CRMコンサルタントとは?仕事内容や役割・必要なスキルを解説!
CRMコンサルタントは、2015年ごろから需要が急増しています。この記事では、CRMコンサルタントの仕事内容や役割、目指す際に必要な資格とスキル、年収やキャリアを解説します。また、CRMコンサルを提供している有名企業を7つご紹介します。
目次
CRMコンサルタントの役割とは
CRMコンサルタントが果たすべき役割を解説します。
(1)クライアントの課題をCRMの視点から解決・支援する仕事
CRMコンサルタントの役割を一言で言うなら、クライアントの抱える課題を、CRMという視点から解決することです。具体的には、以下のような役割を担うことになります。
- 戦略の立案支援
- 問題の発見、課題の設定
- 施策立案、実施
- プロジェクトのマネジメント
- CRMの導入・運用支援
とは言え、必ずしもこれらすべてを行うわけではありません。CRMコンサルタントの担当する範囲は、所属する企業やプロジェクトの体制によって大きく異なるからです。
それでも、CRMコンサルタントはクライアントの課題を解決する、という役割は変わりません。どのような形でプロジェクトに関わることになっても、会社全体を意識した巨視的な考えが必要になります。
(2)CRMのシェアの拡大により需要が急増
CRMコンサルタントの需要は急増しており、今後も需要は増え続けると考えられています。
株式会社グローバルインフォメーションは、CRMの市場規模は2021年から2027年の間に、11.3%の成長を遂げ、944億米ドルにまで拡大するとの予想を出しました。
現在、あらゆる企業・部署でDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入が活発化しています。局所的だったIT化を拡大し、組織体制・システムに革新的な変化を与える取り組みが行われているのです。
DXの導入の一環として、CRMは大きな注目を浴びています。既存のエクセルのようなツールでの管理は、情報共有の方法に難があったり、管理効率の低さが問題でした。
CRMを導入することで、顧客情報を効率的に管理し、社内での共有が容易になります。さらに、データを分析したり他業務に活用することで、新たな業務形態を生み出すことも可能です。そのため、将来的にCRMの重要性はますます上がっていくものと思われます。
しかし、CRMを使いこなす人材やノウハウは、すぐに手に入るものではありません。CRMシステムを操作できるだけではなく、戦略的な視点での計画立案が必要になるからです。
今後、CRMは導入したいが、活用がうまくできないという企業の増加が予想されます。そのため、CRMコンサルタントの需要は今後も高まっていくと考えられるでしょう。
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CRMコンサルタントの主な業務内容
CRMコンサルタントの業務内容の中で、主要なものを解説します。
(1)クライアントへ経営戦略立案・実施支援
代表的なものが経理戦略の立案と実施支援です。
プロジェクトの方向性が不透明な場合は、ビジョンの明確化をおこない、ビジョン達成のために目標の設定も必要です。
CRM戦略では、顧客の理想像であるペルソナ設定、顧客の行動をシミュレーションするカスタマージャーニーの作成、必要なCRMツールの選定までおこないます。
提案だけでなく、必要に応じて実行するための支援も欠かせません。たとえば、CRMツール導入のためにベンダーとのやり取りが必要になりますが、高度な知識が求められます。そのため、CRMコンサルタントの支援は欠かせません。
このような、戦略立案と達成のためのサポートが、CRMコンサルタントには求められています。
(2)チャネル構築の戦略立案・支援
チャネル構築もCRMコンサルタントの役割です。
テレビ、チラシ、インターネットなど、我々の生活空間は大量の情報にあふれています。消費者はさまざまな経路で情報にアクセスできるようになり、今までの宣伝や広告だけでは十分な効果を得られなくなりました。
そこで、企業は新たにWebサイト、SNS、メール、LINE、アプリなどのチャネルを増やして、消費者との接点を増やしました。
しかし、ただチャネルを増やすだけでは不十分です。チャネル同士が連携して、販売経路を統合するオムニチャネルの考え方が必要不可欠になるからです。
CRMコンサルタントは、そのようなチャネル構築戦略の立案と支援を行います。
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(3)CX戦略の立案・支援
CX(Customer Experience)戦略も、CRMコンサルタントの領域です。
