることが大切です。
「お互いを理解するため」「部下の成長促進のため」など、1on1ミーティングの目的を共有してもよいですし、「キャリアプランについて」「プライベートの充実度について」など、具体的に話し合いたいテーマを共有してもよいでしょう。
▷1on1ミーティングで話すこととは?テーマの例や主な目的を解説
冒頭で前回の1on1ミーティングの振り返りを行う
1on1ミーティングは定期的に実施されるため、過去に聞いた質問をしてしまったということも珍しくありません。しかし、同じ質問を繰り返していては新たな情報が得られず、意味のない1on1ミーティングになってしまいます。
そのため、1on1ミーティングの冒頭では前回の振り返りを行うようにしましょう。
前回の内容を振り返ることで前回からの変化に気づいたり、変化がない場合でもその状況に対する改善策を模索したりするなど、有意義な1on1ミーティングになるといえます。
部下が苦痛や緊張を感じない様に心がける
1on1ミーティングは上司と部下が1対1で行うため、どうしても堅苦しい雰囲気があったり、部下の話に途中で口を出したくなったりすることがあります。
しかし、こういった状況下では部下が「話しにくい」などの苦痛に感じてしまい、上司からの部下への一方的なコミュニケーションになってしまうでしょう。
そのため、上司は部下が1on1ミーティングを楽しめるような雰囲気づくりを行うことが大切です。具体的には、以下のような工夫が挙げられます。
- 最後まで話を聞く
- 相槌を打つ
- 共感を示す
- フォローをいれる
上記の工夫を行いながら、部下が楽しめるような環境を作りましょう。
▷上司の話が長い時はどうすべき?対処法と伝える際の注意点
定期的に実施する
1on1ミーティングはイレギュラー的に実施するのではなく、週1回もしくは月1回などのスパンで定期的に実施しましょう。なお、1回あたりの実施時間は30分が目安です。
定期的に実施することで、コミュニケーションの機会が増えて部下の業務状況を把握でき、相互理解にもつながります。
別の業務などで実施できない場合には、先延ばしせずにできるだけ早いタイミングで時間を作って実施しましょう。
また、日程調整する際には上司が一方的に決めるのではなく、部下の日程や都合を踏まえた上で決めるのが重要です。
▷1on1ミーティングの頻度はどのくらい?適切な頻度と時間設定
なるべく本音で話す
1on1ミーティングで話す内容は、仕事やプライベートにおける悩みや不満など、部下にとっては上司に話しにくいと感じる場合があります。ましてや、自分のことをまったく話さない上司を相手に、自分の悩みや不満を打ち明けようとは思わないでしょう。
そのため、まずは上司自らが本音を話すことで信頼関係を構築し、相手の本音を引き出せるようにしなければなりません。
「○○さんもこんな悩みがあったんだ」というように、親しみを感じることで、部下は徐々に心を開いてくれるはずです。したがって、部下の本音を引き出すには、まずは上司自らが本音で話すようにしましょう。
1on1ミーティングで話した内容を記録しておく
1on1ミーティングでどの様な話をしたのか・業務上の課題に対してどの様なアプローチをして、どの様な結果があったのかなどは、記録として残しておきましょう。
会話内容を記録しておくことで、後から振り返りができ、どの様な点を改善していけば良いのかなどを可視化できます。
なお、エクセルやワードなどのツールを用いても問題ありませんが、1on1ミーティングに特化したツールの利用もおすすめです。
▷1on1ミーティングは効果を測定できる?効果を高めるポイントとおすすめツール
1on1ミーティングで使えるテーマ例
1on1ミーティングを実施する際に活用できるテーマ例を7つ紹介します。
課題解決に関するテーマ
業務で困っていることはないか、悩んでいるかないかなどをヒアリングし、課題を解決できるようなフィードバックやアドバイスを行います。
普段は時間やタイミングが合わず答えられないような内容でも、1on1ミーティングでは時間をかけて答えられるため、業務に対する理解を深められるよい機会となるでしょう。
モチベーションに関するテーマ
部下のモチベーションを向上させるため、またモチベーションの低下を防ぐために、モチベーションをテーマとして話し合います。
普段の仕事に対する姿勢を評価したり、部下がチームや会社に与えているよい影響を伝えたりすることで、部下のモチベーションを向上させられるでしょう。
また、業務における悩みや不安・人間関係の悩みなど、部下のモチベーションを低下させる原因を引き出し、改善できるよう働きかけることが大切です。
目標設定に関するテーマ
企業方針や業務の進捗状況に応じて、部下の目標を一緒に検討することで、最適な目標設定が可能になります。
部下が自ら設定した目標は、ときに無理のある目標設定になっている場合があります。無理な目標設定は、「達成できない」と落ち込んだりモチベーションを低下させたりする原因となる可能性もあるでしょう。
そのため、部下の目標や目標達成で得たいこと、目標に対する自己評価をヒアリングしながら、最適な目標を一緒に検討することが大切です。
キャリアに関するテーマ
将来どうなりたいのか、携わりたい仕事は何なのかなど、部下の想像するキャリアについて話し合い、ときにはアドバイスしながらサポートを行いましょう。
キャリアについてイメージができていない部下に対しては、まず部下の強み・弱みを一緒に洗い出すところから始めます。強みを活かせる業務が何なのか、どのようなキャリアに向いているのかなど、一緒に検討するとよいでしょう。
会社の方針に関するテーマ
会社の方針を理解できているのか確認したり、より分かりやすく伝えたりします。さらに、会社の方針に対して部下が貢献できる部分を伝えることで、部下はより自分ごととして捉えてくれるかもしれません。
会社の方針は経営層によって決められるため、部下にまで浸透していないことも考えられます。そのため、1on1ミーティングを活用して会社の方針を共有し、組織力を高めていきましょう。
健康状態に関するテーマ
メンタル面も含めて健康状態が安定しているか、体調を崩していないかなどを確認しましょう。体調を崩したとしても、周りに相談できる人がいなければ、そのまま休職・退職を選んでしまうケースも少なくありません。
そのため、定期的に行われる1on1ミーティングで健康状態をチェックし、必要に応じて健康状態をケアできるよう努めましょう。
プライベートに関するテーマ
趣味や最近ハマっていることなど、プライベートに関する話題をふることで緊張を和らげ、部下の本音を引き出せるかもしれません。共通の話題があれば親近感が湧き、信頼関係の構築にもつながります。
また、プライベートにおける悩みが業務に支障をきたす場合も考えられます。プライベート面での悩みを解消することで、業務の生産性向上も期待できるでしょう。
ただし、プライベートな話題を話したくないという部下も一定数いるため、反応を見ながら、場合によっては別の話題に切り替えることが大切です。
▷1on1ミーティングで話すこととは?テーマの例や主な目的を解説
意味ない1on1ミーティングを実施しないように気をつけよう
1on1ミーティングは、部下の成長や上司自身のスキルアップなど、さまざまな効果を生み出します。しかし、話す内容やコミュニケーション方法によっては、1on1ミーティングの意味を見出せず、ただただ時間を浪費してしまうかもしれません。
そのため、事前のテーマ設定やアンケート調査などの事前準備を行い、より効果的な1on1ミーティングを実施しましょう。
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