CRMにおけるシナリオ設計とは?基本の4ステップや顧客の分析手法を紹介

最終更新日時:2023/01/10

CRM(顧客管理システム)

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CRMを導入したものの、うまくマーケティングにつながらない企業担当の方。シナリオ設計が機能しておらず、効果的なマーケティングができていない可能性が高いです。この記事ではCRMのシナリオ設計の概要や設計の方法、役立つ分析方法や事例を解説します。

CRMにおけるシナリオ設計の概要

CRMでのシナリオ設計とは、ターゲットユーザーに合わせてどのような方法でアプローチをするかを決めることです。

一口に顧客と言っても、全員に同じアプローチをすればいいというものではありません。顧客の趣向や傾向、心理状態などによって、行うべきアプローチは異なってきます。

そのような顧客の状態に応じて、アプローチ方法を変えることは非常に重要です。シナリオ設計では、顧客の状態をパターン分けして、それぞれのパターンで商品を購入してもらうまでのステップをシミュレーションします。

そして、それぞれのステップで顧客に適切なアプローチを行うことで、購入に導くのです。

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CRMにおけるシナリオ設計を行う4STEP

ここでは、シナリオ設計を行うステップを4つに分けて解説します。

(1)CRMの分析結果をもとにターゲットを決める

はじめに行うのがターゲットの決定です。

顧客は状態や行動履歴などから、グループに分けることができます。分け方はさまざまですが、以下のような分類が可能です。

  • 性別
  • 年代
  • 居住地域
  • リピート率
  • 新規顧客

顧客情報分析を行うことで、購買率が高いグループ・低いグループ、リピート率が高いグループ・低いグループなど、それぞれの傾向が見えてきます。

どのグループをターゲットにするかによって、今後のステップの内容も変わってきます。ターゲットを選ぶ根拠やアプローチにより得られる効果をしっかりと考えた上で、ターゲットを選定しましょう。

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(2)顧客と接触するタイミングを決める

次に、顧客にアプローチするタイミングを決めましょう。アプローチが適切なものであっても、タイミングを誤ると逆効果になる可能性があります。

アプローチすべきタイミングは、顧客のアクション時や、特定の期日などで設定するのが一般的です。たとえば、商品を購入した時や、商品をカートに入れた翌日、クーポンの有効期限の3日前などがいいでしょう。

また、アプローチの頻度にも注意が必要です。頻繁に行うと辟易されるおそれがありますし、逆に一度だけでは気づいてもらえないかもしれません。

アプローチを行う際は顧客からの反応などをみながら、効果的なタイミングや頻度を探っていく必要があります。

(3)顧客に何を伝えたいかを決める

アプローチするタイミングを決めたら、次は発信する内容を決めましょう。

顧客によって求めている情報は異なるため、適切な情報を発信しなければ購買につなげることはできません。

効果的な情報発信としては、たとえばカートに商品を入れたままの顧客にリマインドメールを送ったり、新規顧客に特別割引の案内を送ったりするなどの方法があげられます。

CRMの機能を活用して顧客を状態・属性別に分類し、適切な発信内容を考えましょう。どのような情報発信がよいかは、実際にやってみるまではわかりません。実際の顧客の反応をABテストなどで分析して、効果的なものを探しましょう。

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(4)どのような手法で顧客に情報を伝えるかを決める

情報の発信手法にはさまざまなものがあり、ターゲットや発信内容によって適切な手法は異なります。

多数の顧客に発信する場合は、コストの少ないメールやアプリなどが最適で、顧客以外にもリーチしたいのであれば、SNSやWEBサイトでの発信も有効です。

特に、SNSでは顧客に情報拡散を促すキャンペーンを実施することで、広い範囲に発信ができます。

また、顧客の年齢層が高い場合は、インターネットを利用するよりも、電話やダイレクトメールでのアプローチがよいかもしれません。

電話はこちらからの発信だけでなく、顧客の現在の状態が聞けるというメリットもあります。潜在的な不満やニーズを知ることで、顧客ロイヤルティの向上につながるでしょう。

このように、発信手法によってさまざまな特色があります。顧客が興味を持ってくれるか、コストは現実的か、顧客が情報を受け取ってどのようなアクションをとるかなど、多角的に検討し、適切な手法を選びましょう。

