労働時間の把握は使用者の義務!労働基準法を遵守した勤怠管理とは?

2022/2/10 2022/02/23

勤怠管理システム

オフィスに出社するビジネスパーソン

働き方の改革を目指した労働関連法の改正により、労働時間を客観的に把握することが企業の義務となってから、数年が経過しました。この記事では、労働関連法に則った勤怠管理とは、実際、どのように行うべきなのかを改めて解説していきます。また、労働基準法に違反してしまった時の罰則や、勤怠管理に便利な勤怠管理システムについてもお伝えします。ぜひ参考にしてみてください。

働き方改革によって変わったこと

2019年より順次施行が始まった働き方改革関連法では、労働環境の改善や幅広い人材の確保を目的に、8つの労働関連法を改正する大改革が行われました。労働時間の客観的な把握については、その中のひとつである「労働安全衛生法」の改正により、企業に対して義務付けられています

実は、これまでも労働時間については、その把握が政府より推奨されており、企業に対して作成と保管が義務付けられている「賃金台帳」の記載項目でもあったため、本来は詳細を正確に把握しなければいけないものでした。

しかし、これまでは給与支払いのための勤怠管理といった意味合いが強く、さらには、把握方法について、法による明確な規定がなかったことから、不正による残業代の未払いや長時間労働の常態化といった問題の温床となっていたのです。

このような課題の解決に向け、法改正によって、従業員の労働時間を客観的な方法で記録・把握することが義務付けられたのです。そのため、企業には、これまで以上に正確な勤怠管理が求められるようになりました。

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勤怠管理の法的義務について

法改正で勤怠管理が、法的に義務化された理由はどこにあるのでしょうか。ここでは、勤怠管理の意義を労働者と企業側からそれぞれ確認していきます。

労働者の保護

勤怠管理の義務化は、労働者の保護につながります。前述のとおり、厚生労働省はこれまでも適正な労働時間の把握についてのガイドラインを示し、使用者に勤怠管理を推奨してきました。

しかし、その基準が曖昧だったことから、労働時間の不正な申告が容易となっており、残業代の未払いや長時間労働による過労死など、労使間のトラブルが社会問題のひとつにもなっていたのです。

今回の法改正により、高度専門職といった一部の従業員を除き、原則としてすべての従業員が勤怠管理の義務化の対象となりました。これにより、正確な給与計算が行われるようになるだけでなく、従業員にとっての働きやすい環境づくりが推進されることが期待されています。

企業の保護

勤怠管理の義務化は、企業を保護する意義もあります。勤怠管理を正確に行うことで、過度の残業や休日出勤が防止でき、従業員の心身の健康が保たれるようになります。結果として、過労死や心身の健康障害など、労働トラブルを防げるのです。

また、労働環境が改善されることで、業務の効率化やコスト削減、さらには職場の人間関係の改善にもつながります。企業イメージの向上、業績アップなど、さまざまな効果が期待できるのです。

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労働関連法を厳守した勤怠管理とは

労働基準法をはじめとする労働関連の法改正を受け勤怠管理は、以前よりも厳密に行う必要があります。特にルールが変更になった、気をつけるべき点を確認していきましょう。

残業時間の上限規制

今回の改正で、時間外労働、いわゆる残業時間ついて、法による明確な上限が設けられました。これにより、これまでは労働基準監督署などからの行政指導に留まっていた、過度な残業に対して、違反した場合は、企業に対して罰則が科される可能性があります。

労働時間は、労働基準法第32条により、原則として1日8時間・1週40時間以内の「法定労働時間」が定められています。36協定の締結により、この法定労働時間を超えて労働させることが可能ですが、その場合も、原則として、次の上限を超えてはいけません。

  • 月45時間
  • 年360時間

また、臨時的にやむを得ない理由がある場合のみ、上記を超える残業が認められています。厚生労働省があげているのは、次のような例です。

〈臨時的と認められるもの〉
●予算、決算業務
●ボーナス商戦に伴う業務の繁忙
●納期のひっ迫
●大規模なクレームへの対応
●機械のトラブルへの対応

[出典:厚生労働省「時間外労働の限度に関する基準」]

