業務委託における経費精算の考え方とは?認められる経費や勘定科目について

2022/8/15 2022/08/15

経費精算システム

大量の領収書と経費精算書類

近年、副業解禁の流れでさまざまなクライアントと業務委託を交わす人が増加しました。その際に確定申告をする必要がありますが、ほとんどの方は確定申告を今までやることがなかったかもしれません。本記事では、確定申告時の経費精算や認められる経費、そして勘定科目について解説します。

委託業務における経費精算とは?

委託業務における経費精算とは、委託された業務の遂行にかかった費用を、委託者に伝えて精算してもらう行為です。経費として精算できる判断基準は、業務に関係がある費用か、委託者の利益につながる費用であるかどうかです。

経費の種類としては、通常の会社員と同様に、交通費や交際費、宿泊費などが含まれます。ただし、契約時にこれらの必要経費の精算について委託者と交渉していなかった場合、原則は個人負担です。

契約前の交渉次第で経費として精算できるか決まるため、必要経費については双方で綿密に確認しておくことが重要だといえます。

一般的な業務委託の経費精算方法

業務委託時の経費は一般的に、報酬と一緒に振り込まれる規定です。売上金の一部とみなされるため、消費税納税義務を判定する際の課税売上高に関わります。年間の売り上げが1,000万円前後になる際は気をつけなくてはなりません。

[出典:国税庁「納税義務の免除」]

業務委託に認められる経費

業務委託契約時に認められる経費は、多種多様です。この章では、経費として認められる支出のなかでも代表的なものを紹介します。領収書をもらえないケースであっても、支出した日時、範囲、金額をメモしておくと、それが証明書類になります。

ちなみに、クラウドソーシング利用時にかかるシステム手数料や振り込み手数料は、経費として計上可能です。勘定科目は、それぞれ「支払手数料」と「雑費」とするのが一般的です。

1.パソコン関連

よくある経費項目としてまず考えられるのが、パソコン関連です。仕事用に購入したパソコンはもちろん、「仕事の合間に少しプライベート使用することがある」程度であれば経費計上しても問題ありません。

10万円以上のケースでは減価償却するのが基本ですが、次のいずれかのケースに当てはまるときには「消耗品費」「事務用品費」として全額経費にすることが可能です。

  • 使用期間が1年未満のもの
  • 取得価額が10万円未満のもの

[出典:国税庁「少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示」]

2.オフィス備品

オフィス備品も、経費として計上できる支出項目のひとつです。購入金額や条件によって、減価償却が発生することがあるため、以下を参考にチェックしていきましょう。

  • 購入金額が10万円未満、または使用可能期間が1年未満:消耗品として処理し、取得年度に全額経費計上が可能
  • 購入金額が10~20万円未満:一括償却資産としての処理が可能(3年にわたって減価償却していく)

なお、以下の条件を満たした法人または個人は、少額減価償却資産の特例制度を利用することで、30万円未満までの減価償却資産を全額経費に計上できるケースがあります。(年度限度額:300万円)。

  • 資本金または出資金額が1億円以下で、青色申告書を提出する法人など

※大企業の子会社である場合は、適用外になる可能性あり

3.交通費

身近な経費項目として、交通費があげられます。領収書がもらえなかった場合は、日時、目的、範囲、金額を記しておくと証拠書類となります。

長期出張の場合は、移動が多いことから交通費の立て替え負担が大きくなるケースもあるでしょう。その場合は、事前に仮払いとして経費精算する方法もあります。

4.取引先の飲食費

取引先との飲食費も、経費として認められる可能性があります。勘定科目は「交際費」「会議費」「福利厚生費」など、支出の発生したシーンによってさまざまです。

個人事業主の場合は、勘定科目の厳格な決まりはありません。「交際費」として処理するのが一般的です。飲食費が経費となるポイントは、その支出が事業に関連しているかどうかにあります。

税務署から問い合わせがあったときに明確に回答できるよう、誰とどのような目的で飲食したのかメモしておくとよいでしょう。

5.取引先関連のお葬式の香典

取引先のお葬式の香典も、経費として認められます。取引先企業の関係者が亡くなられた際の香典は、全額を「接待交際費」として計上します。

自社の従業員やその家族に対する香典の場合は、勘定科目が「福利厚生費」となるため、香典を渡す相手によって勘定科目が変わることを覚えておきましょう。

業務委託先の家事按分はどうなる?