現在、消費者の価値観は急速に変化しています。従来は、車や家などを所有することに価値をおくモノ社会でした。しかし、現在は物やサービスから、どのような体験を得られるかを重視するコト社会に移行しています。
そのため、消費者は商品そのものよりも、商品を購入し利用する一連の体験を重視するようになりました。
そこで重要になるのがCX戦略です。CX戦略では、顧客が商品の購入・利用までのプロセスで、どのような体験を得られるのかを可視化し、CXを向上するための施策を提案・実行します。
CX戦略には、CRMが大きな効果を発揮します。CRMでは顧客に関する情報の記録、データを集約・分析が可能です。そのため、CRMはCX戦略のための貴重な情報源・手段になるのです。
CRMの導入・活用がおこなえるCRMコンサルタントは、CX戦略において重要な存在です。
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CRMコンサルタントになるための資格・スキル
CRMコンサルタントに必須の資格などはありません。しかし、身につけておけば、業務を進める上で役に立つスキル・資格というものはあります。
ここでは、CRMコンサルタントに求められるスキルや、必要な資格を4つ紹介します。
(1)CRM・営業・マーケティングスキル
CRMコンサルタントは、クライアントの課題解決のために、CRMだけでなく、営業、マーケティングのスキルも求められます。
CRMコンサルタントは、顧客とかかわる領域を広くカバーしなければなりません。営業がわからない、マーケティングがわからない、といった状態では、巨視的な視点での戦略立案ができないからです。
また、CRM戦略は全社を横断するため、さまざまな部門と関わることになります。CRMしかわからないと、部門間での調整ができず、プロジェクトの進行にも支障が出るでしょう。
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(2)論理的思考力・コミュニケーション能力
ロジカルに物事を考える思考力と、十分な意思疎通ができるコミュニケーション能力が必要です。
論理的思考力は、コンサルティング企業が重視しているスキルです。クライアントへのヒアリングや、問題の原因分析と解決策の提案、施策の実施と検証など、あらゆる場面で必要になります。
報告書や議事録の作成でも、漏れなく伝えられる論理性が求められます。そのため、論理的思考は業務の基盤になると言えるでしょう。
加えて、相手の意見や意図を正確に汲み取るコミュニケーション能力も求められます。クライアントによっては、目的や課題を認識できていないことがあります。その際には、方向性を明らかにすべく、ヒアリングを通して言語化する力が必要になるのです。
また、CRMコンサルタントは、クライアントだけでなく、プロジェクトに関わる他メンバーや、上長や部下、ベンダーなどと関わることになります。
さまざまな人間と関わるため、円滑な関係を築き、情報の伝達をスムーズに進めるという点でも、コミュニケーション能力が重要になります。
(3)MBA/中小企業診断士
MBA/中小企業診断士は、コンサルティング業界で高いニーズがあります。
MBA/中小企業診断士は、取得する過程でビジネス全般の広い知識を身につけることができます。それらは経営者視点での成長戦略立案、課題策定のための大きな助けになるでしょう。
また、MBA/中小企業診断士は、クライアントからの信頼を得る上でも役に立ちます。初めて会うコンサルタントの実力はわからないため、クライアントは任せていいのか不安に感じてしまいます。
信頼を勝ち取れなかった場合は、コンサルティングを見送ったり、アドバイスを受け入れてくれないかもしれません。
MBA/中小企業診断士は、コンサルタントとしての十分な知識を身に着けているという証明になります。クライアントからの信頼を得られることで、コンサルティングを円滑におこなえるでしょう。
(4)CRMツールのベンダー認定資格
ベンダー認定資格を取ることで、業務に直結したスキルを手に入れることができます。
CRMツールのベンダーによっては、そのツールに精通していることを証明できる認定資格試験を実施しています。代表的なものは、世界No.1のCRMプラットフォームであるSalesforceの認定資格です。
認定資格にはさまざまな種類がありますが、コンサルタント系の資格取得を目指すと良いでしょう。
ベンダー認定資格を取得することで、CRMツールを使いこなせるようになるだけでなく、クライアントへのアピールにもなります。
▷CRMにはどんな種類がある?種類別の利用目的や特徴を簡単に解説
CRMコンサルタントの年収
CRMコンサルタントの年収を、アクセンチュア株式会社を例にご紹介します。