しかし、この場合であっても次の上限を超えることは、認められていません。

  • 年720時間以内
  • 複数月平均80時間以内(休日労働を含む)
  • 月100時間未満(休日労働を含む)
  • 原則である月45時間の残業を超えられるのは6ヶ月間のみ

上記の上限は、たとえ、労使間で合意があった上での労働だったとしても、その合意自体が無効となるので注意が必要です。

年次有給休暇の取得義務

企業は年10日以上の有給休暇が付与される従業員に対して、このうち5日は時季を指定して取得させることが義務化されました。また、時季については、休暇の付与日から1年以内とされています。

これまで有給休暇は従業員からの申請で取得されるのが一般的でした。しかし、職場によっては申請しにくい雰囲気があるなど、取得率の低さが問題視されていたのです。

労働基準法を厳守した勤怠管理のためには、従業員の有給休暇取得について、日数だけでなく、取得期限を守っているかどうかの状況も確認しておく必要があります。ちなみに、サマーホリデーやバースデー休暇など、会社独自の有給休暇は、取得義務の5日にはカウントされませんので、注意しましょう。

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割増賃金の引き上げ

2023年4月から、中小企業に対する月60時間を超える残業の割増賃金率の引き上げが適用されます。これまで月60時間を超える時間外労働の割増賃金率は、大企業が50%なのに対し、中小企業は25%と差がありました。しかし、今回の改正により、中小企業も50%へと引き上げられることになります。

勤怠管理だけでなく、給与計算や人件費にも大きく関わる改正ポイントのため、対象となる中小企業は今から準備を進めておく必要があるでしょう。

労働時間の客観的把握方法の確立

くり返しになりますが、労働時間を客観的に把握することも、法改正により義務化されています。これまでも企業は労働時間の管理などは行っていたはずですが、新たに「客観的な把握」が定められ、その方法の原則も厚生労働省令によって基準が示された点がポイントです。

(1) 原則的な方法
・ 使用者が、自ら現認することにより確認すること
・ タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として 確認し、適正に記録すること

[出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」]

客観的に把握するためには、上記のとおり、企業側が自ら確認すること、タイムカードやICカードなどのツールによる記録が求められます

従業員の自己申告による管理も例外として認められていますが、実際に、その「例外」が認められるには、かなりハードルが高くなっています。そのため、手書きのタイムカードなど、従業員の自己申告のみで、勤怠管理を行っている企業は法令遵守のためにもシステムを整えるなどの工夫が必要です。

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労働基準法を違反した時の罰則について

労働基準法に違反した企業は、罰則の対象となります。主な罰則は次のとおりです。

残業時間の上限を超えた場合 6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
年5日間の有給休暇を取得させなかった場合 30万円以下の罰金
労働者が希望する時期に休暇を与えなかった場合 6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金

故意ではなく過失であっても、違反した企業には罰則が科せられることがあります。適切な勤怠管理により、未然に防ぐようにしましょう。

勤怠管理を行う際に注意したい法律のポイント

適切な勤怠管理を行う際には、法律のポイントを押さえておく必要があります。特に注意したい実労働時間の解釈と労働時間の記録方法について確認しておきましょう。

実労働時間

実労働時間には、就業規則で決められている始業・終業の時間から休憩時間を引いた時間に加えて、始業前、終業後に時間外労働が発生した場合は、その時間も含まれます。

また、会社指示で自宅へ持ち帰った仕事をする時間も含まれるため、オフィス外の労働時間も把握しなくてはなりません。勤怠管理を行うには、実労働時間を正確に把握しておく必要があるでしょう。

労働時間の記録

労働時間の記録は、客観的かつ適切に行われなければなりません。先ほどもお伝えしましたが、原則として労働者の自己申告ではなく、客観的な方法で記録する必要があります

そのため、タイムカードやICカードなどの勤怠管理ツールで記録する方法が、もっとも一般的だといえます。自社で行っている労働時間の記録が、法律で定められた「客観的」に該当しているかを十分に確認しておきましょう。

