MECE(ミーシー)とは?論理的思考法のフレームワークを具体例で解説

2022/7/26 2022/07/26

業務効率化・業務改善

MECEとは

論理的思考法の基礎と言われているMECE。ビジネスにも活用できるため注目されているMECEですが、果たしてMECEとは一体どのような考え方なのでしょうか。本記事では、そんなMECEについて、有用なフレームワークや具体例などを併せて解説していきます。

MECEとは?

MECE(ミーシー)とは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字から構成された言葉で、漏れやダブりのない状態を意味します。それぞれの単語の意味は以下のとおりです。

  • Mutually:互いに
  • Exclusive:重複せず
  • Collectively:全体に
  • Exhaustive:漏れがない

ロジカルシンキングを用いる場合に、MECEは欠かせない考え方といわれています。

そもそもロジカルシンキングとは?

ロジカルシンキングとは、物事を体系的に整理し、矛盾なく考える思考法のことです。ビジネスにおいてロジカルシンキングは、聞き手にわかりやすく伝えたり、課題に対する原因や解決策を立案したりする際に役立ちます。

MECEがビジネスで重要視されている理由

企画や課題解決を試みる場合、ビジネスではあらゆる要因や懸念点を検討する必要があり、網羅性の高さが重要となります。漏れやダブりがあれば、説得力に欠けたり、効果の低い施策や行動を取ってしまう可能性があるためです。

物事を効率よく進めるためにも、ビジネスでは論理的な思考力が求められます。

MECEの具体例

MECEについて理解を深めるために、ここでは以下のシチュエーションを前提としたMECEを見ていきましょう。

  • 場所:レストラン
  • 狙い:新メニューを作りたい
  • アクション:客層ごとに人気メニューを分析

MECEの例

MECEは、「漏れもダブりもない」状態でなければなりません。例えば、分析する客層を年代で分ける場合、10代未満、20代、30代、40代、50代、60代、70代、80代以降とすれば、すべての客層を漏れなくダブりなく振り分けられます。

MECEではない例

それでは、MECEではない状態は、どのようなものでしょうか。ここでは、MECEとなっていない状態を3つ紹介します。

ダブりがなく、漏れがある状態

客層を「10代以下、20代、30代、40代」と振り分けた場合、ダブりはないものの、50代以降が含まれていないため、漏れがある状態です。

ダブりがあり、漏れがない状態

客層を「大人、子ども、リピーター、新規顧客」と振り分けた場合、大人と子どものどちらにもリピーターと新規顧客が存在するため、漏れはありませんがダブりが生じています。

ダブりがあり、漏れもある状態

客層を「会社員、学生、フリーター」と振り分けた場合はどうでしょうか。一見するとMECEとなっているように思えてしまいますが、会社員をしながら大学に通っている人や、個人事業主の人、無職の人といったように、ダブりも漏れもある状態です。

MECEの考え方の基本その1|アプローチ

MECEを用いて分析を図るときには、「トップダウン・アプローチ」と「ボトムアップ・アプローチ」の2種類の方法があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

トップダウン・アプローチ

MECEでは、トップダウン・アプローチが基本の分析アプローチ法です。全体から詳細へと分析する方法で、全体像や分類方法が明確な場合に効果的です。

全体から大枠で要素を分けていき、必要であればそれぞれの要素をさらに細分化し、課題を整理していきます。

トップダウン・アプローチのメリットは、物事を俯瞰的に考えられる点や、ゴールを意識しやすい点です。ただし、全体像の把握が不十分の場合、漏れやダブりが生じやすくなるためご注意ください。

ボトムアップ・アプローチ

ボトムアップ・アプローチは、細かい要素を洗い出し、グループ化していくことによって全体像を整理する方法です。新規課題に取り組むときのように、全体像が不明確なケースにおいて役立ちます。

メリットは、未知の分野でも物事を整理しやすい点です。ただし、はじめに全体像を把握できないため、要素に漏れが生じやすく、分類方法が不適切だと内容の重複が発生してしまいます。

トップダウン・アプローチとボトムアップ・アプローチの長所や短所を踏まえ、状況に応じて使い分けるのが効果的なアプローチです。

MECEの考え方の基本その2|分解

MECEに思考するための切り口は4つあり、課題や目的に応じた使い分けが重要です。それぞれの特徴を詳しくチェックしていきましょう。

要素分解

要素分解は、全体像を明確にしたうえで、全体を構成する要素を考えていく手法です。漏れやダブりが生じないように、分解要素の総和が全体像となっているかチェックします。「足し算型」や「積み上げ型」とも呼ばれる手法です。