家事按分(かじあんぶん)とは、業務とプライベートを兼ねているものに対して、業務利用している割合分を必要経費として計上することです。

家事按分の対象となるケースとしては、以下が考えられます。

  • 家賃
  • 通信費
  • 電気やガス代
  • 自動車に関連する費用

ポイントは、税務署ではなく、本人が家事按分の割合を設定する点です。時間や利用量などに応じて仕事とプライベートの使用割合を算出し、適切な家事按分を試みましょう。

1.事務所

家事按分できる費用のひとつが、事務所費用です。個人事業主として活動している場合、自宅と事務所を兼用しているケースも多く見受けられます。この場合、家賃や光熱費などの一部を経費計上できます。

たとえば、家賃が10万円/月として1/4のスペースを事業用に利用しているなら、2万5,000円が経費として計上可能です。ただし、持ち家の住宅ローンにおいて、利息部分は経費となりますが、元本は経費に該当しません。この点には注意しましょう。

ほかにも、固定資産税や火災保険料なども家事按分が可能です。

2.車

自動車関連の費用も、家事按分が可能です。業務とプライベートで自動車を兼用している場合、それにかかるガソリン代や保険など、自動車に関連する支出が家事按分の対象となります。

車の按分比率は、主に走行距離や使用日数に基づいて計算します。走行距離で計算するほうが正確な比率が算出できるものの、手間が大きいため、使用日数を根拠として計算する人も少なくありません。

経費率と目安

経費率とは、収入に対する経費の割合を指します。経費率は事業によって異なり、目安としては以下のとおりです。

  • 卸売業:90%
  • 小売業:80%
  • 製造業:70%
  • サービス業:50〜55%
  • その他:60%

経費率が極端に高い場合、税務署に経費の水増しや売上の過少申告を疑われる可能性があるため、注意しましょう。

業務委託の注意したい税金問題

業務委託契約を結んで働く場合、税金に関しては注意しておかなくてはなりません。知識不足の状態だと想定以上に多くの納税が発生するケースもあるため、あらかじめ税金について学習しておきましょう。

確定申告の際は注意が必要

副業で業務委託契約を結んで働く場合、想定以上に所得税を支払うケースがあります。会社員としての給与所得に加え、副業による所得も課税所得の対象となるためです。

副業する場合は、どの程度の税金が発生するのか把握するためにも、所得税率を意識して働くとよいでしょう。課税所得に対する税率と控除額の目安は、以下のとおりです。

課税所得金額 所得税率 控除額
1,000円~194万9,000円 5% 0円
195万円~329万9,000円 10% 9万7,500円
330万円~694万9,000円 20% 42万7,500円
695万円~899万9,000円 23% 63万6,000円
900万円~1,799万9,000円 33% 153万6,000円
1,800万円~3,999万9,000円 40% 279万6,000円
4,000万円以上 45% 479万6,000円

[出典:国税庁「所得税の税率」]

