経費精算に欠かせない正しい領収書の定義とは?よくある疑問も解説

最終更新日時:2022/03/11

経費精算システム

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経費精算においては、領収書のルールを正しく理解する必要があります。本記事では、領収書の役割やレシートとの違い、紛失時の対策などのよくある疑問を詳しく解説します。領収書の電子化についても触れるので、管理コストのカットにお役立てください。

正しい領収書の定義とは?必要性を解説

領収書は、商品やサービスの取引において、販売側と購入側が双方に「確かにお金を受け取った」ことと「確かにお金を支払った」ことを証明する書類です。

従業員が経費精算をするときには、原則として領収書の提出が求められます。領収書がなければ、経費を本当に立て替えたのかが証明できないからです。また、会社にとっては、適切に経費を使い、適正に計上している証拠として必要な書類でもあります。

このように領収書は、経費の精算や管理において必要性の高い書類のひとつなのです。

経費精算における領収書とレシートの違い​​

レシートは商品やサービスを購入・利用した際に、支払い側が求めなくても発行されるのが一般的です。レシートには、発行者(店名や会社)、取引した年月日、取引内容、金額などが記載されます。

一方の領収書は、通常、支払い側が求めた場合にのみ発行されます。レシートの情報に加えて、宛名(支払い者)が提供元の手書きにより記載されます。

領収書とレシートの大きな違いは、宛名が記載されているかいないかにあるのです。

経費精算におけるレシートの考え方

次に、経費精算におけるレシートの有効性や信憑性などについて確認していきましょう。

(1)領収書とレシートは両方有効

先ほどお伝えしたように、多くの場合、レシートには宛名を除いて領収書と同じ項目が記載されています。領収書と同様に信憑性が高いため、経費精算の書類として有効です。

実際に、レシートによる経費精算は一般的に行われています。ただし、クレジットカード決済時のレシートについては、クレジットカード決済が、のちにカード会社から代金が支払われることを前提とした「信用取引」である性質上、現金決済と違い、領収書の代用として認められないことがあるため、注意しましょう。

税法上、レシートが証明書類として有効とされているとはいえ、会社によっては社内規定によって、領収書の提出を義務付けていることもあります。その際は、必ず会社のルールに従うようにしてください。

(2)領収書の代わりになるレシート以外の証拠書類

経費精算の際に、レシート以外にも領収書の代わりになる証拠書類には、次のようなものがあります。

  • クレジットカードの利用明細
  • 請求書や納品書
  • 交通系ICカードの利用履歴
  • 出金伝票など

事業活動の上で生じる経費においては、そもそも領収書やレシートが発行されないケースもあります。その際には、上記の書類で経費精算を行いましょう。

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(3)レシートのほうが信憑性が高いケースもある

経費精算を行う際、領収書よりもレシートのほうが信憑性が高いと判断される場合があります。領収書は固有名詞ではなく「上様」となっていたり、但し書きに「品代」とだけ記載されていたりすると、取引の詳細が不明です。

一方、レシートに宛名はありませんが、基本的にそれ以外の項目はすべて記載されています。しかも、機械で印字されているので、改ざんのリスクが低いという特性があるのです。そのため、領収書よりも高い信憑性が認められるケースもあります。

領収書の記載項目に関するルールを紹介

領収書に必要な項目は、ルールに沿って記載されていなくてはなりません。正しい領収書を受け取るためにも、記載項目別のルールを理解しておきましょう。

(1)日付

商品やサービスの提供側が、支払い者からお金を受け取った年月日を記入します。和暦・西暦のどちらでも構いませんが、いずれの場合にも省略することは許されません。必ず「令和4年」「2022年」など、正確に記入されている必要があります。

(2)宛名

宛名には支払い者の正式な氏名および企業名が必要です。消費税法においては「宛名=買い手の氏名・名称」が必要とされていますが、小売業や飲食業などでは省略してもよいことになっています。

そのため、宛名が「上様」と記入されていても、領収書の証明力は有効です。ただし、宛名については、社内規定で「必ず社名で発行」といったルールを設けている場合もあるので、注意しましょう。

(3)金額

商品やサービスの提供側が、支払い者から受け取った金額を税込で記載します。

金額を書き変えるといった改ざん防止のために、桁区切りの「,」を3桁ごとに記入し、数字の先頭に「¥」や「金」、末尾には「―」や「也」などの文字・記号が記入されるのが一般的です。内訳欄には税抜金額と消費税額が記載されます。

