労働時間の自己申告は禁止?正しい勤怠管理の方法や注意点を解説

記事更新日:2022/11/28

勤怠管理システム

出勤簿の申告用紙

2019年4月から順次施行された働き方改革関連法ですが、働き方に関する法改正は、これに留まらず、今後も続くことが予想されます。そのため勤怠管理の重要性も高まるばかりといえるでしょう。

さらに近年は、コロナ禍の影響によりテレワークを導入する企業も多く、正しく勤務実態を把握するのが、ますます難しくなっています。

そこで、この記事では、自己申告制の勤怠管理について、注意点やメリット・デメリットを詳しく紹介させていただきます。

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法改正でハードルが上がった自己申告の勤怠管理

働き方改革関連法」の施行、および「労働安全衛生法」の改正により、以下の通り企業による労働時間の把握が義務化されました。

第六十六条の八の三 事業者は、第六十六条の八第一項又は前条第一項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(次条第一項に規定する者を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。

[出典:e-Gov 労働安全衛生法 第六十六条の八の三]

また、労働時間の把握の方法についても、厚生労働省令により以下の通りの定めが記載されています。

使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること。
(ア) 使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。
(イ) タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。

[出典:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン]

上記の通り、労働時間の把握は、使用者や管理者の視認、もしくは、機械を使った打刻など、客観的な記録である必要性が示されています。ただし、自己申告による勤怠管理についても例外的に認められています。

では、企業はどのような勤怠管理をしなければならないのかについて詳しく確認していきましょう。

労働安全衛生法で”客観的な記録”の勤怠管理を原則とする理由

先ほどもお伝えしたとおり、改正された労働安全衛生法によって、「企業は労働者の労働時間を客観的に把握すること」が義務化されました。

これは、客観的な記録のない自己申告をもとにした勤怠管理によって発生する申告した労働時間と実労働時間の乖離を防ぐ目的があります。

実労働時間との乖離が起きる原因としては、一つ、本人が実労働時間よりも少なく申告せざるを得ないようなことも考えられます。具体的には次のようなケースです。

  • 残業を報告できない職場環境
  • ミスによる残業のため申告したくなかった
  • 残業時間が一定時間を超すと認められない
  • 休日出勤が把握されていない

以上のような理由で、管理者や職場の環境が自己申告の正確性を阻害していることがあるのです。
そのため、原則として客観的な記録による確認と適正な記録が求められています。

自己申告での勤怠管理を可能にするには?

労働時間の「客観的な記録」の原則がある勤怠管理ですが、自己申告による労働時間の管理が一切認められていないというわけではありません。例外として認められるケースもあります。ここでは、自己申告で勤怠管理を行うために実施すべき対策についてご説明します。

自己申告制について事前に説明する

労働時間の管理に自己申告制を導入する前に、対象となる従業員に対して、勤怠管理の重要性や労働時間の正確な把握が必要な意味などを、必ず説明します。

企業側は、労働者が正確な労働時間を申告できるよう環境を整えることも忘れてはいけません。そのうえで、適正な自己申告を行ったことにより、労働者の待遇に悪い影響を与えることや、不利益な取り扱いを受けることはないことを納得してもらうようにします。

また、従業員側へも申告忘れや申告漏れ、不正がないように求める必要もあるでしょう。事前の遅刻や早退、残業についてなど、細かなルールを定めた上で、合意を得てください。

必要に応じた実態調査の実施

労働時間の定期的な実態調査は、正確な勤怠管理には欠かせません。そのため、管理者が、従業員から申告された勤務時間と実際の労働時間との間に大きな差異がないかを定期的に確認することも重要です。

特に、職場に出入りした記録やパソコンを使用した時間の記録など、社内にいた時間の分かるデータがある場合には、自己申告された時間と会社内にいた時間をすり合わせて確認するといいでしょう。

大きな開きがある際には、労働時間の補正をしたうえで、再発防止策を実施する必要があります。このような実態調査は、企業が主体となって進めるほか、労働者や労働組合から求められた場合も行わなければなりません。

申告方法の整備をする

申告方法の整備も、自己申告制による勤怠管理には重要なポイントです。あいまいな管理にならないように、何を使って、どのように申告するのかを決めておく必要があります。

申告方法は主に次の3つが考えられます。

  • エクセルへの入力
  • 所定の書類の提出
  • メールでの報告

従業員にとって分かりやすく、使いやすい方法であれば、申告漏れも起こりにくくなります。また、管理しやすいかどうかという視点も忘れずに選びましょう。

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実際に自己申告制の勤怠管理が認められるケースとは?