CRMのシナリオ設計に使える分析方法

CRMのシナリオ設計を行う上で役に立つ、分析方法を紹介します。

(1)顧客分析

顧客の属性などに応じてグループ分けを行い、グループごとの傾向分析を行います。顧客の属性は性別・年代・居住地域・年収などです。

顧客分析は、さまざまな目的で用いられ自社のサービス利用者はどのような層なのかがわかります。

分析結果をもとに、主要顧客層へのアプローチを実施したり、利用が薄い層にプロモーションをかけたりするといったことが可能です。

他にも、顧客の商品の購入履歴を分析することで、顧客のニーズを見つけることができます。商品が購入された理由、されなかった理由を明らかにすることで、適切な施策を講じることができるでしょう。

(2)売上分析

売上を分析することで、隠れていた傾向や課題を見つけることができます。

CRMはデータが詳細に記録され、利用しやすい形式で管理しやすいため、売上分析が比較的容易です。

売上分析は、売上を期間ごと、顧客層ごとなどに分けて、比較することで行います。

期間ごとの商品の売れ行きを分析すると、シーズンごとに需要が見えてきます。夏はクールビズ、冬は防寒具、といったものは想像しやすいですが、それ以外にも予想外の商品が売上を伸ばしているかもしれません。

たとえば、夏になるとクーラーで冷えた職場で過ごすため、使い捨てカイロの需要が高まる、といったことが考えられます。このような意外な需要は、売上分析を行わなければ見えてこないでしょう。

売上分析を行うことで、収益性の高い商品や顧客、市場ニーズなどを見つけることができます。また、シナリオ設計が適切だったかを確認するという意味でも、売上分析は重要です。

(3)RFM分析

RFM分析は、「Recency(最終購入日)」「Frequency(購入頻度)」「Monetary(購入金額)」という3つの指標をもとに顧客をグループ分けし、分析を行う手法です。RMFはそれぞれの指標の頭文字を取ったものです。

Recencyは、最後に購入してからの経過日数です。Recencyが短ければ現在も利用を続けている顧客、長ければ利用を止めている顧客と考えることができます。そのため、Recencyの短い顧客ほど、評価が高くなります。

Frequencyは購入頻度です。購入回数が多い顧客ほど、ヘビーユーザーとして評価が高くなります。

Monetaryは購入金額です。購入金額が大きい顧客ほど、評価が高くなります。

RFM分析では、この3つの指標を組み合わせて顧客をグループ分けし、それぞれの傾向と課題を見つけます。

たとえば、Recencyの評価が低い顧客が多い場合は、カムバックキャンペーンのような、顧客を呼びもどす施策が必要になります。また、平均購入金額が少ない場合は、他の商品も合わせて購入してもらう施策が必要です。

また、RFM分析は課題を見つけるだけでなく施策の効果測定にも役立ち、PDCAに組み込むことで施策の正しい評価をおこなえます。

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CRMにおけるシナリオ設計の具体的事例

CRMのシナリオ設計の具体的な事例を3つ紹介します。

(1)ECサイトでカゴ落ちした購入者へのフォローメール

商品を買い忘れている顧客へのフォローメールで、購入につなげることができます。

ECサイトで、商品をカゴに入れたままサイトから離脱することをカゴ落ちと言います。カゴ落ちが起こる原因は、以下のようなものが考えられるでしょう。

  • カートに入れたまま忘れていた
  • 検討中だが、忘れないようにカートに入れた
  • 他のECサイトと比較するために保留している
  • 決済手順が複雑だった