(4)但し書き

提供側は、販売・提供した商品やサービスの内容を、但し書きに記載しなければなりません。「文房具代として」「ご飲食代金として」など、取引内容が、具体的に分かるように記載します。

特に、経費として精算する場合は、勘定科目にもかかわるため、「品代」といった曖昧な書き方ではなく、詳細が分かるような記載をしてもらうことが大切です。

(5)氏名・発行者住所

商品やサービスを提供する店舗・企業名と、住所、連絡先などが記載されます。領収書に印刷されていたり、捺印されていたりするケースが多いです。

(6)収入印紙

売上代金が5万円以上の場合、課税の対象となり、領収書には金額に応じた収入印紙の貼り付けが必要となります。金額ごとの収入印紙の金額は次のとおりです。

【領収金額と印紙税額】

領収書の受取金額収入印紙の金額
5万円未満必要なし(非課税)
5万円以上〜100万円以下200円分の収入印紙
100万円超〜200万円以下400円分の収入印紙
200万円超〜300万円以下600円分の収入印紙
300万円超〜500万円以下1,000円分の収入印紙
500万円超〜1,000万円以下2,000円分の収入印紙

貼り付けた収入印紙には、使用済みだと分かるように「消印」が押されます。

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領収書の記載事項に関する注意点

領収書の記載には注意点があります。経費精算や税務調査の際に重要な書類となるため、発行側に正しく記載してもらいましょう。

(1)但し書きは仕事のためと分かるように書く

先にお伝えしたとおり、但し書きは、経費として会計処理を行う際に重要な項目となります。そのため、どのような商品・サービスにかかった支出なのかが、分かるよう記載してもらう必要があります

例えば、「文房具代」との記載でも問題ありませんが、「コピー用紙」や「ボールペン30本」など、より具体的であれば、会計処理の際の勘定科目の仕訳がスムーズになります。

また、購入した品物が複数ある場合には、金額が大きい主だった商品名に加えて、「その他」や「など」を記入してもらいましょう。

(2)なるべく宛名は記入しておく

領収書の宛名には、なるべく氏名や会社名を記入してもらいましょう。小売業や飲食業で発行される領収書であれば、「上様」と記入されていても証拠力が失われることはありません。

しかし、固有名詞を記入してもらった方が、「確かに自分(自社)がお金を支払った」ことを証明する書類としての信憑性が高くなります。経費精算や税務調査の際にも、適切な書類として認められる可能性が高くなるでしょう。

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領収書を紛失したときの対策

発行してもらった領収書を紛失してしまうケースは少なくありません。このとき、経費精算はどのように対処すれば良いのでしょうか。ここでは、対策についてお伝えしていきます。

(1)再発行を依頼する

領収書を紛失したときには、まず、発行元に再発行が可能かを確認してみます。

ただし、領収書の発行は金銭を受け取った側の義務であるのに対し(民法第486条)、領収書の「再発行」については、義務ではありません。そのため、店舗・企業によっては再発行に応じてくれないこともあります

これは再発行した領収書は、経費の二重計上や架空計上などに使われる可能性があり、そういった不正への関与を避けるためです。

(2)レシートで代用する

領収書を紛失してしまっても、レシートがあれば代用可能です。先ほどもお伝えしたように、レシートは経費精算の書類として一般的に利用されています。会社で特別なルールがある場合を除いては、問題なく代用できるでしょう。

(3)カード明細や通帳記録で代用する

クレジットカードで経費の立替をしていた場合は、領収書を紛失してしまっても利用明細で代用できます。

また、銀行振込を利用した際に発行される、振込金受取書(振込明細書)も支払いの証拠として代用が可能です。そのほか、預金口座からの振込では、通帳の記録も利用できます。

(4)購入証明書や支払証明書を請求する

店舗・企業など事業者によっては、購入証明書・支払証明書を発行してくれることがあります。領収書を紛失してしまっても、これらの証明書があれば、支払いの証拠として代用が可能です。ただし、発行には手数料が必要な場合もあります。

(5)出金伝票に記録する

出金伝票に記録するのも、対策のひとつです。支払いの事実を証明するためには、次の4項目を出金伝票に記載しなくてはなりません。

  1. 年月日
  2. 支払い先の名称
  3. 金額
  4. 目的(購入した商品やサービスの内容など)

