電子契約における立会人型と当事者型の違いは?各メリットや選ぶ基準を解説

最終更新日時:2022/12/16

電子契約システム

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電子契約の導入を検討する際に、「立会人型」と「当事者型」の意味や違いについて気になったことはありませんか?この記事ではそれぞれの違いやメリット、デメリットを解説します。また、立会人型と当事者型の両方に対応している電子契約サービスも紹介しているので、サービスの選び方に迷っている方は必見です。

電子契約とは

電子契約とは、書面に代わり、インターネットなどの通信回線で電子データをやり取りし、電子署名をした電子データを合意成立の証拠とする契約方法です。

電子署名が付与された電子文書は、法的にも有効であると認められており、場所や時間を選ばずに効率的に契約が締結できるメリットがあります。

ペーパーレス化の推進やリモートワークの増加に伴って多くの企業で導入が加速しており、ビジネスには欠かせないシステムになりつつあるのです。

ただし、この電子契約には、立会人型と当事者型の2種類があり、証明力や契約時の流れが異なります。それぞれの特徴を詳しく確認していきましょう。

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立会人型とは

立会人型とは、契約を行う当事者とは異なる第三者として電子契約サービス事業者が、当事者の指示により電子署名を付与する方法です。

そのため、電子署名自体は、サービス事業者のものとなりますが、これが「当事者の指示により付与された」サインである点が重要なポイントです。この際、サービス事業者は、メール認証によって当事者それぞれの本人確認を行い、本人(当事者)からの依頼による手続きであることを確認して行うのが一般的です。

手間やコストをかけずに導入できることから、取引先への負担も軽減されることが大きなメリットです。

当事者型とは

当事者型とは署名型ともいわれ、契約を行う当事者が電子署名を付与する方法です。一般的には、立会人型によって締結された電子契約よりも高い法的効力を持つとされています。

当事者型では、認証サービスを行う認証局にて、身元確認を行なった後に発行される電子証明によって本人であることを確認します。その後、その本人のみが利用できる環境において、電子署名が付与されることになります。

第三者が、本人確認を厳格に行うため、なりすましといったリスクを避けられるメリットがありますが、電子証明書の発行は、時間と費用がかかるというデメリットもあります。

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電子契約における立会人型と当事者型の違い

立会人型では第三者のサービス事業者が電子署名の付与を行い、署名鍵もこの事業者が持つことになります。

一方、当事者型では、契約を交わす当事者が各自で電子証明書と署名鍵を持ち、電子署名の付与も各自が行います。

つまり、立会人型と当事者型では、電子署名に使う署名鍵の持ち主が異なるのです。

電子証明書は、本人確認が済んだことを証明するだけでなく、署名鍵の持ち主を証明するものでもあるので、当事者型では、契約当時者が署名鍵を持つ本人であることが証明されていることになります。立会人型には、当事者に対し、その証明がないことが大きな違いです。

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電子契約における立会人型のメリットとデメリット

立会人型と当事者型のどちらを利用するかを選択する時には、メリットとデメリットをしっかりと理解しておく必要があります。まずは、立会人型のメリット・デメリットから確認していきましょう。

(1)立会人型のメリット

立会人型のメリットは以下の2つです。

  • 手間とコストがかからない
  • 相手が同様のシステムを利用していなくても契約の締結ができる

立会人型はメールアドレスを使用して本人確認を行うため、メールが利用できる環境があれば契約の締結が可能です。そのため、相手が同様の電子契約システムを導入していなくても利用ができる利便性がメリットといえます。

(2)立会人型のデメリット

便利で手軽に利用できる立会人型ですが、次のようなデメリットがあります。

  • なりすましのリスクがある
  • 当事者型よりも法的効力が弱い

立会人型はメールで本人確認を行うため、なりすましのリスクがあります。立会人型の電子契約は、法的な有効性や証拠力が認められているものの、認証局での本人確認を行わないことから、当事者型の電子契約よりも法的効力や証拠力が弱いとされているのがデメリットです。

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電子契約における当事者型のメリットとデメリット

次に当事者型のメリット・デメリットを確認していきます。

(1)当事者型のメリット

当事者型のメリットは次の2つがあげられます。

  • 立会人型よりも強い法的効力をもつ
  • なりすましのリスクが低い

当事者型の本人確認は、政府の認めた公的機関の第三者である認証局が発行した電子証明書で行うため、なりすましのリスクが低くなります

大規模な契約を結ぶ際には当事者型の電子契約を結ぶのをおすすめします。

また、立会人型の電子契約よりも、証拠力が高く、法的効力も強いことがメリットです。

(2)当事者型のデメリット

当事者型には2つのデメリットがあります。

  • 電子証明書の発行に時間とコストがかかる
  • 契約相手に同じ方法を導入してもらう必要がある

電子証明書を発行するには、1枚につき数千円の費用がかかり、さらには、有効期限もあるため、その都度更新手続きが必要です。当然ですが、この証明書の更新は、契約する相手先にも手続きをしてもらう必要があります。

また、双方が同じ電子契約システムを利用していることも条件となるため、万が一導入をしていない取引先などと契約を締結する場合は、理解を得なくてはなりません。

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立会人型と当事者型の選び方

利便性や契約の際のコスト、法的効力などに違いのある立会人型と当事者型の電子契約ですが、システムを導入する際には、どちらを選ぶかで迷う担当者も多いはずです。ここでは、立会人型と当事者型を選ぶポイントを紹介します。

(1)手軽さを重視するなら立会人型

導入や運用の手軽さを重視するのなら、立会人型がおすすめです。当事者型は、契約のたびに電子証明書を発行しなければいけないため、契約相手にとっても大きな負担となります。