カゴ落ちが起こった場合、フォローメールを送ることで顧客の購入を後押しできます。フォローメールは、以下のようなタイミングで送るといいでしょう。

  • 顧客が商品をカゴに入れてから一日経過した
  • 商品の値段が下がった
  • 商品の在庫が少なくなった

フォローメールは、購入するか迷っていたり、忘れていたりする顧客に大きな効果を発揮します。

(2)ポイントの有効期限を知らせるメール

ポイントの有効期限が迫った際に、顧客にフォローメールを送ることも効果的です。

有効期限が迫っているということは、顧客はしばらくサービスを利用していない休眠顧客だと言えます。このような顧客に戻ってきてもらうことで、今後の継続的な利用が期待できるでしょう。

また、フォローメールを受け取った顧客は、せっかくのポイントを無駄にしないよう、ECサイトに訪れて何か商品を購入しようという心理が働きます。購入することが前提となっているため、購買に結びつく可能性が高いと言えます。

(3)サンプル申込者へのシナリオメール

サンプルを申し込んだ顧客への、シナリオメールも有効です。

シナリオメールとは、ユーザーのアクションに応じて自動でメールを送信し、顧客の購入を促す手法のことです。利用者に向けて一斉に送るメールに比べて、顧客の状況を汲んだ案内ができるため、高いコンバージョン率が期待できます。

アクションの例としては、「商品ページを3回閲覧したとき」「アンケートに答えたとき」などが挙げられます。

注意したいのが、あまりにも多くのシナリオメールを設定してしまうと、顧客がアクションを行うたびにメールが送信されるため、顧客からすると非常にストレスになるということです。

どのアクションをトリガーにメールを送信するかは、顧客の心理などを考えて決定しましょう。

また、シナリオメールには、作業負荷の軽減というメリットもあります。

システムを自動化することにより、人力に比べて低コストな運用が可能です。どのアクションにメールを送るかという洗い出しは必要ですが、一度自動化できれば配信にかかる人的コストを最小限に抑えることができます。

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CRMのシナリオ設計を使いこなすポイント

CRMのシナリオ設計を行う上で、押さえておくべきポイントを解説します。

(1)顧客の反応を分析するポイントを増やす

顧客の反応を正確に分析するために、反応を取得できるポイントを増やしましょう。

代表的な方法として、メールにアクションポイントを置くものがあります。たとえば、HTMLメールにWEBビーコンと呼ばれる画像を埋め込むことで、メールの開封率を確認できます。また、メール内にリンクを設置することで、クリック率を計測できます。

その他にも、WEBサイトにトラッキングタグを設置し、ユーザーの行動を記録する、商品購入時に簡易的なアンケートを表示するなど、さまざまな方法があります。

このようなポイントを見つけるには、顧客の行動をシミュレーションすることが有効です。実際の動きを辿ることで、漏れなくポイントを見つけられるでしょう。

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(2)優先順位を決めて取り組む

シナリオ設計は、すべて行おうとすると膨大な工数がかかってしまいます。そのため、優先順位をつけて、順番に行っていくことが大切です。

優先順位は、実装までの難易度と、得られる効果の大きさで決めるとよいでしょう。初めてシナリオ設計を行う場合は、失敗やトラブルが起こる可能性が高いので、難易度が低く、影響範囲の少ないものから始めるのがおすすめです。

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CRMのシナリオ設計で効果的なマーケティングを行いましょう!

シナリオ設計を行うことで、マーケティングの効果は大きく向上します。

顧客をしっかりと分析し、どのような流れで購入にいたるのかを考えなければ、施策は思うように効果を発揮しません。セールやポイント2倍など、一見すると誰でも喜びそうなものであっても、実際にそれが売上につながるわけではないです。

顧客が求めているものは、値段ではなく商品の利便性やアフターケアなど、別のものかもしれないからです。

シナリオ設計を行うことで、適切なターゲット、アプローチの方法、タイミングなどがわかるようになります。顧客が本当に必要としているものを適切な形で提示することで、マーケティング効果は大きく向上するでしょう。

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