いくつかの条件を満たしたうえで、適正な勤怠管理として認められる自己申告制ですが、テレワークの導入などにより、自己申告制の導入がやむを得ない場合も増えてきました。

ここでは、実際に自己申告制での勤怠管理が認められるケースについて具体例を挙げてご紹介します。

社員が書類申請・上長が承認をするシステムが運用されている場合

事務所外での業務や残業が発生した際に、社員が申請し、上長が承認をするシステムが適切に運用されている場合には、自己申告が認められます。

適切な運用とは、「事業所外の業務や残業などを行う場合の所要時間・始業と終業の時間を事前に申告し、上長が内容を確認する」「上司が不要な業務であると判断した場合には否決・訂正を指示する」など、一定のルールを設けているものです。

さらに、事前申告だけでなく、実際に外出業務・残業にかかった時間を上長に申告することも必要になっています。

直行・直帰でやむを得ず労働時間の把握ができない場合

直行・直帰の業務で企業側がやむを得ず労働時間の把握ができない場合にも、自己申告による勤怠管理が認められます。外回りが多い営業職などが該当するでしょう。

ただし、この場合にも「直行・直帰の予定を事前に上長に申請する」「仕事内容や移動時間などを上長と共有している」など、一定のルールを設けて適切に運用されている必要があります。

テレワークを実施している場合

テレワークを実施する場合にも、自己申告での勤怠管理が可能です。厚生労働省のガイドラインでは、テレワークを「労働者が情報通信技術を利用して行う事業場外勤務」と定義しています。

ただし、事業所外からパソコンやスマートフォンなどを使って、社内システムや勤怠システムにアクセス可能な場合は注意が必要です。「客観的な方法により労働状況を把握できる」と判断され、客観的ではない方法での勤怠管理は、適切と認められない可能性もあります。

参考:厚生労働省 (情報通信技術を利用した事業場外勤務の 適切な導入及び実施のためのガイドライン)、(テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン)

自己申告制度を勤怠管理に取り入れる具体的な方法

お伝えしてきたように、企業側が労働時間の客観的な把握ができない場合に限り、自己申告による勤怠管理が認められることがわかりました。

そこでここからは、自己申告制度を勤怠管理に取り入れる具体的な方法を紹介していきます。

エクセルシートに出勤簿を作って提出してもらう

エクセルシートによる出勤簿や会社所定の書式の活用も、自己申告制度を勤怠管理に取り入れる方法の1つです。エクセルは、数値データを扱う表計算ソフトです。出勤簿を作成しておけば、始業時間と終業時間の入力のみで、労働時間を自動で計算してくれます。

遅刻や早退、残業があっても自動で反映されるので便利です。表作成や入力の手間はかかりますが、管理側も確認しやすいことから、勤怠管理の自己申告に向いています。

メールで始業・就業を報告してもらう

2つ目の方法は、メールでの報告です。メールはパソコンやスマートフォンから簡単に送信でき、誰でも使い慣れていることから、もっとも取り入れやすい方法といえるでしょう。

運用方法はシンプルで、メールで仕事開始時間や仕事終了時間を都度連絡するものです。「今から仕事開始します」などオンタイムで送信できるところが利点といえるでしょう。

また、CC機能を使うことで、上長だけでなくチームメンバーにも記録が共有されます。チームメンバーの状況が見えるようになりますし、複数の目で確認ができるので、自己申告であっても適切な勤怠管理が行えるでしょう。

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自己申告で勤怠管理を行うメリット

自己申告での勤怠管理には、企業側にとっての利点もあります。ここでは、自己申告による勤怠管理のメリットをお伝えします。

会社外での勤務時間の把握ができる

自己申告で勤怠管理を行うと、外出や出張、直行直帰など、会社外で業務を行うことの多い従業員に対して、労働時間の把握ができるようになります。

外回りなどの業務が多い職種においては、所定の就業時間後にもパソコンで仕事をしていたけれど、労働時間としては報告せず、いわゆる「サービス残業」になっていた、というケースは少なくありません。