indeedの求人情報によれば、アクセンチュア株式会社の平均年収は716万円です。しかし、実際はキャリアによって年収は大きく異なります。
ここでは、役職ごとの年収を紹介します。
(1)コンサルタント・アナリストクラス
コンサルタント・アナリストクラスの年収は400万から700万円です。
マネージャーから与えられたオーダーを理解し、適切に対応していくことが求められます。作業自体は与えられたタスクをこなすものですが、正確性をたもつために、プロジェクト全体を理解して業務にあたらなければなりません。
(2)マネージャークラス
マネージャークラスは900万円~1500万円です。さらにシニア・マネージャークラスは1500万~2500万とされています。年代が30代が中心です。
プロジェクトの指揮、タスク設計を担うのがこのクラスで、コンサルタントやアナリストクラスにタスクを割り振る役割も担います。
(3)パートナークラス
パートナークラスの年収は5000万以上です。
大手企業のクライアントとのヒアリングやディスカッションを通して、課題抽出・施策の提案をおこないます。年齢層は40代が中心です。
CRMコンサルタントのキャリア
CRMコンサルタントのキャリアについて解説します。
(1)IT業界・マーケティング業界からの転職が多い
CRMコンサルタントは、IT業界やマーケティング業界からの転職が多いとされています。というのも、IT知識や、マーケティングスキルはCRMコンサルティングに活かすことができるからです。
これらの業界で学んだ経験は、戦略立案だけでなく、ベンダーとのやり取りや、クライアントへのヒアリングなどで役立つでしょう。
(2)CRMコンサルタント後のキャリアパス
CRMコンサルタントの経験を活かして、今後のキャリアにつなげることが可能です。ここでは、代表的なものを3つ紹介します。
#1: 他のコンサルティングファーム
他のコンサルティングファームは、今までの経験を活かしやすいためメジャーな転職先です。
CRMコンサルタントに求められるスキルは、他のコンサルティングでも活かすことができます。特に、戦略的思考やコミュニケーション能力は、汎用性の高い能力だと言えます。
CRMコンサルタントとして、実績と経験を積むことで、より年収の高い企業を狙うことも可能でしょう。
#2: 大手ベンダー
CRMツールのベンダーでは、CRMコンサルタントの経験が重宝されます。
CRMコンサルタントとのやり取りでは、実際に同職を経験した人材の方が意思疎通がスムーズにおこなえます。また、コンサルタント目線での提案も可能なため、高い顧客満足度を得られるでしょう。
その他にも、CRMコンサルタントの視点は、システム開発や営業など、さまざまな場所で活かすことができます。
#3: ベンチャー企業のマーケティング部門
ベンチャー企業のマーケティング部門でも経験を活かすことができます。
CRMコンサルタントは、経営者目線で戦略立案をおこないます。そのためには、営業やマーケティングスキルといった幅広い能力が求められるのです。
個人の裁量が大きいベンチャー企業では、このような巨視的な考え方ができる人材が求められます。
経営に大きな影響を与える業務に関われるのも、ベンチャー企業の魅力でしょう。
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CRMコンサルタントを行なっている有名企業7選
ここでは、CRMコンサルタントを行っている企業を7つ紹介します。
(1)EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社は、絶えず変化する社会に適応するために、企業が従来のやり方から脱却できるよう戦略立案・支援を行っています。
特にDXに力を入れており、AIの利用にも積極的です。デジタル技術を柔軟に取り入れ、効果的な戦略につなげています。
会社名 | EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 |
設立年月日 | 2020年10月1日 |
従業員数 | 3,433名(2022年12月1日時点) |
上場/非上場 | 非上場 |
URL | 公式サイト |
(2)KPMGコンサルティング株式会社
KPMGコンサルティング株式会社は、自社の4つの強みを掲げています。
1)真摯な態度でクライアントに寄り添い、クライアント目線での提案を行う「中立性」。
2)ビジネス上のリスク、サイバーセキュリティ、法規制などに対応する「リスク観点」。
3)グローバルネットワークを活かして改革により、社会にインパクトを与える「グループ力」。
4)IT技術によって課題解決、競争力強化をもたらす「デジタル」です。