また、当事者型の場合、相手先も同じシステムを使っていなければならない点も、電子契約を進めるにあたっては、障害となることもあるはずです。

契約の頻度が多い取引先や信頼関係の構築できている取引先、一般の消費者との契約が多い企業は、立会人型の方が運用しやすいでしょう。

普及率が高いのは立会人型

2021年にJIPDECと株式会社アイ・ティ・アールが実施した企業IT利活用動向調査2021では、以下のような結果が報告されています。

  • 電子契約サービス事業者の電子署名を電子契約で採用している:17.5%
  • 契約当事者の電子署名を電子契約で採用している:14.4%

[参考:JIPDECとITRが「企業IT利活用動向調査2021」の結果を発表|一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)]

この結果から、当事者型よりも立会人型の普及率が高いことがわかります。電子契約を導入する際に、手軽さを重視する企業が多いといえるでしょう。

(2)法的効力の強さを重視するなら当事者型

立会人型に比べると、電子証明書の発行などでコストや時間はかかりますが、当事者型には、厳正な本人確認を行っているという安心感と法的効力の強さがあります。

立会人型でも二段階認証を採用するなどして、不正を防ぐ対策を強化することは可能です。しかし、その場合もログイン情報やパスワードを不正に入手すれば、なりすましが可能になるなど、当事者型と比較すると、本人性の確かさが劣る点は否めません。

そのため、契約の法的効力を重視した契約を行う場合は、当事者型の選択が最適です。

(3)選びきれない時は両方に対応する電子契約サービスがおすすめ

先ほどもお伝えしたように、立会人型と当事者型には、それぞれにメリットとデメリットがあります。そのため、どちらかを選びきれないこともあるはずです。

そんな場合には、立会人型と当事者型の両方に対応している電子契約サービスを選びましょう。両方に対応していれば、取引先との関係性や契約の種類によって、契約方法を使い分けられるので便利です。

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立会人型と当事者型のどちらにも対応している電子契約サービス3選

立会人型と当事者型の両方に対応した電子契約サービスを4つ紹介します。

(1)GMOサイン

GMOサインは、導入企業数50万社以上の国内シェアトップクラスの電子契約サービスです。ワークフローシステムとの連携で、契約書の作成から契約締結までをクラウド上で完結できます。

テンプレート管理機能・一括作成機能・ワークフロー申請機能・押印機能など、充実した機能が搭載されており、使い勝手の良さに定評があります。

提供元GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
導入企業数50万社以上(2022年2月)
基本機能

  • 電子署名
  • 手書きサイン
  • 印影登録
  • Adobe認定証明書の採用
  • 契約更新の通知
  • 操作ログ管理
  • ワンタイムパスワード
  • 文書テンプレート登録  など
料金プラン

  • お試しフリープラン:0円/月
  • 契約印&実印プラン:9,680円(税込)/月
特徴

  • 複数当事者で契約ができる
  • 日本語・英語・スペイン語・ポルトガル語に対応可能
  • 文書の一括送信が可能
  • 役割と権限の設定ができる
URL公式サイト

(2)WAN-Sign

WAN-Signは、株式会社ワンビシアーカイブズが提供する電子契約サービスです。「電子印鑑GMOサイン」が運営する認証局「GlobalSign」を基盤とするサービスで、メール認証・電子証明書双方の契約を締結できます。

ISO9001認証・ISO/IEC27001認証 ・プライバシーマークなどを取得しており、政府・医療・金融機関などに導入されるなど信頼性の高さがポイント。紙媒体や他のシステムで作成した書面を一元管理できる特徴があり、電子契約と併せて保管や検索が可能です。

提供元株式会社ワンビシアーカイブズ
基本機能

  • 電子契約締結機能
  • 手書きサイン
  • 印影登録
  • 複数者間契約対応
  • 本人確認書類添付機能
  • アクセスコード認証
  • IPアドレス制限  など
料金プラン

  • 無料プラン:0円/月
  • (※電子証明書発行料8,000円/1通)

【有料プラン】

  • 当事者型:電子契約締結1件300円
  • 立会人型:電子契約送信1件100円
  • 電子データ管理料:一式10,000円/月
  • (※電子証明書発行料8,000円/1通)

特徴

  • アカウント発行に伴う初期費用・ユーザーID数による追加料金なし
  • スマートフォン・タブレット対応
  • 書面契約の電子化対応
  • GlobalSignと直接連携
  • ワークフローの設定が可能
  • 自社データセンター利用
URL公式サイト

(3)イースタンプ

イースタンプは、すべての契約機能を兼ね備えた電子契約サービスで、充実したサポートが特徴です。電子契約サービスの導入に伴う取引先への説明代行などもサポート可能で、契約関連に特化した機能を持ち合わせます。

料金や無料トライアルについては明記されておらず、検討する場合は問い合わせが必要です。

提供元株式会社E-STAMP
基本機能

  • 認印締結機能
  • 実印締結機能
  • 手書きサイン機能
  • 画像添付機能
  • クラウド保管・管理機能  など
料金プラン

  • 要問合せ
特徴

  • スマートフォン・タブレットから手書き機能が利用可能
  • メール・電話・オンラインなどサポート体制が充実
  • 電子帳簿保存法に対応したクラウド保管サービス など
URL公式サイト

電子署名の種類を知って臨機応変に対応しよう

電子署名には、立会人型と当事者型の2種類があります。電子契約を導入する際には、それぞれのメリット・デメリットを理解しておかなくてはなりません。

どちらのタイプを導入するか、選択が難しいときは、立会人型・当事者型双方を利用できるハイブリッドタイプのサービスを選ぶと良いでしょう。

必要な機能があること、使い勝手が良くサポート体制が充実しているかなど、自社が求める基準をはっきりさせた上で、複数のサービスを比較検討してください。

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