委託業務者がよく使う必要経費の勘定科目一覧

ここでは、委託業務者がよく使用する必要経費の勘定項目を確認していきましょう。

1.通信費

通信費とは、インターネットや電話など、連絡や情報取得にかかった費用を指します。主に、以下の費用が通信費です。

  • 電話料金(携帯電話代含む)
  • 切手代やはがき代
  • サーバー使用料
  • ドメイン使用料
  • プロバイダ使用料
  • 内容証明取得費用

プライベートと業務で同じ携帯端末を使用している場合は、家賃や水道代のように家事按分することで、一部の料金を経費として計上できます。

2.荷造運賃

荷造運賃とは、事業で取り扱っている商品や製品を顧客に送る際にかかる費用です。具体的には、以下のようなものが挙げられます。

  • 配達料
  • 段ボール代
  • ひもやガムテープ、発泡スチロール等の購入費用
  • 倉庫代
  • 船舶料金

3.水道光熱費

水道光熱費とは、事務所や店舗で使用する水道・ガス・電気などの費用です。具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • 電気料金
  • ガス料金
  • 水道料金
  • 空調費用

自宅を事務所として利用している場合は、水道光熱費を家事按分しましょう。按分比率の計算は、事業で使用している面積や使用時間を基に計算すると、合理的な比率を算出可能です。

4.旅費交通費

業務を遂行するうえで発生した交通費や宿泊費、日当などは、旅費交通費として計上します。具体的には、以下のようなものが当てはまります。

  • 電車・バスへの乗車料金(Suicaチャージも含む)
  • 定期券代金
  • 出張費
  • ホテル宿泊費
  • 出張時の食費

なお、SuicaやPASMOで電車を利用する場合、領収書が発生しません。そのため、別途メモで日付、行き先、移動目的、金額を残しておくとよいでしょう。

5.広告宣伝費

広告宣伝費とは、事業の宣伝や広告作成にかかった費用のことです。具体的には、以下のような費用が該当します。

  • 切手やはがきの購入費用
  • 電話料金(携帯電話を含む)
  • 内容証明取得費用
  • プロバイダ料金
  • ドメイン使用料
  • インターネット広告費

なお、交際費との違いは、交際費が取引先相手に対する支出である一方、広告宣伝費は不特定多数の人を対象とした事業経費である点です。

6.接待交際費

業務遂行にあたり、特定の相手と食事や外出をした際にかかる費用のことです。具体的には、以下のような項目が当てはまります。

  • 接待の飲食代
  • 送迎にかかった交通費
  • 取引先の関係者が亡くなった際の香典
  • ゴルフ場の利用費
  • お土産代

7.修繕費

固定資産(事務所や店舗、工場、自動車など)に対する修復や、メンテナンス費用のことです。たとえば、以下のような費用が修繕費に当てはまります。

  • メンテナンス費用
  • 維持管理費用
  • 原状回復費用
  • ビル解体費用

8.保険料

事業を実施するなかで発生した保険料も、経費による計上が可能です。たとえば、以下の保険料は経費計上できます。

  • 営業車の自動車保険・自賠責保険
  • 店舗の火災保険
  • 各種賠償保険

個人の生命保険や自宅の火災保険といったように、業務とは関係ないものは対象外となる可能性が高いため、ご注意ください。

9.消耗品費

購入費用が10万円未満、または使用可能年数が1年未満の物を購入した場合は、消耗品費として計上します。消耗品として考えられる物は多岐にわたりますが、一例としては以下のとおりです。

  • 椅子
  • テーブル
  • 電球
  • 本棚
  • 伝票
  • 名刺

10.減価償却費

備品のなかでも比較的高額で、長期間にわたって利用できる物を購入した場合は、減価償却費として処理します。減価償却とは、購入費用を数年から数十年に分けて少しずつ経費として計上する行為です。

減価償却費に該当する費用項目としては、建物や有形固定資産、ソフトウェアなどが該当します。有形固定資産の場合、定額法と定率法の2つの減価償却方法があることを覚えておきましょう。