対照概念

対照概念は、対照的な概念をピックアップしてMECEを作り出す方法です。例としては、以下が挙げられます。

  • 主観/客観
  • 質/量
  • 固定/変動
  • メリット/デメリット

相反する2つの要素に振り分けることから、分解構造がわかりやすく、他者へ説明する際にも役立つ考え方です。

因数分解

因数分解は「掛け算型」とも呼ばれており、分析対象を計算式で分解する方法です。

売上を因数分解する場合、「売上=顧客数×顧客単価」といった式になります。分析対象を具体的な数値にして整理できる点が、因数分解のメリットです。計算式を構成する要素のどこに課題があるのかが明らかになれば、適切な対策を講じやすくなります。

時系列・ステップ分け

時系列・ステップ分けは、分析対象を時系列や段階ごとに分解する手法です。業務手順を時系列で分解するのであれば、1年間の売り上げを「6月までと7月以降」と分類し、ステップ分けするのであれば、業務手順を「計画・実行・評価・改善」といったように分解していきます。

MECEを活用する論理的思考法のフレームワーク

MECEの考え方は、課題分析や戦略立案に使われるフレームワークにおいて、効果を発揮します。ここでは、代表的なフレームワークをいくつかチェックしていきましょう。

3C分析

3C分析は、マーケティング戦略や事業計画を立てる際に使われる分析手法です。3つのCは以下の頭文字から構成されています。

  • Customer:市場・顧客
  • Competitor:競合
  • Company:自社

これら3つの要素の状況を適切に整理すれば、自社が直面しているマーケティング環境が把握できます。

3C分析のポイントは、「事実を徹底的に集めていくこと」です。状況把握に優れた分析手法であることから、3C分析では事実にフォーカスした情報整理を実施し、事実にもとづいたマーケティング戦略や経営方針を定める際は、ほかのフレームワークを組み合わせます。

4P分析

4P分析は、マーケティング戦略を立てる際に活用するフレームワークです。4Pを構成する要素は以下のとおりです。

  • Place:販売場所・流通
  • Price:価格
  • Product:製品・サービス
  • Promotion:販売促進

自社製品やサービスを上記の4Pの視点に立って分析することで、抜け漏れの少ないマーケティング施策を立てられるようになります。4P分析を実施する場合は、それぞれの要素がシナジーを生み出しているか、いないとしたら、どの要素が他の要素の足を引っ張っているかを確認してみましょう。

5フォース分析

5フォース分析は、市場や業界構造を分析するフレームワークです。5フォースは、以下の5つの競争要因を示しています。

  • 競合企業の脅威
  • 新規参入者の脅威
  • 代替品の脅威
  • 売り手の交渉力
  • 買い手の交渉力

5フォース分析では自社の状況を把握できるだけでなく、自社に影響を及ぼす要素も可視化できるため、新規事業の立ち上げなどにおいて効果を発揮します。

SWOT分析

SWOT分析は、事業の成功やビジネスチャンスの発見を導くためのフレームワークです。SWOTを構成する要素は次の4点です。

  • Strength:強み
  • Weakness:弱み
  • Opportunity:機会
  • Threat:脅威

要素ごとに、内部環境と外部環境、プラス要因とマイナス要因に分類していきます。内部環境は主に自社の「価値」や「資産状況」など、外部環境は主に「競合」「市場ニーズ」「トレンド」といったものです。内部環境と外部環境を洗い出し、各要素が強みとなっているか(=プラス要因)、弱みとなっているか(=マイナス要因)を整理していきます。

PEST分析

PEST分析は、自社を取り巻く外部環境が将来的にどのように変化し、どのような影響を与えるのかを予測するフレームワークです。PESTは以下の4つの外部環境から構成されます。

  • Politics:政治
  • Economy:経済
  • Society:社会
  • Technology:技術

他のフレームワークに比べ、マクロ的な視点に立って分析を試みる点が特徴です。外部環境の整理や中長期的な戦略を検討していく際に役立ちます。

7S分析

7S分析は、組織戦略を立てる際に役立つ手法です。7Sは7つの頭文字から構成されており、「ソフトの4S」と「ハードの3S」に分類されます。

▼ソフトの4S

  • Skills:能力
  • Staff:人材
  • Shared Value:価値観
  • Style:経営スタイル

▼ハードの3S

  • System:仕組み
  • Structure:組織構造
  • Strategy:戦略

ソフト面の4Sは改善に長い期間を要しますが、ハード面の3Sは短期間で改善可能です。ただし、いずれか1つを改善しても成果に結びつく可能性は低く、ソフト面・ハード面それぞれをバランスよく強化していくことが企業成長に繋がります。