出金伝票は、領収書やレシートが発行されない、慶弔関連の支出や交通費の支払い証明として使われることが多いです。

一般的には市販されている出金伝票を利用しますが、税法上にフォーマットの決まりはないため、社内書式が用意されている場合もあります。

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経費精算の課題解決のために領収書の電子化がおすすめ

申請書や領収書の確認など、経費精算に関わる業務は、処理量や工程の多さから、経理担当者の大きな負担となっています。

この課題を解決する方法としておすすめなのが、領収書を電子化して管理することです。具体的にどんなメリットがあるのかを確認していきましょう。

(1)保管がラクになる

領収書を電子化すれば、保管のためにファイリングや台紙に貼るなどの作業が不要です。これまで手作業で時間をかけて行っていた業務がなくなるので、担当者の負担が大幅に削減できます。

また、パソコン上に保存できるため、保管スペースも必要ありません。限られたオフィスのスペースを有効に活用できるようになります。

(2)管理コストの削減につながる

領収書は、税法上の「帳簿書類」に該当し、7年〜10年間の保管が義務付けられています。そのため、紙の領収書を保管しておくとなると、企業規模によっては、保管のためのスペースを別途用意する必要があるでしょう。それだけでなく、整理して管理するためのファイルや台紙、キャビネットなどが必要でした。

しかし、電子データとして管理すれば、これらはすべて必要なくなります。そのため、管理コストの削減につながるのです。

(3)紛失や流用のリスクをカット

領収書の電子化は、紛失や流出のリスクの軽減にもつながります。最長で10年間保存するとなれば、その量が膨大となることは、容易に想像ができます。

そのため、いくら管理に気を遣っていても、紛失といったリスクを完全に排除することは困難といえるでしょう。

その点、電子化してしまえば、データとしてパソコンに保存できます。管理が煩雑になることもなく、紛失の心配がありません。また、データへのアクセス権限を制限しておけば、不正に流用されるなどのリスクも軽減できるのです。

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(4)データ検索ができる

内部監査や税務調査など、なんらかの事情で保管している領収書の提出が求められることがあります。紙で管理していると、膨大な量の書類を掻き分け、該当するものを探し出すのは大変な作業です。

しかし、電子データとして管理していれば、絞り込み検索などの機能を利用することで、簡単に探し出すことができます。

経費精算の領収書は電子化で効率化!方法やメリット・注意点を解説

経費精算・領収書についてのよくある質問

経費精算や領収書は、わかりにくい点が多くあります。そこで最後に、「領収書についてのよくある疑問」について解説していきます。

(1)領収書を電子化するデメリットは?

領収書の電子化をする際は、電子帳簿保存法により、さまざまな保存要件が設けられています。税法上、適正な電子化データとして認められるための条件がある点には、注意が必要です。

また、書類の電子化や電子データの保存・保管が効率よくできる電子化システムの導入にはコストがかかります。

さらに、クラウド上で管理している場合は、インターネット環境に問題が起こると閲覧や検索ができません。このような予期しないアクシデントに対しては備えが必要となるでしょう。

(2)支払った金額の一部だけ領収書をもらうことはできる?

利用した店舗や会社に希望を伝えれば、支払った金額の一部だけの領収書を発行してくれます。また、この領収書で経費精算を行うことも可能です。

(3)領収書は印鑑なしでも有効?

領収書に印鑑がなくても税法上に問題はありません。ただし、会社で印鑑が必要とされている場合は、ルールに従いましょう。

(4)領収書が発行されないときはどうする?

祝儀・不祝儀、交通費、クレジットカードでの支払いなど、領収書が発行されないケースがあります。祝儀・不祝儀、交通費については、出金伝票での対応が一般的です。クレジットカードでの支払いの場合は、利用明細書で対応が可能です。

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(5)収入印紙がない領収書は無効?

「印紙税法」では金額が5万円以上の領収書を発行する際、印紙税を納税するために収入印紙を貼る必要があります。印紙税は領収書の発行元が納付するものです。

しかし、収入印紙が貼られていなければ領収書として無効となるわけではなく、経費精算で利用できます。ただし、収入印紙を貼らなかった店舗・企業側は、過怠税として本来納付すべき税額とその2倍、合計で本来の3倍の額が課せられます。

経費精算に欠かせない領収書を正しく管理しよう

経費精算の際には、原則として領収書が必要です。レシートや出金伝票、クレジットカードの利用明細でも代用は可能ですが、もっとも証拠力の高い書類であることを理解しておきましょう。

ただし、適切な経費精算のためには、必要な項目が正しく記載された領収書が求められます。ここでお伝えしたルールや注意点を参考にして、発行元に正しく記入してもらうようにしてください。また、正しい管理のために電子化を検討してみましょう。

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