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勤怠管理システムがおすすめな理由

法令を遵守した正確な勤怠管理を実現するためには、勤怠管理システムの導入がおすすめです。主な理由を3つ見ていきましょう。

人為的ミスの予防

勤怠管理システムには、パソコンやスマートフォンからの打刻、ICカードによる打刻に対応しているものも多いです。従業員が手入力する必要がないため、人為的なミスが防げます

また、タイムカードで出退勤時間を管理しているケースでは、給与計算するときに転記ミスが起こる可能性も否めません。勤怠管理システムはデータをCSVで出力することも可能です。すでに使っている給与計算ソフトがあれば、それらと連携できることを前提にシステムを選ぶことで転記そのものが不要になります。

多彩な機能

勤怠管理システムには、働き方改革に対応した多彩な機能が備わっているものも多くあります。出退勤時間の記録やシフト管理などの基本的な勤怠管理機能はもちろん、残業が多い従業員へ注意を促すアラート機能、システム内で休暇申請と承諾が行える機能など非常に豊富です。

また、給与計算システムと連携できるツールであれば、大幅な業務の効率化が図れます。

勤怠の正確な把握

原則として従業員の自己申告による勤怠管理は認められていませんが、出張や直行直帰の業務、テレワークなどは例外として許容されています。しかし、自己申告による勤怠の管理は正確性に欠ける不安があるのも事実です。

勤怠管理システムはさまざまな打刻の方法があり、あらゆる勤務形態に対応しています。オフィス外での業務であっても、従業員の自己申告に頼ることなく、勤怠を客観的に正確に把握できるのです。

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おすすめ勤怠管理システム3選

勤怠管理システムのメリットを踏まえた上で、おすすめのシステムを3つご紹介します。

1.ジョブカン勤怠管理

ジョブカン勤怠管理は、シリーズ累計導入12万社以上という実績を持つシステムです。あらゆる勤務形態に対応しているだけでなく、必要な機能だけを選んで導入できるため、コストを低く抑えながら活用できる点が魅力です。

主な機能 各種アラートメール機能、リアルタイム管理、出勤簿機能、打刻申請・承認機、残業設定、給与ソフトとの連携
打刻方法 PC+ICカードリーダー、指静脈認証機器、顔認証打刻機器、ICカード(ピットタッチ・プロ2)、Web打刻、チャットツール連携での打刻
無料サポート 〇(メール、チャット、電話)
無料トライアル (30日間)
料金 月額200円~/1ユーザー

2.ジンジャー勤怠

ジンジャー勤怠は、シリーズ累計導入1万5000社以上という実績を持つシステムです。ジンジャーシリーズは、勤怠管理をはじめとして、人事管理や経費精算、電子契約管理など、さまざまなサービスがあるため、ソフトを組み合わせることで、バックオフィス業務の総合的なシステム化が叶います。また、見やすい画面と簡単な操作性も特徴です。

主な機能 自動集計、ワークフロー、シフト管理、有給管理、予実管理、アラート機能
打刻方法 パソコン、スマートフォン、タブレット、ICカード
無料サポート 〇(メール、電話)
無料トライアル
料金 月額400円〜/1ユーザー

3.マネーフォワードクラウド勤怠

マネーフォワードクラウド勤怠は、労務を含む人事管理や経理業務にも幅広く対応するマネーフォワードクラウドシリーズのひとつです。同社の給与システムや人事管理システムと連携すれば、さらに業務の効率化が期待できます。

主な機能 勤怠チェック、様々な雇用形態に対応、カスタム自動集計、シフト管理、有給休暇管理、異動履歴管理、豊富なアラート
打刻方法 Web打刻、打刻モード、スマートフォン打刻、ICカード
無料サポート 〇(メール、チャット、サポートサイト)
無料トライアル
料金 月額2980円~

勤怠管理を適切に行い義務を遵守しよう

従業員の労働時間を把握し、有給休暇を適切に取得させるのは企業の義務です。さらに、働き方改革による法改正で勤怠管理は、より正確に厳密に行うことが求められるようになりました。

労働基準法をはじめとする労働関連法に違反すると、罰則が科せられるだけでなく、企業イメージの悪化につながりかねません。そして何よりも、従業員の心身の健康が守れなくなります。ここで紹介した勤怠管理システムを活用するなどして、法令を遵守した適切な勤怠管理を行いましょう。

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