請求書は経費精算で領収書の代用可能?領収書との違いや役割について解説

最終更新日時:2023/02/02

経費精算システム

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商品やサービスの販売・購入時に発行される請求書・領収書。領収書が見あたらなく、経費精算に手間取った経験のある人も多いのではないでしょうか。本記事では、請求書は経費精算で領収書の代わりになるのか、領収書との違いや役割について詳しく解説します。

請求書は経費精算で領収書の代用として可能

請求書は経費精算で領収書の代用として可能です。請求書による経費精算ができるケースとしては、以下の2つがあげられます。

  1. 銀行振り込み・クレジットカード払い
  2. 請求書兼領収書が発行されている場合

判断ポイントで最も重要なのは、「支払い実態が証明できる」という点です。

これは領収書と請求書のそれぞれが持つ役割の違いに関わるものであり、請求書はその特性上、単体では支払い実態を証明する書類としては認められません。

そのため、明細書とセットにすることで支出内容の詳細が明らかになり、実際に支払いが発生していることを証明することができます。

そもそも経費精算は、立て替えによりすでに支払われている費用に対して、立て替え分を従業員に返金することを意味します。

申請時に支払いが発生していることが証明できれば、問題なく経費精算することが可能なのです。

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請求書・領収書の違い

請求書・領収書の違いを正確に理解しておく必要があります。請求書と領収書それぞれの役割と違いについて解説していくので、参考にしてください。

請求書の役割

請求書の役割についてです。請求書は、相手に支払いを求めるために発行される書類で、発行タイミングは支払いが行われる「前」にあたります。

請求書の発行段階では支払いが実際に行われたかどうかはわかりません。そのため、請求書単体では支払いの実態を証明することが不可能なのです。

請求書としての有効性を担保するために記載が義務付けられている項目は以下の通りです。

  • 発行者住所氏名:請求書の発行者の住所・名前
  • 取引年月日:請求書が発行された日付
  • 取引内容:取引を行った具体的な品目
  • 取引金額:取引対価として領収された金額とその内訳
  • 宛名:請求書の受取人の住所・名前

ここまでは、領収書への記載事項と違いはありません。

しかし、請求書には上記項目以外に「振込先の銀行口座の情報」や「支払い期限」が記載されていることが一般的です。

例外として、小売業、飲食店、タクシー等の事業者が発行する請求書については、受け取り人の住所・氏名の記載は省略することが認められています。

【出典:国税庁「No.6625 請求書等の記載事項や発行のしかた」】

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領収書の役割

領収書の役割についてです。領収証は、企業や店舗が代金を受け取ったことを証明するために発行する書類で、発行タイミングは支払いが発生した「後」です。

領収書への記載事項は、大方請求書と同じで以下のような内容です。

  • 発行者住所氏名:領収書の発行者の住所・名前
  • 日付:領収書が発行された日付
  • 但し書き:取引を行った具体的な品目
  • 金額:取引対価として領収された金額とその内訳
  • 宛名:領収書の受取人の住所・名前

振込先や支払い期限に関する記載は、領収書にはありません。

それは領収書が、支払いが「完了」したことを証明する証憑書類であるため、入金に関する情報は不要であるためです。

一部の例外を除いて、上記項目が記載されていれば領収書としては有効となります。

請求書が支払い内容を事前に告知することで、相手が納得して支払いを行うことができるという一種のトラブル回避としての役割を担っています。

対して領収書は、代金の過払いや二重請求などの不正防止という観点から、こちらも取引にて発生する可能性が高いトラブル抑制という役割を担っています。

そのため、代金を支払った側には領収書の発行を求める権利があり、代金を受け取った側には発行する義務が生じます。

これは、民法第486条にて定められ、基本的に代金の支払いと領収書の発行は同時に履行されるべきという原則に基づき、発行の要請に相手が応じない場合は、代金の支払いを拒否することが可能です。

ただし、これは現金での支払いに限っており、加えて領収書の二重発行は禁止されています。

代金を受け取る側としては、ECなどによる電子取引においては発行義務がありませんし、領収書の紛失を理由とした再発行には応じることはできないので、注意しましょう。

【出典:e-Gov法令検索「消費税法第30条9項1号」】

【出典:e-Gov法令検索「民法第486条」】

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請求書兼領収書

請求書兼領収書についてです。請求書兼領収書とは、請求書と領収書両方の役割を持つ書類のことを指します。

支払いの前後に発行される請求書と領収書をなぜ同時に発行することが可能なのでしょうか。

これは、金銭のやり取りが発生するタイミングによるもので、そのタイミングは一般的に以下の2つのケースに分けられます。

  1. 飲食店や店舗における個人の買い物:納品・請求・支払いが同時に行われる
  2. BtoB、またはBtoCの売買取引:納品→請求→支払いが日を追って順番に行われる

請求書兼領収書が発行されるのは、上記1に該当するケースです。

しかし、小売や飲食業ではレシートが領収書として有効となるため、請求書兼領収書は主に個人経営の病院や歯科医院にて発行されることが多くあります。

請求書兼領収書を経費精算に用いる場合は、先述の通り支払いの実態が証明できなければ無効となります。

そのため、請求書兼領収書を受領した場合は、「了」や「代済」「相済」といった記載がされていることを確認しましょう。

これらの表記があれば、支払いが完了していることを意味するため、経費精算の際に支払いの証明として提出することが可能となります。

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請求書・領収書両方に保管義務がある

請求書・領収書両方に保管義務があるということもしっかりと認識しておきましょう。保管期間は、請求書と領収書双方において、法人税法と消費税法により要件もあわせて定められています。