11.福利厚生費

給料やボーナス以外に会社が従業員へ支給するサービスやサポートを、福利厚生といいます。それらのサービスやサポートに発生した費用は、福利厚生費として計上可能です。

福利厚生費には法律で定められている費用と、それぞれの企業が独自に定めている費用の2種類があります。

法律で定められている福利厚生費用とは、社会保険料の会社負担分のことです。また、企業独自が定めている福利厚生費用に関しては、主に次のような費用が挙げられます。

  • 常備薬にかかる費用
  • 忘年会費
  • 教育訓練費
  • 親睦活動費

業務委託におけるおすすめの経費精算システム4選

経費精算をスムーズにおこなうには、経費精算システムの利用がおすすめです。ここからは、業務委託契約におすすめの経費精算システムを4つ紹介します。

1.楽楽精算

楽楽精算は、専任サポートが充実している経費精算システムです。申請項目やレイアウトなどの設定において自由度が高いため、業種や規模を問わず、さまざまな事業で活用できます。

提供元 株式会社ラクス
初期費用 110,000円(税込)
料金プラン 33,000円(税込)/月~ 
導入企業数 約1万社(2022年4月時点)
機能・特長
  • 経費精算
  • 請求書処理
  • 会計ソフトとの連携
  • 電子帳保存法に対応
  • 規定違反チェック
URL 公式サイト

2.ジョブカン経費精算

ジョブカン経費精算は、コストパフォーマンスの高さで人気を誇る経費精算システムです。1ユーザーあたり400円で利用できるため、予算の限られたケースでも利用しやすいサービスといえるでしょう。

提供元 株式会社DONUTS
初期費用 中小企業:無料
大企業:要問い合わせ
料金プラン 中小企業:440円(税込)/月/ユーザー
大企業:要問い合わせ
導入企業数 シリーズ累計15万社以上
機能・特長
  • ICカード読み取り
  • 代理申請・承認
  • 乗換案内との連携
  • QRコード承認
  • 仕訳データ・FBデータの作成
URL 公式サイト

3.マネーフォワード クラウド経費

マネーフォワード クラウド経費は、パソコンやスマホで経費精算できるシステムです。企業規模に応じたプランが用意されているので、中小企業から大企業まで幅広い層が利用できるサービスとなっています。

提供元 株式会社マネーフォワード
初期費用 無料
料金プラン ・スモールビジネス基本料金
年額プラン:3,278円(税込)/月~
月額プラン:4,378円(税込)/月~
※登録可能ユーザー数:最大3名・ビジネス基本料金
年額プラン:5,478円(税込)/月~
月額プラン:6,578円(税込)/月~
※6名以上から1名につき550円(税込)/月
導入企業数 要問い合わせ
機能・特長
  • 経費明細の自動取得
  • 領収書オンラインチェック
  • 会計システムとの連携
  • 経費分析
  • IPアドレス制限
  • キャッシュレス決済
URL 公式サイト

4.ジンジャー経費

ジンジャー経費は、労務情報を一元管理できる経費精算システムです。勤怠情報や人事情報もまとめて管理できることから、効率的な労務管理が期待できます。

年間を通じて同じ担当者がサポートにつくことから、クライアント企業の運用体制を理解したうえで適切なアドバイスを提案できる点が強みのひとつです。

提供元 jinjer株式会社
初期費用 330,000円(税込)
※初回契約時のみ
料金プラン 550円/月/ユーザー
導入企業数 1万5,000社以上(シリーズ累計)
機能・特長
  • 経費処理
  • 領収書の読み取り
  • 各種申請の承認
  • データ出力
URL 公式サイト

業務委託における経費精算をきちんと理解して実施しよう

業務委託契約においても、正確な経費精算が求められます。特に業務を委託される側は、認められる経費や精算方法を把握しておくことで、安心して業務に取り組むことが可能です。

スムーズな経費精算を図りたい場合は、経費精算システムの導入を検討しましょう。小規模事業者向けのプランを用意しているサービスもあれば、充実したサポート体制を提供しているサービスもあります。

自分に合った経費精算システムを導入し、適切に経費の計算や申請を実施していきましょう。

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