同社は、この4つの強みをかけ合わせて、クライアントの変革を目指しています。
会社名 | KPMGコンサルティング株式会社 |
設立年月 | 2014年4月 |
従業員数 | 1,302名(2022年7月1日現在) |
上場/非上場 | 非上場 |
URL | 公式サイト |
(3)PwCコンサルティング合同会社
PwCコンサルティング合同会社では、CRMによる業務改善を導入から支援し、導入後に安定的に運用できるよう、「CRM導入効果診断サービス」クイックアセスメントを提供しています。
同社は「信頼」と「持続的な成長」が、これからの時代における重要なニーズだと考え、不確実な環境でも継続した信頼関係を構築し、戦略の実行・実装支援を行っています。
会社名 | PwCコンサルティング合同会社 |
設立年月 | 2016年2月 |
従業員数 | 約9,000人(2020年6月末時点) |
上場/非上場 | 非上場 |
URL | 公式サイト |
(4)アクセンチュア株式会社
アクセンチュア株式会社は従業員19,000人を超えるコンサルティング会社です。「テクノロジーと人間の創意工夫で、まだ見ぬ未来を実現する」ことを掲げており、変化し続ける社会で求められるソリューションを提供しています。
自分たちの行動がクライアントやコミュニティに与える影響を常に考えることを自覚し、当事者意識を社内で共有しています。
会社名 | アクセンチュア株式会社 |
設立年月 | 1995年12月 |
従業員数 | 約19,000人(2022年9月1日時点) |
上場/非上場 | 非上場 |
URL | 公式サイト |
(5)アビームコンサルティング株式会社
アビームコンサルティング株式会社は世界中に29の拠点を持つコンサルティング企業です。
アジア発のグローバル企業であり、各地域の最良の事例を取り込みながら、社内でノウハウを蓄積しています。また、地域ごとの独自性を重視しており、多様な価値観に応じた柔軟なサービス提供をおこなっています。
会社名 | アビームコンサルティング株式会社 |
設立年月 | 1981年4月 |
従業員数 | 6,898名(2022年4月1日現在 連結) |
上場/非上場 | 非上場 |
URL | 公式サイト |
(6)デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社は、国際的ビジネスプロフェッショナル・ネットワークであるデロイトに所属している企業です。
同社では、クライアントだけでなく、社会課題の解決を目指しています。そのために、官民を問わず多くの団体・機関と連携して、課題解決のためのシステム創出を目指しています。その他にも、スポーツ支援やダイバーシティにも取り組んでいるところも魅力です。
CRMコンサルティングにおいては、AIといった新技術も積極的に導入し、顧客の課題解決、信頼関係の構築に取り組んでいます。
会社名 | デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 |
設立年月 | 1993年4月 |
従業員数 | 4,290名(2022年5月末日現在) |
上場/非上場 | 非上場 |
URL | 公式サイト |
(7)株式会社日立コンサルティング
株式会社日立コンサルティングは、日立グループに属しているグローバルコンサルティング企業です。
日立グループでは、中核企業である株式会社日立製作所が、創業から受け継いできた企業理念を、「日立グループ・アイデンティティ」として体系化しました。
同社もそれに基づき、「日立コンサルティング・アイデンティティ」として制定しました。
同社はクライアントとともに社会の発展を目指して、ビジネスエコシステムを創出し、社会貢献に注力しています。
会社名 | 株式会社日立コンサルティング |
設立年月 | 2002年7月 |
従業員数 | 448名(2022年2月末現在) |
上場/非上場 | 非上場 |
URL | 公式サイト |
CRMコンサルタントは高年収でキャリアパスも有望!
CRMコンサルタントは、クライアントの課題解決のために、経営者目線での分析や、CRMツールの活用、部門を横断した対応を行います。さまざまな業務を手掛けなければなりませんが、そのぶん他の業種に比べて年収は高額です。
加えて、CRMコンサルタントで身についた戦略的思考、営業・マーケティングスキル、コミュニケーション能力は、次のキャリアでも大いに活かすことができます。
企業経営に関わりたい人や、戦略立案を行いたい人には、おすすめの職業と言えるでしょう。
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