PDCA

PDCAは、業務改善や効率化を目指すフレームワークです。以下の要素から構成されています。

  1. Plan:計画
  2. Do:実行
  3. Check:評価
  4. Action:改善

計画から改善までを1サイクルとして、生産体制や品質の向上を図る点がPDCAの特徴です。これら4つのプロセスを繰り返していくことが、継続的な改善に繋がります。

PDCAサイクルを上手に回すポイントは、「計画の実現性」と「適切な評価」の2点です。無理のない目標設定がPDCAサイクルをスムーズに回すことに繋がり、適切な評価が具体的な改善策を生み出すのです。

バリューチェーン分析

バリューチェーンは、企業活動の流れを「価値の連鎖」としてとらえる考え方です。原料の調達から販売に至るまでを「主活動」と呼び、主活動を支える開発や労務管理などの活動を「支援活動」と呼びます。

どの工程が価値を生み出しているのかを可視化することで、強化や改善の必要な部分を洗い出せる点がバリューチェーン分析の強みです。

製品ライフサイクル

製品ライフサイクルとは、製品が市場に登場してから衰退するまでの動きを可視化するためのフレームワークです。導入期・成長期・成熟期・衰退期の4つのステージに分けられます。それぞれの段階で必要な考え方は次のとおりです。

  1. 導入期:製品の認知度を高める
  2. 成長期:製品のブランド力を強化する
  3. 成熟期:市場シェア拡大を目指す
  4. 衰退期:支出を抑える

自社商品やサービスが現在どのステージにいるのか客観的に把握することで、最適なアクションやマーケティング施策が検討できます。

AIDMA(アイドマ)

AIDMAは、消費者が購買に至るまでの心理的変化をステップ分けしたフレームワークです。消費者心理は次のように変化していきます。

  1. Attention:注意
  2. Interest:関心
  3. Desire:欲求
  4. Memory:記憶
  5. Action:行動

自社の商品が消費者に認知されていない状況であれば、まず「Attention(注意)」や「Interest(関心)」を高めるアプローチを検討します。また、商品に高い関心を抱いていながら購入に至っていないケースでは、行動を促す施策が不足していることを疑ってみるとよいでしょう。

ロジックツリー

MECEでは、分析対象を細かい要素へと分解していきます。その分解した要素をツリー状に並べるフレームワークがロジックツリーです。

全体像を見ながら整理できることや、分析内容が可視化しやすい点がロジックツリーの強みといえます。注意点は、MECEの徹底です。上位要素や下位要素の関係が適切であるか、分解に抜け漏れがないかといった点に気を配るよう心がけましょう。

MECEの注意点とは?

メリットの多いMECEですが、注意すべき点もいくつか存在します。ここからは、MECEを実践するうえで覚えておきたい4つのポイントを見ていきましょう。

MECEの目的を忘れない

MECEは、あくまで対象を分析するための手段です。そのため、漏れなくダブりなく分解することに固執しすぎて、分類すること自体を目的化しないよう注意しましょう。

「MECEの考え方がなぜ有効なのか」「何のためにMECEを活用したいのか」といった点を忘れないためにも、あらかじめ目的を明確にしておくよう心がけてください。共通の目的をイメージして社員が働くことで、より効果的にMECEを活用していけるでしょう。

要素の優先順位を確認する

漏れなくダブりなく要素を洗い出すと、分析する必要性の低い要素も発生します。また、要素の振り分けは先入観に左右されることもあり、単独で実行する場合は抜け漏れやダブりが生じる可能性が高まります。

優先順位を明確にするためにも、分析はチームでやることが大切です。複数の人間が介入すれば、情報の客観性もある程度担保されやすくなり、精度の高い分類作業が期待できます。

漏れがないかを重視する

MECEでは、漏れとダブりの両方を意識する必要があるものの、内容の重複を防ぐより、漏れのない状態を保つほうが重要です。ダブりがある場合は作業が非効率になってしまいますが、漏れがなければ分析効果が低下することはありません。

優先度の高い要素を見逃してしまうと、MECEの分析効果が半減してしまいます。始めは漏れのない状態であることを意識して分類し、大枠が決まった段階でダブりをチェックしていくのが効率的です。

分類できない物事には注意する

万能に思われがちなMECEですが、なかには分類できないものも存在します。例えば、1つの物事が同時に2つ以上の項目に当てはまるケースです。

この場合、強引に分けてしまうと誤った分析結果に陥ってしまう可能性があるため、ご注意ください。重要なのは、MECEに収まらない要素が存在することを認識し、可能な範囲での分類を心がけることです。

MECEは現代のビジネスに必要な考え方

新たなビジネスモデルの創出が求められている現代で、MECEの考え方は今後ますます重要性を増していきます。

「漏れなく、ダブりなく」を意識し、さまざまなフレームワークと組み合わせて活用していくことで、自社に適したマーケティング戦略や課題へのアクションが実現可能です。

MECEのアプローチ方法や分解のやり方を習得し、自社の分析力を高めていきましょう。

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