ここからは、それぞれの法律によって定められている保管期間について解説していきます。

1. 請求書

1-1. 法人税法

保管期間:原則7年間 例外となる要件のいずれかが該当する場合は10年

理由:法人税申告の証明書類として用いるため

例外となる要件:

  • 法人税申告書を提出した事業年度において、欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた
  • 青色申告書を提出しなかった事業年度において、災害損失欠損金額が生じた

2. 領収書

2-1. 法人税法

保管期間:原則7年間 例外となる要件のいずれかが該当する場合は10年

理由:法人税申告の証明書類として用いるため

例外となる要件:

  • 法人税申告書を提出した事業年度において、欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた
  • 青色申告書を提出しなかった事業年度において、災害損失欠損金額が生じた

2-2. 消費税法

保管期間:7年間

理由:課税仕入れの税額控除の適用を受けるため

請求書・領収書 それぞれの保管義務

上記は、普通法人における保管期間となるため、個人事業主の場合なら請求書は7年間、領収書は青色申告なら7年、白色申告なら5年の保管が義務付けられています。

保管期間を確認する際、保管期間が開始される起算日の設定には注意が必要です。

請求書・領収書共に、保管期間が開始するのは「発行日」ではありません。

起算日となるのは、事業年度の確定申告の提出期限の「翌日」であり、そこから数えて7〜10年間保管が必要です。

また、事業年度ごとに保管したりしなかったりすると、後々トラブルに発展することもあるため、保管期間は長めに設定しておいた方が良いでしょう。

法人であれば、請求書・領収書ともに10年間保管しておけば安全です。

【出典:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」】

請求書を領収書の代わりに使用する場合の注意

請求書を領収書の代わりに使用する場合の注意すべき点が2つあります。

  1. 店舗でのクレジットカード払いでは請求書は発行されない
  2. 収入印紙の貼り付けが必要な場合がある

1. 店舗でのクレジットカード払いでは請求書は発行されない

クレジットカード払いの場合は、請求書と明細書をセットで提出することで、領収書の代わりになります。

しかし、請求書と明細書がもらえるシチュエーションとは、ECサイトなどを利用してインターネット上でクレジットカード決済をした場合に限ります。

通常、飲食店や店舗などの実店舗においてクレジットカード払いをした場合、請求書は発行されません。そのため、領収書を必ずもらうことを忘れないようにしましょう。

ちなみに、店舗で渡されるクレジットカードの利用控えに、購入年月日、購入した商品やサービスの内容、購入金額、販売店名が記載されている場合は、そのまま経費精算に用いることができます。

上記のような必要事項が記載されていない場合は、手書きの領収書の発行を依頼しましょう。

その際は、手書きの領収書に必ずクレジットカード払いである旨が記載されていることを確認してください。

後述で解説しますが、この支払い方法の記載の有無によって収入印紙の取り扱いが変わってくるためです。

ただし、クレジットカード決済は信用取引であることから、会計の時点で支払いは完了しておらず、店舗にとっては領収書を発行する義務はありません。

もし、クレジットカード決済をした店舗がカードの利用控えのみを渡している店舗で、その控えにも支払い詳細が記載されておらず、手書き領収書にも対応していないとなるとどうなるのでしょうか。

答えは、その店舗での支出を経費として精算することはできません。

そのため、実店舗での支出を経費精算する場合は、どのような形式の控えなのか、手書き領収書への対応は可能なのかをあらかじめ確認しておきましょう。

2. 収入印紙の貼り付けが必要な場合がある

次に、請求書で経費精算を行う場合、その金額に応じて収入印紙の貼り付けが必要となります。

収入印紙は、取引に伴い作成した書類に課される「印紙税」を支払うために、領収書には金額に応じた額の収入印紙の貼り付けが義務付けられています。

請求書を領収書の代わりに使用する場合は、請求書に印紙を貼り付けなければなりません。これは、請求書兼領収書の場合も同様です。

例外として、インターネット上で完結する取引において発行された電子請求書を、プリントアウトせずにデータのまま領収書の代わりとして提出する場合は、印紙を貼り付ける必要はなくなります。

これは、法律により電子取引(電子領収書)は非課税扱いとされているためです。

先のクレジットカードを例に出すと、もしも店舗でもらった手書きの領収書に「クレジットカード払い」の旨が明記されていなければ、課税扱いとみなされ、記載金額に応じた印紙の貼り付け義務が生じるのです。

【出典:国税庁「クレジット販売の場合の領収書」】

【出典:内閣府、法務省「電子的な受取証書(新設された民法第486条第2項関係)についてのQ&A」P3-4】

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請求書・領収書の違いを理解し経費精算に活用しよう

請求書と領収書では、書類の持つ効果や役割に大きな違いが見られます。

そのため、それぞれの違いや特性を理解していなければ、せっかく立て替えた費用を精算できなくなる恐れがあります。

近年の支払い方法の多様化が進む中において、どの方法で支払えば、経費精算のためにどのような手続きが発生し、また注意しなければならないかという確認事項も複雑化します。

両者の違いをしっかりと理解した上で適切な支払い証明書類をもらい、経費精算に活用するようにしましょう。

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