しかし、実際はこれらの時間も労働時間として記録し、企業が把握しておくべき時間です。このようなケースでは、自己申告制を導入することで、実際の労働時間を把握できるようになるでしょう。

職場環境の改善ができる

従業員が正確に申告することが前提ですが、自己申告は、実際に働いた分だけ、つまり正味の労働時間の記録が可能です。

正確な労働時間が明らかになると、長時間労働が常態化している部署とそうでない部署が見える化されることもあります。その場合は、早急に業務や人員配置の見直しができるようになるでしょう。

また、従業員自身も残業時間への意識が高くなるため、自発的に業務の見直しや生産性が上がる工夫をするようになります。そのため、結果的に残業代や人件費の削減も期待できます。

自己申告で勤怠管理を行うデメリット

自己申告での勤怠管理は、メリットだけではありません。自己申告による勤怠管理を正しく行うためにも、事前にデメリットも確認しておきましょう。

申告フローが煩雑になる可能性がある

自己申告で勤怠管理を行う場合、事前に厳密なルール作りと使いやすい運用方法の十分な検討がされていないと、フローが煩雑になってしまいます。

申告や承認に抜けや漏れがあっては、正確な勤怠管理とはいえません。申告から承認、管理までのフローが煩雑にならないためにも、事前にきっちりとしたルールを定めておきましょう。

また、申告方法は、従業員と管理者の双方にとって、大きな負担とならない方法を取り入れるなどの配慮も必要です。

労働時間が正しく申請されない可能性がある

労働時間が正しく申請されない可能性があることも、自己申告で勤怠管理を行うデメリットです。

申告制度の場合、従業員による申請内容での管理となります。現場の上長の指示により、申告した時間よりも長く働いていた場合でも、把握が難しくなってしまうのです。また、残業代をもらうために過大に申告する可能性も考えられます。

定期的な実態調査やチェック体制を整えるなど、正しく勤怠管理ができるような労務環境作りと対策が必要です。

労働時間の適正な管理と見做されないリスクがある

自己申告制度ですが、あくまで例外的に認められている管理方法ですので、労働基準局の調査で適正な管理ができていないと判断されるリスクがあります。

労働時間の「客観的な把握」ができていないことに対する、直接的な罰則はありませんが、企業としての信用問題に関わることであるのは確かでしょう。

適正な勤怠管理に向けて、企業が環境を整備することはもちろんですが、労働時間に関係する法令を分かりやすく従業員へ説明するなど、個々の意識を高くすることも重要です。

自己申告制は注意点が必要!勤怠管理はシステム化がオススメ

前述の通り、自己申告による勤怠管理は、あくまで例外的に認められている方法です。注意点も多く、最悪の場合、適切な管理方法ではないと判断される場合もあるでしょう。

そのため、事業所外での業務を行う従業員の勤怠管理にお悩みであれば、ツールを利用することで正確に効率的に行えます。ここでは、オススメのツールを紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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1ヶ月の無料トライアルもあるので、実際に使ってみて導入を検討してみましょう。

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「Qasee(カシー)」は労働時間の管理に加え、生産量の算出など、データ化が強みの勤怠管理ツールです。

作業時間や生産性、ストレス度合いまで、あらゆる情報をデータ化し、可視化できます。労働時間をもちいて費用対効果の算出も可能です。さらに、ダッシュボード機能も人気の理由。タイムライン・個人、メンバーレポート・メンバーの負荷状況・集中度・成果などが一括管理できます。

機能が多いため、操作への理解が必要ですが、サポート体制が充実しているので安心して利用できるでしょう。

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自己申告を取り入れる場合も正しく勤怠管理をしましょう

働き方改革関連法により、企業に対して「労働時間を客観的に把握すること」が義務化されました。そのため、自己申告による勤怠管理は、必然的にハードルが上がったともいえます。

しかし、テレワークの導入などにより、やむを得ず自己申告制度を取り入れる企業も少なくありません。自己申告による勤怠管理は、気をつけるべき点が多くあります。ここでお伝えした運用方法や注意点を参考に、正しい勤怠管理を行ってください。






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